グリメピリド錠・OD錠の効果と副作用

グリメピリド錠・グリメピリドOD錠(一般名:グリメピリド)は2010年から発売されている糖尿病の治療薬で「スルホニルウレア(SU)薬系」という種類に属します。このお薬はジェネリック医薬品であり、1999年から発売されている「アマリール」というお薬のジェネリックです。

グリメピリドは、インスリンの分泌をする部位である膵臓に直接作用することで血糖値を下げるお薬になります。強力な作用があるのがメリットですが、血糖を下げ過ぎてしまい「低血糖」にしてしまうリスクもあり、慎重に使用しなければいけないお薬になります。

糖尿病治療薬にもたくさんの種類のお薬があります。これらの中でグリメピリドはどのような位置付けになるのでしょうか。

グリメピリドの効果や特徴、どのような方に向いているお薬なのかについてみていきましょう。

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1.グリメピリドの特徴

まずはグリメピリドの特徴について、かんたんに紹介します。

グリメピリドはインスリンの分泌量を増やすことで強力に血糖を下げるお薬になります。強力な効果が期待できる反面、血糖を下げすぎる(低血糖)リスクもあります。

グリメピリドはSU(スルホニルウレア)薬と呼ばれるお薬です。SU薬にはインスリンを増やす作用があります。

インスリンとは膵臓にあるβ細胞から分泌される血糖を下げるホルモンで、食事を食べて血糖が上がると血糖を下げるために分泌されます。SU薬はβ細胞に直接作用することでインスリンをβ細胞から絞り出すお薬になります。

SU薬を投与すると、膵臓β細胞が頑張ってインスリンを出すようになるため、血糖がしっかり下がります。

通常、インスリンは血糖が上昇するとそれをβ細胞が検知して分泌されるため食後に多く分泌され、空腹時にはあまり分泌されていません。しかしSU薬は血糖の多さに関わらずβ細胞を刺激してインスリンを分泌させます。そのため食前・食後に関わらず全体的に血糖を下げてくれるお薬になります。これは空腹時にも高血糖であるような糖尿病の方には良い作用なのですが、空腹時の低めの血糖をも更に下げてしまうリスクにもなります。

SU薬はこのような作用を持つため、血糖を下げる力だけを見れば非常に優れたお薬となります。しかし一方でお薬の力で無理矢理インスリンを絞り出すお薬となるため、時に血糖を下げすぎてしまい、低血糖になるリスクもあるお薬なのです。

グリメピリドの良い点は、インスリンを絞り出す力は他のSU薬よりも弱い点です。そのためSU薬の中では低血糖の頻度は少ないお薬になります。

インスリンを絞り出す力は弱いのですが、血糖を下げる力は他のSU薬と変わりません。これはグリメピリドがインスリンの分泌を促す作用以外にも、インスリンの効きを高める作用(インスリン抵抗性の改善)も有しているためだと考えられています。

この2つの作用を合わせ持っていることで、グリメピリドは他のSU薬よりも低血糖を起こしにくいのに、血糖は他のSU薬と同等に下げてくれるという効果の高さをもたらしています。

しかしあくまでも「SU薬の中では低血糖になりにくい」というだけで低血糖のリスクがないわけではありません。近年では低血糖を起こしにくい糖尿病治療薬が多く発売されているため、SU薬が最初から使用されることはほとんどありません。SU薬は「効果は強力だけど、低血糖にもなりやすい」お薬であるため、他の糖尿病治療薬で治療が不十分な方に慎重に用いるお薬になります。

またSU薬には「二次無効」という現象が生じることがあり、これもこのお薬のデメリットとなります。二次無効とは簡単に言えば、SU薬を続けていると次第に効きが悪くなっていく現象です。

これはSU薬がインスリンを無理矢理絞り出していることが原因だと考えられています。インスリンを出す力が弱まっている膵臓β細胞から無理矢理インスリンを出させるのがSU薬です。これを長く続けていると次第にβ細胞が疲弊してしまい、いよいよどんなに絞り出そうとしてもインスリンを出せなくなってしまうのです。これが二次無効が生じる理由です。

