エンシュアリキッドの成分やカロリー、薬価について

エンシュアリキッドは1988年から発売されている栄養剤になります。

いわゆる栄養ジュースのような感じで、食事が十分に摂取できないような方に栄養補助の目的で処方されます。

缶ジュースのように缶に入っていますが、「処方薬」という扱いになり薬局で処方されます。そして通常のお薬と同じように保険の適応となるため、市販の栄養ジュースを買うよりは安価になります。

ここではエンシュアリキッドの特徴、成分や薬価、そしてどのような方に向いているお薬なのか、エンシュアリキッドについて詳しく説明していきます。

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1.エンシュアリキッドの効果・特徴

まずはエンシュアリキッドの特徴について、かんたんに紹介します。

エンシュアリキッドは、栄養剤になり、栄養不足になっている方が手軽に栄養を摂取するために処方されます。少ない量でも高いカロリーが摂取できるように工夫されており、また必要なミネラル・ビタミンなども豊富に含まれています。

エンシュアリキッドは、何らかの理由で食事を食べれなくなってしまった方が、効率的に栄養補給できるようにと考えられて作られています。

そのため少ない量で高いカロリーを摂取することができ(1mlで1kcal)、またミネラル・ビタミンなどの微量元素も多く含まれています。

飲みやすさも工夫されています。毎日同じようなものを飲んでいると飽きてしまうため、複数の味があるのも特徴です(バニラ、ストロベリー、コーヒーの3味)。

エンシュアリキッドと他の栄養ジュースの違いは、エンシュアリキッドは処方せんによって処方される「お薬」という扱いになります。そのため薬局で買うのではなく、医師に診察で処方してもらい薬局で処方箋と引き換えに受け取るという形を取ります。

他の製薬会社からも栄養ジュースは発売されています。有名なもので言えば「メイバランス」「カロリーメイト」などがあります。これらは「処方薬」ではなく「飲料」になるため、保険診療で処方はできません。

エンシュアリキッドはこのように普通にお店で買うよりも手間はかかりますが、保険診療の対象となるため安価で入手できます。対してその他の栄養ジュースはお店で買えますが通常の価格で買う事になります。この違いは意外と大きいものです。

エンシュアのデメリットとしては1缶350gほどあるため、薬局から持って帰るのが大変だという点があります。これは結構意外な盲点です。

例えば「エンシュアリキッドを1日4缶飲みましょう。1か月分出しておきますね」と先生が処方してくれると4缶×30日分=120缶です。1缶が350gですから120缶で何と42kgです。歩いて持って帰るのはとても無理ですよね。車で取りにいかないといけません。

処方薬という扱いになるとはいえ、各製薬会社が発売している栄養ジュースと大きな差はありません。実質はお薬というよりは「高エネルギーを摂取できる飲料」ですので大きな副作用もありません。

以上からエンシュアリキッドの特徴として次のようなことが挙げられます。

【エンシュアリキッドの特徴】

・食事が十分取れない方に処方される栄養ジュース
・少ない量で高いカロリーが取れる(1mlで1kcal)
・ミネラル、ビタミンなども豊富に含まれている
・処方せんで発行されるため、お店で買う栄養ジュースよりも安い

2.エンシュアリキッドはどんな疾患に用いるのか

エンシュアリキッドはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】
一般に、手術後患者の栄養保持に用いることができるが、特に長期にわたり、経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する。

難しく書かれていますが、何らかの理由で口からご飯を十分に食べれなくなってしまっている方に対して、栄養補助目的で使用することが出来ます。

手術の後などにも用いられますが、お年寄りの方が加齢とともに食欲が落ちてしまった時にも用いられることがあります。

ご飯が十分に食べれない。でも、このままの食事量だと栄養失調になってしまう。

このような時「ジュースのようなものならまだ飲みやすい」ということであれば、エンシュアリキッドを飲んで頂くことで栄養状態の改善がはかれます。

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3.エンシュアリキッドに含まれている成分は?

