グリミクロン錠・HA錠の効果と副作用

グリミクロンHA錠・グリミクロン錠(一般名:グリクラジド)は1984年から発売されている糖尿病の治療薬になります。糖尿病の治療薬の中でも「スルホニルウレア(SU)薬系」という種類に属します。

グリミクロンは、インスリンの分泌をする臓器である膵臓に直接作用することでインスリンの分泌量を増やし、血糖値を下げるお薬になります。強力な作用があるのがメリットですが、血糖を下げ過ぎてしまい「低血糖」にしてしまうリスクもあり、慎重に使用しなければいけないお薬になります。

糖尿病治療薬にもたくさんの種類のお薬があります。これらの中でグリミクロンはどのような位置付けになるのでしょうか。

グリミクロンの効果や特徴、どのような方に向いているお薬なのかについてみていきましょう。

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1.グリミクロンの特徴

まずはグリミクロン錠の特徴について、かんたんに紹介します。

グリミクロンはインスリンの分泌量を増やすことで強力に血糖を下げるお薬になります。強力な効果が期待できる反面、血糖を下げすぎる(低血糖)リスクもあります。

またグリミクロンは血栓が出来にくくなる作用もあり、これが他のSU薬との違いの1つになります。糖尿病は放置しておくと脳梗塞や心筋梗塞、網膜症などのリスクを上げてしまいますが、グリミクロンは血栓を出来にくくするという機序からも、これらの疾患の発症リスクを下げることが期待できます。

グリミクロンはSU(スルホニルウレア)薬と呼ばれるお薬です。SU薬にはインスリンを増やす作用があります。

インスリンとは膵臓にあるβ細胞から分泌されている血糖を下げるホルモンで、食事を食べて血糖が上がると血糖を下げるために分泌されます。SU薬はβ細胞に直接作用することでインスリンをβ細胞から絞り出すお薬になります。

SU薬を投与すると、膵臓β細胞が頑張ってインスリンを出すようになるため、血糖がしっかり下がります。

通常、インスリンは血糖が上昇するとそれをβ細胞が検知して分泌されるため食後に多く分泌され、空腹時にはあまり分泌されていません。しかしSU薬は血糖の多さに関わらずβ細胞を刺激してインスリンを分泌させます。そのため食前・食後に関わらず全体的に血糖を下げてくれるお薬になります。これは空腹時にも高血糖であるような糖尿病の方には良い作用なのですが、空腹時の低めの血糖をも更に下げてしまうリスクにもなります。

SU薬はこのような作用を持つため、血糖を下げる力だけを見れば非常に優れたお薬となります。しかし一方でお薬の力で無理矢理インスリンを絞り出すお薬となるため、時に血糖を下げすぎてしまい、低血糖になるリスクもあるお薬なのです。

近年では低血糖を起こしにくい糖尿病治療薬が多く発売されているため、SU薬が最初から使用されることはほとんどありません。SU薬は「効果は強力だけど、低血糖にもなりやすい」お薬であるため、他の糖尿病治療薬で治療が不十分な方に慎重に用いるお薬になります。

またSU薬には「二次無効」という現象が生じることがあります。グリミクロンは他のSU薬よりは二次無効が生じにくいと言われていますが、生じないわけではありません。二次無効もこのお薬のデメリットとなります。二次無効とは簡単に言えば、SU薬を続けていると次第に効きが悪くなっていく現象です。

これはSU薬がインスリンを無理矢理絞り出していることが原因だと考えられています。インスリンを出す力が弱まっている膵臓β細胞から無理矢理インスリンを出させるのがSU薬です。これを長く続けていると次第にβ細胞が疲弊してしまい、いよいよどんなに絞り出そうとしてもインスリンを出せなくなってしまうのです。これが二次無効が生じる理由です。

この二次無効が生じることからも、SU薬は「最後の手」とすべきお薬であり、最初から安易に使い続けていいものではないことが分かります。

以上からグリミクロン錠の特徴として次のようなことが挙げられます。

【グリミクロン錠の特徴】

・SU(スルホニルウレア)薬に属するお薬である
・インスリンの分泌量を増やすことで血糖を下げる
・血液を固まりにくくし、血栓を出来にくくする作用がある
・血糖を下げる効果は強力だが、低血糖に注意
・使い続けていると次第に効きが悪くなっていく(二次無効)
・低血糖のリスクのため、現在では最初から用いられることは少ない