この二次無効が生じることからも、SU薬は「最後の手」とすべきお薬であり、最初から安易に使い続けていいものではないことが分かります。

以上からグリメピリド錠の特徴として次のようなことが挙げられます。

【グリメピリド錠の特徴】

・SU(スルホニルウレア)薬に属するお薬である
・インスリンの分泌量を増やすことで血糖を下げる
・血糖を下げる効果は強力だが、低血糖に注意
・他のSU薬と異なり、インスリンの効きを高める作用もあると推測される
・SU薬の中では低血糖が少ない
・使い続けていると次第に効きが悪くなっていく(二次無効)
・低血糖のリスクのため、現在では最初から用いられることは少ない
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

2.グリメピリド錠はどんな疾患に用いるのか

グリメピリド錠はどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

2型糖尿病

ただし、食事療法・運動療法のみで十分な効果が得られない場合に限る。

グリメピリド錠は血糖を下げる作用を持つお薬ですので、糖尿病に使われます。

糖尿病には1型と2型があります。

1型は遺伝性の疾患で、膵臓に存在するβ細胞と呼ばれるインスリンを分泌する細胞が破壊されてしまっている疾患です。β細胞が破壊されてしまっていればインスリンが分泌できないため、血糖は高くなってしまいます。

2型は一般的な糖尿病で、糖分を摂取しすぎやインスリンの効きが悪くなることで生じてしまうものです。

グリメピリドは2型糖尿病に対して用いられます。そして2型糖尿病ではまずはお薬を使う前に食事療法(規則正しくバランスの良い食事を指導する)や運動療法(適度な運動を指導する)が行われます。

これら食事療法や運動療法を行っても改善が得られない時、グリメピリドのようなお薬が検討されます。

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3.グリメピリドにはどのような作用があるのか

グリメピリドはインスリンを分泌する膵臓のβ細胞に直接作用することで、β細胞からインスリンをしぼりだすお薬です。

インスリンというのは、膵臓から分泌されるホルモンで血糖を下げるはたらきがあります。

ここではグリメピリドの詳しい作用について紹介します。

Ⅰ.インスリンの分泌を増やす

グリメピリドは膵臓β細胞が分泌するインスリンの量を増やす作用があります。これはβ細胞からインスリンを「絞り出す」ようなイメージです。

どのような機序によってグリメピリドはβ細胞からインスリンを分泌させているのでしょうか。

本来インスリンは血糖(グルコース)の濃度が高くなると、血糖を下げるために分泌されます。

これは膵臓β細胞の細胞膜にGLUT2という糖の輸送体があり、ここから糖分がβ細胞内に取り込まれます。そして細胞内において糖分からATPというエネルギー源が作られます。

β細胞内のATPが増えると、同じくβ細胞膜にあるATP感受性カリウムチャネルが閉じます。すると細胞膜が脱分極し細胞内にカルシウムイオンが流入し、その刺激でインスリンが分泌されるのです。

分泌されたインスリンは血液中の糖分を諸臓器(脳、心臓や筋肉など)に取り込ませることで血糖を下げます。糖はエネルギー源となるため、諸臓器はインスリンによって取り込まれた糖によって活動ができるようになります。

SU薬は、β細胞膜にあるSU受容体という部位に結合します。SU受容体はATP感受性カリウムチャネルを閉じるはたらきがあります。すると脱分極が生じ、β細胞からインスリンが放出されるのです。

Ⅱ.インスリン抵抗性を改善する

グリメピリドはインスリンの分泌を促進する作用は他のSU薬よりも弱いことが確認されています。

にも関わらず他のSU薬と同等の強さの血糖を下げる力があります。これは何故でしょうか。

これに対する説明として、グリメピリドにはインスリンの分泌を促す作用以外にも、インスリンの効きを高める(インスリン抵抗性を改善する)作用があるのではないかと考えられています。

この作用は実際に動物実験において確認されています。動物実験においてグリメピリドを投与することでGLUT4という糖の輸送体を活性化させ、末梢組織の糖の取り込みが促進させることが報告されています。

4.グリメピリドの副作用

グリメピリドは副作用に注意が必要なお薬です。強力に血糖を下げるため、「低血糖」を起こす危険があるからです。

グリメピリドはジェネリック医薬品であるため副作用発生率の詳しい調査は行われていません。しかし先発品の「アマリール」においては副作用発生率は4.3~16.5%前後と報告されており、グリメピリドも同程度だと思われます。

