クレストールの効果と副作用【高脂血症治療薬】

クレストール(一般名:ロスバスタチンカルシウム)は2005年から発売されているお薬で「スタチン系(HMG-CoA還元酵素阻害薬)」という種類に属します。

主に悪玉(LDL)コレステロールを下げる作用に優れ、LDLが高い高コレステロール血症の患者さんに用いられています。また善玉(HDL)コレステロールを上げたり中性脂肪(TG)を下げる作用も持ちます。

クレストールはどのような特徴のあるお薬で、どのような患者さんに使うお薬なのでしょうか。今回はクレストールの特徴や効果・副作用について紹介します。

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1.クレストールの特徴

まずはクレストールの全体的な特徴を紹介します。

クレストールはスタチン系と呼ばれる脂質異常症治療薬で、主に悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を下げる作用に優れます。スタチン系の中でももっとも強力で、「ストロングスタチン」に分類されています。

クレストールをはじめとしたスタチン系(HMG-CoA還元酵素阻害薬)は、主に悪玉コレステロールを下げる作用に優れます。

スタチン系にもいくつかお薬はあるのですが、大きく分けると、

  • スタンダードスタチン:LDLを下げる力は中等度
  • ストロングスタチン:LDLを下げる力が強力

の2種類があります。

このうちクレストールはストロングスタチンに属し、強力にLDLを下げる力を持っています。

ストロングスタチンも何種類かありますが、クレストールはストロングスタチンの中でも最も強力なLDL低下作用を持っており、これがクレストール最大の特徴になります。

またクレストールには善玉コレステロール(HDL)を上げたり、中性脂肪(TG)を下げる作用もあります。スタチンのこれらの作用は補助的であまり強くはないのですが、クレストールは他のスタチン系よりもHDLを上げる作用が強いという特徴もあります。

副作用としては、肝臓に作用するお薬であるため肝臓に負担をかけ、肝機能が悪化してしまう事があります。また腎臓が悪い方が使うと、腎臓を更に傷めたり横紋筋融解症という重篤な副作用が出現してしまう可能性が高くなるため、注意が必要です。

クレストールは世界的なお薬の売上高で毎年上位に入るお薬であり、世界的にみてももっとも処方されているスタチン系になります。

以上からクレストールの特徴として次のような点が挙げられます。

【クレストールの特徴】

・ストロングスタチンであり、非常に強力な効果がある
・スタチン系の中でももっとも効果が強い
・悪玉コレステロール(LDL)を下げる作用に優れる
・善玉コレステロール(HDL)を上げてくれる
・中性脂肪(TG)を下げてくれる

2.クレストールはどんな疾患に用いるのか

クレストールはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

高コレステロール血症
家族性高コレステロール血症

クレストールは主にLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を下げる作用に優れ、高コレステロール血症の患者さんに用いられます。

クレストールは高コレステロール血症に対してどれくらいの効果があるのでしょうか。

クレストールを投与した調査で、血中脂質がそれぞれどのくらい変化したのかをみた調査では、

用量 2.5mg 5mg 10mg 20mg
総コレステロール -31.59% -36.40% -34.60% -39.58%
LDLコレステロール -44.99% -52.49% -49.60% -58.32%
中性脂肪 -17.35% -23.58% -19.59% -17.01%
HDLコレステロール +7.64% +9.09% +14.04% +11.25%

と報告されています。

このように他のスタチン系と比べても高い改善率が報告されています。

さらに総コレステロールとLDLコレステロールの低下率は、クレストールの投与量が増えるほど上昇する事が報告されています。

また他のスタチン系と比べてHDLコレステロールを上昇させる作用に優れる結果となっています。

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3.クレストールにはどのような作用があるのか

高コレステロール血症の患者さんの血中コレステロールを下げるために投与されるクレストールですが、どのような機序で高コレステロール血症を改善させるのでしょうか。

クレストールは「HMG-CoA還元酵素阻害薬」と呼ばれるお薬で、その名の通りHMG-CoA還元酵素という酵素のはたらきをブロックし、これがコレステロールを下げる作用になります。

クレストールの具体的な作用機序を紹介します。

Ⅰ.悪玉(LDL)コレステロールを強く下げる

クレストールをはじめとしたスタチン系は、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を下げる作用に優れます。

HMG-CoA還元酵素というのは、どのような酵素なのでしょうか。

ざっくりと言ってしまうと、HMG-CoA還元酵素は肝臓においてコレステロールを合成する酵素になります。

HMG-CoA還元酵素のはたらきがブロックされると、コレステロールが合成されにくくなりますので、コレステロールが下がるというわけです。

更にコレステロールが少なくなると、コレステロールは重要なエネルギー源でもあるため、身体は「エネルギーが少ないから蓄えなくては!」と考えます。すると肝臓に存在するLDL受容体という悪玉コレステロールを肝臓に取り込む受容体の数を増やし、肝臓に悪玉コレステロール(LDL)をため込もうとします。

