トビエース錠の効果・特徴

トビエース錠(一般名:フェソテロジン)は2013年に発売された過活動膀胱治療薬です。

トビエースは膀胱の収縮を抑えることで頻尿を改善します。そのため、膀胱の収縮が過剰になっており、それによる頻尿で困っている方には役立つお薬です。主にアセチルコリンをブロックするはたらきをするため「抗コリン薬」とも呼ばれています。

頻尿を改善するお薬にもいくつかの種類があります。どれも頻尿を改善してくれるものですが、その作用や特徴はそれぞれ多少の違いがあります。トビエースはどのような特徴のあるお薬で、どのような患者さんに向いているお薬なのか。ここではトビエースの効能や特徴を紹介していきたいと思います。

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1.トビエース錠の特徴

まずはトビエースの特徴をざっくりと紹介します。

トビエースの最大の特徴は、膀胱に集中的に作用することです。これにより膀胱の過剰な収縮を抑えて頻尿を改善させつつ、他の臓器に作用しにくいため、副作用が少なくなっています。

膀胱にはムスカリン受容体というものがあり、それにアセチルコリンという物質がくっつくと膀胱が収縮します。頻尿の方にトビエースを投与すると、トビエースがムスカリン受容体をブロックしてアセチルコリンがくっつかないようにします。すると過剰な収縮が抑えられるため頻尿が改善するのです。

ムスカリン受容体というのは1~5までの5種類があるのですが、頻尿の改善に関係しているのはムスカリン3受容体です。また、ムスカリン1受容体、ムスカリン2受容体も一部頻尿に関係しています。トビエースはムスカリン選択性は低く、ムスカリン1受容体、ムスカリン2受容体、ムスカリン3受容体に作用するため、しっかりとした頻尿改善効果が得られます。

しかしムスカリン選択性が低いため、時に余計なムスカリン受容体をブロックしてしまうことで、抗コリン作用(口渇、便秘、尿閉)や不整脈などの副作用が生じてしまうこともあります。

トビエースはファイザー社が発売しているお薬ですが、同社が2006年に発売した「デトルシトールカプセル(トルテロジン)」の活性代謝物のプロドラッグになります。「活性代謝物」「プロドラッグ」というと難しいですが、簡単にいうと「デトルシトールの良い部分だけを取り出したのがトビエース」という認識で良いでしょう。

デトルシトールの活性代謝物のプロドラックとしたことで、デトルシトールよりも体質(CYP酵素等)の影響を受けずに安定した効果が得られるようになっています。

またデトルシトールと同じく徐放性製剤であるというのも特徴です。徐放性製剤とは、ゆっくり少しずつ身体に吸収されていく構造を持つお薬であり、ゆっくりと吸収されるため、これも副作用が少なくなるというメリットがあります。

トビエースは食事の影響を受けないことが報告されており、空腹時に飲んでも食後に飲んでも同じような効果を期待できることもメリットです。

以上からトビエースの特徴として次のような点が挙げられます。

【トビエースの特徴】

・膀胱のムスカリン受容体を集中的にブロックするため、副作用が少ない
・ゆっくり吸収される徐放性製剤のため、副作用が軽減されている
・デトルシトールの改良型のため、体質に関係なく安定した効果が得られる
・食事の影響を受けず、いつ飲んでも同じ効果が得られる

2.トビエース錠はどんな疾患に用いるのか

トビエースはどのような疾患に用いられるのでしょうか。トビエースの添付文書には、次のように記載されています(2015年7月現在)。

【効能又は効果】

過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁

難しい専門用語が並んでいますが、ざっくりと言えば「おしっこの回数が多かったり、おしっこが間に合わない人」に対して、尿の回数を減らすことで改善させる効果があるということです。

過活動膀胱(OAB:OverActive Bladder)という疾患は、膀胱の本来のはたらきである「おしっこを溜めるはたらき(蓄尿能)」が低下してしまう状態です。主に高齢者に多く、少し尿が溜まっただけで排尿筋が収縮してしまい、尿意を感じるため頻尿になってしまうのです。

トビエースは、膀胱の異常な収縮を抑えることで蓄尿能を改善させ、過活動膀胱の頻尿に対して効果を発揮します。

ただし、頻尿であれば何にでも使っていいわけではありません。あくまでも膀胱の過剰な収縮が生じている過活動膀胱の頻尿を改善させるというはたらきになります。

別の原因で頻尿が生じているのであれば、トビエース以外のお薬の方が適切なことがありますので注意が必要です。

例えば、男性の頻尿であれば過活動膀胱ではなく、前立腺肥大症に伴って生じていることもあります。この場合はまずはトビエースではなく、α1遮断薬と呼ばれる、尿道の拡がりを良くするお薬から使用することが推奨されています。前立腺肥大症で尿道が狭くなっているのに、トビエースで更に排尿しにくくしてしまうと、かえって症状が悪化してしまう可能性もありますので注意が必要です。

また、尿路感染症に伴って頻尿となっているのであれば、治療はトビエースのようなお薬ではなく、抗生物質でばい菌をやっつけたり、水分をたくさん取ってばい菌を洗い流すことになります。この場合、トビエースを使うことによって尿の出を少なくしてしまうと、かえってばい菌が膀胱に留まりやすくなってしまい、病状が悪化してしまうこともあります。

トビエースは過活動膀胱に伴う頻尿には有効なお薬ですが、頻尿全般に使える万能薬ではありません。トビエースを使うべき頻尿であるのかどうかは主治医にしっかりと診察してもらい判断してもらいましょう。

