マーズレンS配合顆粒の効果と副作用【胃薬】

マーズレンS配合顆粒(アズレンスルホン酸ナトリウム・L-グルタミン)は1969年から発売されている胃炎・胃潰瘍治療剤になります。いわゆる「胃薬」です。

胃薬の中でマーズレンS配合顆粒は非常に古いお薬でありながら、現在でも広く用いられているお薬になります。効果は穏やかであるものの、副作用が少なく使いやすいというのが理由でしょう。

マーズレンS配合顆粒はどんな作用のあるお薬で、どんな患者さんに向いているのでしょうか。

マーズレンS配合顆粒の効果や特徴についてみていきましょう。

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1.マーズレンS配合顆粒の特徴

まずはマーズレンS配合顆粒(アズレンスルホン酸ナトリウム・L-グルタミン)の特徴について、かんたんに紹介します。

マーズレンS配合顆粒は胃薬になり、主に軽症の胃炎・胃潰瘍に対して用いられます。胃炎・胃潰瘍の治療のためだけでなく、予防のために投与されることもあります。

マーズレンS配合顆粒は「配合」という名前がついている通り、「アズレンスルホン酸ナトリウム」と「L-グルタミン」という2つの成分が配合されたお薬になります。

アズレンスルホン酸ナトリウムは、「アズノール軟膏」として皮膚科で用いられていたり、「アズレン点眼液」として眼科で用いられている「アズレン」という成分であり、これは穏やかに炎症を抑える作用や肉芽形成を促進する作用などがあります。

L-グルタミンはアミノ酸の1種で、潰瘍の保護・再生の作用があります。

またマーズレンSにはペプシノゲンという物質の量を抑えることで、胃酸の量を抑えるはたらきもあることが報告されています。

これらの作用によってマーズレンSは総合的に胃炎・胃潰瘍などを改善させます。

マーズレンS配合顆粒の効果は全体的穏やかです。しかしその分穏やかに効くため安全性に優れるお薬になります。劇的な効果もありませんが、大きな副作用もないことから、使い勝手が非常に良く、現在でも良く処方されている胃薬になります。

以上からマーズレンS配合顆粒の特徴として次のようなことが挙げられます。

【マーズレンS配合顆粒(アズレンスルホン酸ナトリウム・L-グルタミン)の特徴】

・炎症を抑える作用(抗炎症作用)がある
・肉芽形成促進、組織修復作用がある
・胃酸の分泌を抑える作用がある
・作用は穏やかで副作用が少ない

2.マーズレンS配合顆粒はどんな疾患に用いるのか

マーズレンS配合顆粒はどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

下記疾患における自覚症状及び他覚所見の改善

胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎

マーズレンS配合顆粒は胃薬ですので、軽度の胃炎・胃潰瘍など主に胃の諸症状に対して用いられます。

また胃に対する負担が強いお薬を服薬する場合、胃腸系の副作用を予防する目的で投与されることもあります。

例えば、痛み止めや解熱剤としてよく用いられる「ロキソニン(ロキソプロフェン)」などの消炎鎮痛剤には副作用として胃潰瘍があります。

この胃潰瘍を予防するために、ロキソニンにあらかじめマーズレンS配合顆粒を併用するという方法は臨床で良く用いられています。

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3.マーズレンS配合顆粒にはどのような作用があるのか

マーズレンS配合顆粒は、どのような作用機序で胃を保護しているのでしょうか。

マーズレンS配合顆粒には、

  • アズレンスルホン酸ナトリウム
  • L-グルタミン

の2つの成分が配合されており、これらがそれぞれ胃を保護するはたらきを持ちます。

それぞれの作用についてみていきましょう。

Ⅰ.抗炎症作用

マーズレンS配合顆粒に含まれるアズレンスルホン酸ナトリウム(アズレン)には穏やかな抗炎症作用(炎症を抑える作用)があります。

炎症とは、

  • 発赤 (赤くなる)
  • 熱感 (熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛みを感じる)

の4つの徴候を生じる状態のことで、感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーで生じることもあります。

みなさんも身体をぶつけたり、ばい菌に感染したりして、身体がこのような状態になったことがあると思います。これが炎症です。胃に炎症が起こることを胃炎と呼びます。胃炎も感染でも生じるし、ストレスなどで胃酸のバランスが崩れて胃が荒れることでも生じます。

