カルブロック錠(アゼルニジピン)の効果【医師が教える降圧剤の全て】

カルブロック錠(一般名:アゼルニジピン)は2003年に発売された降圧剤(血圧を下げるお薬)でカルシウム拮抗薬という種類に属します。

カルブロックをはじめとしたカルシウム拮抗薬は、血圧を下げる作用に優れるため、血圧をしっかりと下げたい患者さんへよく用いられます。

またカルブロックは抗炎症作用や腎保護による蛋白尿改善作用なども報告されており、これらに該当する患者さんにも良い適応となります。

カルブロックはどんな特徴のある降圧剤で、どんな患者さんに向いているお薬なのでしょうか。ここではカルブロック錠の効果や特徴についてみていきましょう。

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1.カルブロック錠の特徴

カルブロック錠というお薬の特徴についてみてみましょう。

カルブロック(シルニジピン)はカルシウム拮抗薬という種類の降圧剤になります。そのため、まずはカルシウム拮抗薬の主な特徴を紹介します。

・血圧を下げる力(降圧力)が確実
・ダイレクトに血管を広げる作用であるため、その他の余計な作用が少ない
・安い

カルシウム拮抗薬の1番の特徴は、「降圧力だけを見れば1番」というところです。カルシウム拮抗薬の他にも、ARB、ACE阻害剤、利尿剤など降圧剤はたくさんありますが、単純な降圧力だけでみれば、カルシウム拮抗薬にかなうお薬はありません。

また、詳しくは後述しますがカルシウム拮抗薬は血管に存在する筋肉を拡張させるはたらきを持ち、血管にダイレクトに作用して血圧を下げるお薬です。血管に直接作用するため、その他の余計なはたらきが少ないお薬なのです。

これは他の作用がないというデメリットでもあり、余計な作用がないというメリットでもあります。

カルシウム拮抗薬は、価格が安いものが多いのも大きな特徴です。これも詳しくは後述しますが、血圧を下げるコストパフォーマンスで言えば、かなり優れたお薬になります。

では次にカルシウム拮抗薬の中でのカルブロックの特徴を紹介します。

・バランスの取れたお薬
・抗炎症作用、腎保護作用がある
・併用注意(飲み合わせに注意)のお薬がやや多め
・腹膜透析の患者さんの透析排液が白濁することがある

カルシウム拮抗薬の中のカルブロックの特徴は、良く言えば「バランスが取れている」、悪く言えば「特に特徴がない」というのが特徴になります。

カルブロックは改良を重ねられた第3世代のカルシウム拮抗薬であり、副作用が少なく安全性は高いと言えます。また後述しますが作用時間もまずまず長く、1日1回の服薬でも十分に血圧を下げてくれるとされています。血圧を下げる力も他のカルシウム拮抗薬と比べると強くはありませんが、まずまずの力があります。

そつのない優等生という印象でしょうか。

また、カルブロックの特徴として、抗炎症作用、腎保護作用を有することが挙げられます。これも後述しますが、カルブロックがT型のカルシウムチャネルに作用するという特徴があるからだと考えられています。

カルブロックは他のカルシウム拮抗薬と比べると、相互作用するお薬がやや多めになります。飲み合わせについては処方医がちゃんと確認してくれますから患者さんが心配する必要はありませんが、若干のデメリットになります。

また、腎不全などで腹膜透析をしている方はカルブロックを服薬すると、透析排液が白濁することがありますので、びっくりしないよう事前に知っておく必要があります。

の特徴を挙げると次のようになります。

【カルブロック(シルニジピン)の特徴】

・確実な降圧作用
・バランス型(適度に長く効き、適度に血圧を下げてくれる)
・抗炎症作用、腎保護作用がある
・併用注意(飲み合わせに注意)のお薬がやや多め
・腹膜透析の患者さんの透析排液が白濁することがある
・値段が安い

2.カルブロック錠はどんな疾患に用いるのか

カルブロックはどのような疾患に用いられるのでしょうか。カルブロックの添付文書を見ると、次のように記載されています(2015年5月現在)。

【効能又は効果】

高血圧症

実際の臨床でも、高血圧症の治療に対して用いられることがほとんどです。

カルブロックはカルシウム拮抗薬に属します。カルシウム拮抗薬は、血管を拡張させることで血圧を下げるため、 血圧を下げたい高血圧症の方にとっては非常に役立ちます。

ただし、血圧を下げる力だけを見ると、同系統のアムロジピン(商品名:ノルバスク、アムロジン)の方がやや強い印象はあります(個人差があります)。

また、アテレックは抗炎症作用、腎保護作用が報告されていますので、蛋白尿が出ていたり腎臓に障害のある患者さんに用いられることがあります。

腹膜透析の患者さんに用いると、排液が白濁することがあります。それ自体に大きな問題があるわけではないのですが、常に排液が白濁してしまうと腹膜炎などになった時に発見が遅れてしまうため、腹膜透析をしている患者さんにはあまり用いられないようです。

また、相互作用するお薬が若干多めであるため、相互作用する該当薬物も服薬している場合は、服薬量に注意が必要です。

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3.カルブロック錠の作用機序

血圧を下げるはたらきを持つカルブロック錠ですが、どのような機序で血圧を下げているのでしょうか。

血圧を下げるお薬にはいくつかの種類がありますが、カルブロック錠はその中で「カルシウム拮抗薬」というお薬に分類されます。カルシウム拮抗薬は、血管の平滑筋という筋肉に存在しているカルシウムチャネルのはたらきをブロックするというのが主なはたらきです。

チャネルという用語が出てきましたが、これはかんたんに言うと、様々なイオンが通る穴だと思ってください。つまりカルシウムチャネルは、カルシウムが通ることが出来る穴です。

