ドボネックス軟膏(カルシポトリオール)の効果と副作用

ドボネックス軟膏(一般名:カルシポトリオール)は病院で処方される塗り薬で、「角化症治療剤」という種類のお薬になります。2000年から発売されています。

ドボネックス軟膏は角化症や角化異常といった角質(皮膚の表面)が厚くなってしまう疾患の治療薬として用いられています。

ドボネックス軟膏はどのような作用機序があって、どのような効果が期待できるお薬なのでしょうか。

ドボネックス軟膏の効果・効能や特徴、副作用について詳しくみてみましょう。

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1.ドボネックス軟膏の特徴

まずはドボネックス軟膏の特徴をざっくりと紹介します。

ドボネックス軟膏は、皮膚の角化異常を改善する作用を持つ塗り薬になります。

角化異常というのは皮膚の分化の異常が生じて、角質の肥厚や増殖が生じてしまうことです。

皮膚の表面を「表皮」と呼びますが、表皮はケラチノサイト(角化細胞)がほとんどを占めます。ケラチノサイトは表皮の一番下にある基底層で作られ、一番上にある角質層に達するまでに徐々に分化していき、角質層に達すると角質細胞となります。この一連の過程を「角化」と言います。

【分化】
細胞が構造的・機能的に変化していくこと。

この角化に異常が生じるのが角化異常です。ケラチノサイトの分化が正常に行われないため、皮膚が肥厚したり、赤くなったりします。また角質の増殖によって、鱗屑(りんせつ:皮膚が剥がれ落ちて白い粉をふいたようになる)が出現することがあります。

ドボネックス軟膏は、このような角化異常を改善する作用を持っています。

デメリットとしては、副作用として高カルシウム血症が生じる可能性があることです。特に元々腎臓の機能が悪い方では生じやすく、ドボネックス軟膏を使用中は定期的に血液検査で血清カルシウム値を確認しておくことが望まれます。

以上からドボネックス軟膏の特徴を挙げると、次のようなことが挙げられます。

【ドボネックス軟膏の特徴】
・皮膚の角化(角質の肥厚)を治す作用がある
・高カルシウム血症に注意(特に腎機能が悪い方)

2.ドボネックス軟膏はどのような疾患に用いるのか

ドボネックス軟膏はどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】
尋常性乾癬

適応疾患としては「尋常性乾癬」のみです。尋常性乾癬は「角化異常」によって生じる代表的な疾患で、表皮の肥厚・増殖、角化異常、表皮の炎症などが生じる疾患です。

通常、表皮のケラチノサイト(角化細胞)は1~2か月かけて徐々に生まれ変わっていきます。しかし角化異常が生じるとそのスピードが速まってしまい、短い時間でどんどんと皮膚が作られていきます。

すると角質がどんどんと肥厚していってしまうのです。

角化異常が生じると、見た目的な問題だけでなく、かゆみや痛みが生じたり、鱗屑(皮膚が剥がれ落ちて白い粉が落ちる)が生じたりといった症状が生じ、患者さんの生活に支障を来たします。

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3.ドボネックス軟膏にはどのような効果・作用があるのか

ドボネックス軟膏は、皮膚の角化異常に対して用いられますが、どのような機序で角化異常を改善させているのでしょうか。

ドボネックス軟膏の主成分であるカルシポトリオールは、活性型ビタミンD3の誘導体になります。

活性型ビタミンD3は、角化異常が生じている表皮の角化細胞にあるビタミンD受容体にくっつくことで、細胞の増殖を抑える作用があることが知られています。

角化異常が生じている角化細胞は、細胞増殖のスピートが正常より早まっており、これによって皮膚がどんどんと厚くなってしまいます。活性化ビタミンD3はこれを抑えるはたらきをし、これによって角化細胞の増殖が抑制されるため、角化異常の改善が得られるというわけです。

また角化異常の原因としては、ケラチノサイト(角化細胞)の分化異常も指摘されています。

ケラチノサイトは表皮の一番下にある層である基底層で作られ、一番上の層である角質層に達する間に徐々に分化していきます。しかし角化異常ではその分化が正常に行われていないのです。

ドボネックス軟膏は、このケラチノサイトの分化を促進するはたらきを持っていることが確認されており、ケラチノサイトの正常分化の指標となるインボルクリンの発現を促進することが確認されています。

またドボネックス軟膏は炎症を引き起こすサイトカインの1つであるIL(インターロイキン)を抑制させることも確認されています。

角化異常では患部に炎症が生じていることも指摘されているため、ドボネックス軟膏のこの作用も角化異常改善に役立っていると考えられます。

4.ドボネックス軟膏の副作用

ドボネックス軟膏にはどのような副作用があるのでしょうか。

副作用発生率は5〜6%前後と報告されており、主なものとして、

  • 掻痒感(かゆみ)
  • 刺激感・ヒリヒリ感
  • 発赤・紅斑
  • 接触性皮膚炎

などの局所の副作用が多くを占めます。ドボネックス軟膏は人によっては皮膚に対する刺激となってしまう事があるようです。

また、注意すべき副作用には

  • 高カルシウム血症

があります。高カルシウム血症の発症頻度は0.1%未満と稀ですが、ドボネックス軟膏塗布中は血清カルシウム濃度を定期的に測定するのが安全でしょう。

ドボネックス軟膏の主成分は活性型ビタミンD3とお話しましたが、活性型ビタミンD3にはカルシウム代謝を調節する作用があるため、カルシウム濃度を上げてしまう可能性があるのです。

ちなみに高カルシウム血症が生じると、

  • 口渇
  • 倦怠感、脱力感
  • 食欲不振
  • 嘔吐
  • 腹痛
  • 筋力低下

などの症状が生じます。

また、高カルシウム血症に伴って

  • 急性腎不全

が生じる可能性があります。そのため元々腎機能が悪い方などはドボネックス軟膏の使用は慎重に判断しないといけません。

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5.ドボネックス軟膏の用量・用法と剤型

ドボネックス軟膏は、

ドボネックス軟膏50μg/g(カルシポトリオール) 10g
ドボネックス軟膏50μg/g(カルシポトリオール) 30g

と2剤型があります。

ドボネックス軟膏の使い方は、

通常1日2回適量を患部に塗布する。

(1 週間に 90g を超える使用は行わないこと)

と書かれています。

このように塗る量の上限が定められているのは、高用量を塗布すると皮膚刺激感などの副作用の頻度が多くなるためです。またドボネックス軟膏の副作用に「高カルシウム血症」があることも理由でしょう。高カルシウム血症は特に高用量のドボネックス軟膏を使用した際に生じるリスクが高くなることが予測されますので、上限量をこのように設定した方が安全です。

またドボネックス軟膏は一般的には使用開始してからおおよそ4〜6週間で効果が認められます。それ以上塗っていて効果が無い場合は、漫然と続けず、治療方針の再検討を行う必要があるでしょう。

6.ドボネックス軟膏向いている人は?

以上から考えて、ドボネックス軟膏が向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ドボネックス軟膏の特徴をおさらいすると、

・皮膚の角化(角質の肥厚)を治す作用がある
・高カルシウム血症に注意(特に腎機能が悪い方)

というものでした。

ここから、

・角化異常(尋常性乾癬など)を持っていて
・腎機能に問題のない方

に向いている治療薬だと考えられます。

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