どのような原因であれ、炎症そのものを抑えてくれるのが抗炎症作用です。アズレンは抗炎症作用により、発赤・熱感・腫脹・疼痛を和らげてくれるのです。

Ⅱ.肉芽形成促進・組織修復促進作用

マーズレンS配合顆粒には、肉芽の形成を促進し、組織の修復を促す作用があります。

胃炎や胃潰瘍では、胃壁に傷が出来てしまっています。胃炎・胃潰瘍を治療するためには、この傷を修復しなくてはいけません。

肉芽は傷が治る過程で必要なものです。肉芽形成が促進されれば傷の治りも早くなります。

【肉芽(組織)】
腸管粘膜に傷が出来ると、そこに繊維芽細胞がきて同部は結合組織で補充され、更にそこに血管が新生されていきます。この毛細血管と結合組織からなるものを肉芽といいます。

肉芽は傷が治る過程において必要なものです。傷が治るにつれて肉芽組織は瘢痕組織となっていき、肉芽組織の上に表皮組織が形成されていき、傷は徐々に小さくなって治っていきます。

またL-グルタミンは、ヘキソサミンの合成に関係していると考えられています。

ヘキソサミンは胃粘膜上皮を構成する成分の1つですので、L-グルタミンによってヘキソサミンの合成が促進されれば、胃粘膜の再生が早まると考えられます。

ちなみに消炎鎮痛剤(NSAIDs)が胃を荒らしてしまう一因として、NSAIDsはヘキソサミンの合成を抑制してしまう事が指摘されています。マーズレンSはヘキソサミンの合成を促進しますので、NSAIDsの副作用止めとしてマーズレンSを併用するのは、この意味では理にかなっていると言えます。

Ⅲ.胃酸を抑える作用

マーズレンSは、胃酸の元になるペプシノゲンの量を減少させる作用があることが報告されています。

ペプシノゲンは胃酸の構成成分であるペプシンの元ですので、ペプシノゲンが減れば、胃酸の量も減ることになります。

胃炎や胃潰瘍になっている時は、胃酸の量が過剰になっている事が多く、また強力な酸である胃酸が胃の炎症部や潰瘍部を刺激してしまいます。

そのため、胃炎・胃潰瘍がある時は胃酸の分泌を抑えてあげた方が傷の治りは早くなります。

4.マーズレンS配合顆粒の副作用

マーズレンS配合顆粒の副作用発生率は0.7%前後と報告されており安全性の非常に高いお薬になります。

可能性のある副作用としては、

  • 便秘
  • 下痢
  • 嘔気
  • 腹痛

などの消化器症状が主に挙げられます。いずれも重篤となることは少なく、ほとんどの例で様子をみている中で自然と改善してきたり、減量をすることで改善が得られます。

どうしても副作用がつらい場合は、マーズレンS配合顆粒を中止すれば、後遺症などが残ることはありません。

また、血液検査にて

  • 肝機能の異常(AST、ALTなど)
  • 胆道系の異常(ɤGTPなど)

などが生じること頻度は稀ながらもありえます。

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5.マーズレンS配合顆粒の用法・用量と剤形

マーズレンS配合顆粒には、

マーズレンS配合顆粒 0.5g
マーズレンS配合顆粒 0.67g
マーズレンS配合顆粒 1.0g

の3剤形があります。また、同じ薬効のものとして、

マーズレン配合錠0.375ES
マーズレン配合錠0.5ES
マーズレン配合錠1.0ES

と錠剤タイプもあります。

ちなみに豆知識ですが、配合顆粒のマーズレンSの「S」は「Strong(強い)」の略で、「強く効く」ことを期待して付けられたもののようです。

一方で配合顆粒の「ES」は「Easy to Swallow(飲みこみやすい)」の略です。実際マーズレン配合錠は速崩性であり、少ない水で速やかに溶ける錠剤です。

顆粒には「Strong」の「S」が付いていて、錠剤には付いていませんが、別に顆粒の方が強いということはなく、どちらも全く同じ作用になります。

マーズレンS配合顆粒1g中には、

アズレンスルホン酸ナトリウム 3mg
L-グルタミン 990mg

が配合されています。

マーズレンS配合顆粒の使い方は、

通常、成人1日1.5~2.0gを3~4回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する

と書かれています。

6.マーズレンS配合顆粒が向いている人は?

以上から考えて、マーズレンS配合顆粒が向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

マーズレンS配合顆粒の特徴をおさらいすると、

・炎症を抑える作用(抗炎症作用)がある
・肉芽形成促進、組織修復作用がある
・胃酸の分泌を抑える作用がある
・作用は穏やかで副作用が少ない

というものでした。

マーズレンS配合顆粒は穏やかに効き、大きな副作用もないことから、主に軽症の胃炎・胃潰瘍に使いやすいお薬になります。

しかし一方で強力な作用は期待できないため、ある程度大きい胃潰瘍であったり、重症度の高い胃炎の場合は、マーズレンS配合顆粒ではなく、効果の高い胃薬の方が良いでしょう。

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