ルコナック爪外用液5%の効果と副作用【爪白癬治療薬】

ルコナック爪外用液(一般名:ルリコナゾール)は2016年に発売された抗真菌薬です。

抗真菌薬とは真菌(いわゆる「カビ」)をやっつけるお薬のことで、白癬(水虫菌)やカンジダなどの真菌をやっつけるために用いられます。

その中でもルコナックは「爪外用液」の名の通り、爪に塗る事で爪の中に感染してしまった真菌をやっつける作用に優れます。

白癬菌は爪の中に侵入してしまうことがあり、これを「爪白癬」と呼びます。爪はお薬が浸透しにくい部位であるため、従来の抗真菌薬の塗り薬は爪に塗ってもほとんど効果は得られませんでした。

しかしルコナックは爪の中にしっかりと浸透するため、爪白癬に対して効果が期待できます。

ルコナックはどのような特徴を持っていて、どのような効果が期待できるお薬なのでしょうか。ルコナックの効果・効能や特徴、副作用についてみてみましょう。

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1.ルコナックの特徴

まずは全体的なルコナックの特徴を紹介します。

ルコナックは、硬い爪の中にも浸透する力を持ち、爪に感染した白癬(爪白癬)をやっつけることができる塗り薬になります。

ルコナックの最大の特徴は高い浸透力を持ち、塗り薬が浸透しにくい爪の中の白癬にもしっかりと効くという点です。

従来、爪に感染した白癬菌は塗り薬では十分にやっつけることができず、爪白癬を治すには抗真菌薬の飲み薬を長期間飲むしかありませんでした。飲み薬の効果は良いのですが、肝機能障害や血液障害といった副作用が生じる事があり、しばしば問題となっていました。

対してルコナックは塗り薬であるため、全身にお薬が回ることが少なく、飲み薬のような重篤な副作用が生じることがほとんどありません。

また1回塗ることで長時間お薬が爪に留まる事が確認されており、1日1回の塗布で1日中効果が持続することが確認されています。

デメリットとしては、爪白癬に対する効果はあるものの、その効果は飲み薬よりは劣るという点が挙げられます。

薬価は塗り薬としては比較的高めですが、同じく爪白癬の治療薬である「クレナフィン爪外用液」と比べると大分安くなっています。

以上からルコナックの特徴を挙げると、次のようなことが挙げられます。

【ルコナック爪外用液の特徴】
・白癬(水虫菌)をやっつける抗真菌薬である
・高い浸透力を持ち、爪の中にまでしっかり浸透する
・1日1回塗るだけで効果が持続する
・薬が全身に作用しにくいため、副作用も少ない
・抗真菌薬の飲み薬と比べると効果は低いが、安全性は圧倒的に高い

2.ルコナックはどのような疾患に用いるのか

ルコナックはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

爪白癬

抗真菌薬であるルコナックは、真菌(カビ)が感染してしまった時に用いられます。中でもルコナックは爪白癬に対して用いられます。

白癬菌は身体の多くの部位に感染する真菌で、

白癬菌が足に感染すると「足(部)白癬」(いわゆる「水虫」)、
白癬菌が身体に感染すると「体部白癬」(いわゆる「たむし」)、
白癬菌が股(また)に感染すると「股部白癬」(いわゆる「いんきん」)

と呼ばれます。

ルコナックはこのような白癬菌の感染に対して殺真菌的に作用します。しかしその適応は「爪白癬」のみになります。

爪白癬は爪の中への白癬菌の感染であり、爪の混濁・肥厚・変形などが生じます。これにより爪周辺の皮膚を傷付け、痛みや細菌感染が生じてしまう原因になります。

ルコナックは爪の中に入り込んだ白癬菌をやっつけることで、これらの症状を長期的にみて改善させる作用があります(爪の変形・肥厚自体を元に治す力はありません)。

ルコナックは使用上の注意として、

1.直接鏡検または培養等に基づき爪白癬であると確定診断された患者に使用すること
2.重症患者における本剤の有効性及び安全性は確認されていない

と書かれています。

ルコナックを使用するためには、爪の外観をみて「これは白癬ぽい」と臨床症状のみから診断するのでは不十分です。顕微鏡などの検査で白癬菌が存在することをしっかりと証明しないといけません。これはルコナックが漫然と投与されないために設定されている注意事項となります。

