クレナフィン爪外用液の効果と副作用【爪白癬治療薬】

クレナフィン爪外用液(一般名:エフィナコナゾール)は2014年に発売された抗真菌薬です。

抗真菌薬とは真菌(カビ)をやっつけるお薬の事です。クレナフィンは「爪外用液」の名の通り、爪に感染した真菌をやっつけるお薬になります。

私たちに感染する可能性のある真菌はいくつかありますが、多いのが「白癬(いわゆる水虫)」です。白癬は時に爪の中に感染してしまう事があり、これを「爪白癬」と呼びます。

爪白癬は従来の皮膚真菌薬を爪に塗るだけでは十分な効果が得られませんでした。従来の塗り薬では、硬い爪の中にまでお薬が浸透できなかったのです。

そこで硬い爪の中までしっかりと浸透し、爪の中にいる真菌をやっつけられるように作られたのがクレナフィン外用液になります。

クレナフィンはどのような特徴を持っていて、どのような効果が期待できるお薬なのでしょうか。クレナフィンの効果・効能や特徴、副作用についてみてみましょう。

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1.クレナフィンの特徴

まずはクレナフィンの特徴をざっくりと紹介します。

クレナフィンは、硬い爪の中にも浸透する力を持ち、爪に感染した白癬(爪白癬)をやっつけることができる塗り薬です。

クレナフィンはトリアゾール系という種類の抗真菌薬になります。トリアゾール系は更に大きい分類だと「アゾール系」に含まれ、これはイミダゾール系(ニゾラール、ルリコン、アスタット、マイコスポールなど)が含まれます。

クレナフィンの特徴は高い浸透力で、硬い爪の表面に塗っても爪の中にまで浸透し、爪中に存在する白癬菌をやっつけてくれます。

抗真菌薬には「真菌の増殖を抑えるもの(静真菌作用)」と「真菌を殺すもの(殺真菌作用)」がありますが、クレナフィンは白癬菌に対して主に殺真菌作用を持ちます。

従来、爪に感染した白癬菌は塗り薬では十分にやっつけることができず、爪白癬を治すには抗真菌薬の飲み薬を長期間飲むという治療が一般的でした。しかし爪白癬の治療は長期間(半年~1年)に渡り、また飲み薬は全身に作用してしまうため、肝機能障害や血液障害といった副作用がしばしば問題となっていました。

その点クレナフィンは塗り薬であるため、全身にお薬が回ることが少なく、大きな副作用が生じることはほとんどありません。

また長時間効果が持続するため、1日1回の塗布で効果が持続することが確認されています。

デメリットとしては、効果の強さだけを見れば飲み薬の抗真菌薬には敵わない事、そして薬価が高い事が挙げられます。薬価は現時点で1本(4ml)あたり約6000円ほどもします。

以上からクレナフィンの特徴を挙げると、次のようなことが挙げられます。

【クレナフィン爪外用液の特徴】
・高い浸透力を持ち、硬い爪の中にまで浸透する
・1日1回塗るだけで効果が持続する
・塗り薬で全身に作用しにくいため、副作用も少ない
・効果は飲み薬には敵わないが、安全性は圧倒的に高い
・薬価が高い

2.クレナフィンはどのような疾患に用いるのか

クレナフィンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

爪白癬

抗真菌薬であるクレナフィンは、真菌(カビ)が感染してしまった時に用いられます。中でもクレナフィンは爪白癬に対して用いられる塗り薬になります。

白癬菌は身体の多くの部位に感染する菌で、

白癬菌が足に感染すると「足(部)白癬」(いわゆる「水虫」)、
白癬菌が身体に感染すると「体部白癬」(いわゆる「たむし」)、
白癬菌が股(また)に感染すると「股部白癬」(いわゆる「いんきん」)

と呼ばれます。

クレナフィンはこのような白癬菌の感染に対して殺真菌的に作用します。しかしその適応は「爪白癬」のみになります。

爪白癬は、爪の中に白癬菌が入ってしまうことで発症し、爪の混濁・肥厚・変形などが生じます。これにより爪周辺の皮膚を傷付け、痛みや細菌感染が生じてしまう事もあります。

