ビーソフテンクリームの効果と副作用

ビーソフテン(一般名:ヘバリン類似物質)は1954年から発売されている「ヒルドイド」というお薬のジェネリック医薬品になります。

ビーソフテンは基本的には保湿剤になりますが、その他も様々な作用があり多くの皮膚疾患の治療に用いられています。

効果も良く副作用も極めて少ないため使い勝手が良く、またビーソフテンはジェネリック医薬品で薬価も安いため、多く処方されている塗り薬です。

塗り薬はたくさんの種類があるため、それぞれがどのような特徴を持つのかは分かりにくいものです。

ビーソフテンはどんな特徴のあるお薬で、どんな患者さんに向いているお薬なのか、この記事ではビーソフテンクリームの効能や特徴・副作用についてみてみましょう。

なおビーソフテンは2016年から「ヘパリン類似物質」という名称に変更されましたが、ビーソフテンで検索される方も未だ多いため、ここでは「ビーソフテン」という名称で記載させて頂きます。

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1.ビーソフテンクリームの特徴

まずはビーソフテンの特徴をざっくりと紹介します。

ビーソフテンは、「保湿」「血行促進」「傷痕を綺麗にする」という3つの作用を持つ塗り薬になります。

しっかりした効果を認め副作用もほとんどないため、非常に使い勝手の良い塗り薬です。

ビーソフテンは「ヘパリン類似物質」という物質が主成分なのですが、「ヘパリン類似物質」は、その名の通り「ヘパリン」という物質に類似している物質です。

ヘパリンは医療で使われているお薬で血の固まりを溶かす作用があり、身体の中に出来てしまった血栓を溶かしたり、血栓を予防するために投与されます。ヘパリンは血液をサラサラにして血行を良くしてくれるのです。

ビーソフテンもヘパリンと類似したはたらきがあるため、血液の流れを良くするはたらきがあります。

皮膚表面の血管に炎症(静脈炎)や皮下血腫などが出来てしまった時、ビーソフテンの血栓溶解作用を利用すれば流れが悪くなった血流を改善させる事が出来ます。

またビーソフテンは保湿力にも優れます。ビーソフテンの主成分であるヘパリン類似物質は構造的に多くの親水基(水と結合しやすい基)を持っているため、水分を保つ力が強いのです。ここからビーソフテンは皮膚の乾燥を改善させる効果もあるという事が分かります。

ビーソフテンは皮膚の線維芽細胞の増殖を抑制する事で、傷痕の盛り上がり(ケロイドなど)を出来にくくし、皮膚を綺麗にするはたらきもあります。

副作用もほとんどなく、安全性に非常に優れるお薬になります。

ビーソフテンの中でクリーム製剤の特徴としては、ちょうど軟膏(ビーソフテン油性クリーム)とローション(ビーソフテンローション)の中間の性質を持ち、多くの部位にまんべんなく使えます。

軟膏は、長く持ち保湿力に優れますが伸展性(伸び)が悪く、皮膚への浸透力も弱めだという特徴があります。

反対にローションは、短時間で乾いてしまい保湿力は劣りますが、伸展性が良く皮膚への浸透力も高いという特徴があります。

クリームはその中間で、伸展性も保湿力も浸透力もまずまず認めるバランスの取れた製剤です。

ビーソフテンの唯一の注意点としては、血栓を溶かす作用があるため、更に出血しやすくなると重篤な状態になる可能性のある方(先天性の出血性疾患を持っていたりという方)は使用すべきではありません。該当する方は極めて少数ですが、そのような方には使えないお薬となります。

またビーソフテンはジェネリック医薬品であり、先発品のヒルドイドよりも安く入手できるのもメリットの1つです。

以上からビーソフテンクリームの特徴として次のような事が挙げられます。

【ビーソフテンクリームの特徴】

・血栓を溶かし、血流の流れを良くする作用がある
・保湿作用がある
・皮膚の傷跡を綺麗にする作用がある
・副作用は極めて少ない
・伸展性・浸透力・保湿性がまずまずありバランスの良い製剤
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

2.ビーソフテンはどんな疾患に用いるのか

ビーソフテンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

皮脂欠乏症、進行性指掌角皮症

凍瘡、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)、血栓性静脈炎(痔核を含む)、外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎、筋性斜頸(乳児期)

肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防

難しい専門用語が並んでいますが、簡単に言うと

  • 皮膚の保湿
  • 皮膚表面血管の血栓溶解・血行促進
  • 傷跡を綺麗にする

のいずれかの作用が必要になる疾患に対して用いられるという考え方で良いでしょう。

皮脂欠乏症というのは文字通り、皮膚表面の脂肪分(油)が減少する事により表皮の乾燥が生じている状態です。進行性指掌角皮症はいわゆる「手荒れ」であり、水仕事が多い方の手指に生じる乾燥やひび割れ・皮膚の肥厚の事です。これらの疾患にはビーソフテンの保湿作用が効果を発揮します。

凍瘡とはいわゆる「しもやけ」で、寒さで四肢末端の血流が悪くなる事で生じます。血栓性静脈炎とは静脈内に血栓ができてしまう事で、血栓により皮膚が腫れたり末梢がむくんだりします。これらの疾患にはビーソフテンの血栓溶解・血行促進作用が効果を発揮します。

筋性斜頸とは出産後の赤ちゃんの首の筋肉(胸鎖乳突筋)にしこりがあり、それによって首が傾いてしまう疾患です。ほとんどは自然と治りますが治らない場合は手術が必要になる事もあります。ビーソフテンは筋性斜頸の改善にも有効な事が示されています。

肥厚性瘢痕・ケロイドは手術や外傷などで出来た皮膚の傷が盛り上がってしまう「傷跡」の事です。このような疾患にはビーソフテンの線維芽細胞の増殖を抑える作用が効果を発揮します。

ビーソフテンはジェネリック医薬品であるため有効率の詳しい調査は行われていませんが、先発品の「ヒルドイド」においては、

  • 皮脂欠乏症 91.2%
  • 進行性指掌角皮症 71.6%
  • 凍瘡 90.8%
  • 肥厚性瘢痕・ケロイド 75.5%
  • 血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患 100%
  • 血栓性静脈炎 78.0%
  • 外傷後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎 75.5%
  • 筋性斜頸 88.3%

と有効率が報告されています(ヒルドイドクリームの有効率)。

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3.ビーソフテンにはどのような作用があるのか

様々な皮膚トラブルに対して広く用いられるビーソフテンですが、具体的にはどのような作用があるのでしょうか。

ビーソフテンには主に3つの作用があり、これらが皮膚症状を改善させていると考えられています。

それぞれについて詳しく説明します。

Ⅰ.血栓溶解・血行促進作用

ビーソフテンの主成分である「ヘパリン類似物質」は、その名の通り「ヘパリン」という物質と類似した作用があります。

ヘパリンは「抗凝固剤」と呼ばれ、血液が凝固(固まる)するのを抑える作用があります。そのためヘパリンは血栓が出来るとまずいような状態において用いられています。

ビーソフテンもヘパリンと同じように、血液の凝固を抑えるはたらきがあります。血が固まりにくくなるという事であり、これは血行を改善する作用になります。

そのためビーソフテンは皮膚の血行を改善させたい時、皮膚表面の血管に血栓が出来ていて溶解させたい時などに用いられます。

Ⅱ.保湿作用

ビーソフテンの主成分であるヘパリン類似物質は、構造として硫酸基、カルボキシル基、水酸基などの多くの親水基(水と結合しやすい基)を持っているため、水分を保持するはたらきに優れます。そのため、皮膚表面の保湿にビーソフテンは有効です。

ビーソフテンは皮膚の表面のある角質の水分を保持することが確認されています。

そのためビーソフテンは皮膚の乾燥に対しても広く用いられています。

Ⅲ.傷跡を綺麗にする作用

手術で皮膚にメスを入れたり、鋭利なもので皮膚を切ってしまうと傷跡が残ってしまう事があります。

目立たない傷跡であればいいのですが、時に傷跡は太く盛り上がり、ケロイドや肥厚性瘢痕となってしまう事もあります。

これは傷を治す時に、その傷に多くの繊維細胞が浸潤し、そのまま傷跡に残ってしまうために生じます。

ビーソフテンは繊維細胞の元となる繊維芽細胞の増殖を抑えるはたらきがあり、これにより傷跡を綺麗にするはたらきが期待できます。

4.ビーソフテンの副作用

ビーソフテンは塗り薬であり、全身に投与するものではないのでその副作用は多くはありません。

ビーソフテンはジェネリック医薬品であるため副作用発生率の詳しい調査は行われていません。しかし先発品の「ヒルドイド」においては、

  • ヒルドイドクリームで0.93%
  • ヒルドイドソフト軟膏で0%(119例中0例)
  • ヒルドイドローションで0%(121例中0例)

