フロリードDクリームの効果と副作用【抗真菌剤】

フロリードDクリーム(一般名:ミコナゾール硝酸塩)は病院で処方される塗り薬で、「イミダゾール系抗真菌薬」という種類のお薬になります。1981年から発売されています。

抗真菌薬とは真菌(カビ)をやっつけるお薬の事です。フロリードDは塗り薬ですので、主に皮膚に感染した真菌(皮膚真菌症)に対して用いられます。

皮膚に感染する代表的な真菌症には、白癬(いわゆる水虫)やカンジダ、マラセチア(癜風)などがあり、フロリードDはこのような真菌をやっつけるために用いられます。

抗真菌薬にもいくつかの種類があります。どれも総合的な有効率に大きな差はないとも言われていますが、それぞれのお薬ならではの特徴もあります。

フロリードDは抗真菌薬の中でどのような作用を持っていて、どのような効果が期待できるお薬なのでしょうか。

フロリードDの効果・効能や特徴、副作用についてみてみましょう。

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1.フロリードDの特徴

まずはフロリードDの特徴をざっくりと紹介します。

フロリードDは、白癬・カンジダ・癜風など各種真菌に対して、幅広く効果を示します。わずかにですか一部の細菌の増殖を抑える作用もあります。

フロリードDはイミダゾール系という種類の抗真菌薬になります。古いお薬であるため、現在では多くは用いられていませんが、真菌をやっつけるだけでなく一部の細菌の増殖も抑えてくれるという特徴があります。

そのため真菌の感染が主であるけども、二次的に細菌も感染している(あるいは感染する可能性の高い)ような皮膚には良い適応となります。

またフロリードDは塗り薬であるため、全身にお薬が回ることが少なく、大きな副作用がない点も良い特徴です。

デメリットとしては作用時間の短さがあります。近年の抗真菌薬は改良されていて1日1回塗るだけで1日中効果が続くものも多いのですが、フロリードDは作用時間が短めであり1日2~3回塗る事が推奨されています。これはやや手間になります。

以上からフロリードDの特徴としては、次のようなことが挙げられます。

【フロリードDの特徴】
・白癬・カンジダ・癜風などに対して効果を発揮する
・一部の細菌の増殖を抑える作用もある(その作用は弱い)
・1日2~3回塗らないといけない
・塗り薬で全身に作用しにくいため、副作用も少ない

2.フロリードDはどのような疾患に用いるのか

フロリードDはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

下記の皮膚真菌症の治療

○白癬:体部白癬(斑状小水疱性白癬、頑癬)、股部白癬(頑癬)、足部白癬(汗疱状白癬)
○カンジダ症:指間びらん症、間擦疹、乳児寄生菌性紅斑、爪囲炎、外陰カンジダ症、皮膚カンジダ症
○癜風

抗真菌薬であるフロリードDは、皮膚に真菌(カビ)が感染してしまった時に用いられます。

日常において、皮膚に感染する可能性のある真菌というのはほとんどが白癬菌(皮膚糸状菌)になります。

白癬菌が足に感染すると「足(部)白癬」(いわゆる「水虫」)、
白癬菌が身体に感染すると「体部白癬」(いわゆる「たむし」)、
白癬菌が股(また)に感染すると「股部白癬」(いわゆる「いんきん」)と呼ばれます。

フロリードDはこのような白癬菌の感染に対して殺真菌的に作用します。

カンジダ菌は健常人の腸内にも常在している「常在菌」ですが、これがしばしば悪さをしてしまう事があります。特にストレスや疲れなどで免疫力が低下している時に発症しやすくなります。

具体的には、水仕事をしている方などの指の間に生じやすい「カンジダ性指間びらん症」、陰部・股間・脇・乳房の下などの密閉された環境で生じやすい「間擦疹」などがあります。

また乳児はまだ免疫力が低いためカンジダに感染してしまう事があり、これは乳児寄生菌性紅斑と呼ばれます。特にアトピーなどで皮膚にステロイドを塗っていたりすると、生じやすくなります。

フロリードDは、カンジダ菌に対しても効果を示します。

癜風も真菌(カビ)であるマラセチアが原因となる皮膚真菌症ですが、自覚症状が乏しいため気付かれにくい傾向があります。マラセチアは皮脂の多い部位に好発し、脂漏性皮膚炎の原因にもなります。

フロリードDの有効性としては、

  • 体部白癬(たむし)の菌消失率は89%
  • 股部白癬(いんきん)の菌消失率は93%
  • 足部白癬の菌消失率は75%
  • 皮膚カンジダ症の菌消失率は77~100%
  • 癜風の菌消失率は89%

と報告されています。

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3.フロリードDにはどのような作用があるのか

フロリードDにはどのような作用があるのでしょうか。

真菌をやっつける作用、そして細菌の増殖を抑える作用について詳しく紹介します。

Ⅰ.抗真菌作用

フロリードDの作用は真菌(白癬・カンジダなど)をやっつける事ですが、どのような機序で真菌をやっつけているのでしょうか。

フロリードDは真菌細胞膜の重要な構成成分である「エルゴステロール」の合成を阻害し、細胞膜を「もろく」する作用があります。

抗真菌薬は真菌細胞を殺すお薬ですが、細胞を殺す作用を持つお薬は同時に「人の細胞」も殺してしまう危険があります。そのため真菌にだけ効いて、人の細胞には効かないような工夫が必要になります。

