エクラー軟膏・エクラークリーム・エクラーローションの効果と副作用【外用ステロイド剤】

エクラー軟膏・エクラークリーム・エクラーローション(一般名:プロピオン酸デプロドン)は1997年から発売されている外用ステロイド剤になります。

外用ステロイド剤というのは皮膚に塗るステロイド薬の事で、皮膚の炎症を抑えたり皮膚の肥厚を抑えるはたらきがあります。外用剤は飲み薬のように全身に作用しないため、比較的安全に使う事が出来ます。

塗り薬はたくさんの種類があるため、それぞれがどのような特徴を持つのかは分かりにくいものです。

エクラーはどんな特徴のあるお薬で、どんな患者さんに向いているお薬なのでしょうか。ここではエクラーの効能や特徴・副作用についてみてみましょう。

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1.エクラーの特徴

まずはエクラーの特徴をざっくりと紹介します。

エクラーは皮膚に塗る外用ステロイド薬であり、皮膚の炎症を抑えてくれます。外用ステロイド薬の中での強さは「強力」になります。

ステロイド外用剤(塗り薬)の主なはたらきとしては次の3つが挙げられます。

  • 炎症反応を抑える
  • 免疫反応を抑える
  • 皮膚細胞の増殖を抑える

ステロイドは免疫反応(身体がばい菌などの異物と闘う反応)を抑える事で、塗った部位の炎症反応を抑える作用があります。これにより湿疹や皮膚炎を改善させたり、アレルギー症状を和らげたりします。

また皮膚細胞の増殖を抑えるはたらきがあり、これによって皮膚を薄くする作用も期待できます。

外用ステロイド剤は強さによって5段階に分かれています。

Ⅰ群(最も強力:Strongest):デルモベート、ダイアコートなど
Ⅱ群(非常に強力:Very Strong):マイザー、ネリゾナ、アンテベートなど
Ⅲ群(強力:Strong):ボアラ、リドメックス、エクラーなど
Ⅳ群(中等度:Medium):アルメタ、ロコイド、キンダベートなど
Ⅴ群(弱い:Weak):コートリル、プレドニンなど

この中でエクラーは「Ⅲ群(強力)」に属します。

ステロイドはしっかりとした抗炎症作用(炎症を抑える作用)が得られる一方で、長期使用による副作用の問題などもあるため、皮膚症状に応じて適切に使い分ける事が大切です。

強いステロイドは強力な抗炎症作用がありますが、一方で副作用も生じやすいというリスクもあります。反対に弱いステロイドは抗炎症作用は穏やかですが、副作用も生じにくいのがメリットです。

エクラーは外用ステロイド剤の中は中等度の強さの部類に入るため、ある程度しっかりした効果を得つつ、副作用もそこまで多くはありません。

しかし全てのステロイドに言えることですが、ステロイドは漫然と長期に分かって使用していると皮膚の細胞増殖を抑制したり、免疫力を低下させたりしてしまいます。これによって皮膚が薄くなってしまったり皮膚が感染しやすくなってしまったりといった副作用が生じる可能性があるのです。

エクラーでもこのような副作用が生じないように注意が必要です。必要な期間のみ使用し、漫然と塗り続けないようにしましょう。

以上からエクラーの特徴として次のような事が挙げられます。

【エクラーの特徴】

・Ⅲ群(強力)に属する外用ステロイド剤である
・炎症を抑える作用、免疫反応を抑える作用、皮膚細胞の増殖を抑える作用がある
・ステロイドの中で効果と安全性のバランスが取れた位置づけである
・ステロイドであるため、長期使用による副作用に注意

2.エクラーはどんな疾患に用いるのか

エクラーはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、日光皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、脂漏性皮膚炎を含む)、薬疹・中毒疹、虫さされ、痒疹群(蕁麻疹様苔癬、ストロフルス、結節性痒疹(固定蕁麻疹)を含む)、乾癬、紅皮症、紅斑症(多形滲出性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑)、ジベル薔薇色粃糠疹、掌蹠膿疱症、特発性色素性紫斑(マヨッキー紫斑、シャンバーグ病)、円形脱毛症