と報告されており、極めて副作用の少ないお薬となっています。ビーソフテンも同程度だと思われますので、安全性は非常に高いお薬となります。

生じる副作用としては、

  • 皮膚炎
  • そう痒(かゆみ)
  • 発赤、潮紅
  • 発疹

などの局所の副作用です。

いずれも重篤となることは少なく、多くはビーソフテンの使用を中止すれば自然と改善していきます。

ビーソフテンには1つだけ注意点があります。

ほとんどの方には関係のないことなのですが、ビーソフテンには血栓を溶かして血流を良くする作用があります。これは逆に言うと出血しやすくなる作用だとも言えます。

そのため出血しやすくなると重篤な状態になる可能性のある方(先天性の出血性疾患を持っていたりする方など)は、ビーソフテンを使用する事ができません。

添付文書にはビーソフテンが禁忌(絶対に使ってはいけない)となる方として、

(1)出血性血液疾患(血友病、血小板減少症、紫斑病等)のある患者
(2)僅少な出血でも重大な結果を来すことが予想される患者

と書かれています。

また出血を助長する可能性があるため、

  • 出血している創部
  • 潰瘍やびらん面

には塗布は避ける方が良いでしょう。

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5.ビーソフテンの用法・用量と剤形

ビーソフテンには、

ビーソフテンクリーム 0.3% 25g(チューブ)

ビーソフテンクリーム 0.3% 100g(瓶)
ビーソフテンクリーム 0.3% 500g(瓶)

ビーソフテン油性クリーム 0.3% 25g(チューブ)

ビーソフテン油性クリーム 0.3% 100g(瓶)
ビーソフテン油性クリーム 0.3% 500g(瓶)

ビーソフテンローション 0.3% 50g

ビーソフテン外用スプレー 0.3% 100g

といった剤型があります。

ビーソフテンは先発品のヒルドイドにはない「スプレー剤」があるのが特徴です。実際はスプレーが必要となる状態はあまりないのですが、背中など塗りにくい部位に使うのであれば良いかもしれません。

塗り薬の中には特有の臭いがあるものもありますが、ビーソフテンはほぼ無臭です。

ちなみに塗り薬には「軟膏(油性クリーム)」「クリーム」「ローション(外用液)」などいくつかの種類がありますが、これらはどのように違うのでしょうか。

軟膏(油性クリーム)は、ワセリンなどの油が基材となっています。保湿性に優れ、刺激性が少ないことが特徴ですが、べたつきは強く、これが気になる方もいらっしゃいます。

クリームは、水と油を界面活性剤で混ぜたものです。軟膏よりも水分が入っている分だけ伸びがよく、べたつきも少なくなっていますが、その分刺激性はやや強くなっています。

ローションは水を中心にアルコールなどを入れることもある剤型です。べたつきはほとんどなく、遣い心地は良いのですが、保湿効果は長続きしません。浸透性が高いため皮膚が厚い部位(頭部など)に用いられます。

ビーソフテンの使い方は、

<クリーム、軟膏>
通常、1日1~数回適量を患部に塗擦又はガーゼ等にのばして貼付する。

<ローション>
通常、1日1~数回適量を患部に塗布する。

<外用スプレー>
通常、1日1~数回適量を患部に噴霧する。

と書かれています。実際は皮膚の状態や場所によって回数や量は異なるため、主治医の指示に従いましょう。

6.ビーソフテンの使用期限はどれくらい?