中でも注意すべきは前述のとおり、

  • 低血糖

になります。グリメピリドが低血糖を起こす頻度は約4%と報告されています。実際は他のSU薬と比べると頻度は低めである印象がありますが、他の種類の糖尿病治療薬よりは頻度は多くなります。

その他に生じる副作用には、

  • 嘔気
  • 下痢
  • 胃部不快感
  • めまい
  • 体重増加

などが報告されています。症状がひどい場合は減量あるいは中止となりますが、症状が軽度であればそのまま様子をみることもあります。

また、検査値の異常として

  • 肝臓系酵素の上昇(AST、ALT、γ-GTP、LDH、ALPなど)
  • 腎臓系酵素の上昇(BUNなど)
  • 血清カリウム上昇
  • 白血球減少

などが報告されています。グリメピリド服用中は定期的に血液検査を行うことが望ましいでしょう。

稀ですが重大な副作用として、

  • 溶血性貧血
  • 無顆粒球症
  • 汎血球減少
  • 肝機能障害、黄疸
  • 再生不良性貧血

などが報告されています。

グリメピリドは投与してはいけない方がいます。下記に該当する方はグリメピリドを服用できませんので、該当しないかどうか注意しましょう。

  • 重篤な肝機能障害のある患者さん
  • 重篤な腎機能障害のある患者さん
  • 下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者さん
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある方

また下記に該当する方は、グリメピリドで治療するのではなくよりインスリン製剤による厳格な治療が必要になり、同様にグリメピリドを使用することは出来ません。

  • 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者さん
  • 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者さん

このようにグリメピリドは副作用には注意が必要なお薬になります。

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5.グリメピリドの用法・用量と剤形

グリメピリドは、

グリメピリド錠 0.5mg
グリメピリド錠 1mg
グリメピリド錠 3mg

グリメピリドOD錠 0.5mg
グリメピリドOD錠 1mg
グリメピリドOD錠 3mg

の6剤があります。

OD錠というのは「口腔内崩壊錠」のことで、これは口の中で溶けるお薬のことです。OD錠は水無しで服用できるため、出先で服用する機会の多い方や飲み込む力が低下している高齢者に向いた剤型になります。

グリメピリドの使い方は、

通常、1日0.5~1mgより開始し、1日1~2回朝または朝夕、食前または食後に経口投与する。維持量は通常1日1~4mgで、必要に応じて適宜増減する。なお、1日最高投与量は6mgまでとする。

となっています。

グリメピリドは血糖を下げる作用が非常にしっかりしており、非常にざっくりした言い方ですが、血糖の平均値であるHba1cをおおよそ1.3~1.4前後下げることが出来ます(1~4mg/日の服用を一定期間続けた場合)。

またグリメピリドは用量依存的に血糖を下げると考えられています。これは投与量が増えればそれだけ血糖を下げる力も強くなるということです。

作用時間としては12~24時間程度と考えられており、血糖の推移をみながら1日1回投与がいいのか2回投与がいいのかを決めていきます。

6.グリメピリド錠が向いている人は?

以上から考えて、グリメピリド錠が向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

グリメピリド錠の特徴をおさらいすると、

・SU(スルホニルウレア)薬に属するお薬である
・インスリンの分泌量を増やすことで血糖を下げる
・血糖を下げる効果は強力だが、低血糖に注意
・他のSU薬と異なり、インスリンの効きを高める作用もあると推測される
・SU薬の中では低血糖が少ない
・使い続けていると次第に効きが悪くなっていく(二次無効)
・低血糖のリスクのため、現在では最初から用いられることは少ない
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

というものでした。

グリメピリドは血糖を下げる力は強力であるものの、低血糖のリスクがあるお薬になります。

またインスリンを無理矢理「絞り出す」お薬になり、安易に使い続けていると次第に膵臓β細胞が疲れてインスリンを分泌できなくなってしまいます。

血糖を下げる強力な作用は頼れるものの、最初から使うお薬としては適していません。

他の糖尿病治療薬でどうしても治療が不十分な時、やむを得ず慎重に使うお薬になります。また低血糖のリスクがあることから安易に高用量を使うべきではなく少量から初めて慎重に少しずつ増やしていく必要のあるお薬でしょう。

