ガスモチン錠・散(モサプリド)の効果と副作用【胃薬】

ガスモチン錠・ガスモチン散(一般名:モサプリドクエン酸塩)は1998年から発売されている胃腸薬になります。

ガスモチンは消化管全体に作用するお薬で、胃腸系に対して幅広い効果を発揮します。また従来の胃腸薬と比べて副作用も改善されており、使いやすい胃腸薬でもあります。

ガスモチンはどんなお薬で、どんな患者さんに向いているのでしょうか。ガスモチンの効果や特徴についてみていきましょう。

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1.ガスモチン錠・散の特徴

まずはガスモチンの特徴について、かんたんに紹介します。

ガスモチンは消化管全体の動きを亢進させるお薬になります。

ガスモチンは胃腸薬になります。その名の通り「胃」「腸」を始め、消化管全体に作用してくれます。そのため、胃の症状・腸の症状のどちらにも対しても幅広く効いてくれます。

その具体的なはたらきは、消化管に存在するセロトニン4受容体のはたらきを強めることです。消化管のセロトニン4受容体が刺激されると、アセチルコリンという消化管を動かす物質の分泌が増えるため、胃や腸といった消化管の動きが活性化するのです。

胃の動きが悪いと、胃もたれや吐き気などが生じます。腸の動きが悪いと便秘や腹部膨満(腹満)などが生じます。

ガスモチンはこのような症状に対して、消化管の動きを活発にすることで改善させる効果を発揮してくれるのです。

ガスモチンは従来の胃腸薬と異なり、「ドーパミン系に作用しない」という特徴があります。ガスモチンより前に発売されていた胃腸薬は、ドーパミン2受容体をブロックすることで胃腸のはたらきを活性化させる作用を持つものが多くありました。

具体的には、プリンペラン(メトクロプラミド)やナウゼリン(ドンペリドン)、ドグマチール(スルピリド)などがあります。

ドーパミン受容体のうち、ドーパミン2受容体をブロックするとこれもアセチルコリンの分泌を増やす事になるため、消化管の動きを活性化させる作用が期待できます。しかし一方でドーパミン受容体のブロックは、震え・不随意運動といった錐体外路症状やホルモンバランスが崩れてしまう高プロラクチン血症などの副作用が出てしまうリスクもあります。

更にドーパミン系に作用するお薬は、「悪性症候群」という、命に関わることもある重篤な副作用を稀に起こしてしまうこともありました。

ドーパミンをブロックする胃腸薬は、このようなリスクがあったのです。

しかしガスモチンはドーパミンには作用せず、セロトニンに作用するお薬になります。そのため、ドーパミン系の副作用を起こすことなく消化管の動きを活性化させてくれるのです。

これはドーパミン系の副作用が生じないという事で大きなメリットになります。

以上からガスモチンの特徴として次のようなことが挙げられます。

【ガスモチン錠・散(モサプリドクエン酸塩)の特徴】

・消化管全体の動きを亢進させる
・胃の動きを良くすることで、吐き気や胃部不快感を改善
・腸の動きを良くすることで、腹満や便秘を改善
・昔の胃腸薬に認めるような、ドーパミン系の副作用が生じない

2.ガスモチンはどんな疾患に用いるのか

ガスモチンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

〇慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐)
〇経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸 X 線造影検査前処置の補助

ガスモチンは、消化管全体のセロトニン受容体に作用することで、消化管全体の動きを促進させます

そのため、胃の動きが悪くなっている事で生じている胸やけ、悪心(吐き気)、嘔吐などにも効果がありますし、腸の動きが悪くなっている事で生じている腹満や便秘にも効果があります。

「経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸 X 線造影検査前処置の補助」というのは、大腸検査(バリウム検査)をやる前には腸管内の便を出すことで腸管内を空にするのですが、その時にガスモチンを補助的に使うと効果があるという事です。

