エキザルベ軟膏の効果と副作用【皮膚疾患治療薬】

エキザルベ軟膏(混合死菌浮遊液・ヒドロコルチゾン)は1962年から発売されている外用剤になります。

外用剤とは皮膚に塗る「塗り薬」の事で、エキザルベはステロイドと死菌が混合された外用剤になります。この2つを配合することで、皮膚の傷の炎症を抑えつつ、ばい菌の感染を防ぎ、傷の治りを早める事を可能にしています。

外用剤は飲み薬のように全身には作用しません。病変部にのみ作用するため、効かせたい部位にしっかりと効き、余計な副作用がでにくいというメリットがあります。

塗り薬はたくさんの種類があるため、それぞれがどのような特徴を持つのかは分かりにくいものです。

エキザルベはどんな特徴のあるお薬で、どんな患者さんに向いているお薬なのか、ここではエキザルベの効能や特徴・副作用について紹介していきます。

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1.エキザルベの特徴

まずはエキザルベ軟膏の特徴をざっくりと紹介します。

エキザルベは、

・混合死菌浮遊液
・ヒドロコルチゾン

の2つの成分が入っており、それぞれが重要な役割を担っています。

ヒドロコルチゾンはいわゆる「ステロイド」です。ステロイドは炎症を抑える作用に優れ、皮膚の腫れや痛み、かゆみなどを抑えてくれます。

混合死菌浮遊液はその名の通り、様々な菌の死骸が入った液です。「そんなものを塗って大丈夫?」と心配に感じるかもしれませんが死骸ですので身体に害はなく、むしろ皮膚の防御力を高めたり傷の治りを早めてくれる事が確認されています。

エキサルベは「ヒドロコルチゾン」と「混合死菌浮遊液」の2つの成分を混合することで、

  • 皮膚の炎症を抑えつつ
  • ばい菌に感染をしにくい状態を保ち、
  • 傷の治りを早める

という作用を有する外用剤になります。

ちなみに外用ステロイド剤は強さによって5段階に分かれています。

Ⅰ群(最も強力:Strongest):デルモベート、ダイアコートなど
Ⅱ群(非常に強力:Very Strong):マイザー、ネリゾナ、アンテベートなど
Ⅲ群(強力:Strong):ボアラ、リドメックスなど
Ⅳ群(中等度:Medium):アルメタ、ロコイド、キンダベートなど
Ⅴ群(弱い:Weak):コートリル、プレドニンなど

エキザルベに含まれるヒドロコルチゾンは、この中では「Ⅴ群(弱い)」に属します。

強いステロイドは強力な抗炎症作用がありますが、一方で皮膚を薄くしてしまったり、皮膚がばい菌に感染しやすくなってしまうという副作用もあります。反対に弱いステロイドは抗炎症作用は穏やかですが、このような副作用も生じにくいのがメリットです。

どちらも一長一短あるため、ステロイドは皮膚の症状に応じて適切な強さのものを上手に使い分ける事が大切です。

エキザルベはステロイドとしての強さは弱めであるため、ステロイドの副作用のリスクは少な目にはなります。そのため顔面や陰部、子供の皮膚といった皮膚が薄い部位にも塗りやすいお薬です。

しかし弱めとはいっても副作用が絶対生じないというわけではありません。安全性は高いものの、必要な期間のみ使用し漫然と塗り続けないように意識することは大切です。

デメリットというほどでもないのですが、エキザルベの注意点としては添加物にフェノールが含まれており、これが独特の臭いを発します。フェノールの臭いというのは「絵具のような臭い」を思い出してもらえれば分かりやすいかと思います。

以上からエキザルベの特徴として次のような事が挙げられます。

【エキザルベの特徴】

・ステロイドと混合死菌浮遊液の配合剤である
・Ⅴ群(弱い)ステロイドが穏やかに皮膚の炎症を抑える
・混合死菌浮遊液がばい菌の感染を抑え、傷の治りを早める
・弱めのステロイドであるため顔や陰部などの皮膚が薄い部位にも使いやすい
・ステロイドを含むため、長期使用による副作用に注意
(ばい菌に感染しやすくなる、皮膚が薄くなるなど)

2.エキザルベはどんな疾患に用いるのか

エキザルベはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】
湿潤、びらん、結痂を伴うか、又は二次感染併発している下記疾患
・湿疹・皮膚炎群  (進行性指掌角皮症、 ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、熱傷、術創
・湿疹様変化を伴う膿皮症(感染性湿疹様皮膚炎、湿疹様膿痂疹)

