マグミット錠(酸化マグネシウム)の効果と副作用

マグミット錠(一般名:酸化マグネシウム)は2002年から発売されている下剤(瀉下薬、便秘薬)になります。「酸化マグネシウム」という古くから使われている有名な下剤があるのですが、マグミットは酸化マグネシウムの後発品(ジェネリック)になります。

マグミットは便に水分を含ませ柔らかくする作用に優れるため、広く用いられている下剤になります。

マグミットはどんな特徴のある便秘薬で、どんな患者さんに向いているお薬なのでしょうか。

マグミットの効果や特徴・副作用についてみていきましょう。

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1.マグミットの特徴

まずはマグミット(酸化マグネシウム)の特徴についてみてみましょう。

マグミットにはいくつかの作用があるのですが、主な用途は下剤であり便秘に対して用いられます。下剤の中では「機械的下剤」という種類に属します。

便秘の方の排便を改善させる方法としては、主に2つの方法があります。それは、

  • 水分を増やすことで便を柔らかくする
  • 大腸の動きを活性化させる

の2つです。下剤のほとんどはこの2つのどちらかの作用を持っています。

マグミットはというと、便に水分を含ませることで便を柔らかくし、排便を促してくれます。

主な作用としては腸管に水分が多くとどまるようにし、それにより便が多くの水分を含むようにはたらきます。

このように便の容量を水分などで増やして柔らかくし、物理的に排便を促すお薬を「機械的下剤」といい、マグミットもその1つになります。

つまり、マグミットは便が硬くなってしまっていて便秘になっている方に向いている下剤になります。

機械的下剤のメリットは、「耐性が生じないこと」です。下剤の中でも大腸刺激性下剤(プルゼニド、アローゼンなど)は効果は強いのですが使い続けていると耐性(慣れ)が生じて、徐々に効きにくくなっていきます。

その点、マグミットは長期使用しても耐性が生じることはありません。下剤は長期使うことも多いため、これは非常にありがたい特徴になります。

デメリットとしてはマグミットはその主成分が「マグネシウム」というミネラルになりますが、マグネシウムは微量ですが体内に吸収されるため、マグミットの使用を続けていると高マグネシウム血症になる危険がありうるという事です。

実際にマグネシウム製剤による高マグネシウム血症を見ることはほとんどないのですが、この理由もあり海外ではマグミットのようなマグネシウム製剤は便秘症に対して一般的ではありません。

またマグミットは他の下剤と異なり、下剤以外の作用も持っています。具体的には、制酸作用(胃酸のはたらきを抑える)・尿路結石予防作用などです。そのため、胃腸症状(胃痛、胃もたれなど)や尿路結石と便秘の両方で困っている方にはマグミットは一石二鳥の効果が期待できます。

また、これは多くの下剤に当てはまることなのですが、下剤は価格がかなり安いのもメリットです。薬局で購入する下剤と比べると非常に安価になります。

ここからマグミットの特徴として次のようなことが挙げられます。

【マグミット錠(酸化マグネシウム)の特徴】

・便に水分を含ませ、柔らかくする作用がある
・制酸作用もある
・尿路結石(シュウ酸結石)を予防する作用もある
・大腸刺激性下剤と異なり、耐性を形成しない
・稀だが高マグネシウム血症の副作用に注意
・値段が安い

2.マグミットはどのような疾患に用いるのか

マグミットはどのような疾患に用いられるのでしょうか。

【効能又は効果】

・下記疾患における制酸作用と症状の改善

胃・十二指腸潰瘍、胃炎(急・慢性胃炎、薬剤性胃炎を含む)、上部消化管機能異常(神経性食思不振、いわゆる胃下垂症、胃酸過多症を含む)