難しい専門用語がたくさん並んでおり、これを見ただけではどのような皮膚に使えばいいのか分かりませんね。

皮膚の炎症を抑えたり皮膚を薄くする作用を持つのが外用ステロイド剤になりますので、皮膚に炎症が生じている時や皮膚が厚くなってしまった時にエクラーは幅広く効果が期待できます。

進行性指掌角皮症とはいわゆる「手荒れ」の事で、水仕事などで手を酷使する事により手の皮膚が傷つき、炎症を起こしてしまいます。

ヒダール苔癬とは主に中年の女性の後頚部に好発するかゆみを伴う小丘疹です。その原因ははっきりと分かってはいませんがアレルギーやストレスによって皮膚に炎症が生じるためだと考えられています。

日光皮膚炎とはその名の通り夏場などの日差しが強い時に、日光によって皮膚に炎症が生じてしまう事です。皮脂欠乏性湿疹とは、いわゆる「乾燥肌」によって皮膚に湿疹が出来てしまう事です。

脂漏性皮膚炎とは、皮膚の脂や皮膚を好む真菌(マラセチア)の影響によって、毛穴が詰まってしまい炎症が生じる疾患です。

これらの疾患はエクラーの炎症を抑えるはたらきが効果を発揮します。

ストロフルスはアレルギー反応の1つで、主に虫に刺された後に生じる皮膚の腫れです。じんま疹もアレルギーの一種です。

ジベル薔薇色粃糠疹もアレルギーや一因だと考えられています(その他ウイルス感染が原因だという説もあります)。主に体幹にたくさんの赤い発疹が出現しますが、1カ月ほどで自然と改善します。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは、自己免疫疾患になります。自己免疫疾患は免疫(ばい菌と闘う力)が何らかの原因によって暴走してしまい、自分自身を攻撃してしまう病気です。掌蹠膿疱症では、免疫の異常によって手足に膿胞(膿が溜まった皮疹)が出来てしまいます。

アレルギー疾患や掌蹠膿疱症のような自己免疫疾患は、免疫が過剰にはたらいてしまっている結果生じているため、エクラーの免疫力を低下させる作用が効果を発揮します。

乾癬(かんせん)とは皮膚の一部の細胞増殖が亢進していしまい、赤く盛り上がってしまう状態です。

乾癬にはエクラーの皮膚細胞増殖を抑制するはたらきが効果を発揮します。

注意点としてステロイドは免疫(身体が異物と闘う力)を抑制するため、ばい菌の感染に弱くなってしまいます。そのため細菌やウイルスが皮膚に感染しているようなケースでは、そこにステロイドを塗る事は推奨されていません。

難治性を含む各種皮膚疾患にエクラーを用いた際の改善率は、

  • エクラー軟膏で84.3%
  • エクラークリームで81.4%
  • エクラーローションで78.5%

と報告されています。

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3.エクラーにはどのような作用があるのか

皮膚の炎症を抑えてくれるエクラーですが、具体的にはどのような作用があるのでしょうか。

エクラーの作用について詳しく紹介します。

Ⅰ.抗炎症作用

エクラーは、ステロイド剤です。

ステロイドには様々な作用がありますが、その1つに免疫を抑制する作用があります。

免疫というのは異物が侵入してきた時に、それを攻撃する生体システムの事です。皮膚からばい菌が侵入してきた時には、ばい菌をやっつける細胞を向かわせることでばい菌の侵入を阻止します。

