ファモチジンの効果と副作用

ファモチジンは1985年から発売されている「ガスター」という胃薬のジェネリック医薬品になります。

ファモチジンは胃薬の中でもH2ブロッカーという種類に属し、胃壁細胞のヒスタミン2(H2)受容体をブロックすることで胃酸の分泌を抑えるはたらきがあります。

胃酸の分泌をおさえるお薬には多くのものがあります。H2ブロッカーにもたくさんの種類がありますし、他にも「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」と呼ばれるお薬もあります。これらの中でファモチジンはどのような位置付けになるのでしょうか。

ファモチジンの効果や特徴、どのような方に向いているお薬なのかについてみていきましょう。

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1.ファモチジンの特徴

まずはファモチジンの特徴について、かんたんに紹介します。

ファモチジンは胃酸の分泌を抑えるお薬になります。

ファモチジンはジェネリック医薬品ですが、先発品の「ガスター」はもっとも多く処方されているH2ブロッカーであり、実績も多く安心して使えるお薬になります。

ファモチジンはヒスタミン2(H2)受容体をブロックする作用を持つお薬で、そのため「H2ブロッカー」とも呼ばれています。

胃壁に存在する胃壁細胞はヒスタミン2受容体があり、これにヒスタミンという物質がくっつくと胃酸を分泌するシグナル(cAMP)が発信されます。ファモチジンはヒスタミン2受容体をブロックするため、これにより胃酸分泌のシグナル弱めるはたらきがあるのです。

そのため胃酸が胃に対して悪さをしてしまっている時に効果を発揮するお薬になります。例えば、胃炎や胃潰瘍などでは胃酸が胃壁に出来た傷を攻撃してしまうため、胃酸の分泌を弱めた方が傷が早く治ります。

H2ブロッカーには多くの種類のお薬がありますが、総合的にはどれも大きな効果の差はありません。ファモチジンも一般的なH2ブロッカーであり、他のH2ブロッカーと大きな効果・効能の差はないと考えてよいでしょう。

ファモチジンの意外な特徴として、近年「関節の石灰化を溶解する作用」が認められることが報告されています。これは本来の胃酸を抑える効果とはまったく異なるものですが、このような報告から、整形外科などで関節の痛みなどに用いることもあるようです。

ファモチジンの副作用は多くはありません。稀に重篤な副作用の報告もありますが、臨床の実感としては十分安全に使用できるお薬になります。

胃酸の分泌を抑えるお薬というとPPI(プロトンポンプ阻害薬)もありますが、PPIとH2ブロッカーには特徴の違いがあるため、症状・経過によって使い分けられます(詳しくは後述します)。

簡単に言うと、H2ブロッカーは効果はPPIに劣るものの、夜間の胃酸分泌の抑制に効果的です。薬価も安く、急性期よりも維持期に使用するのに向いています。

以上からファモチジンの特徴として次のようなことが挙げられます。

【ファモチジン(ファモチジン)の特徴】

・ヒスタミン2(H2)受容体をブロックすることで、胃酸の分泌を抑える
・特に夜間の胃酸分泌を抑えてくれる
・関節の石灰化を溶解する作用が報告されている
・副作用が少ない
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

2.ファモチジンはどんな疾患に用いるのか

ファモチジンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

・胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、上部消化管出血(消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎による)、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群

・下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期

ファモチジンは、胃のヒスタミン2受容体をブロックすることで胃酸の分泌を抑えるはたらきがあります。

胃酸は強力な酸ですので、私たちの細胞をも傷付けてしまいます。普段は胃粘膜には胃酸から細胞を守るようなバリアが張られているのですが、胃に炎症や潰瘍などが生じるとこのバリアが不十分になるため、胃酸が胃壁細胞を傷付けてしまいます。

このような場合はファモチジンなどのお薬を使うことで、胃酸を弱めて胃炎・胃潰瘍の治りを早めることができます。

また逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流して食道壁を傷付けてしまう疾患ですが、これもファモチジンなどのお薬で胃酸の分泌を抑えると改善が得られます。

Zollinger-Ellison症候群は難しい名前の病気ですが、ガストリンというホルモンを分泌する腫瘍が出来てしまう疾患です。ガストリンも胃酸を分泌させるはたらきがあるため、H2ブロッカーであるファモチジンは効果を示します。ただし腫瘍ですので原則は手術になります。

適応外ですが、これら以外にも抗血小板薬や抗凝固薬といった「血が固まりにくくなるお薬」を服薬している方に胃出血の予防目的で投与されることもあります。

同様に、NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛剤、いわゆる「痛み止め」)を長期服薬していると胃が荒れやすくなる副作用が生じることがあるため、このような場合にファモチジンを併用して胃潰瘍の予防をすることもあります。