2.グリミクロン錠はどんな疾患に用いるのか

グリミクロン錠はどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

インスリン非依存型糖尿病(成人型糖尿病)

ただし,食事療法・運動療法のみで十分な効果が得られない場合に限る

グリミクロン錠は血糖を下げる作用を持つお薬ですから、糖尿病に使われます。

「インスリン非依存型糖尿病」と難しい名前が記載されていますが、これは要するに「2型糖尿病」のことだと考えて下さい。

糖尿病には1型と2型があります。

1型は遺伝性の疾患で、膵臓に存在するβ細胞と呼ばれるインスリンを分泌する細胞が破壊されてしまっている疾患です。β細胞が破壊されてしまっていればインスリンが分泌できないため、血糖は高くなってしまいます。

2型は一般的な糖尿病で、糖分を摂取しすぎたり肥満などによってインスリンの効きが悪くことで生じてしまうものです。

グリミクロンは2型糖尿病に対して用いられます。そして2型糖尿病ではまずはお薬を使う前に食事療法(規則正しくバランスの良い食事を指導する)や運動療法(適度な運動を指導する)が行われます。

これら食事療法や運動療法を行っても改善が得られない時、グリミクロンのようなお薬が検討されます。

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3.グリミクロンにはどのような作用があるのか

グリミクロンはインスリンを分泌する膵臓のβ細胞に直接作用することで、β細胞からインスリンを絞り出すお薬です。

ここではグリミクロンの詳しい作用について紹介します。

Ⅰ.インスリンの分泌を増やす

グリミクロンは膵臓β細胞が分泌するインスリンの量を増やす作用があります。

どのような機序によってグリミクロンはβ細胞からインスリンを分泌させているのでしょうか。

これはβ細胞からインスリンを「絞り出す」ようなイメージです。

本来インスリンは血糖(グルコース)の濃度が高くなると、血糖を下げるために分泌されます。

これは膵臓β細胞の細胞膜にGLUT2という糖の輸送体があり、ここから糖分がβ細胞内に取り込まれます。そして細胞内において糖分からATPというエネルギー源が作られます。

β細胞内のATPが増えると、同じくβ細胞膜にあるATP感受性カリウムチャネルが閉じます。すると細胞膜が脱分極し細胞内にカルシウムイオンが流入し、その刺激でインスリンが分泌されるのです。

分泌されたインスリンは血液中の糖分を諸臓器(脳、心臓や筋肉など)に取り込ませることで血糖を下げます。糖はエネルギー源となるため、諸臓器はインスリンによって取り込まれた糖によって活動ができるようになります。

SU薬は、β細胞膜にあるSU受容体という部位に結合します。SU受容体はATP感受性カリウムチャネルを閉じるはたらきがあります。すると脱分極が生じ、β細胞からインスリンが放出されるのです。

グリミクロンは他のSU薬と比べると、食後に強く作用するというと特徴があります。そのため、糖尿病でない普通の方と同じようなインスリン分泌パターンに近くなるという利点があります。理論的には他のSU薬よりも低血糖は低くなりそうですが、実際はグリミクロンでも低血糖は生じうるため注意は必要です。

このような特徴からグリミクロンは二次無効が生じにくいのではないかと考えられます。

Ⅱ.血液を固まりにくくする

グリミクロンは血小板凝集抑制作用や抗血栓作用があります。

これは簡単に言うと血液を固まりにくくさせる作用になります。

血小板は血球の1つで、出血した時に止血をするために働きます。傷が出来てしまった時、自然と出血が止まるのは血小板のおかげなのです。

一方で、血小板は血栓を作ってしまい脳梗塞や心筋梗塞などの原因となることもあります。特に高血圧の方や糖尿病の方は血管が傷んでおり、血栓が出来やすくなっています。

グリミクロンは他のSU薬と比べて、糖尿病性網膜症の増悪率が少なかったという報告があります。糖尿病性網膜症は、糖尿病によって網膜の血管が傷みそこから出血してしまう疾患で、失明の原因にもなります。

