ハイデルマートクリームの効果と副作用【非ステロイド抗炎症剤】

ハイデルマートクリーム(一般名:グリチルレチン酸)は1976年から発売されている塗り薬(外用剤)で「非ステロイド系抗炎症剤」という種類に属します。

非ステロイド系抗炎症剤とは、

  • ステロイドではなく
  • 主に炎症を抑えたり痛みを和らげる作用を持つ

お薬の総称で、NSAIDsとも呼ばれています。

ハイデルマートもNSAIDsですが、他のNSAIDs外用剤と異なりグリチルリチン酸という成分からなっています。グリチルリチン酸は漢方薬にも使われている「甘草(カンゾウ)」という生薬に含まれる成分です。他のNSAIDsとは異なる効き方をするため、他のNSAIDs外用剤が効かないような症例にも効果が期待できる事があります。

皮膚に塗る外用剤はたくさんの種類があります。その中でハイデルマートはどのような特徴のあるお薬で、どのような患者さんに向いているお薬なのでしょうか。

ここではハイデルマートの特徴や効果・効能、副作用についてみていきましょう。

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1.ハイデルマートの特徴

まずはハイデルマートの特徴をざっくりと紹介します。

ハイデルマートは「甘草(カンゾウ)」という生薬の主成分から作られており、主に皮膚の炎症を和らげる作用(抗炎症作用)とアレルギーを抑える作用(抗アレルギー作用)があります。効果は穏やかで強くはありません。

ハイデルマートは「非ステロイド性消炎鎮痛剤」と呼ばれますが、一般的なNSAIDsとは作用が異なります。

代表的なNSAIDs外用剤として「ロキソニンゲル」「コンベック」などがありますが、これらはCOX(シクロオキシゲナーゼ)という物質のはたらきをブロックすることで炎症を抑えるという効き方をします。

対してハイデルマートは、主成分であるグリチルリチン酸が免疫系(身体が異物と闘うためのシステム)を抑えたり、ホスホリパーゼA2(PLA2)という炎症を誘発する物質のはたらきを抑えたりする事で抗炎症作用を発揮します。

また一般的なNSAIDsと異なり抗アレルギー作用もあります。皮膚のアレルギー症状を抑えてくれるため皮膚の炎症のみならず、「かゆみ」に対しても効果があります。

一般的なNSAIDs外用剤は皮膚に痛みを伴う疾患(急性湿疹や帯状疱疹など)に用いられる事が多いのですが、抗アレルギー作用を持つハイデルマートはかゆみを伴う疾患(皮膚掻痒症、皮膚神経炎など)に用いられます。

以上から、ハイデルマートの特徴として次のようなことが挙げられます。

【ハイデルマートの特徴】
・抗炎症作用(炎症を抑える)・抗アレルギー作用(アレルギーを和らげる)がある
・主に痒みを伴う皮膚疾患に用いられる
・作用は穏やか

2.ハイデルマートはどのような疾患に用いるのか

ハイデルマートはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】
湿疹、皮膚瘙痒症、神経皮膚炎

ハイデルマートは炎症を抑え、かゆみを抑える作用を持つため、主にかゆみを伴う皮膚疾患に用いられます。

ハイデルマートは各疾患に対してどのくらいの有効性があるのでしょうか。ハイデルマートの有効率に対する詳しい調査は行われていませんが、同種のお薬である「デルマクリン」では行われており、この結果が1つの参考になります。

ハイデルマートは主成分であるグリチルリチン酸を2%含有していますが、デルマクリンは1%含有しています。

デルマクリンの有効率は、

  • 湿疹に対する有効率(有効以上)は68.0%
    (やや有効以上は80.5%)
  • 皮膚掻痒症に対する有効率(有効以上)は74.0%
    (やや有効以上は88.0%)
  • 皮膚炎に対する有効率(有効以上)は74.4%
    (やや有効以上は81.6%)

と報告されています。ハイデルマートはデルマクリンよりも濃度が高いため、上記と同等かやや高い有効率になると思われます。

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3.ハイデルマートにはどのような作用があるのか

ハイデルマートは、どのような作用を持つお薬なのでしょうか。

ハイデルマートを塗る事で期待できる作用について紹介します。

Ⅰ.抗炎症作用

ハイデルマートに含まれるグリチルリチン酸は、炎症を和らげる作用を持ちます。

炎症とは、

  • 発赤 (赤くなる)
  • 熱感 (熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛みを感じる)

の4つの徴候を生じる状態のことで、感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーで生じることもあります。

例えば身体をぶつけたり、身体にばい菌が入ったりすると、その部位が赤くなったり熱感を持ったり、腫れたり、痛んだりという状態になりますよね。これが炎症です。

皮膚に炎症が起こることを皮膚炎と呼びます。皮膚炎も外傷でも生じるし、ばい菌に感染することでも生じるし、アレルギーでも生じます。

どのような原因であれ、炎症そのものを抑えてくれる作用が抗炎症作用です。ハイデルマートは抗炎症作用があり、発赤・熱感・腫脹・疼痛といった症状を和らげてくれます。

通常のNSAIDsは、シクロオキシゲナーゼ(COX)という物質をブロックする事で炎症を抑えます。COXは炎症を誘発する物質であるため、これをブロックすれば炎症が収まるのです。