エルゴステロールは真菌細胞の細胞膜に存在する物質ですが、人の細胞には存在しません。そのためエルゴステロールを標的にすれば、真菌細胞のみ効率的にやっつけることができるというわけです。

ちなみに他の種類の抗真菌薬も、エルゴステロール合成阻害作用にて殺真菌作用を発揮するお薬は多いのですが、イミダゾール系(フロリードD含む)とその他のお薬では作用する部位が異なります。

エルゴステロールは、アセチルCoAという物質からいくつかの段階を経てエルゴステロールになります。簡略化して書くと、

アセチルCoA⇒スクアレン⇒ラノステロール⇒エルゴステロール

といった経路でエルゴステロールは合成されます。

フロリードDなどのイミダゾール系は、ラノステロールから次の物質に変化させる酵素を阻害します。

他の抗真菌薬、例えばアリルアミン系(ラミシールなど)、ベンジルアミン系(メンタックスなど)やチオカルバミン酸系(ゼフナートなど)は、スクアレンから次の物質に変化させる酵素を阻害します。

このように、同じ抗真菌薬でも種類によって作用点が異なるのです。

Ⅱ.グラム陽性菌に対する作用

フロリードDは抗真菌剤ではありますが、真菌(カビ)だけでなく細菌にも効果があるという面白い特徴を持っています。

細菌には、

  • グラム陽性球菌
  • グラム陽性桿菌
  • グラム陰性球菌
  • グラム陰性桿菌

の4種類が存在し、この中で皮膚の感染症はグラム陽性球菌が多くを占めます。

フロリードDはグラム陽性球菌・グラム陽性桿菌に対する静菌作用(菌の増殖を抑える作用)が確認されています。

しかしその作用は強くはないため、明らかな皮膚の細菌感染の治療に用いるには力不足です。またフロリードDはグラム陰性菌には効果はありません。

4.フロリードDの副作用

フロリードDにはどのような副作用があるのでしょうか。また副作用の多いお薬なのでしょうか。

フロリードDの副作用発生率は0.80%と報告されており、多くはありません。しかし真菌を「殺す」お薬であるため、時にヒトの身体にも害を及ぼすことがあります。

塗り薬であり、全身に投与するものではないのでその副作用も局所に留まる事がほとんどです。フロリードDは皮膚に塗っても皮膚から体内にはほとんど吸収されない事が確認されています。そのため、全身性の重篤な副作用はほとんどありません。

報告されている副作用としては、

  • 発赤・紅斑
  • 瘙痒感
  • 接触性皮膚炎
  • びらん
  • 刺激感
  • 小水疱

などの局所の副作用です。

いずれも重篤となることは少なく、多くはフロリードDの使用を中止すれば自然と改善していきます。

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5.フロリードDの用量・用法と剤型

フロリードDは、

フロリードDクリーム1% 10g

の1剤型のみがあります。

ちなみにフロリードについている「D」は「Derma-(皮膚)」の略です。フロリードはクリーム剤以外にも坐剤や注射剤などもあるため、区別しやすいように「D」とつけているというだけです。

フロリードDの使い方は、

1日2~3回、患部に塗布する。

と書かれています。

フロリードDは作用時間が長くはないため1日2~3回塗らないといけず、これはやや手間になります。

ちなみに塗り薬には「軟膏」「クリーム」「外用液」などがありますが、これらはどう違うのでしょうか。

軟膏は、ワセリンなどの油が基材となっています。保湿性に優れ、刺激性が少ないことが特徴ですが、べたつきは強く、これが気になる方もいらっしゃいます。

クリームは、水と油を界面活性剤で混ぜたものです。軟膏よりも水分が入っている分だけ伸びがよく、べたつきも少なくなっていますが、その分刺激性はやや強くなっています。

外用液(ローション)は水を中心にアルコールなどを入れることもある剤型です。べたつきはほとんどなく、遣い心地は良いのですが、保湿効果は長続きしません。刺激性が強めというデメリットがある反面で、浸透力が高く、皮膚が厚い部位でも効果が期待できます。

スプレーは基本的に成分は外用液と同じで、特徴も外用液と同じです。患部に噴きかけることができるため、手が汚れず衛生的に使えるのがメリットです。

それぞれ一長一短あるため、皮膚の状態に応じて主治医とよく相談し、使い分ける事が大切です。

フロリードDにはクリーム剤しかありません。そのため、もしクリーム剤以外の方が適切な部位に生じた皮膚真菌症であれば、フロリードD以外のお薬の方が良いこともあります。

6.フロリードDが向いている人は?

以上から考えて、フロリードDが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

フロリードDの特徴をおさらいすると、

・白癬・カンジダ・癜風などに対して効果を発揮する
・一部の細菌の増殖を抑える作用もある(その作用は弱い)
・1日2~3回塗らないといけない
・塗り薬で全身に作用しにくいため、副作用も少ない

というものでした。

皮膚真菌症に対する塗り薬はいくつかの種類がありますが、極論を言えばどれを使っても大きな違いはありません。

「この水虫は絶対にフロリードDじゃないとダメだ!」というケースはほとんどなく、実際はどれを使ってもある程度の改善は期待できます。

そのため、自分の使いやすさや好みである程度選択しても構わないでしょう。

フロリードDの最大の特徴は、グラム陽性菌への抗菌作用がある点です。その効果は弱めではあるものの、真菌感染に加えて細菌感染も併発しているようなケースでは良い適応となるでしょう。

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