アスタット軟膏・クリーム・外用液(ラノコナゾール)の効果と副作用

アスタット軟膏・アスタットクリーム・アスタット外用液(一般名:ラノコナゾール)は病院で処方される塗り薬で、「イミダゾール系抗真菌薬」という種類のお薬になります。1994年から発売されています。

抗真菌薬とは、真菌(カビ)をやっつけるお薬のことです。アスタットは塗り薬ですので、主に皮膚に感染した真菌(皮膚真菌症)に対して用いられます。

日常で感染する皮膚真菌症には白癬(いわゆる水虫)やカンジダなどがあり、アスタットはこのような真菌をやっつけるために用いられます。

抗真菌薬にもいくつかの種類があります。どれも総合的な有効率に大きな差はないとも言われていますが、それぞれのお薬ならではの特徴もあります。

アスタットは抗真菌薬の中でどのような作用を持っていて、どのような効果が期待できるお薬なのでしょうか。

アスタットの効果・効能や特徴、副作用についてみてみましょう。

スポンサーリンク

1.アスタットの特徴

まずはアスタットの特徴をざっくりと紹介します。

アスタットは、白癬・カンジダ・癜風など各種真菌に対して、幅広く効果を示します。またその効果も強く、殺真菌的に作用します。

アスタットはイミダゾール系という種類の抗真菌薬になります。

抗真菌薬には「真菌の増殖を抑えるもの(静真菌作用)」と「真菌を殺すもの(殺真菌作用)」がありますが、イミダゾール系は後者であり殺真菌的に作用します。

そのため効果も強力であり確実な効果が期待できます。

アスタットは白癬菌、カンジダ、マラセチア(癜風の原因菌)に対して、幅広く強い活性を持っており、これらのどの真菌に対してもしっかりした効果が期待できます。

またアスタットは皮膚浸潤性が良好であり、皮膚の角質層に長時間留まるため、1日1回の塗布で効果が持続することが確認されており、1日に何回も塗る必要はありません。

塗り薬であるため、全身にお薬が回ることが少なく、大きな副作用がない点も良い特徴です。

アスタットは「軟膏」「クリーム」「外用液」と豊富な剤型があるため、どんな状態の皮膚にも適した剤型を選択しやすいというメリットもあります。

アスタットをはじめとした皮膚真菌症に対する塗り薬は効果に大きな差はないため、極論を言えばどれを用いても大きな間違いはないのですが、その中でアスタットの特徴を強いて挙げると、次のようなことが挙げられます。

【アスタット軟膏・クリーム・外用液の特徴】
・白癬・カンジダ・癜風などに対して殺真菌的に作用する
・効果は強い。
・1日1回塗るだけで効果が持続する
・塗り薬で全身に作用しないため、副作用も少ない
・剤型が豊富であり、どんな状態の皮膚であっても対応しやすい

2.アスタットはどのような疾患に用いるのか

アスタットはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

下記の皮膚真菌症の治療

・白癬:足白癬、手白癬、体部白癬、股部白癬
・カンジダ症:間擦疹、指間びらん症、爪囲炎
・癜風

抗真菌薬であるアスタットは、皮膚に真菌(カビ)が感染してしまった時に用いられます。

日常において、皮膚に感染する可能性のある真菌というのはほとんどが白癬菌(皮膚糸状菌)になります。

白癬菌が足に感染すると「足白癬」(いわゆる「水虫」)、
白癬菌が身体に感染すると「体部白癬」(いわゆる「たむし」)、
白癬菌が股(また)に感染すると「股部白癬」(いわゆる「いんきん」)と呼ばれます。

また、カンジダ菌は健常人の体内にも普通に生息している「常在菌」ですが、これがしばしば悪さをしてしまう事があります。特にストレスや疲れなどで免疫力が低下している時に発症しやすくなります。

具体的には、水仕事をしている方などの指の間に生じやすい「カンジダ性指間びらん症」や爪周囲に生じやすい「カンジダ性爪囲炎」、陰部・股間・脇・乳房の下などの密閉された環境で生じやすい「カンジダ性間擦疹」などがあります。

癜風も真菌(カビ)であるマラセチアが原因となる皮膚真菌症ですが、自覚症状が乏しいため気付かれにくい傾向があります。皮脂の多いところに生じやすく、脂漏性湿疹の原因にもなります。

スポンサーリンク

3.アスタットにはどのような作用があるのか

アスタットには、どのような作用があるのでしょうか。

アスタットの作用は真菌(白癬・カンジダなど)をやっつける事ですが、どのような機序で真菌をやっつけているのでしょうか。

アスタットは主に2つの作用から抗真菌作用(真菌をやっつける作用)を発揮します。

1つ目は、真菌細胞の細胞膜を変化させる作用です。アスタットは真菌細胞の細胞膜に結合し、膜透過性に変化を与えます。簡単にいうと、真菌の細胞膜に「穴をあける」ようなイメージを持って頂いて良いかと思います。