難しい専門用語がたくさん並んでいますので、詳しく説明します。

「湿潤」とは水疱が破れたりする事で皮膚がジュクジュクになっているような状態を指します。

「びらん(糜爛)」というのは表皮の欠損で、皮膚の一番上の皮が浅くえぐれてしまっているような状態です。

「結痂(けつか)」とはいわゆる「かさぶた」の事です。

湿潤、びらん、結痂はいずれも皮膚の湿疹・皮膚炎の経過中に生じる状態です。

皮膚がこのような状態になっている時は、皮膚に炎症が生じていますので、エキザルベを塗布する事で炎症を和らげる事ができます。またこのような状態は皮膚のバリア機能が弱まっているため、ばい菌の感染を抑える力を持つエキザルベは適してお薬となります。

進行性指掌角皮症とはいわゆる「手荒れ」の事で、水仕事などで手を酷使する事により手の皮膚が傷つき、炎症が生じてしまう状態です。

ビダール苔癬とはストレスなどが原因となり皮膚の一部に痒みや苔癬(小さな丘疹が融合し、盛り上がって皮膚が厚くなる状態)が生じる疾患です。主に首の後ろや大腿部などに生じます。

放射線皮膚炎は放射線を浴びた事によって生じる皮膚炎、日光皮膚炎は強い日光(紫外線)を浴びた事によって生じる皮膚炎です。

また熱傷はいわゆる「やけど」であり、術創は手術によって皮膚を切った後の事です。

膿皮症というのは、皮膚に細菌が感染してしまっている状態の事です。

エキザルベの有効率は、

  • 湿疹・皮膚炎群への有効率は79.5%
  • 熱傷への有効率は81.8%
  • 術創への有効率は81.7%
  • 湿疹様変化を伴う膿皮症への有効率は87.7%

と報告されています。

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3.エキザルベにはどのような作用があるのか

エキザルベは、どのような作用を持つ外用剤なのでしょうか。エキザルベの作用について詳しく紹介していきます。

Ⅰ.抗炎症作用

エキザルベには、「ヒドロコルチゾン」というステロイド剤が含まれています。

ステロイドには様々な作用がありますが、主な作用に抗炎症作用(炎症を抑える作用)が挙げられます。

炎症では、

  • 発赤 (赤くなる)
  • 熱感 (熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛みを感じる)

という4つの徴候が生じます。

身体をぶつけると、ぶつけた部位がこのような状態になりますが、これが炎症です。皮膚に炎症が起こることを皮膚炎と呼びます。皮膚炎は外傷(ぶつける)でも生じるし、ばい菌に感染することでも生じるし、アレルギーでも生じます。

皮膚が腫れて痛むというのはつらい症状です。ステロイドは炎症反応を抑える事でこれらの苦痛な症状を和らげてくれるのです。

Ⅱ.感染防御作用

エキザルベに含まれる混合死菌浮遊液は、様々な菌の死骸が含まれている液体になります。

「菌の死骸」と聞くと、そのようなものを塗るのに抵抗を感じてしまうかもしれませんが、心配はいりません。

菌とは言えども「死んでいる菌」ですので、もちろん感染してしまう事はありません。むしろ死菌を塗る事で皮膚にばい菌が感染しにくくなる事が確認されています。

なぜそのような事が起こるのかというと、死菌を皮膚に塗る事で、身体の免疫が「ばい菌がやってきた!」と勘違いし、ばい菌をやっつける細胞(白血球など)をその部位に向かわせるからです。

実際は死菌ですので塗っても何の害もないのですが、白血球がたくさん来る事でその部位の感染防御力が高まるのです。

ちなみにエキザルベにはステロイドも含まれていますが、ステロイドは塗ると逆にばい菌が感染しやすくなってしまうというデメリットがあります。

なぜならばステロイドは身体の免疫反応(異物を攻撃する生体システム)を抑える作用があるからです。免疫反応を抑える事で上記のように炎症を抑えているのですが、一方でこれはばい菌に感染しやすくなってしまうというデメリットもあるのです。

エキザルベに含まれる混合死菌はこのステロイドのデメリットを補うという役割も担っています。

混合死菌の局所感染防御作用は、ステロイドの弱点である「易感染性(感染しやすくなる)」を打ち消す役割もあるのです。

Ⅲ.創傷治癒促進作用

エキザルベに含まれる混合死菌浮遊液は肉芽形成促進作用を有してる事が確認されています。

【肉芽】
皮膚に傷が出来ると、そこに繊維芽細胞が集まって結合組織を作り、更にそこに血管が新生されていきます。この毛細血管と結合組織からなるものを肉芽と呼びます。

肉芽は傷が治る過程において必要なもので、傷が治るにつれて肉芽組織は瘢痕組織となっていき、更に肉芽組織の上に表皮組織が形成されていき、傷は徐々に小さくなって治っていきます。

