ネリコルト軟膏・坐剤の効果と副作用【痔疾患治療薬】

ネリコルト軟膏・坐剤は2003年から発売されている「痔疾患治療薬」という種類のお薬になります。その名の通り、痔の治療のために用いられるお薬になります。

ネリコルトは1993年に発売されている「ネリプロクト」のジェネリック医薬品(後発品)であり、その主成分はネリプロクトと全く同じになります。

ネリコルトは強い効果を持つお薬で、高い効果が期待できますが、一方で使い方には気を付ける必要もあるお薬です。

ネリコルト軟膏・坐剤はどのような作用を持っていて、どのような効果が期待できるお薬なのでしょうか。

ネリコルトの効果・効能や特徴、副作用についてみてみましょう。

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1.ネリコルトの特徴

まずはネリコルト軟膏・坐剤の特徴をざっくりと紹介します。

ネリコルトは強いステロイドを含み、痔の炎症をしっかりと抑える作用に優れます。また麻酔薬を含むため、痛みを抑える作用にも優れます。

しかし一方で強いステロイドであるネリコルトは、副作用に注意する必要もあるお薬です。

ネリコルトには主に2つの成分、

・ジフロコルトロン吉草酸エステル
・リドカイン

が含まれています。

ジフロコルトロンは、「ネリゾナ」という商品名のステロイドになります。主に皮膚科で使われており、強い作用を持つステロイドです。これは痔の炎症を抑えるはたらきがあります。

リドカインは、「キシロカイン」という商品名で、抜歯の時などに歯医者さんで使われている局所麻酔薬です。これは痔の痛みを軽減するはたらきがあります。

つまりネリコルトは、ステロイドでしっかりと痔の炎症を抑え、麻酔薬で痛みを軽減することで痔の症状を和らげてくれるお薬になります。

注意点としては、ネリコルトに含まれるステロイドが強いことが挙げられます。ステロイドの強さは5段階に分けられますが、その中でジフロコルトロンは2番目に強い「Very Strong(非常に強力)」に属します。

強い抗炎症作用を持っているのは良いことですが、作用が強いという事は副作用も強いという事です。

具体的には免疫系を抑制する事で感染しやすくしてしまったり、長期使用しているとホルモンバランスが崩れたり皮膚が薄くなったりしてしまう事があります。

そのため長期間の使用はあまり推奨されません。

ネリコルトはリドカインという麻酔薬が配合されているため、痛みは治まりやすいお薬ですが、これはあくまでもお薬で痛みを感じにくくさせているだけだという点も注意が必要です。痛みが治まったことだけに満足してしまうと、いつまで経っても根本の原因が治療できず、むしろ痔の状態が悪化してしまうこともあります。

以上からネリコルト軟膏・坐剤の特徴を挙げると、次のようなことが挙げられます。

【ネリコルト軟膏・坐剤の特徴】
・痔を改善させる治療薬
・傷口の炎症を強力に抑え、傷の治りを早める作用がある
・麻酔作用があり、傷口の痛みを感じにくくさせる
・強いステロイドを含むため、漫然と長期間は使うべきではない

2.ネリコルトはどのような疾患に用いるのか

ネリコルトはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】
痔核に伴う症状(出血、疼痛、腫脹)の緩解

ネリコルト軟膏・坐剤は、主に痔に対して処方され、症状を和らげるお薬になります。

ネリコルトは痔疾患の治療薬の中でも、強いステロイドを含んでいるため、炎症をしっかりと抑えたい場合に使われるお薬になります。

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3.ネリコルトにはどのような作用があるのか

ネリコルトは主に痔を治すために使われますが、どのような作用を持っているのでしょうか。

ネリコルトには、

  • ジフロコルトロン
  • リドカイン

の2つの成分が含まれています。そしてこの2つの成分がそれぞれ痔の症状を改善させる作用を持っています。

具体的なネリコルトの作用について紹介します。

Ⅰ.抗炎症作用

ネリコルトにはジフロコルトロンが含まれており、これはステロイドになります。ステロイドは炎症を抑える作用があります。

炎症とは、

  • 発赤(赤くなる)
  • 熱感(熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛くなる)

といった症状を認める状態で、ネリコルトはこれらの症状を軽減してくれます。

つまり痔によって生じている熱感や痛み、腫れを和らげることで不快な症状を軽減してくれるのです。

ネリコルトの特徴は、他の痔の治療薬と比べて強いステロイドが配合されているという点です。

ステロイドは強さによって大きく5種類に分けられます。

Ⅰ群(最も強力:Strongest):デルモベート、ダイアコートなど
Ⅱ群(非常に強力:Very Strong):マイザー、ネリゾナ、アンテベートなど
Ⅲ群(強力:Strong):ボアラ、リドメックスなど
Ⅳ群(中等度:Medium):アルメタ、ロコイドなど
Ⅴ群(弱い:Weak):コートリル、プレドニンなど

ネリコルトに含まれているジフロコルトロンは「ネリゾナ」に含まれる成分と同じであり、これはⅡ群のVery Strongになります。

一方で、他の痔の治療薬でステロイドを含むものには「プロクトセディル」「ヘモレックス」「強力ポステリザン」などがありますが、これらに含まれるステロイドはヒドロコルチゾンです。

ヒドロコルチゾンは「コートリル」に含まれる成分と同じであり、これはⅤ群のWeekになります。

このように同じステロイドを含む痔治療薬であっても、ネリコルトは他のステロイド含有剤よりも強いステロイドになります。実際ネリコルトは、ヒドロコルチゾンを含む痔治療薬よりも強力に炎症を抑えることが試験で確認されています。