これにより血液中の悪玉コレステロールも低下します。

このような機序により、クレストールは悪玉コレステロールを低下させます。

Ⅱ.善玉コレステロールを増やす

クレストールはHDLコレステロール、通称「善玉コレステロール」を増やす作用を持ちます。

善玉コレステロールは、動脈硬化を抑えるはたらきを持ちます。具体的には動脈にこびりついてしまっているコレステロールを回収して、肝臓に運ぶはたらきがあるのです。

動脈のコレステロールがこびりついていると、動脈硬化や狭窄の原因になるためHDLコレステロールは高いことが良いと考えられています。

クレストールは善玉コレステロールを増やす作用も報告されています。その程度は強くはありませんが、他のスタチン系と比べるとしっかりとしています。

Ⅲ.中性脂肪(TG)を下げる

クレストールは中性脂肪(TG:トリグリセリド)を多少下げる作用もあります。

これはHMG-CoA還元酵素のはたらきをブロックする事によってコレステロールの合成が低下すると、VLDL(超低密度リポタンパク質)を合成しにくくなくなるためだと考えられています。

VLDLは末梢組織に中性脂肪(TG)を運ぶはたらきがあるため、VLDLが少なくなれば中性脂肪(TG)も少なくなるというわけです。

クレストールは中性脂肪を減らすも報告されていますが、その程度は強くはなく、あくまでも補助的な作用にとどまります。

Ⅳ.脳梗塞・心筋梗塞のリスクを下げる

高コレステロール血症は、脳梗塞・心筋梗塞といった心血管系イベントの危険因子になります。

これらの疾患はいずれも血管が詰まる事で生じます。脳の血管が詰まれば脳梗塞が生じ、心臓を栄養する冠動脈が詰まれば心筋梗塞が生じます。

血管が詰まる原因はいくつかありますが、その1つとして血管内壁にコレステロールが沈着してしまう事が挙げられます。

コレステロールが沈着すれば、その分だけ血管の内腔が狭くなるため血管が詰まりやすくなってしまうのです。また付着したコレステロールは血栓などを誘発しやすいため、これも血管を詰まらせる原因になります。

クレストールをはじめとしたスタチン系はコレステロールを下げることで、血管内壁にコレステロールが沈着する事も予防してくれます。これにより脳梗塞・心筋梗塞を予防する事ができるのです。

実際にクレストールをウサギに投与した動物実験では、大動脈の脂質沈着面積・コレステロール含有量が低下した事が示されています。

4.クレストールの副作用

クレストールにはどんな副作用があるのでしょうか。また副作用の頻度はどのくらいなのでしょうか。

クレストールの副作用発生率は11.1%と報告されています。数値だけみれば多く感じるかもしれませんがクレストールをはじめとしたスタチン系は副作用は少なく安全性に優れるお薬です。

生じうる副作用としては、

  • 筋肉痛
  • 掻痒(かゆみ)発疹
  • 腹痛、嘔気
  • 便秘、下痢
  • 頭痛
  • めまい
  • 無力症

などが報告されています。

また検査値の異常として、

  • CK(CPK)上昇
  • 肝胆道系酵素の上昇(AST、ALT、LDH、γGTP上昇)

などが報告されています。

クレストールをはじめとしたスタチン系は肝臓に負担をかけてしまうことがあります。また頻度は稀ですが、横紋筋融解症という筋肉を壊してしまう副作用が生じる事もあり、これにより筋肉中のCK(CPK)が血液中に放出され、上昇する事があります。

スタチンを服用中は、定期的に血液検査などで肝臓の数値を確認しておく事が望まれます。特に投与初期は投与開始後3か月前後を目安に必ず確認するようにしましょう。

頻度は稀ですが、注意すべき重篤な副作用として、

  • 横紋筋融解症
  • ミオパチー、免疫性壊死性ミオパチー
  • 肝炎、肝機能障害、黄疸
  • 血小板減少
  • 過敏症状
  • 間質性肺炎
  • 末梢神経障害
  • 多型紅斑

などが報告されています。

横紋筋融解症は、筋肉が破壊されて筋肉中の酵素(CK)が腎臓に流れて腎障害を生じる疾患です。

クレストールを使ってはいけない患者さん(禁忌)としては、

  • クレストールの成分に対し過敏症の既往のある方
  • 肝代謝能が低下している方(急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸など)
  • 妊婦さん又は妊娠している可能性のある方
  • 授乳婦
  • シクロスポリンを投与中の方

が挙げられています。

クレストールは主に肝臓に作用し、肝臓で代謝されます。そのため肝臓に負担をかける可能性があるため肝機能がきわめて悪い方には使う事ができません。

またクレストールをはじめとしたスタチン系は、動物実験において大量投与した際に胎児(赤ちゃん)の骨格の奇形が生じる事が報告されています。またヒトにおいても妊娠3か月までに服用した際に、TAIJIに先天性奇形が生じたという報告があります。