ガスモチンは腸管の動きを活性化させるため、検査前に飲む下剤の作用を補助してくれるのです。

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3.ガスモチンにはどのような作用があるのか

ガスモチンは胃腸の動きを亢進させる作用がありますが、これはどのような作用機序になっているのでしょうか。ガスモチンの主な作用について紹介します。

Ⅰ.消化管のセロトニン4受容体を刺激する

ガスモチンは、消化管に存在するセロトニン受容体を刺激するはたらきがあります(正確にはセロトニン受容体のうち、セロトニン4受容体という受容体を刺激します)。

セロトニン受容体は、セロトニンが結合することで様々な作用を発揮する部位になります。消化管においてはセロトニン4受容体にセロトニンが結合すると、アセチルコリンという胃腸の動きを促進する物質のはたらきが強まることが知られています。

つまり、ガスモチンが消化管のセロトニン4受容体を刺激すると、胃腸の動きが活発になるという事です。

ガスモチンは、セロトニン4受容体を刺激することで胃腸の動きを活発にして、胃腸の動きが低いことで生じている症状を改善させてくれる作用があります。

4.ガスモチンの副作用

ガスモチンは安全性に優れ、副作用が少ないお薬になります。副作用発生率は2.5~4.0%前後であり、多くはありません。また重篤な副作用はほとんどありません。

生じうる副作用としては、

  • 下痢・軟便
  • 倦怠感
  • 口渇
  • 腹痛

などがあります。これらは消化管の動きを亢進させすぎてしまって生じていることが多く、ほとんどは様子をみるかガスモチンの投与量を適量に調節すれば改善させることができます。

また、検査値以上として、

  • 肝酵素上昇
  • 好酸球増多
  • 中性脂肪上昇

などが報告されています。このため、長期間ガスモチンを服用する場合は、定期的に血液検査でこれらの検査値を確認しておく方が安全でしょう。

ガスモチンは肝臓で分解されるため、このように肝臓の酵素が上昇する可能性がある他、

  • 劇症肝炎
  • 黄疸
  • 肝機能障害

などの肝臓系の副作用が生じる可能性もあります。

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5.ガスモチンの用法・用量と剤形

ガスモチンは、

ガスモチン錠(モサプリドクエン酸塩) 2.5mg
ガスモチン錠(モサプリドクエン酸塩) 5mg

ガスモチン散(モサプリドクエン酸塩) 1%

の2剤形、3種類のお薬ががあります。

ガスモチンの使い方は、

【慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐)】

通常成人には、1日15mgを3回に分けて食前または食後に経口投与する。

【経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸 X 線造影検査前処置の補助】

通常成人には、経口腸管洗浄剤の投与開始時に20mgを経口腸管洗浄剤 (約180mL)で経口投与する。また、経口腸管洗浄剤投与終了後、20mgを少量の水で経口投与する。

となっています。

胃腸薬は食前に服用するものもありますが、ガスモチンは食前・食後のどちらでも服用が可能です。

6.ガスモチンが向いている人は?

以上から考えて、ガスモチンが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ガスモチンの特徴をおさらいすると、

・消化管全体の動きを亢進させる
・胃の動きを良くすることで、吐き気や胃部不快感を改善
・腸の動きを良くすることで、腹満や便秘を改善
・昔の胃腸薬に認めるような、ドーパミン系の副作用が生じない

というものでした。

ガスモチンは、効果は穏やかながらも副作用が少ないため、最初にまず使う胃腸薬として適しています。

特にドーパミン系の副作用が生じないというのは大きな利点です。

また食前・食後服用のどちらでも大丈夫というのも地味ながら1つのメリットになります。食前服用の胃腸薬もありますが、食前服用というのはやはり飲み忘れが多くなります。

また多くのお薬は食後服用のため、そのようなお薬と食前服用のお薬を併用している場合、服用回数が増えてしまい、非常に面倒です。例えば毎食後服用のお薬と毎食前服用のお薬を併用していたら、1日6回も分けて服用しなくてはいけません。

ガスモチンは食後にも服用しても問題ないため、このような服用の煩雑さを防ぐ事が出来ます。

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