ビーソフテンの使用期限って、どのくらいの長さなのでしょうか。

「家に数年前に処方してもらった軟膏があるんだけど、これってまだ使えますか?」

このような質問は患者さんから時々頂きます。

保存状態によっても異なってきますので一概に答えることはできませんが、適切に保存されていた前提(室温保存)で考えれば、

  • クリーム・軟膏は3年6カ月
  • ローション・外用スプレーは3年

が使用期限となっています。

7.ビーソフテンクリームが向いている人は?

以上から考えて、ビーソフテンクリームが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ビーソフテンクリームの特徴をおさらいすると、

・血栓を溶かし、血流の流れを良くする作用がある
・保湿作用がある
・皮膚の傷跡を綺麗にする作用がある
・副作用は極めて少ない
・伸展性・浸透力・保湿性がまずまずありバランスの良い製剤
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

というものでした。

ビーソフテンは副作用がほとんどなく、様々な皮膚トラブルに効果を発揮するお薬ですので、広く用いられています。

上記の作用が必要な皮膚状態であればまず検討すべきお薬でしょう。

またビーソフテンの中でビーソフテンクリームは、

  • 伸展性(伸び)
  • 浸透力
  • 保湿力
  • 刺激性

いずれも軟膏(油性クリーム)とローションの中間の性質を持ち、バランスの取れた製剤です。そのため多くの部位に幅広く塗布するような場合に向いているでしょう。

ビーソフテンは薬価が安いのも大きなメリットです。2016年現在ビーソフテンは先発品のヒルドイドと比べると約半額となっており、安価で処方してもらう事ができます。

8.先発品と後発品は本当に効果は同じなのか?

ビーソフテンは「ヒルドイド」というお薬のジェネリック医薬品になります。

ジェネリックは薬価も安く、剤型も工夫されているものが多く患者さんにとってメリットが多いように見えます。

しかし「安いという事は品質に問題があるのではないか」「やはり正規品の方が安心なのではないか」とジェネリックへの切り替えを心配される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

同じ商品で価格が高いものと安いものがあると、つい私たちは「安い方には何か問題があるのではないか」と考えてしまうものです。

ジェネリックは、先発品と比べて本当に遜色はないのでしょうか。

結論から言ってしまうと、先発品とジェネリックはほぼ同じ効果・効能だと考えて問題ありません。

ジェネリックを発売するに当たっては「これは先発品と同じような効果があるお薬です」という根拠を証明した試験を行わないといけません(生物学的同等性試験)。

発売したいジェネリック医薬品の詳細説明や試験結果を厚生労働省に提出し、許可をもらわないと発売はできないのです、

ここから考えると、先発品とジェネリックはおおよそ同じような作用を持つと考えられます。明らかに効果に差があれば、厚生労働省が許可を出すはずがないからです。

しかし先発品とジェネリックは多少の違いもあります。ジェネリックを販売する製薬会社は、先発品にはないメリットを付加して患者さんに自分の会社の薬を選んでもらえるように工夫をしています。例えば飲み心地を工夫して添加物を先発品と変えることもあります。

これによって患者さんによっては多少の効果の違いを感じてしまうことはあります。この多少の違いが人によっては大きく感じられることもあるため、ジェネリックに変えてから調子が悪いという方は先発品に戻すのも1つの方法になります。

では先発品とジェネリックは同じ効果・効能なのに、なぜジェネリックの方が安くなるのでしょうか。これを「先発品より品質が悪いから」と誤解している方がいますが、これは誤りです。

先発品は、そのお薬を始めて発売するわけですから実は発売までに莫大な費用が掛かっています。有効成分を探す開発費用、そしてそこから動物実験やヒトにおける臨床試験などで効果を確認するための研究費用など、お薬を1つ作るのには実は莫大な費用がかかるのです(製薬会社さんに聞いたところ、数百億という規模のお金がかかるそうです)。

しかしジェネリックは、発売に当たって先ほども説明した「生物学的同等性試験」はしますが、有効成分を改めて探す必要もありませんし、先発品がすでにしている研究においては重複して何度も同じ試験をやる必要はありません。

先発品と後発品は研究・開発費に雲泥の差があるのです。そしてそれが薬価の差になっているのです。

つまりジェネリック医薬品の薬価は莫大な研究開発費がかかっていない分が差し引かれており先発品よりも安くなっているということで、決して品質の差が薬価の差になっているわけではありません。

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