このような報告から妊婦さんへの投与は禁忌となっております。

クレストールは乳汁中に移行する事が分かっているため、授乳中の方が服用するとお薬の成分が乳汁を通じて赤ちゃんにまで届いてしまいます。そのためクレストールは授乳婦さんも服用は禁忌となっております。

シクロスポリンは免疫抑制剤と呼ばれ、免疫を抑えた方が良い病態に対して用いられるお薬です。シクロスポリンとクレストールを併用すると、クレストールの血中濃度が約7倍に上昇し、横紋筋融解症が発症するリスクが上昇するため、併用は禁忌となっています。

また原則禁忌(基本的には使ってはいけないが、やむを得ない場合のみ慎重に使用できる)として、

  • 腎機能に異常を認める方にクレストールとフィブラート系を併用する事

が挙げられています。

クレストールをはじめとしたスタチン系とフィブラートはともに横紋筋融解症を稀ながら生じるリスクがあるお薬です(フィブラート系も脂質異常症の治療薬です)。

両者を併用する事で横紋筋融解症のリスクが高まる可能性があり、また腎機能が悪いとお薬が身体から抜けにくいため、よりリスクが高まる可能性があるため、原則として腎機能が悪い方に両者を併用する事は出来ません。

しかし最近の研究では両者を併用しても横紋筋融解症の発症リスクは上がらないという報告もあり、必要な症例においては両者を慎重に併用することもあります。

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5.クレストールの用法・用量と剤形

クレストールには、

クレストール錠 2.5mg
クレストール錠 5mg

クレストールOD錠 2.5mg
クレストールOD錠 5mg

といった剤型が発売されています。

OD錠というのは「口腔内崩壊錠」の事で、口に含むと唾液に触れて溶けるタイプの剤型です。OD錠は水が飲めない出先でも服用できる事や、飲み込む力が低下している高齢者でも飲みやすいというメリットがあります。

クレストールの使い方は、

通常、成人には1日1回2.5mgより投与を開始するが、早期にLDL-コレステロール値を低下させる必要がある場合には5mgより投与を開始してもよい。

なお、年齢・症状により適宜増減し、投与開始後あるいは増量後、4週以降にLDL-コレステロール値の低下が不十分な場合には、漸次10mgまで増量できる。

10mgを投与してもLDL-コレステロール値の低下が十分でない、家族性高コレステロール血症患者などの重症患者に限り、さらに増量できるが、1日最大20mgまでとする。

と書かれています。

ただし腎機能が悪い方(クレアチニンクリアランスが30未満の方)は2.5mgより開始し、最大量は5mgに制限されています。これは腎機能が悪い方は横紋筋融解症の副作用が生じるリスクが高いためです。

スタチン系は原則として夕方の服用が推奨されていますが、クレストールは朝と夕どちらに投与しても効果に差はなかったという報告があるため、いつの時間に服用しても大丈夫です。

スタチン系が基本的には夕投与になっているのは、コレステロールの合成は主に夜間に行われるためです。夕方に投与した方が夜間にしっかりと効かせる事が出来るため、コレステロールの合成を効率よく抑える事が出来るのです。

またクレストールは食事の影響をほとんど受けないため、食前・食後のどちらに投与しても問題ありません。

6.クレストールが向いている人は?

以上から考えて、クレストールが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

クレストールの特徴をおさらいすると、

・ストロングスタチンであり、非常に強力な効果がある
・スタチン系の中でももっとも効果が強い
・悪玉コレステロール(LDL)を下げる作用に優れる
・善玉コレステロール(HDL)を上げてくれる
・中性脂肪(TG)を下げてくれる

などがありました。

ここから、

・特に悪玉(LDL)コレステロールが高い方

に向いているお薬になります。

また最強の強さを持つクレストールは、LDLが極めて高い方や、他のスタチン系で十分にLDLが低下しなかった方にも良い適応となります。

他のスタチン系と比べ、HDLを増やす作用にも優れるため、高LDLが主でありつつも、低HDLも認める方にも良いでしょう。

脳梗塞・心筋梗塞といった心血管イベントを抑えてくれる作用がありますので、脳梗塞や心筋梗塞の既往があり、悪玉コレステロールも高値である方は服用が強く望まれます。

ちなみに脂質というと、血液検査で中性脂肪(TG:トリグリセリド)とコレステロール(Chol)の2つがありますが、この2つはどう違うのでしょうか。

中性脂肪は、俗に言う「体脂肪」の脂肪分が血液中に流れているもので、これはエネルギー源として使われます。中性脂肪は体脂肪として貯蔵される事で、いざという時に活動するためのエネルギーになるのです。

一方コレステロールはというと「身体を作るための材料」として使われています。コレステロールは細胞を構成する材料となったり、体内で様々なはたらきをしているホルモンを作る材料となったり、胆汁酸やビタミンの材料となったりします。

中性脂肪もコレステロールも、どちらも身体にとって必要なものですが、過剰になりすぎれば害となります。

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