またルコナックは爪の感染面積が50%以下の爪白癬を対象にされています。それ以上の感染面積を持つものにも効く可能性はありますが、それに対する有効性を検討した研究はないため、このような注意事項が書かれています。

50%以上の感染面積がある場合や重症例においては、ルコナックより効果の高い抗真菌薬の飲み薬などの方が適している可能性があります。

ちなみに、爪白癬以外の白癬やその他の真菌(カンジダや癜風など)にもルコナックは理論上は効果はありますが、ルコナックは高い浸透力を持ち爪に特化した剤型になっているため、爪白癬以外に用いられることはありません。

ルコナックの有効性を見た試験では、爪白癬にルコナックを48週間塗布した際の治癒率は、14.9%(菌陰性率56.9%)と報告されています。何の成分も入っていない外用液を塗った場合の治癒率が5.1%(菌陰性率36.6%)ですから効いているのは確かですが、劇的に高い治療効果があるわけではない事が分かります。

爪はお薬が浸透しにくく治りにくい部位ですので高い浸透力を持つルコナックを使ってもこれくらいが限界なのです。

ちなみに飲み薬の抗真菌薬であるラミシールを爪白癬に対して24週間投与した際の菌陰性化率は83.3%と報告されています。

効果だけを見ればルコナックのような爪外用液よりも飲み薬の方が優れるという事です。ただしラミシールの経口投与は肝機能障害や血液障害などの副作用が生じるリスクがありますので、飲み薬の方が良いと一概にいう事は出来ません。

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3.ルコナックにはどのような作用があるのか

ルコナックには真菌をやっつける作用がありますが、どのような機序で真菌をやっつけているのでしょうか。

ルコナックは私たちの身体に塗りますが、私たち人間には害はなくて、真菌だけを選択的にやっつけてくれるという作用機序はよく考えれば不思議ですね。

抗真菌薬は真菌細胞を殺すお薬ですが、細胞を殺す作用を持つお薬は同時に「人の細胞」も殺してしまう危険があります。そのため真菌にだけ効いて、人の細胞には効かないような工夫が必要になります。

ルコナックは真菌細胞膜の重要な構成成分である「エルゴステロール」の合成を阻害し、細胞膜を「もろく」する作用があります。

エルゴステロールは真菌細胞の細胞膜に存在する物質ですが、人の細胞には存在しません。そのためエルゴステロールを標的にすれば、真菌細胞のみ効率的にやっつけることができるというわけです。

ちなみに他の種類の抗真菌薬も、エルゴステロール合成阻害作用にて殺真菌作用を発揮するお薬は多いのですが、イミダゾール系(ルコナック含む)とその他のお薬では作用する部位が異なります。

エルゴステロールは、アセチルCoAという物質からいくつかの段階を経てエルゴステロールになります。簡略化して書くと、

アセチルCoA⇒スクアレン⇒ラノステロール⇒エルゴステロール

といった経路でエルゴステロールは合成されます。

ルコナックなどのイミダゾール系は、ラノステロールから次の物質に変化させる酵素を阻害します。

他の抗真菌薬、例えばアリルアミン系(ラミシールなど)、ベンジルアミン系(メンタックスなど)やチオカルバミン酸系(ゼフナートなど)は、スクアレンから次の物質に変化させる酵素を阻害します。

このように、同じ抗真菌薬でも種類によって作用点が異なるのです。

ちなみに「ルコナックを塗れば爪の肥厚や変形も治りますか?」という質問を時々頂きますが、ルコナックはあくまでも白癬菌をやっつけるだけですので、変形してしまった爪を治す力はありません。

しかし白癬菌をやっつければ、新しく生えてきた爪は肥厚・変形のないものになりますので、長期的に見れば爪の肥厚や変形が改善されていくことは期待できます。しかしすでに肥厚・変形してしまった爪は元に戻らず、切れる状態になるまで伸びるのを待つしかありません。

4.ルコナックの副作用

ルコナックにはどのような副作用があるのでしょうか。また副作用の頻度は多いお薬なのでしょうか。

ルコナックは真菌を「殺す」お薬です。そのため時にヒトの身体にも害を与えてしまう事があります。副作用発生率は18.2%と報告されており、数値だけを見れば少なくはありません。