グリミクロンは血栓を作りにくくすることで糖尿病性網膜症の増悪を防いでいると考えられます。

4.グリミクロンの副作用

グリミクロンは副作用に注意が必要なお薬です。強力に血糖を下げるため「低血糖」を起こす危険があるからです。

グリミクロンの副作用発生率4.3%前後と報告されています。

中でも注意すべきは前述のとおり、

  • 低血糖

になります。グリミクロンが低血糖を起こす頻度は約1.9%と報告されています。

その他に生じる副作用には、

  • 体重増加
  • 消化管障害(吐き気、便秘、腹部膨満、腹痛、下痢など)
  • 発疹
  • 掻痒(かゆみ)
  • 頭痛、頭重

などが報告されています。症状がひどい場合は減量あるいは中止となりますが、症状が軽度であればそのまま様子をみることもあります。

また検査値の異常として

  • 肝臓系酵素の上昇(AST、ALT、ɤGTPなど)
  • 白血球減少
  • 貧血

などが報告されています。グリミクロン服用中は定期的に血液検査を行うことが望ましいでしょう。

稀ですが重大な副作用として、

  • 無顆粒球症
  • 肝炎、肝機能障害、黄疸

などが報告されています。

グリミクロンは投与してはいけない方がいます。下記に該当する方はグリミクロンを服用できませんので、該当しないかどうか注意しましょう。

  • 重篤な肝機能障害のある患者さん
  • 重篤な腎機能障害のある患者さん
  • 下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者さん
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある方

また下記に該当する方は、グリミクロンで治療するのではなくよりインスリン製剤による厳格な治療が必要になり、同様にグリミクロンを使用することは出来ません。

  • 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者さん
  • 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1 型糖尿病の患者さん

このようにグリミクロンは副作用には注意が必要なお薬になります。

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5.グリミクロンの用法・用量と剤形

グリミクロンは、

グリミクロンHA錠 20mg
グリミクロン錠 40mg

の2剤があります。

20mgの方のグリミクロンは「HA」と付いていますが、これは「Half(半分)」の頭文字のHAで、中身がグリミクロン40mgと違うわけではありません。

グリミクロンの使い方は、

通常成人では1日40mgより開始し、1日1~2回(朝または朝夕)食前または食後に経口投与する。維持量は通常1日40~120mgであるが、160mgを超えないものとする。

となっています。

作用時間としては12~24時間程度と考えられており、血糖の推移をみながら1日1回投与がいいのか2回投与がいいのかを決めていきます。

6.グリミクロン錠が向いている人は?

以上から考えて、グリミクロン錠が向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

グリミクロン錠の特徴をおさらいすると、

・SU(スルホニルウレア)薬に属するお薬である
・インスリンの分泌量を増やすことで血糖を下げる
・血液を固まりにくくし、血栓が出来にくくする作用がある
・血糖を下げる効果は強力だが、低血糖に注意
・使い続けていると次第に効きが悪くなっていく(二次無効)
・低血糖のリスクのため、現在では最初から用いられることは少ない

というものでした。

グリミクロンは血糖を下げる力は非常に強力であるものの、低血糖のリスクも高いお薬になります。

またインスリンを無理矢理「絞り出す」お薬であり、漫然と長期間使い続けていると次第に膵臓β細胞が疲れてインスリンを分泌できなくなってしまいます(ただし他のSU薬よりは二次無効が生じにくくなっています)。

血糖を下げる強力な作用は頼れるものの、このような理由から最初から使うお薬としては適していません。

他の糖尿病治療薬でどうしても治療が不十分な時、やむを得ず慎重に使うお薬になります。また低血糖のリスクがあることから安易に高用量を使うべきではなく少量から初めて慎重に少しずつ増やしていく必要のあるお薬でしょう。

またSU薬の中では、抗血栓作用があることから、血栓リスクが高いような方に向いているお薬となります。

糖尿病のお薬にはいくつか種類がありますが、大きく分けると3種類に分けられます。

1つ目が、血糖を下げるホルモンである「インスリン」の分泌を促すことで血糖を下げようとするお薬です。これには「スルホニル尿素(SU)薬」「速効型インスリン分泌促進薬」「DPP4阻害薬」「GLP1作動薬」などがあります。

2つ目は、インスリン自体を分泌させるのではなく、インスリンの効きを高めることで血糖を下げるお薬です。これには「ビグアナイド(BG)剤」「チアゾリジン誘導体」などがあります。インスリンの作用は血液中の糖分を筋肉や脂肪などに取り込ませることですが、同じように血液中の糖分を筋肉や脂肪に取り込ませやすくするのがこれらのお薬の主な作用になります。

最後が、糖分を吸収しにくくしたり排泄しやすくするお薬です。血糖の吸収を穏やかにする「αグルコシダーゼ阻害剤」や、尿から糖をたくさん出すようにする「SGLT2阻害薬」などがあります。

この中でSU薬であるグリミクロンは1つ目のインスリンの分泌を促すお薬になります。

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