これは強力に炎症を抑えてくれるという一方で、ステロイドによって生じる副作用にも注意が必要だという事でもあります。

ステロイドは炎症などの症状は抑えてくれますが、身体の免疫力を抑制するため傷の治り自体は遅くしてしまう傾向があります。

炎症症状が強い場合には使うメリットの方が高いため、使うこともありますが、傷に対してどんな時でも万能というお薬ではありませんので、使用すべきかは医師にしっかりと判断してもらう必要があります。

Ⅲ.麻酔作用

ネリコルトに含まれる、リドカインは「局所麻酔薬」になります。

歯医者さんなどで抜歯をするときに「キシロカイン」というお薬で麻酔をしますが、このキシロカインに含まれる麻酔成分がリドカインです。

痔は症状の1つに「痛み」があり、これはしばしば患者さんを苦しめます。

ネリコルトはリドカインによる麻酔作用があるため、痛みを軽減してくれます。

ただし、あくまでもお薬によって痛みを感じないようにしているだけで、痛みの原因そのものを治しているわけではありません。

痛みが治まったからとそれだけで安心してしまうのではなく、根本の原因も合わせてしっかりと治すようにしなくてはいけません。

4.ネリコルトの副作用

ネリコルト軟膏・坐剤は全身に投与するものではないのでその副作用も局所に留まる事がほとんどです。そのためネリコルトの副作用は多くはありません。

ネリコルトの副作用の調査は行われていませんが、ネリコルトの先発品となる「ネリプロクト」においては、副作用発生率は0.5~0.8%前後と報告されています。

副作用としては

  • かゆみ
  • 鼓腸(お腹が張る)・放屁(おならが出る)
  • 刺激感
  • 発疹・蕁麻疹
  • 下痢
  • 悪心
  • 眠気
  • 頭痛
  • 微熱
  • ほてり
  • 出血

などが報告されています。

ネリコルトは強いステロイドを含んでいます。ステロイドは免疫力を抑制するため、感染に対して弱くしてしまうというデメリットがあります。そのため、肛門周囲の感染が疑われる場合はネリコルトを使用できませんし、使用してしまった場合は中止する必要があります。

またネリコルトを長期間・大量に使い続けているとホルモンバランスが崩れたり、皮膚の菲薄化(薄くなる事)などが生じる可能性があります。そのため必要な期間のみ使用し、漫然と長期間使用し続けないように気を付けましょう。

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5.ネリコルトの用量・用法と剤型

ネリコルトは、

ネリコルト坐剤
ネリコルト軟膏 2g

の2つの剤型があります。

2gの軟膏は1回使い切りタイプになります。

ネリコルト坐剤1個中には、

・ジフロコルトロン0.2mg、リドカイン40mg

が含まれています。一方でネリコルト軟膏1g中には

・ジフロコルトロン0.1mg、リドカイン20mg

が含まれています。つまり軟膏2gと坐剤1個が同じ量になります。

ネリコルトの使い方は、

(坐剤)
通常成人1日1個を1日2回肛門内に挿入する

(軟膏)
通常成人には1日2回適量を肛門内に注入する

と書かれています。

坐剤はそのまま肛門に挿入して使用します。

軟膏は肛門内の痔に対して用いる際は、2gの使い切りタイプの場合、先端が細くなっていますので先端を肛門内に入れてから軟膏を出します。肛門に挿入する前にちょっとだけ軟膏を出しておくと、それが滑りを良くしてくれ、肛門を刺激せずに済みます。

肛門外に使う場合は、そのまま軟膏を塗るか、ガーゼなどに軟膏を出してから患部に当てましょう。

6.ネリコルトが向いている人は?

以上から考えて、ネリコルトが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ネリコルトの特徴をおさらいすると、

・痔を改善させる治療薬
・傷口の炎症を強力に抑え、傷の治りを早める作用がある
・麻酔作用があり、傷口の痛みを感じにくくさせる
・強いステロイドを含むため、漫然と長期間は使うべきではない

というものでした。

痔は軽度のものであればお薬で創部を治すことで改善しますが、ある程度進行しているものだと手術を行う必要があります。

そのため、基本的にはネリコルトをはじめとしたお薬による痔の治療は、軽度の痔疾患が対象となります。

ネリコルトはステロイドを含んでいるため、特に長期間漫然と使用を続けることは避けるべきで、ネリコルトを塗っても改善がない場合は、医師の指示をあおぎ、手術なども検討する必要があります。

ネリコルトの特徴としては痔疾患の治療薬の中では強いステロイドを含むお薬になります。

そのため、弱いステロイドを含む痔の治療薬(プロクトセディルや強力ポステリザンなど)では効果不十分な症例や、炎症の程度が強い症例に向いているお薬になります。

反対に、ステロイドは感染に弱くしてしまう特徴があるため、感染リスクの高い痔や、二次的な感染が疑われる痔には向きません。

また、麻酔成分を配合している事から、痛みが強い痔疾患に対しても良いお薬になります。

痔の治療はお薬だけでなく生活習慣の改善が一番大切です。

  • 座る時間を減らす
  • 食事を規則正しく、バランス良く
  • 飲酒やタバコを控える
  • しっかりと睡眠を取る
  • 刺激物(からいものなど)の摂取を控える

など、生活習慣の改善も忘れないようにしましょう。

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