免疫は身体にとって非常に重要なシステムですが、時にこの免疫反応が過剰となってしまい身体を傷付けることがあります。

代表的なものがアレルギー反応です。アレルギー反応というのは、本来であれば無害の物質を免疫が「敵だ!」と誤認識してしまい、攻撃してしまう事です。

代表的なアレルギー反応として花粉症(アレルギー性鼻炎)がありますが、これは「花粉」という身体にとって無害な物質を免疫が「敵だ!」と認識して攻撃を開始してしまう疾患です。その結果、鼻水・鼻づまり・発熱・くしゃみなどの不快な症状が生じてしまいます。

同じく皮膚にアレルギー反応が生じる疾患にアトピー性皮膚炎がありますが、これも皮膚の免疫が誤作動してしまい、本来であれば攻撃する必要のない物質を攻撃してしまい、その結果皮膚が焼け野原のように荒れてしまうのです。

このような状態では、過剰な免疫を抑えてあげると良いことが分かります。

ステロイドは免疫を抑えるはたらきがあります。これによって炎症が抑えられます。

炎症とは、

  • 発赤 (赤くなる)
  • 熱感 (熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛みを感じる)

の4つの徴候を生じる状態のことです。今説明したように感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーで生じることもあります。

みなさんも身体をぶつけたり、ばい菌に感染したりして、身体がこのような状態になったことがあると思います。これが炎症です。皮膚に炎症が起こることを皮膚炎と呼びます。皮膚炎も外傷でも生じるし、ばい菌に感染することでも生じるし、アレルギーでも生じます。

ステロイドは免疫を抑制することで、炎症反応を生じにくくさせてくれるのです。

Ⅱ.免疫抑制作用

上記のようにエクラーをはじめとしたステロイドは免疫力を低下させる作用があります。

エクラーは塗り薬であるため、塗った部位の皮膚の免疫力が低下します。通常はこれはステロイドの副作用となります。

強いステロイドを長期間塗り続けていると免疫力が低下するため、ばい菌(細菌やウイルス、真菌など)に感染しやすくなってしまいます。

しかし反対に免疫が暴走してしまって自分を攻撃してしまうようなアレルギー疾患や自己免疫性疾患に対してはステロイドの免疫力低下作用が利点になる事もあります。

Ⅲ.皮膚細胞の増殖抑制作用

エクラーをはじめとしたステロイド外用剤は、塗った部位の皮膚細胞の増殖を抑えるはたらきがあります。

これも主に副作用となる事が多く、強いステロイドを長期間塗り続けていると皮膚が薄くなっていき毛細血管が目立って赤みのある皮膚になってしまう事があります。

しかし反対に皮膚が肥厚してしまうような疾患(乾癬や角化症など)においては、ステロイドを使う事で皮膚細胞の増殖を抑え、皮膚の肥厚を改善させることも出来ます。

4.エクラーの副作用

エクラーではどのような副作用が生じるのでしょうか。また副作用の頻度はどのくらいなのでしょうか。

エクラーの副作用発生率は、

  • 軟膏で0.43%
  • クリームで1.6%
  • ローションで1.65%

と報告されており、その頻度は多くはありません。塗り薬で全身に投与するものではないため、副作用は少なくなっています。

しかしステロイド剤ですので、漫然と塗り続けないように注意は必要です。

生じる副作用もほとんどが局所の皮膚症状で、

  • 皮膚の刺激感
  • 瘙痒感(かゆみ)
  • 接触皮膚炎(かぶれ)
  • 熱感
  • 毛嚢炎(毛穴の奥にある毛包の炎症)
  • 皮膚の乾燥

などになります。

いずれも重篤となることは少ないのですが、長期間使えば使うほど発生する可能性が高くなります。そのためステロイドは漫然と使用する事は避け、必要な期間のみしっかりと使う事が大切です。

また滅多にありませんが、ステロイド外用薬を長期・大量に塗り続けていると全身に作用してしまい、

  • 緑内障
  • 白内障

などが生じる可能性があると言われています。

ステロイド外用剤の注意点としては、ステロイドは免疫力を低下させるため免疫力が活性化していないとまずい状態での塗布はしてはいけません。具体的にはばい菌感染が生じていて、免疫がばい菌と闘わなくてはいけないときなどが該当します。