・便秘症
・尿路シュウ酸カルシウム結石の発生予防

マグミットの主な用途は下剤であり、「便秘症」になります。

マグミットは便に水分を含ませることで便を柔らかくし、排便を促します。そのため便が硬くなっているタイプの便秘に良く効きます。

具体的には食生活のかたよりや食物繊維不足・水分不足などで、便が硬くなってしまっている患者さんには特に効果が期待できます。

またマグミットには制酸作用(胃酸のはたらきを抑える作用)があります。これは酸化マグネシウムが胃酸を中和してくれるためで、これにより各種胃炎や胃潰瘍の改善が期待できます。

意外な作用としては、尿路結石の1つであるシュウ酸カルシウム結石の発生予防作用があります。しかし実際はこの作用だけを狙ってマグミットを投与することはほとんどありません。

その理由はこのシュウ酸カルシウム結石予防に対する効果が臨床感覚としても今ひとつであり、その効果を報告している研究も少ないからです。

シュウ酸カルシウムは尿路結石の原因として非常に多く75〜80%ほどとも言われています。

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3.マグミットの作用機序

主に便秘症に対して用いられるマグミットですが、どのような機序があるのでしょうか。

マグネシウム製剤というと下剤としての印象が強いと思いますが、実はマグネシウム製剤には下剤以外にもいくつかの作用を持っています。

マグミットの主な作用を紹介します。

Ⅰ.制酸作用

マグミットは、胃に到達後すぐに崩壊するように作られています。

マグミットの主成分である酸化マグネシウム(MgO)は、胃内で胃酸(HCl)に作用することで、水(H2O)と塩化マグネシウム(MgCl)になります。

【化学式】 MgO+2HCl=H2O+MgCl2

これにより、酸が中和され、胃酸のはたらきを弱める作用が発揮されます。これが制酸作用です。

制酸作用は、強力な酸である胃酸が悪さをしてしまっているような状況で役立ちます。

例えば胃炎では何らかの原因で胃の壁(胃壁)に炎症が生じています。この時、強力な酸である胃酸が胃壁に接触してしまうと、炎症部はより悪化してしまいます。

マグミットによって胃酸のはたらきを弱めてあげれば、胃酸が悪さをしにくくなるため、胃炎が治りやすくなるというわけです。

マグミット錠は胃内で高い制酸作用を示しますが、水に不溶性のため制酸作用に即効性はなく、その効果はゆっくりと長く発揮されます。

Ⅱ.緩下作用

下剤としての作用です。

胃酸によりマグミット(酸化マグネシウム:MgO)は塩化マグネシウム(MgCl2)に変換されると先ほどお話ししました。

更にこの塩化マグネシウムは膵液によって炭酸マグネシウムに変換されます。

この炭酸マグネシウムは腸において、水分を腸管から体内に吸収させないようにはたらきます。吸収されなかった水分は腸内に残るため、便は水分を多く含むようになり、柔らかくなっていきます。

また、腸に水分が多くなることによって腸管内容物(便)が膨張すれば、これが腸管壁を刺激するため、腸管の動きを活性化させるはたらきもあります。

Ⅲ.シュウ酸カルシウム結石の発生予防

あまり知られていませんが、実はマグミットには尿路結石の発生予防作用があります。

といっても尿路結石全ての発生を予防してくれるわけではありません。

尿路結石の中でも「シュウ酸カルシウム」が原因で作られる結石を予防します。尿路結石のうち、シュウ酸カルシウムが原因となっている結石は非常に多く、尿路結石全体の75〜80%ほどを占めます。

マグミットは腸管内でシュウ酸と結合して、シュウ酸が体内に取り込まれないようにします。またマグミットは尿中でもシュウ酸と結合することで尿に溶けやすい物質になり、シュウ酸結石の析出を防ぎます。