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3.ファモチジンにはどのような作用があるのか

ファモチジンは主に胃酸の分泌を抑えることで胃を守る作用があります。これはどのような作用機序になっているのでしょうか。ファモチジンの主な作用について詳しく紹介します。

Ⅰ.胃酸の分泌抑制作用

ファモチジンは、胃の壁細胞に存在するヒスタミン2(H2)受容体に作用します。

胃壁細胞のヒスタミン2受容体にヒスタミンがくっつくと、cAMPというメッセンジャーが胃酸を分泌させるシグナルを送り、これによって胃酸が分泌されます。

ファモチジンはヒスタミン2受容体のはたらきをブロックする作用があり、これによって胃酸の分泌を抑えてくれるのです。

Ⅱ.ペプシンの分泌抑制作用

ファモチジンはぺプシンという酵素のはたらきをブロックする作用もあります。

ペプシンは胃に存在する酵素の1つで、胃に入ってきたタンパク質を小さく分解する作用があります。

ペプシンはこのように食物中のタンパク質を分解する重要なはたらきがあるのですが、一方で胃炎・胃潰瘍などがある時には、その部位からむき出しになってしまっている生体のタンパク質を攻撃(分解)してしまう事もあります。

このように胃炎・胃潰瘍がある時は、ペプシンの分泌を抑えてあげた方が傷は早く治ります。

一方でペプシンの分泌を抑制すると、食物のタンパク質が分解しにくくなるため、これにより時折便秘や腹部膨満感、吐き気などの副作用が生じることがあります。

Ⅲ.関節の石灰化溶解作用

ファモチジンの意外な作用として、関節に生じている石灰化(異所性石灰化)を改善させてくれる作用が報告されています。

ファモチジンがなぜこのような作用を持っているのかは明確には分かっていません。

一説として、ファモチジンは前頚部にある副甲状腺という臓器に作用することで、PTH(副甲状腺ホルモン)の分泌を抑える作用があるのではと考えられています。

PTHは血液中のカルシウム濃度を上げるはたらきがあるため、この分泌を抑えるとカルシウムの濃度が下がります。カルシウムが下がることで石灰化を改善する効果があるのではないかと推測されています。

関節の石灰化を溶かすお薬というのは無いため、石灰化による関節痛などがひどい方にはファモチジンのようなお薬が試されることがあります。

4.ファモチジンの副作用

ファモチジンはジェネリック医薬品であるため副作用発生率の詳しい調査は行われていません。しかし先発品の「ガスター」においては副作用発生率は約1.8%前後と報告されており、ファモチジンも同程度だと思われます。

生じうる副作用としては、

  • 便秘・下痢
  • 発疹

などが報告されています。

また検査数値の異常としては、

  • 肝機能障害(AST、ALT上昇)
  • 白血球減少

などが報告されているため、ファモチジンを長期的に服用する場合は定期的に血液検査を行うことが望まれます。

稀ですが重篤な副作用の報告もあり、

  • ショック
  • 再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少
  • 間質性腎炎、急性腎不全
  • 横紋筋融解症
  • QT延長、房室ブロック
  • 中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(SJS)
  • 意識障害、けいれん
  • 間質性肺炎

などがあります。注意は必要ですが、臨床で適切に使っている分には見かけることはほとんどありません。

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5.ファモチジンの用法・用量と剤形

ファモチジンは、

ファモチジン錠(ファモチジン) 10mg
ファモチジン錠(ファモチジン) 20mg

ファモチジンOD錠(ファモチジン) 10mg
ファモチジンOD錠(ファモチジン) 20mg

ファモチジン散(ファモチジン) 2%
ファモチジン散(ファモチジン)  10%

の6種類のお薬があります。

ファモチジンの使い方は、

通常、成人には1回20mgを1日2回(朝食後、夕食後または就寝前)経口投与する。また、1回40mgを1日1回(就寝前)経口投与することもできる。
なお、年齢・症状により適宜増減する。ただし、上部消化管出血の場合には通常注射剤で治療を開始し、内服可能になった後は経口投与に切りかえる。

となっています。

ファモチジンは腎臓でも排泄されるお薬ですので、腎機能が悪い患者さんでは注意が必要です。腎機能が悪い方では、お薬が身体から抜けにくくなるため、量を減らしたり、服薬回数を少なくするなどの必要があります。主治医と良く相談しましょう。