エンシュアリキッドにはどのような成分が含まれているのでしょうか。エンシュアリキッドの成分について詳しく説明します。

Ⅰ.カロリーはどれくらいか?

エンシュアリキッドのカロリーは、1mlあたり1kcalです。エンシュアリキッドの1缶が250mlですので、1缶で250kcalが摂取できます。

おおよそですが、お年寄りの方が1日に必要なカロリーというのは1,500~2,000kcal程度になります(活動度や身長・体重・性別によって異なり、あくまで目安です)。

単純計算ですが、もしエンシュアリキッドだけでカロリーを補うとすれば、1日6~8缶ほど必要になります。

しかし実際は全てエンシュアで補う必要はありません。

食事が不十分ながらも食べれている場合は、足りない分だけエンシュアで補えばいいのです。実際に1日8缶も飲んでいる方というのはほとんどいません。栄養ジュースだけを毎日8缶も飲み続けるというのは、それはそれでつらいものです。

ほとんどの方はエンシュアリキッドを補助的に使っており、1日1~2缶程度飲んでいます。

Ⅱ.3大栄養素の量は?

3大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)の配合比率はどのくらいでしょうか。

エンシュアリキッド1缶(250kcal)中の栄養素は次のようになっています。

  • 炭水化物:34.3g(約137kcal)
  • タンパク質:8.8g(約35kcal)
  • 脂質:8.8g(約79kcal)

エネルギー量の比率でいうと、

  • 炭水化物:約55%
  • タンパク質:約14%
  • 脂質:約31%

となっています。

理想的な三大栄養素のバランス(PFC比)は、

  • 炭水化物:50~70%
  • タンパク質:10~25%
  • 脂質:15~30%

と言われていますので、エンシュアリキッドは理想的なPFC比に近づけるように考えて作られています。

Ⅲ.ミネラル・ビタミン・微量元素等は?

生きていくのに必要なのはカロリーだけではありません。

ミネラル・ビタミンなども必要です。エンシュアリキッドはこれらも豊富に配合されています。

ビタミンとしては、

  • ビタミンA  625 IU
  • ビタミンD  50 IU
  • ビタミンE  7.5mg
  • ビタミンK  17.5μg
  • ビタミンC  38mg
  • ビタミンB1  0.38mg
  • ビタミンB2  0.43mg
  • ビタミンB6  0.50mg
  • ビタミンB12  1.5μg
  • コリン  0.13g
  • 葉酸  50μg
  • ナイアシン  5.0mg
  • パントテン酸  1.25mg
  • ビオチン  38μg

が含まれています。

また電解質(ミネラル)としては、

  • ナトリウム  0.20g
  • カリウム  0.37g
  • 塩素  0.34g
  • カルシウム  0.13g
  • リン  0.13g
  • マグネシウム  50mg
  • マンガン  0.50mg
  • 銅  0.25mg
  • 亜鉛  3.75mg
  • 鉄  2.25mg

が含まれています。

4.エンシュアリキッドの副作用

エンシュアリキッドは基本的には飲料ですので、大きく困るような副作用はほとんど生じません。

しかしエンシュアリキッドの副作用発生率は21.2%前後と報告されており、数値自体は低くありません。

生じうる副作用は、

  • 下痢
  • 腹部膨満
  • 腹痛

など胃腸系の副作用がほとんどです。中でも下痢がほとんどを占めます。

エンシュアリキッドは腸管がびっくりしないように浸透圧がなるべく体液に近くなるように作られています。しかし全く同じではありません。体液の浸透圧はおおよそ280mOsm前後なのに対し、エンシュアリキッドの浸透圧は約330mOsmになります。