しかしルコナックは塗り薬ですので、その副作用は局所に留まる事がほとんどです。全身に及ぶ副作用や重篤な副作用はほとんど生じません。

報告されている副作用としては、

  • 皮膚乾燥
  • 接触皮膚炎(かぶれ)
  • 爪囲炎
  • 湿疹、皮膚炎
  • 皮膚刺激
  • 乾燥症

などの局所の症状がほとんどになります。

いずれも重篤となることは少なく、多くはルコナックの使用を中止すれば自然と改善していきます。

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5.ルコナックの用量・用法と剤型

ルコナックは、

ルコナック爪外用液5% 3.5g(4ml)

の1剤型のみがあります。

ルコナックの使い方は、

1日1回罹患爪全体に塗布する。

と書かれています。

ルコナックは1回塗れば、長時間にわたって爪に留まるため、1日1回の塗布で十分効果が持続します。

使用する際の注意点として、保管中に容器の内圧が高まって薬液が多く出てしまう事があるため、使用する度に一度容器を上に向け、先端部分を指で数回押して、容器の中の空気を抜いてから使用することが推奨されています。

ちなみに塗り薬には、「軟膏」「クリーム」「外用液」などがありますが、これらはどう違うのでしょうか。

軟膏は、ワセリンなどの油が基材となっています。保湿性に優れ、刺激性が少ないことが特徴ですが、べたつきは強く、これが気になる方もいらっしゃいます。

クリームは、水と油を界面活性剤で混ぜたものです。軟膏よりも水分が入っている分だけ伸びがよく、べたつきも少なくなっていますが、その分刺激性はやや強くなっています。

外用液(ローション)は水を中心にアルコールなどを入れることもある剤型です。べたつきはほとんどなく、遣い心地は良いのですが、保湿効果は長続きしません。刺激性が強めというデメリットがある反面で、浸透力が高く、皮膚が厚い部位でも効果が期待できます。

それぞれ一長一短あるため、皮膚の状態に応じて主治医とよく相談し、使い分ける事が大切です。

ルコナックは硬い爪の中に浸透させる必要がありますので、浸透力の高い外用液になっています。また外用液であっても他の抗真菌薬は爪白癬には十分な効果が得られないのですが、ルコナックは他剤よりも高い浸透力となる工夫がされており、爪の中にまで浸透し爪白癬を改善させてくれます。

6.ルコナックが向いている人は?

以上から考えて、ルコナックが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ルコナックの特徴をおさらいすると、

・白癬(水虫菌)をやっつける抗真菌薬である
・高い浸透力を持ち、爪の中にまでしっかり浸透する
・1日1回塗るだけで効果が持続する
・薬が全身に作用しにくいため、副作用も少ない
・抗真菌薬の飲み薬と比べると効果は低いが、安全性は圧倒的に高い

というものでした。

ここから、ルコナックは爪白癬に対する第一選択薬として用いられるべきお薬だと言えます。

従来の爪白癬の治療と言えば、抗真菌薬の飲み薬を長期間(半年~1年など)飲むことが主流でした。抗真菌薬の塗り薬ではほとんど改善が得られなかったためです。

飲み薬は爪白癬に対してある程度高い効果があるのですが、お薬は全身に回るため長期間飲むとなると副作用の問題がありました。実際、ラミシール錠(テルビナフィン)などでは、時に肝機能障害や血液障害を起こすため、服薬中は定期的に血液検査をする必要があります。

ルコナック爪外用液は、抗真菌薬の飲み薬と比べると、効果は劣るものの安全性は圧倒的に高く、安全に爪白癬を治すことが期待できます。これは爪白癬治療の大きな進歩でしょう。

しかし効果としては、やはり抗真菌薬の飲み薬の方が高いようです。研究手法が異なるため一概には比較できませんが、参考として抗真菌薬のラミシール錠(テルビナフィン)を24週間(約半年)投与した時の真菌陰性化率は83.3%と報告されています。

一方でルコナックを48週間(約1年)塗布した時の真菌陰性化率は56.9%と報告されています。

安全性には優れるため、まずはルコナックで治療をすべきですが、

  • ルコナックでは効果が乏しい
  • 感染面積が50%より多い

ような爪白癬では、従来通り抗真菌薬の飲み薬を検討する必要もあるでしょう。

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