フラビタン錠の効果と副作用【ビタミン剤】

フラビタン錠(一般名:フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム)は1966年から発売されているビタミン剤です。

フラビタンの主成分は「ビタミンB2」と呼ばれるビタミンです。

ビタミンB2は基本的には食事から摂取できるものです。そのためまずは規則正しい食生活にて摂取をしていただきたいのですが、状況によってどうしても十分なビタミンを食事から摂取できない場合は、フラビタンのようなお薬でビタミンを補うことがあります。

フラビタンの効果や特徴・副作用について紹介していきます。

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1.フラビタンの特徴

まずはフラビタンの特徴についてみてみましょう。

フラビタンの主成分は「フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム(FAD)」であり、これはビタミンB2になります。

FADは「補酵素」と呼ばれるものです。補酵素は私たちの体内で様々なはたらきを担っている「酵素」を補助するはたらきを持っています。

通常、ビタミンB2はリボフラビンとして植物から摂取されます(リボフラビンは肉類、海藻、乳製品など多くの食品に含まれています)。リボフラビンは小腸や肝臓でリン酸リボフラビン(フラビンモノヌクレオチド:FMN)に代謝され、ここから更にFADとなり体内で様々なはたらきをするようになります。

フラビタンはビタミンB2が生体で活動できるFADの形で投与できるお薬になります。

ビタミンB2は様々な作用がある事が知られています。詳しくは後述しますが、栄養素(炭水化物・脂質・たんぱく質)の代謝を高めたり、皮膚や粘膜、毛髪、爪、眼の細胞の再生力を高めたりするため、ビタミンB2欠乏によってこれらの症状が出ている患者さんは、フラビタンの服用によって症状の改善が期待できます。

しかし安易な服薬は避けるべきです。元々ビタミンB2は肉類や海藻、乳製品などの食品に含まれている栄養素であり、適切な食生活を送っていれば足りなくなることはありません。

食生活の極端な偏りでビタミンB2不足となっている方は、フラビタンを服用するよりもまずは食生活の改善を試みるべきでしょう。

ビタミンB2が失われるような状態にある方(妊婦さんや授乳婦さん、激しい肉体労働者の方など)では食事からでは十分なビタミンB2が補えない事もあるため、このような場合はフラビタンの服用が必要となります。

フラビタンはビタミンであり、その成分は私たちが普段食事から摂取しているものですので、適切な量の摂取であれば副作用はほとんどありません。

以上から、フラビタンの特徴として次のようなことが挙げられます。

【フラビタンの特徴】

・FAD(ビタミンB2)である
・栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質)の代謝を促す作用がある
・皮膚や粘膜、爪、毛髪といった細胞の再生を促す作用がある
・ビタミンB2は肉類や海藻、乳製品に多く含まれバランスの良い食生活を送っていれば自然と摂取できる
・妊婦さんや授乳婦さん、激しい肉体労働従事者では適切な食生活を送っていても不足する事がある
・副作用はほとんどなく、安全性に優れる

2.フラビタンはどんな疾患に用いるのか

フラビタンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

1.ビタミンB2欠乏症の予防及び治療

2.ビタミンB2の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦、激しい肉体労働時など)

3.下記疾患のうち、ビタミンB2の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される 場合
○口角炎、口唇炎、舌炎、口内炎
○肛門周囲及び陰部びらん
○急・慢性湿疹、脂漏性湿疹
○ペラグラ
○尋常性痤瘡、酒さ
○日光皮膚炎
○結膜炎
○びまん性表層角膜炎、角膜部周擁充血、角膜脈管新生
(上記3.に対して、効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。)

かなり難しく書かれていますね。

当たり前ですが、フラビタンはビタミンB2が足りていない時に投与されるお薬になります。

逆に言えばいくら上記に書いてある状態であっても、ビタミンB2が十分足りているのであれば服用しても意味はありません。つまり、ビタミンB2が十分摂取できていた上で生じている口内炎には効果は乏しいという事になります。

ビタミンB2が足りないと生じやすい症状はいくつかありますが、例えば

  • 口内炎、口角炎、舌炎などの口腔系の炎症
  • 肛門部・陰部などの炎症

といった粘膜の炎症が挙げられます。ビタミンB2は粘膜の細胞の再生力を高める作用があるため、これが不足すると粘膜細胞の再生力が低くなるためです。

また、

  • 湿疹
  • にきび(ざ瘡)、顔の赤み(酒さ)

といった皮膚の異常も生じます。ビタミンB2は皮膚細胞の再生にも関与しているためです。

更にビタミンB2は眼にも関与しているため、不足すると、

  • 白内障
  • 結膜炎
  • 角膜炎

などが生じる事があります。

適応に書いてある病名であるペラグラは実際に見かけることはほとんどありませんが、ビタミンB群の欠乏で生じます。主にビタミンB3であるニコチン酸の欠乏で生じますが、ビタミンB2も関与していると考えられています。

遺伝疾患として生じる他、アルコール多飲者で認められることがあります。また抗結核薬(イゾニアジド)などのお薬の副作用として生じることもあります。アルコール多飲者ではアルコールを分解するためにニコチン酸が消費されてしまうため、ニコチン酸不足になりやすいのです。