これにより下痢が生じてしまうことがあります。

下痢が生じた場合、ゆっくり少しずつ飲むようにしたり、薄めて飲むようにすることで改善が得られることがあります。

なお妊婦さんにおいては、エンシュアリキッドは1日8缶以上の摂取は禁止されています。これは過剰なビタミンAが胎児の奇形発生につながるという報告があるためです。

エンシュアリキッドは多くの栄養素を含んでおり、ビタミンAも含まれていますので、多量に摂取すると赤ちゃんに悪影響を来たしてしまうことがあるのです。

しかし現状、妊婦さんにエンシュアリキッドを1日8缶も飲ませるような状況はほとんどありませんので、これによって困ることはほぼありません。

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5.エンシュアリキッドの用法・用量と剤形

エンシュアリキッドは、

エンシュアリキッド 250ml(250kcal) 缶
エンシュアリキッド 500ml(500kcal) バッグ

の2剤型があります。

処方されるほとんどが250mlの缶になります。缶は味がバニラ、ストロベリー、コーヒーと三種類あります。

一方でバッグに入っている500mlタイプは胃瘻が造設されている方が胃瘻から栄養を注入する時などに用いられます。

エンシュアリキッドの使い方は、

標準量として成人には1日1,500~2,250mL(1,500~2,250kcal)を経管又は経口投与する。1mL当たり1kcalである。なお年齢、症状により適宜増減する。

経管投与では本剤を1時間に100~150mLの速度で持続的又は1日数回に分けて投与する。経口投与では1日1回又は数回に分けて投与する.ただし、初期量は標準量の1/3~1/2量とし、水で約倍量に希釈(0.5kcal/mL)して投与する。以後は患者の状態により徐々に濃度及び量を増し標準量とする.

となっています。

胃瘻などから注入する場合は、最初はゆっくり、薄めて投与することとなっています。これは下痢などの副作用を生じにくくするためです。

なおエンシュアリキッドの使用期限は製造後12カ月までです。使用期限は缶底に記載してありますので必ず確認しましょう。

6.エンシュアリキッドが向いている人は?

以上から考えて、エンシュアリキッドが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

エンシュアリキッドの特徴をおさらいすると、

・食事が十分取れない方に処方される栄養ジュース
・少ない量で高いカロリーが取れる(1mlで1kcal)
・ミネラル、ビタミンなども豊富に含まれている
・処方せんで発行されるため、お店で買う栄養ジュースよりも安い

というものでした。

お年寄りの方などで、ご飯が十分に食べれない方などには向いています。また栄養ジュースをお店で購入すると結構高額ですから、なるべく安価にしたいという方にもおすすめできます。

味は好みがあり、中には「まずくて飲めない」という方もいらっしゃいます。しかし反対に気に入ってくれる方もいらっしゃり、ここは本当に好みです。

しかしおおむね皆さん1日1~2缶くらいであれば大きな苦痛はなく飲んで頂けています。

味は3種類あり、飽きがこないように工夫されていますが、そうは言っても長期間飲んでいるとだんだん飽きてしまうようで、これは難しいところです。

ちなみに、私が担当している患者さんにはコーヒー味が一番人気で、ストロベリー味が一番不人気です。ストロベリー味は、「甘さがかえって気持ち悪い」と感じられることがあるようです。

7.エンシュアリキッドの薬価

エンシュアリキッドの魅力の1つは、保険診療になるため安く入手できるという点ですが、実際エンシュアリキッドはいくらくらいなのでしょうか。

薬価は2年に1回改訂されますが、2015年5月の薬価基準収載では次のように薬価が設定されています。

エンシュアリキッド 10ml   6.1円

なんと10ml単位で価格が設定されています。

1缶は250mlですので、152.5円になります。この価格だと市販の栄養ジュースと変わりませんが、保険診療になりますのでもっと安くなります。

一般的な保険診療の3割負担だと、1缶45.75円です。
後期高齢者医療制度に該当する方(75歳以上、あるいは寝たきり等の場合は65歳以上)は1割負担になりますので、1缶15.25円になります。

なお薬価の改訂は定期的に行われているため、エンシュアリキッドの薬価も今後変更される可能性がありますことをご了承下さい。最新の薬価は、厚生労働省のサイトや製薬会社のサイトにてご確認下さい。

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