このような状態の皮膚にエクラーを塗る事は禁忌(絶対にダメ)となっています。

ちなみに添付文書には次のように記載されています。

【禁忌】

(1)細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症、及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)
(2)本剤に対して過敏症の既往歴のある患者
(3)鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎
(4)潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷

これらの状態でエクラーが禁忌となっているのは、皮膚の再生を遅らせたり、感染しやすい状態を作る事によって重篤な状態になってしまう恐れがあるためです。

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5.エクラーの用法・用量と剤形

エクラーには、

エクラー軟膏 0.3% 5g (チューブ)
エクラー軟膏 0.3% 10g (チューブ)
エクラー軟膏 0.3% 500g (プラスチック容器)

エクラークリーム 0.3% 5g (チューブ)
エクラークリーム 0.3% 10g (チューブ)

エクラーローション 0.3% 10g (プラスチック容器)

といった剤型があります。

ちなみに塗り薬には「軟膏」「クリーム」「ローション(外用液)」などいくつかの種類がありますが、これらはどのように違うのでしょうか。

軟膏は、ワセリンなどの油が基材となっています。長時間の保湿性に優れ、刺激性が少ないことが特徴ですが、べたつきは強く、これが気になる方もいらっしゃいます。また皮膚への浸透力も強くはありません。

クリームは、水と油を界面活性剤で混ぜたものです。軟膏よりも水分が入っている分だけ伸びがよく、べたつきも少なくなっていますが、その分刺激性はやや強くなっています。

ローションは水を中心にアルコールなどを入れることもある剤型です。べたつきはほとんどなく、遣い心地は良いのですが、保湿効果は長続きしません。しかし皮膚への浸透力は強く、皮膚が厚い部位などに使われます。

エクラーの使い方は、

通常、1日1~数回、適量を患部に塗布する。

と書かれています。実際は皮膚の状態や場所によって回数や量は異なるため、主治医の指示に従いましょう。

6.エクラーの使用期限はどれくらい?

エクラーの使用期限って、どのくらいの長さなのでしょうか。

「家に数年前に処方してもらった塗り薬があるんだけど、これってまだ使えますか?」

このような質問は患者さんから時々頂きます。

これは保存状態によっても異なってきますので、一概に答えることはできませんが、適正な条件で保存されていたという前提だと、「3年」が使用期限となります。

なお適正な条件というのは、「室温にて遮光保存」になります。

7.エクラーが向いている人は?

以上から考えて、エクラーが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

エクラーの特徴をおさらいすると、

・Ⅲ群(強力)に属する外用ステロイド剤である
・炎症を抑える作用、免疫反応を抑える作用、皮膚細胞の増殖を抑える作用がある
・ステロイドの中で効果と安全性のバランスが取れた位置づけである
・ステロイドであるため、長期使用による副作用に注意

というものでした。

ここから、皮膚の免疫反応が過剰となったり、炎症が生じている際に使用する塗り薬だと考えられます。

ステロイドの中での効果も中等度であるため、まず一番最初に用いられることの多いステロイドになります。

まずはⅢ群(strong)を使ってみて、作用が強すぎるようであればⅣ群などの効果が穏やかな外用ステロイドに変えたり、あるいは作用が弱すぎるようであればでⅡ群などの作用がより強いステロイドに変えていきます。

また、これはステロイド全てに言えることですが、ステロイドは漫然と使い続けることは良くありません。必要な時期のみしっかりと使い、必要がなくなったら使うのを止めるという、メリハリを持った使い方が非常に大切です。

でないと、皮膚にばい菌が感染してしまったり、皮膚が異常に薄くなってしまうといった副作用が生じてしまう可能性があります。

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