ペラグラは「3つのD」という症状が代表的です。

・皮膚症状(Dermatitis):皮膚炎、光線過敏など
・下痢(Diarrhea):他にも吐き気、便秘など
・認知症(Dementia):不眠、錯乱、幻覚など

最悪の場合は死亡する可能性もある疾患であり、ニコチン酸やビタミンB2の投与が必要です。

フラビタンの有効率は、

  • 口角炎に対する有効率は71.4%
  • 口唇炎に対する有効率は84.6%
  • 口内炎に対する有効率は69.2%
  • 舌炎に対する有効率は39.1%
  • 急・慢性湿疹に対する有効率は82.8%
  • 脂漏性湿疹に対する有効率は74.5%
  • 尋常性ざ瘡に対する有効率は70.7%
  • 酒さに対する有効率は81.0%
  • 日光皮膚炎に対する有効率は77.8%
  • びまん性表層角膜炎に対する有効率は80.0%

と報告されています。

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3.フラビタンにはどのような作用があるのか

フラビタンにはどのような作用があるのでしょうか。

フラビタンはビタミンB2になります。ビタミンの作用というのは多岐に渡るため、ここでその全てを紹介すると大変難しい説明になってしまいます。

そのため、ここではフラビタンの代表的な作用を紹介させていただきます。

Ⅰ.栄養素の代謝

フラビタンには栄養素の代謝を促進するというはたらきがあります。

三大栄養素として、

  • 炭水化物(いわゆる糖質)
  • 脂質
  • たんぱく質

がありますが、ビタミンB2はこれらの栄養素の代謝を高めてくれるのです。

私たちが栄養素を摂取する目的というのは、これらの物質を代謝(≒分解)してエネルギーを取り出す事です。取り出したエネルギーを元に私たちの身体は様々な生命活動を行っています。

フラビタンは栄養素からエネルギーを取り出しやすくするはたらきがあります。これは栄養素を有効に使えるほか、蓄積された余分なエネルギー(内臓脂肪や皮下脂肪など)を燃焼させる効果も期待できます。

Ⅱ.細胞の再生

ビタミンB2は皮膚や粘膜、毛髪、爪といった細胞の再生を促します。

ビタミンB2が欠乏すると、皮膚や髪の毛がカサカサになったり、口内炎・結膜炎などの皮膚・粘膜トラブルが生じやすくなります。

ビタミンB2を十分に摂取する事によってこれらの細胞が十分に再生し、良好な状態を保てるようになるのです。

Ⅲ.眼疾患の予防・回復

前項の細胞の再生とも重なりますが、ビタミンB2は眼に関係する細胞の正常化にも関係している事が知られています。

ビタミンB2は白内障や結膜炎、角膜炎といった眼疾患を予防・治療してくれる事が分かっています。

ビタミンB2が不足して生じている目のかゆみや充血、痛みなどは、フラビタンを投与する事で改善が期待できます。

4.フラビタンの副作用

フラビタンはビタミン剤になり、ビタミンというのは本来食べ物などに含まれている成分になります。

主成分はFADであり、これはビタミンB2とも呼ばれます。ビタミンB2は肉類や海藻・乳製品など多くの食品に含まれているビタミンですので、適正に摂取している分には大きな副作用が出ることはほとんどなく、報告されるような副作用も特にありません。

身体に害があるわけではないのですが、投与によって、

  • 尿蛋白(試験紙法)が偽陰性を示す事がある
  • 尿ポルフィリン体が偽陽性を示す事がある

事が報告されています。

偽陽性というのは、本当は陰性なのに検査で陽性と出てしまう事で、偽陰性というのは本当は陽性なのに検査で陰性と出てしまう事です。このように尿検査の精度が落ちてしまう点は知っておいた方が良いでしょう。

また副作用ではありませんが、フラビタンを投与していると尿が普段より黄色くなる事があります。これは尿から排泄されるFADの代謝物であるリボフラビンの色だと考えられており、特に身体に害はありません。

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5.フラビタンの用法・用量と剤形

フラビタンは、

フラビタン錠 5mg
フラビタン錠 10mg

の2剤形があります。

フラビタンの用法・用量は次のようになります。

通常成人1日5~45mgを1~3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

フラビタンは食品にも含まれるビタミンが主成分であるため、その飲み方もある程度幅を持たせた服薬法となっています。

注意点としては、フラビタンは胃で溶けずに腸で溶けて吸収されるようなコーティングがされています。その理由はビタミンB2は小腸から体内に吸収される栄養素であるためです。

これを「腸溶剤」と呼びますが、このような剤型のため服用時に噛んではいけません。かみ砕いてしまうと、胃酸で溶けてしまい作用が減弱してしまいます。

6.フラビタンが向いている人は?

以上から考えて、フラビタンが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

フラビタンの特徴をおさらいすると、

・FAD(ビタミンB2)である
・栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質)の代謝を促す作用がある
・皮膚や粘膜、爪、毛髪といった細胞の再生を促す作用がある
・ビタミンB2は肉類や海藻、乳製品に多く含まれバランスの良い食生活を送っていれば自然と摂取できる
・妊婦さんや授乳婦さん、激しい肉体労働従事者では適切な食生活を送っていても不足する事がある
・副作用はほとんどなく、安全性に優れる

というものでした。

誤解してはいけないのが、フラビタンはそもそも食事からビタミンB2を十分に摂取できている人には不要なお薬だという事です。

十分なビタミンB2が食事で補えているのに、「もっと代謝を良くしたい!」「もっと皮膚を健康にしたい!」と大量にフラビタンを服薬してもあまり意味はありません。フラビタンは水溶性ビタミンですので、摂取された余分なビタミンB2は尿として排泄されてしまうだけです。

十分なビタミンB2が摂取できていなかったり、ビタミンB2の消耗が通常より激しいと予測されるような状態において、口内炎・舌炎などが生じたり、皮膚炎・結膜炎・角膜炎が生じたりした際はフラビタンを使うことで改善が得られる可能性があります。

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