4.マグミットの副作用

マグミットにはどんな副作用があるのでしょうか。

基本的にマグミットは安全性が高く、副作用はほとんどありません。

マグミットの作用は主に腸管内に限られ、体内には微量しか吸収されません。そのため、生じる副作用もほとんどが胃腸系の副作用になります。

具体的には、

・腹痛
・下痢

などが報告されています。いずれもマグミットが効きすぎてしまって生じる副作用だと考えられ、マグミット量を適量に減量すれば多くの場合で改善します。

稀ですが、注意すべき副作用としては、

・高マグネシウム血症

があります。

マグミットは微量ではありますが、腸管から体内に吸収されます。下剤は長期間・慢性的に投与されることも多いため、服用を長く続けていると血中のマグネシウム濃度が上がってくることがあります。

臨床の経験上、マグミットの量を適正量にしていれば問題となるほどの高マグネシウム血症に遭遇することはまずありませんが、絶対に起こさないとは言えません。

マグミット服薬中は定期的に血液検査をして、マグネシウム濃度を測定しておくことが安全でしょう。特に腎機能が元々悪い方は注意が必要です。

腎機能が正常であれば、過剰なマグネシウムは腎臓で処理され、適切に排出されるため高マグネシウム血症になる危険はほとんどありません。しかし腎機能が悪くなっていると、マグネシウムを適切に排出しにくくなるため、高マグネシウム血症になるリスクが上がります。

ちなみに血清マグネシウムの正常値は1.8~2.6mg/dL前後です(検査会社により多少異なります)。

臨床では滅多にみることはありませんが、血清マグネシウム値が5.0mg/dLを超えると、倦怠感、筋力低下、腱反射の減弱、起立性低血圧、徐脈などが生じると報告されています。

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5.マグミットの用法・用量と剤形

マグミットは、

マグミット錠(酸化マグネシウム) 200mg
マグミット錠(酸化マグネシウム) 250mg
マグミット錠(酸化マグネシウム) 330mg
マグミット錠(酸化マグネシウム) 500mg

の4剤形があります。

使い方としては、

【制酸剤として使用する場合】
通常成人1日0.5~1.0gを数回に分割経口投与する。

【緩下剤として使用する場合】
通常成人1日2gを食前又は食後の3回に分割経口投与するか、又は就寝前に1回投与する

【尿路シュウ酸カルシウム結石の発生予防に使用する場合】
通常成人1日0.2g~0.6gを多量の水とともに経口投与する

なお、いずれの場合も年齢、症状により適宜増減する。

と書かれています。

散剤は口の中で不快感(ザラザラ感)を感じる事があり、そのため錠剤の方がよく用いられています。

しかし錠剤を飲み込むのが苦手な方(高齢者など)には散剤の方が使いやすいこともあり、状況に応じて使い分けられます。

6.マグミットが向いている人は?

以上から考えて、マグミットが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

マグミットの特徴をおさらいすると、

・便に水分を含ませ、柔らかくする作用がある
・制酸作用もある
・尿路結石(シュウ酸結石)を予防する作用もある
・大腸刺激性下剤と異なり、耐性を形成しない
・稀だが高マグネシウム血症の副作用に注意
・値段が安い

というものでした。

マグミットは機械的下剤であり、便に水を含ませて柔らかくし、排便させるはたらきを持ちます。そのため、便が硬くて出なくなっている方に向いているお薬だと言えます。

マグミットは耐性が生じない事が大きなメリットで、そのため長期服薬が続きそうな方には比較的使いやすいお薬です。

また、胃炎や胃潰瘍、胃酸過多と便秘を併発している方にとっては、マグミット1剤で制酸作用と排便作用が得られるため、良い適応となります。

一方でマグミットは、特に腎機能が悪い方には高マグネシウム血症を生じるリスクが上がりますので、腎臓が悪い方にはあまり向かないお薬になります。

基本的にマグミットをはじめとした下剤は、ずっと使うものではありません。やむを得ず長期服用になるケースもあるのが現状ですが、マグミットを使用しながらも、排便に良いと思われる生活習慣の改善(運動、食生活の是正など)は並行して行っていきましょう。

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