クレナフィンは爪に存在する白癬菌をやっつけることで、これらの症状を長期的にみて改善させる作用があります(爪の変形・肥厚を元に戻す力はありません)。

またクレナフィンは使用上の注意として、

1.直接鏡検または培養等に基づき爪白癬であると確定診断された患者に使用すること
2.重症患者における本剤の有効性及び安全性は確認されていない

と書かれています。

クレナフィンを使用するためには、爪の外観をみて「これは白癬ぽい」と臨床症状のみからの診断では不十分で、検査によって白癬菌が存在することを証明しないといけません。これはクレナフィンが漫然と投与されないために設定されている注意事項となります。

またクレナフィンは爪の感染面積が50%以下の爪白癬を対象にされています。それ以上の感染面積を持つものにも効く可能性はありますが、それに対する有効性を検討した研究はないため、このような注意事項が書かれています。

50%以上の感染面積を持つ者や重症例においては、クレナフィン以外のお薬(抗真菌薬の飲み薬など)の方が良いかもしれません。

ちなみに、爪白癬以外の白癬やその他の真菌が原因である皮膚疾患(カンジダ症や癜風など)にもクレナフィンは理論上は効果はあります。しかし保険適応になっていないため、用いられることはありません。

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3.クレナフィンにはどのような作用があるのか

クレナフィンの作用は真菌(主に白癬)をやっつける事ですが、どのような機序で真菌をやっつけているのでしょうか。

クレナフィンは真菌細胞膜の重要な構成成分である「エルゴステロール」の合成を阻害し、細胞膜を「もろく」する作用があります。

抗真菌薬は真菌細胞を殺すお薬ですが、細胞を殺す作用を持つお薬は同時に「人の細胞」も殺してしまう危険があります。そのため真菌にだけ効いて、人の細胞には効かないような工夫が必要になります。

エルゴステロールは真菌細胞の細胞膜に存在する物質ですが、人の細胞には存在しません。そのためエルゴステロールを標的にすれば、真菌細胞のみ効率的にやっつけることができるというわけです。

ちなみに他の種類の抗真菌薬も、エルゴステロール合成阻害作用にて殺真菌作用を発揮するお薬は多いのですが、トリアゾール系のクレナフィンとその他のお薬では作用する部位が異なります。

エルゴステロールは、アセチルCoAという物質からいくつかの段階を経てエルゴステロールになります。簡略化して書くと、

アセチルCoA⇒スクアレン⇒ラノステロール⇒エルゴステロール

といった経路でエルゴステロールは合成されます。

トリアゾール系であるクレナフィンは、ラノステロールから次の物質に変化させる酵素を阻害します。

また同じアゾール系であるイミダゾール系(ルリコン、ニゾラールなど)も、ラノステロールから次の物質に変化させる酵素を阻害し、これはクレナフィンと同様の作用機序になります。

他の抗真菌薬、例えばアリルアミン系(ラミシール)やベンジルアミン系(メンタックスなど)、チオカルバミン酸系(ゼフナートなど)は、作用機序がやや異なり、スクアレンから次の物質に変化させる酵素を阻害します。

このように、同じ抗真菌薬でも種類によって作用点が異なるのです。

ちなみに「クレナフィンを塗れば爪の肥厚や変形も治りますか?」という質問を時々頂きますが、クレナフィンはあくまでも白癬菌をやっつけるだけですので、変形してしまった爪を治す力はありません。

しかし白癬菌をやっつければ、新しく生えてきた爪は肥厚・変形のないものになります。すでに肥厚・変形してしまった爪は切れる状態になるまで伸びるのを待つしかありません。