対してハイデルマートの抗炎症作用は、

  • ステロイド様の作用
  • ホスホリパーゼA2(PLA2)阻害作用

によって生じると考えられます。

ハイデルマートの主成分であるグリチルリチン酸は、ステロイドと似た作用を発揮する事が知られています。ステロイドにも強い抗炎症作用がありますが、これは免疫(身体がばい菌などの異物と闘うシステム)を抑えることで得られます。

ハイデルマートの抗炎症作用もステロイドに似た作用で生じると考えられています。

またグリチルリチン酸は、炎症を誘発する物質であるホスホリパーゼA2(PLA2)のはたらきをブロックする事が分かっており、これも抗炎症作用をもたらしていると考えられています。

Ⅱ.抗アレルギー作用

ハイデルマートに含まれるグリチルリチン酸は、抗ヒスタミン作用を持つことが知られています。具体的には、ヒスタミンを合成する酵素であるヒスチジン脱炭酸酵素のはたらきをブロックする事でヒスタミンが作られないように作用します。

ヒスタミンには様々な作用がありますが、その1つとしてアレルギーを誘発するという作用があります。

肥満細胞と呼ばれる細胞からヒスタミンが分泌されると、種々のアレルギー反応が生じます。

ハイデルマートは、ヒスタミンのはたらきをブロックする事で抗アレルギー作用を発揮します。ハイデルマートは外用剤ですので、皮膚のアレルギー反応を抑えるため、皮膚のかゆみなどを抑える作用に優れます。

4.ハイデルマートの副作用

ハイデルマートにはどのような副作用があるのでしょうか。また副作用はどのくらいの頻度で生じるのでしょうか。

ハイデルマートは副作用発生率の詳しい調査が行われていませんが、同じ主成分であるグリチルリチン酸を含む「デルマクリン」において行われており、この結果が1つの参考になります。

デルマクリンクリームの副作用発生率は3.2%と報告されています。

デルマクリンは主成分であるグリチルリチン酸を1%含有していますが、ハイデルマートは倍の2%を含有しています。そのためハイデルマートの副作用発生率は3.2%よりやや多くなると思われます。

報告されている副作用としては、

  • 発赤
  • 掻痒
  • 接触皮膚炎
  • 落屑
  • 湿疹
  • 熱感
  • 疼痛
  • 紅斑
  • 丘疹

などがあります。いずれも重篤となることは少なく、ハイデルマートの使用を中止すれば改善することがほとんどです。

またハイデルマートは長期間連用していると、皮膚に過敏症状が現れる事がありますので、漫然と使用を続けないようにしましょう。

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5.ハイデルマートの用量・用法と剤型

ハイデルマートには、

ハイデルマートクリーム2% 10g(アルミチューブ)
ハイデルマートクリーム2% 500g(プラスチック容器)

といった剤型があります。

ちなみにハイデルマートと同じ成分(グリチルリチン酸)を含み、より濃度の低いお薬には「デルマクリン」があります。デルマクリンはグリチルリチン酸の濃度が1%ですが、ハイデルマートは2%と倍の濃度となっています。

ハイデルマートの使い方は、

通常、症状により適量を1日数回患部に塗布または塗擦する。

と書かれています。

ちなみに塗り薬には、「軟膏」「クリーム」「ローション」などがありますが、これらはどう違うのでしょうか。

軟膏は、ワセリンなどの油が基材となっています。長時間の保湿性に優れ、刺激性が少ないことが特徴ですが、べたつきは強く、これが気になる方もいらっしゃいます。また皮膚への浸透力も強くはありません。

クリームは、水と油を界面活性剤で混ぜたものです。軟膏よりも水分が入っている分だけ伸びがよく、べたつきも少なくなっていますが、その分刺激性はやや強くなっています。

ローションは水を中心にアルコールなどを入れることもある剤型です。べたつきはほとんどなく、遣い心地は良いのですが、保湿効果は長続きしません。しかし皮膚への浸透力は強く、皮膚が厚い部位などに使われます。

それぞれ一長一短あるため、皮膚の状態に応じて主治医とよく相談し、使い分ける事が大切です。

ハイデルマートにはクリーム剤があります(デルマクリンには軟膏剤もあります)。

6.ハイデルマートの使用期限はどれくらい?

ハイデルマートの使用期限って、どのくらいの長さなのでしょうか。

「家に数年前に処方してもらった軟膏があるんだけど、これってまだ使えますか?」

このような質問は患者さんから時々頂きます。

これは保存状態によっても異なってきますので一概に答えることはできませんが、適切な条件で保存されていたのであれば「3年」が使用期限になります。

ハイデルマートは基本的には室温で保存するものですので、この状態で保存していたのであれば上記期間持つと考えて良いでしょう。反対に暑い場所で保管していた場合などは、使用期限は短くなる可能性があります。

7.ハイデルマートが向いている人は?

以上から考えて、ハイデルマートが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ハイデルマートの特徴をおさらいすると、

・抗炎症作用(炎症を抑える)・抗アレルギー作用(アレルギーを和らげる)がある
・主に痒みを伴う皮膚疾患に用いられる
・作用は穏やか

というものでした。

ハイデルマートは炎症を抑えつつ、アレルギー症状も緩和してくれますので、かゆみを伴う軽度の皮膚疾患に向いているお薬になります。

反対に皮膚状態が軽度ではなく、しっかりと症状を抑える必要がある場合は、より強い効果が得られるステロイドなどを検討する必要があるでしょう。

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