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3.トビエース錠にはどのような作用があるのか

トビエースは主に過活動膀胱の症状(頻尿)の改善に用いられます。つまり、尿の回数を少なくする作用があるということです。どのような作用によって尿の回数を少なくしているのでしょうか。

トビエースは膀胱の平滑筋という筋肉に存在するムスカリン受容体(アセチルコリン受容体と呼ばれることもあります)のはたらきをブロックすることが主なはたらきです。そのためトビエースのようなお薬は「抗コリン薬」とも呼ばれています。アセチルコリンに拮抗する(=ジャマする)ので「抗コリン薬」です。

アセチルコリンという物質が膀胱のムスカリン3受容体とくっつくと、膀胱は収縮することが知られています。

トビエースはムスカリン受容体にアセチルコリンがくっつくのをジャマします。そうなると、膀胱が収縮しにくくなるため、頻尿が改善されるというわけです。

ちなみにムスカリン受容体は、1から5まであり、それぞれ全身に分布しており作用も異なります。その作用は複雑なのですが、ものすごくざっくりと言うと、

ムスカリン1受容体:主に脳に分布
ムスカリン2受容体:主に心臓に分布
ムスカリン3受容体:主に平滑筋に分布
ムスカリン4受容体:主に脳に分布
ムスカリン5受容体:主に脳に分布

となっています。

トビエースは主に膀胱平滑筋に存在するムスカリン受容体に作用するお薬で、その他の臓器に存在するムスカリン受容体にはあまり作用しないお薬です。これを「膀胱選択性が高い」と言います。この膀胱選択性の高さのために余計な作用が少なく、トビエースは副作用が少なくなっています。

膀胱の収縮に主に関わっているのは、ムスカリン3受容体ですが、その他にもムスカリン1受容体、ムスカリン2受容体も多少膀胱の収縮に影響しています。トビエースはムスカリン3受容体のみならず、ムスカリン1受容体、ムスカリン2受容体にも作用することで、しっかりとした頻尿改善効果をもたらします。

4.トビエース錠の副作用

トビエースにはどんな副作用があるのでしょうか。

先ほど説明した通り、トビエースはムスカリン受容体をブロックするお薬です。ムスカリンの中でも膀胱に存在するムスカリン受容体に作用しやすく作られていますが、他の臓器に存在するムスカリン受容体にも多少作用してしまいます。

そのため、時に副作用が生じることがあります。

副作用としてもっとも多いものは、抗コリン作用と呼ばれるものです。抗コリン作用というのは、アセチルコリンをブロックするために生じてしまう作用のことです。ちなみにアセチルコリン受容体にはムスカリン受容体とニコチン受容体の2種類があり、ムスカリン受容体はアセチルコリン受容体の一つになります。

トビエースがムスカリン受容体のはたらきをブロックしてしまうと、口渇(口腔内乾燥)、便秘、霧視などが生じる可能性があります。頻度は低いですが重篤なものとしては尿閉(尿が出なくなる)や不整脈、麻痺性イレウス(腸が麻痺して動かなくなってしまう病気)が生じることもあります。

また、トビエースは腎臓と一部肝臓で代謝されるため、肝障害・腎障害が生じることがあり、それに伴い血液検査で肝臓系酵素や腎臓系酵素の上昇が認められることがあります。AST、ALTなどの肝臓系酵素やBUN、Crなどの腎臓系酵素の上昇が生じることもあることが報告されています。

特に肝障害や腎障害が元々ある方は特に注意しなければいけませんので、事前に主治医に自分の病気についてしっかりと伝えておきましょう。

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5.トビエース錠の用法・用量と剤形

トビエースは次の剤型が発売されています。

トビエース錠(フェソテロジン) 4mg
トビエース錠(フェソテロジン) 8mg

の2剤型が発売されています。

トビエースの使い方は、

通常成人には4mgを1回1回経口投与する。なお、症状に応じて1日1回8mgまで増量できる。

と書かれています。

トビエースは半減期が約10時間ほどのお薬です(正確に言うと、トビエースはプロドラックのため、活性代謝物の半減期が約10時間という事です)。ただし徐放製剤のため、ゆっくりと効くため血中濃度が上がるまでにも時間がかかりますので、実際の薬効は10時間よりは長くなります。そのため、1日1回の服用となっています。ちなみ半減期とは、お薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことで、そのお薬の作用時間の一つの目安になる数値です。

また、トビエースは食事の影響をほとんど受けないことが報告されています。そのため空腹時(例えば寝る前など)に服薬しても、食後に服薬しても同様の効果が得られます。

6.トビエースが向いている人は?

以上から考えて、トビエースが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

トビエースの特徴をおさらいすると、

・膀胱のムスカリン受容体を集中的にブロックするため、副作用が少ない
・ゆっくり吸収される徐放性製剤のため、副作用が軽減されている
・デトルシトールの改良型のため、体質に関係なく安定した効果が得られる
・食事の影響を受けず、いつ飲んでも同じ効果が得られる

などがありました。

ここから、過活動膀胱と診断された方であって、

・なるべく副作用を少なくしたい方
・1日に何回も服薬したくない方
・眠前、食後など服用時間が変わる可能性のある方

などにとっては向いているお薬かもしれません。

7.トビエース錠の薬価

トビエースの薬価はどれくらいなのでしょうか。

薬価は2年に1回改訂されますが、2015年5月の薬価基準収載では次のように薬価が設定されています。

トビエース錠(フェソテロジン) 4mg  196.2円
トビエース錠(フェソテロジン) 8mg  294.6円
(2015年7月現在)

なお薬価の改訂は定期的に行われているため、トビエースの薬価も今後、変更される可能性がありますことをご了承下さい。最新の薬価は、厚生労働省のサイトや製薬会社のサイトにてご確認下さい。

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