4.クレナフィンの副作用

クレナフィンの副作用は多くはありませんが、真菌を「殺す」お薬であるため、時にヒトの身体にも害を及ぼすことがあります。

クレナフィンは塗り薬であり、全身に投与するものではないのでその副作用も局所に留まる事がほとんどです。

そのため、全身性の重篤な副作用はほとんどありません。

報告されている副作用としては、

  • 接触性皮膚炎
  • 水疱
  • 紅斑
  • かゆみ
  • 腫脹・疼痛
  • 皮膚剥脱
  • 爪甲脱落

などの局所の副作用です。

いずれも重篤となることは少なく、多くはクレナフィンの使用を中止すれば自然と改善していきます。

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5.クレナフィンの用量・用法と剤型

クレナフィンは、

クレナフィン爪外用液10%(エフィナコナゾール) 10ml

と1剤型のみがあります。

クレナフィンの使い方は、

1日1回罹患爪全体に塗布する。

と書かれています。

クレナフィンは1回塗れば、長時間にわたって爪に留まるため、1日1回の塗布で十分効果が持続します。

またクレナフィン爪外用液は、開封後4週間が使用期限であり、それを過ぎた場合は残液を使用せず破棄するよう推奨されています。

ちなみに塗り薬には、「軟膏」「クリーム」「外用液」などがありますが、これらはどう違うのでしょうか。

軟膏は、ワセリンなどの油が基材となっています。保湿性に優れ、刺激性が少ないことが特徴ですが、べたつきは強く、これが気になる方もいらっしゃいます。

クリームは、水と油を界面活性剤で混ぜたものです。軟膏よりも水分が入っている分だけ伸びがよく、べたつきも少なくなっていますが、その分刺激性はやや強くなっています。

外用液(ローション)は水を中心にアルコールなどを入れることもある剤型です。べたつきはほとんどなく、遣い心地は良いのですが、保湿効果は長続きしません。刺激性が強めというデメリットがある反面で、浸透力が高く、皮膚が厚い部位でも効果が期待できます。

それぞれ一長一短あるため、皮膚の状態に応じて主治医とよく相談し、使い分ける事が大切です。

クレナフィンは硬い爪の中に浸透させる必要がありますので、浸透力の高い外用液になっています。また外用液であっても他の抗真菌薬は爪白癬には十分な効果が得られないのですが、クレナフィンは他剤よりも高い浸透力を有し、爪の中にまで浸透し爪白癬を改善させてくれます。

6.クレナフィンが向いている人は?

以上から考えて、クレナフィンが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

クレナフィンの特徴をおさらいすると、

・高い浸透力を持ち、硬い爪の中にまで浸透する
・1日1回塗るだけで効果が持続する
・塗り薬で全身に作用しにくいため、副作用も少ない
・効果は飲み薬には敵わないが、安全性は圧倒的に高い
・薬価が高い

というものでした。

ここから、クレナフィンは爪白癬に対する第一選択薬として用いられるべきお薬だと言えます。

従来の爪白癬の治療と言えば、塗り薬では十分な効果が得られなかったため、抗真菌薬の飲み薬を長期間(半年~1年など)飲むことが主流でした。

飲み薬はお薬が全身に回ってしまい、それを長期間飲むとなると副作用の問題がありました。実際、ラミシール錠(テルビナフィン)などでは、時に肝機能障害や血液障害を起こすため、服薬中は定期的に血液検査をする必要があります。

クレナフィン爪外用液は、抗真菌薬の錠剤と比べると、短期間で安全に爪白癬を治療することができ、これは真菌治療の大きな進歩だと思われます。

しかし効果としては、やはり抗真菌薬の飲み薬の方が高いようです。研究手法が異なるため一概には比較できませんが、参考として抗真菌薬のラミシール錠(テルビナフィン)を24週間(約半年)投与した時の真菌陰性化率は約80%と報告されています。

一方でクレナフィンを52週間(約1年)塗布した時の真菌陰性化率は55%ほどとの報告です。

安全性には優れるため、まずはクレナフィンで治療をすべきですが、

  • クレナフィンでは効果が乏しい
  • 感染面積が50%より多い

ような爪白癬では、従来通り抗真菌薬の飲み薬を検討する必要もあるでしょう。

またクレナフィンは薬価の高さがネックになります。近年「ルコナック爪外用液」という同じような効果で薬価がだいぶ安くなっているお薬も発売されましたので、もし薬価が気になるようでしたらルコナックから使ってみるのも手でしょう。

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