カルシウムチャネルは、カルシウムイオンを通すことにより、筋肉を収縮させるはたらきがあります。これをブロックするのがカルブロックです。

カルブロックが作用すると、カルシウムイオンが流入できなくなり、筋肉が収縮できなくなるため拡張します。血管が拡張する(広がる)と、血圧が下がるというわけです。

ちなみにカルシウムチャネルにはL型、T型、N型の3種類があることが報告されています。このうち、平滑筋に存在しているカルシウムチャネルはほとんどがL型です。

L型カルシウムチャネル:主に血管平滑筋・心筋に存在し、カルシウムが流入すると筋肉を収縮させる。ブロックすると血管が拡張し、血圧が下がる
T型カルシウムチャネル:主に心臓の洞結節に存在し、規則正しい心拍を作る。また脳神経にも存在し神経細胞の発火に関係している
N型カルシウムチャネル:主にノルアドレナリンなど興奮性の神経伝達物質を放出する

カルシウム拮抗薬のほとんどは、L型のカルシウムチャネルをブロックする事で、血圧を下げます。カルブロックも同様にL型のカルシウムチャネルに作用し、血管平滑筋を弛緩させることで血圧を下げます。

またカルブロックはT型のカルシウムチャネルに作用することも報告されています。T型カルシウムチャネルは上記の作用の他、抗炎症作用、腎臓の血管を拡張させることによる腎保護作用なども報告されています。

4.カルブロック錠の用法・用量と剤形

カルブロック錠は、

・カルブロック錠8mg(アゼルニジピン錠8mg)
・カルブロック錠16mg(アゼルニジピン錠16mg)

の2剤形があります。

ジェネリック医薬品もこの2剤形です。

カルブロック錠は、8mg~16mgを1日1回食後投与で使用します。なお開始時は、8mgあるいは更に低用量からであり、最大量は16mgまでになります。

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5.カルブロック錠の作用時間

カルブロック錠は製薬会社より、1日1回の服薬で24時間効果が持続する長時間作用型であると報告されています。しかしこれには個人差があり、人によっては1日を通して効果が持続しない可能性もあります。

お薬の作用時間は、服薬する人の代謝能力などによって異なるため、絶対的な値を出すことは難しいのですが、1つの目安として「半減期」というものがあります。

半減期というのは、お薬を服薬して血中濃度が最大になってから、その血中濃度が半分に落ちるまでにかかる時間のことです。血中濃度が半分まで落ちると、薬効もだいぶ消失してくることが予測されるため、半減期はお薬の作用時間のひとつの目安になります。

カルブロックの半減期は2相性に推移すると報告されています。1相では半減期は1時間前後、2相では半減期は19~23時間前後であり、総合して判断すると降圧効果はギリギリ1日通して続くとも考えられますが、人によっては1日持たないこともあります。

しかし実際の薬効は血中と濃度だけから判断できるものではなく、血中濃度が低くなった状態でも組織には成分がしっかりと存在しているということもあるため、半減期だけで実際の作用時間を導くことはできません。

そのため、基本的にカルブロックは1日1回投与で問題ありませんが、この投与法で1日の血圧に波が出てしまう場合は、主治医と相談して1日2回投与にしたり、半減期の長い降圧剤に変更する必要があります。

6.カルブロック錠が向いている人は?

以上から考えて、カルブロックが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

カルブロックの特徴をおさらいすると、

・確実な降圧作用
・バランス型(適度に長く効き、適度に血圧を下げてくれる)
・抗炎症作用、腎保護作用がある
・併用注意(飲み合わせに注意)のお薬がやや多め
・腹膜透析の患者さんの透析排液が白濁することがある
・値段が安い

というものでした。

これはカルシウム拮抗薬全体にいえることですが、血管の平滑筋にダイレクトに作用するカルシウム拮抗薬は、単純に血圧を下げたい時に有用です。

またカルシウム拮抗薬の中でカルブロックならではの特徴として、抗炎症作用・腎保護作用があります。そのたね、腎障害などを持っている方はカルブロックを服薬することは一石二鳥になるかもしれません。蛋白尿やそれに伴う浮腫(むくみ)なども改善してくれる可能性があります。

腹膜透析をしている方は、あえてカルブロックを選択するメリットは乏しいと思われますので、使用できないわけではありませんが、別のカルシウム拮抗薬を使用する方が無難ではないかと思われます。

そのため、

・血圧をしっかりと下げたい方
・腎障害がある方
・経済的になるべく安価に済ませたい方

などにはカルブロックはお勧めしやすい降圧剤になります。

7.カルブロック錠の薬価

カルブロックの薬価はどれくらいでしょうか。

薬価は2年に1回改訂されますが、2015年5月の薬価基準収載では次のように薬価が設定されています。

カルブロック錠(8mg) 35.30円 (ジェネリック16.70~19.30円)
カルブロック錠(16mg) 62.50円 (ジェネリック29.50~34.20円)
(2015年5月現在)

カルブロックをはじめとしたカルシウム拮抗薬は、その他の降圧剤(ACE阻害薬、ARBなど)と比べて、薬価が安いのが特徴です。カルブロックは最大量の16mgを使っても62.50円です。

対して、例としてARBの一つであるオルメサルタン(商品名オルメテック)を見てみましょう。オルメテックは5mg~40mgで使用しますが、

オルメテック錠(5mg)  34.30円
オルメテック錠(10mg) 64.70円
オルメテック錠(20mg) 123.30円
オルメテック錠(40mg) 187.70円

このように最大量で比較するとARBの方が3倍ほど薬価が高くなります。

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