肉芽は傷を治す過程において重要な組織であり、良質な肉芽が早く形成されれば傷も早く、綺麗に治ります。

エキザルベは傷に塗る事で、肉芽の形成を促進させ、傷を早く治す作用があるのです。

4.エキザルベの副作用

エキザルベ軟膏の副作用にはどのようなものがあるのでしょうか。また副作用はどのくらい多いのでしょうか。

エキザルベに含まれるのはⅤ群に属する弱いステロイドであり、基本的には安全性の高いお薬になります。副作用発生率は1.43%と報告されており、多くはありません。

生じる副作用もほとんどが局所の皮膚症状で、

  • 皮膚刺激症状
  • 発赤
  • 発疹
  • 湿潤
  • 灼熱感

などの報告があります。

いずれも重篤となることは少なく、多くはエキザルベの使用を中止すれば自然と改善していきます。

エキザルベの注意点として、弱いとは言えステロイドが含まれているため、免疫力が更に弱まるとまずいような状態では塗布すべきではない事が挙げられます。

ちなみに次のような状態ではエキザルベの使用は「禁忌(絶対にダメ)」となっています。

【禁忌】
(1)皮膚結核、単純疱疹、水痘、帯状疱疹、種痘疹
(2)真菌症(カンジダ症、白癬等)
(3)本剤に対して過敏症の既往歴のある患者
(4)潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷

このような感染症や感染リスクが高い状態では、更に免疫力が下がってしまうと重篤な状態になる危険性があるため、エキザルベをはじめとしたステロイド剤は塗布してはいけません。

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5.エキザルベの用法・用量と剤形

エキザルベには、

エキザルベ 5g(チューブ)
エキザルベ 100g(瓶)
エキザルベ 500g(瓶)

といった剤型があります。

エキザルベ1g中には、

・混合死菌浮遊液 0.166mL
・ヒドロコルチゾン 2.5mg

の2つが含有されています。

ちなみに混合死菌浮遊液には具体的には次のような死菌が入っています。

・大腸菌死菌 約1.5億個
・ブドウ球菌死菌 約1.5億個
・緑膿菌死菌 約0.15億個
・レンサ球菌死菌 約0.15億個

更に添加物としては、

・ラノリン
・ワセリン
・フェノール

が含まれています。

ラノリンはヒツジの毛から取れる脂です。ヒトの皮膚表面に存在する脂分と成分が似ているためエキザルベを身体になじみやすくしてくれます。また保湿効果があることが知られています。

ワセリンは保湿効果や撥水効果(水をはじく)があり、傷口に異物が侵入するのを防いでくれます。

エキザルベは独特の臭いがありますが、これはフェノールの臭いです。「絵具のような臭い」というとイメージしやすいかと思います。

エキザルベの使い方は、

通常、1日1~数回直接患部に塗布又は塗擦するか、あるいは無菌ガーゼ等にのばして貼付する。なお、症状により適宜増減する。

と書かれています。実際は皮膚の状態や場所によって回数や量は異なるため、主治医の指示に従いましょう。

6.エキザルベの使用期限はどれくらい?

エキザルベの使用期限って、どのくらいの長さなのでしょうか。

「家に数年前に処方してもらった外用剤があるんだけど、これってまだ使えますか?」

このような質問は患者さんから時々頂きます。

これは保存状態によっても異なってきますので、一概に答えることはできませんが、適正な条件で保存されていたという前提(室温保存)だと、「3年半」が使用期限となります。

7.エキザルベが向いている人は?

以上から考えて、エキザルベが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

エキザルベの特徴をおさらいすると、

・ステロイドと混合死菌浮遊液の配合剤である
・Ⅴ群(弱い)ステロイドが穏やかに皮膚の炎症を抑える
・混合死菌浮遊液がばい菌の感染を抑え、傷の治りを早める
・弱めのステロイドであるため顔や陰部などの皮膚が薄い部位にも使いやすい
・ステロイドを含むため、長期使用による副作用に注意
(ばい菌に感染しやすくなる、皮膚が薄くなるなど)

というものでした。

ステロイドの強さとしては最弱であるため、軽度の炎症を抑えるのに向いています。またばい菌の感染を抑える作用や傷の治りを早める作用もあることから、創傷の治療薬としても向いています。

効果が穏やかであるため、皮膚が過敏な部位(皮膚が薄い顔や陰部)にも使いやすいお薬になります。赤ちゃんのおむつかぶれなどにも良い適応でしょう。

小さめの切創を縫合した後に塗ったり、皮膚の軽度の外傷に塗ったりするのにも向いています。

しかし、これはステロイド全てに言えることですが、漫然と使い続けることは良くありません。ステロイドは必要な時期のみしっかりと使い、必要がなくなったら使うのを止めるという、メリハリを持った使い方が非常に大切です。

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