真菌細胞の細胞膜に穴があくと、真菌細胞の細胞内にある成分が細胞外へ流出し、真菌細胞が壊れてしまうというわけです。

2つ目は、アスタットは真菌細胞膜の重要な構成成分であるエルゴステロールの合成を阻害し、細胞膜を「もろく」する作用があります。

抗真菌薬は真菌細胞を殺すお薬ですが、同時に「人の細胞」も殺してしまう可能性があります。そのため真菌にだけ効いて、人の細胞には効かないような工夫が必要になります。

エルゴステロールは真菌細胞の細胞膜には存在しますが、人の細胞には存在しない成分です。そのためエルゴステロールを標的にすれば、真菌細胞のみ効率的にやっつけることができるのです。

この2つの作用により、アスタットは真菌をやっつけてくれるのです。

4.アスタットの副作用

アスタットの副作用は多くはありませんが、真菌を「殺す」お薬であるため、時にヒトの身体にも害を及ぼすことがあります。

アスタットは塗り薬であり、全身に投与するものではないのでその副作用も局所に留まる事がほとんどです。

そのため、全身性の重篤な副作用はほとんどありません。

報告されている副作用としては、

  • 接触性皮膚炎
  • 刺激感
  • 発赤
  • かゆみ
  • 小水疱
  • 角化の悪化

などの局所の副作用です。

いずれもアスタットが皮膚を攻撃してしまうために生じます。重篤となることは少なく、多くはアスタットの使用を中止すれば自然と改善していきます。

スポンサーリンク

5.アスタットの用量・用法と剤型

アスタットは、

アスタット軟膏1%(ラノコナゾール) 10g
アスタットクリーム1%(ラノコナゾール) 10g
アスタット外用液1%(ラノコナゾール) 10ml

と軟膏・クリーム剤・外用液と3つの剤型があります。

アスタットの使い方は、

1日1回患部に塗布する。

と書かれています。

アスタットは1日に1回塗るだけで1日効果が持続します。

ちなみに塗り薬には、「軟膏」「クリーム」「外用液」などがありますが、これらはどう違うのでしょうか。

軟膏は、ワセリンなどの油が基材となっています。保湿性に優れ、刺激性が少ないことが特徴ですが、べたつきは強く、これが気になる方もいらっしゃいます。

クリームは、水と油を界面活性剤で混ぜたものです。軟膏よりも水分が入っている分だけ伸びがよく、べたつきも少なくなっていますが、その分刺激性はやや強くなっています。

外用液は水を中心にアルコールなどを入れることもある剤型です。べたつきはほとんどなく、遣い心地は良いのですが、保湿効果は長続きしません。刺激性が強めというデメリットがある反面で、浸透力が高く、皮膚が厚い部位でも効果が期待できます。

それぞれ一長一短あるため、皮膚の状態に応じて主治医とよく相談し、使い分ける事が大切です。

6.アスタットが向いている人は?

以上から考えて、アスタットが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

アスタットの特徴をおさらいすると、

・白癬・カンジダ・癜風などに対して殺真菌的に作用する
・効果は強い。
・1日1回塗るだけで効果が持続する
・塗り薬で全身に作用しないため、副作用も少ない
・剤型が豊富であり、どんな状態の皮膚であっても対応しやすい

というものでした。

強いての特徴を挙げましたが、これらは他の抗真菌剤でも認められることの多い特徴です。皮膚真菌症に対する塗り薬はいくつかの種類がありますが、極論を言えばどれを使っても大きな違いはありません。

「この水虫は絶対にアスタットじゃないとダメだ!」というケースはほとんどなく、実際はどれを使っても改善が得られます。

そのため、自分の使いやすさや好みである程度選択しても構わないでしょう。

アスタットは、軟膏・クリーム・外用液と剤型も豊富ですし、どんな状態の皮膚真菌症にも使用できる万能型の抗真菌薬と言えます。

特に軟膏剤がある抗真菌薬は少なめですので、軟膏が適している部位に真菌が感染している際にはアスタットは選択肢の1つになります。軟膏の特徴は保湿性に優れることと、刺激性が少ない事、粘度が高いため塗ってからはがれにくいことが挙げられます。

そのため、皮膚が敏感な部位(陰部など)や塗り薬がすぐにはがれやすい部位(関節面など)には軟膏剤のあるアスタットが良いかもしれません。

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
こちらの記事も是非ご覧下さい