6.H2ブロッカーとPPIの違い

ファモチジンはH2ブロッカーに属しますが、同じように胃酸の分泌を抑えるものとしてPPI(プロトンポンプ阻害薬)もあります。

この2つはどう違うのでしょうか。

まず強さとしてはPPIの方が強力です。その理由はPPIの方が胃酸分泌をより直接的にブロックするためです。

そのため、急性期の胃潰瘍などではまずはPPIを使うことが多くなっています。

即効性で言えば、H2ブロッカーの方が速く効きます。おおよそですが、H2ブロッカーは効くまでに約2~3時間、PPIは約5~6時間ほどと言われています。

また効く時間帯にも特徴があり、PPIは主に日中の胃酸分泌を強く抑え、H2ブロッカーは主に夜間の胃酸分泌を強く抑えると言われています。

最後に保険的な話になってしまうのですが、PPIは投与制限が設けられているものも多く(4週間までしか投与してはいけませんよ、など)、長くは使えないものも少なくありません。

そのため胃潰瘍の治療では、まずは効果の高いPPIから初めて、保険が通らなくなる時期が来たらH2ブロッカーに切り替えるというのが良く行われている方法になります。

7.ファモチジンが向いている人は?

以上から考えて、ファモチジンが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ファモチジンの特徴をおさらいすると、

・ヒスタミン2(H2)受容体をブロックすることで、胃酸の分泌を抑える
・特に夜間の胃酸分泌を抑えてくれる
・関節の石灰化を溶解する作用が報告されている
・副作用が少ない
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

というものでした。

H2ブロッカーには多くの種類がありますが、極論を言えばどれを使っても総合的な効果にあまり差はありません。どのH2ブロッカーを処方するかは、先生が使い慣れているお薬が選択されることが多いようです。

ファモチジンをはじめとしたH2ブロッカーは、急性期にPPIで治療された胃潰瘍の維持期に用いたり、主に夜間の胃酸分泌亢進で困っている方に用いられる胃薬になります。

8.先発品と後発品は本当に効果は同じなのか?

ファモチジンは「ガスター」というお薬のジェネリック医薬品になります。

ジェネリックは薬価も安く、剤型も工夫されているものが多く患者さんにとってメリットが多いように見えます。

しかし「安いという事は品質に問題があるのではないか」「やはり正規品の方が安心なのではないか」とジェネリックへの切り替えを心配される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

同じ商品で価格が高いものと安いものがあると、つい私たちは「安い方には何か問題があるのではないか」と考えてしまうものです。

ジェネリックは、先発品と比べて本当に遜色はないのでしょうか。

結論から言ってしまうと、先発品とジェネリックはほぼ同じ効果・効能だと考えて問題ありません。

ジェネリックを発売するに当たっては「これは先発品と同じような効果があるお薬です」という根拠を証明した試験を行わないといけません(生物学的同等性試験)。

発売したいジェネリック医薬品の詳細説明や試験結果を厚生労働省に提出し、許可をもらわないと発売はできないのです、

ここから考えると、先発品とジェネリックはおおよそ同じような作用を持つと考えられます。明らかに効果に差があれば、厚生労働省が許可を出すはずがないからです。

しかし先発品とジェネリックは多少の違いもあります。ジェネリックを販売する製薬会社は、先発品にはないメリットを付加して患者さんに自分の会社の薬を選んでもらえるように工夫をしています。例えば飲み心地を工夫して添加物を先発品と変えることもあります。

これによって患者さんによっては多少の効果の違いを感じてしまうことはあります。この多少の違いが人によっては大きく感じられることもあるため、ジェネリックに変えてから調子が悪いという方は先発品に戻すのも1つの方法になります。

では先発品とジェネリックは同じ効果・効能なのに、なぜジェネリックの方が安くなるのでしょうか。これを「先発品より品質が悪いから」と誤解している方がいますが、これは誤りです。

先発品は、そのお薬を始めて発売するわけですから実は発売までに莫大な費用が掛かっています。有効成分を探す開発費用、そしてそこから動物実験やヒトにおける臨床試験などで効果を確認するための研究費用など、お薬を1つ作るのには実は莫大な費用がかかるのです(製薬会社さんに聞いたところ、数百億という規模のお金がかかるそうです)。

しかしジェネリックは、発売に当たって先ほども説明した「生物学的同等性試験」はしますが、有効成分を改めて探す必要もありませんし、先発品がすでにしている研究においては重複して何度も同じ試験をやる必要はありません。

先発品と後発品は研究・開発費に雲泥の差があるのです。そしてそれが薬価の差になっているのです。

つまりジェネリック医薬品の薬価は莫大な研究開発費がかかっていない分が差し引かれており先発品よりも安くなっているということで、決して品質の差が薬価の差になっているわけではありません。

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