糖尿病のお薬にはいくつか種類がありますが、大きく分けると3種類に分けられます。

1つ目が、血糖を下げるホルモンである「インスリン」の分泌を促すことで血糖を下げようとするお薬です。これには「スルホニル尿素(SU)薬」「速効型インスリン分泌促進薬」「DPP4阻害薬」「GLP1作動薬」などがあります。

2つ目は、インスリン自体を分泌させるのではなく、インスリンの効きを高めることで血糖を下げるお薬です。これには「ビグアナイド(BG)剤」「チアゾリジン誘導体」などがあります。インスリンの作用は血液中の糖分を筋肉や脂肪などに取り込ませることですが、同じように血液中の糖分を筋肉や脂肪に取り込ませやすくするのがこれらのお薬の主な作用になります。

最後が、糖分を吸収しにくくしたり排泄しやすくするお薬です。血糖の吸収を穏やかにする「αグルコシダーゼ阻害剤」や、尿から糖をたくさん出すようにする「SGLT2阻害薬」などがあります。

この中でSU薬であるグリメピリドは1つ目のインスリンの分泌を促すお薬になります。

7.先発品と後発品は本当に効果は同じなのか?

グリメピリドは「アマリール」というお薬のジェネリック医薬品になります。

ジェネリックは薬価も安く、剤型も工夫されているものが多く患者さんにとってメリットが多いように見えます。

しかし「安いという事は品質に問題があるのではないか」「やはり正規品の方が安心なのではないか」とジェネリックへの切り替えを心配される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

同じ商品で価格が高いものと安いものがあると、つい私たちは「安い方には何か問題があるのではないか」と考えてしまうものです。

ジェネリックは、先発品と比べて本当に遜色はないのでしょうか。

結論から言ってしまうと、先発品とジェネリックはほぼ同じ効果・効能だと考えて問題ありません。

ジェネリックを発売するに当たっては「これは先発品と同じような効果があるお薬です」という根拠を証明した試験を行わないといけません(生物学的同等性試験)。

発売したいジェネリック医薬品の詳細説明や試験結果を厚生労働省に提出し、許可をもらわないと発売はできないのです、

ここから考えると、先発品とジェネリックはおおよそ同じような作用を持つと考えられます。明らかに効果に差があれば、厚生労働省が許可を出すはずがないからです。

しかし先発品とジェネリックは多少の違いもあります。ジェネリックを販売する製薬会社は、先発品にはないメリットを付加して患者さんに自分の会社の薬を選んでもらえるように工夫をしています。例えば飲み心地を工夫して添加物を先発品と変えることもあります。

これによって患者さんによっては多少の効果の違いを感じてしまうことはあります。この多少の違いが人によっては大きく感じられることもあるため、ジェネリックに変えてから調子が悪いという方は先発品に戻すのも1つの方法になります。

では先発品とジェネリックは同じ効果・効能なのに、なぜジェネリックの方が安くなるのでしょうか。これを「先発品より品質が悪いから」と誤解している方がいますが、これは誤りです。

先発品は、そのお薬を始めて発売するわけですから実は発売までに莫大な費用が掛かっています。有効成分を探す開発費用、そしてそこから動物実験やヒトにおける臨床試験などで効果を確認するための研究費用など、お薬を1つ作るのには実は莫大な費用がかかるのです(製薬会社さんに聞いたところ、数百億という規模のお金がかかるそうです)。

しかしジェネリックは、発売に当たって先ほども説明した「生物学的同等性試験」はしますが、有効成分を改めて探す必要もありませんし、先発品がすでにしている研究においては重複して何度も同じ試験をやる必要はありません。

先発品と後発品は研究・開発費に雲泥の差があるのです。そしてそれが薬価の差になっているのです。

つまりジェネリック医薬品の薬価は莫大な研究開発費がかかっていない分が差し引かれており先発品よりも安くなっているということで、決して品質の差が薬価の差になっているわけではありません。

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