ナイクリン錠・散(ニコチン酸)の効果と副作用【ビタミン剤】

ナイクリン錠・ナイクリン散(一般名:ニコチン酸)は1957年から発売されているビタミン剤です。

ナイクリンの主成分は「ニコチン酸(ビタミンB3)」と呼ばれるビタミンです。

ビタミンB3は基本的には食事から摂取できるものです。そのためまずは規則正しい食生活にて摂取をしていただきたいのですが、状況によってどうしても十分なビタミンを食事から摂取できない場合は、ナイクリンのようなお薬でビタミンを補うことがあります。

今日はナイクリンの効果や特徴・副作用についてみていきましょう。

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1.ナイクリンの特徴

まずはナイクリンの特徴についてみてみましょう。

ナイクリンの主成分は「ニコチン酸(ビタミンB3)」であり、これはビタミンの一種になります。

ニコチン酸は動物や植物の体内に広く存在している物質であり、様々な酵素を補助する「補酵素」としてのはたらきを持っています。ナイクリンに含まれるニコチン酸は、私たちの体内に入るとNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、NADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)という難しい名前の物質になり、これが補酵素としてはたらきます。

ちなみにタバコなどに含まれる物質に「ニコチン」がありますが、ニコチンとニコチン酸はまったく作用が異なる物質です。

ニコチン酸は様々な作用がある事が知られています。詳しくは後述しますが、血管を拡げて血流を良くしたり、栄養を分解・吸収しやすくしたり、神経や皮膚・臓器などのはたらきを促進させる作用もあります。

ビタミンB3不足によってこれらの症状が生じている場合には、ナイクリンが症状を改善してくれる可能性があります。

元々ビタミンB3は魚介類などの食品に含まれている栄養素であるため、適切な食生活を送っていれば足りなくなることはありません。しかしビタミンB3が不十分であったり、ビタミンB3が失われるような状態にある方(アルコール多飲など)がある方では不足することがあります。

また、ビタミンですので適切な量の摂取であれば副作用はほとんどありません。

以上から、ナイクリンの特徴として次のようなことが挙げられます。

【ナイクリン(ニコチン酸)の特徴】

・ニコチン酸(ビタミンB3)である
・血管を拡張し、血流を改善する作用がある
・栄養を分解し利用しやすくする作用がある
・アルコールを分解する作用がある
・副作用はほとんどなく、安全性に優れる

2.ナイクリンはどんな疾患に用いるのか

ナイクリンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

1.ニコチン酸欠乏症の予防及び治療(ペラグラなど)
2.ニコチン酸の需要が増大し食事からの摂取が不十分な際の補給
(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦、はげしい肉体労働時など)
3.下記疾患のうちニコチン酸の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合

〇口角炎、口内炎、舌炎
〇接触皮膚炎、急・慢性湿疹、光線過敏症皮膚炎
〇メニエル症候群
〇末梢循環障害(レイノー病、四肢冷感、凍瘡、凍傷)
〇耳鳴、難聴
(上記3.に対して、効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない)

かなり難しく書かれていますね。

当たり前ですが、ナイクリンはニコチン酸というビタミンなので、ニコチン酸が足りていない時に投与されるお薬になります。

ニコチン酸不足の代表疾患には「ペラグラ」があります。ペラグラは実際に見かけることはほとんどありませんが、ニコチン酸の摂取不足で生じる疾患です。

遺伝疾患として生じる他、アルコール多飲者で認められることがあります。また抗結核薬(イゾニアジド)などのお薬の副作用として生じることもあります。アルコール多飲者ではアルコールを分解するためにニコチン酸が消費されてしまうため、ニコチン酸不足になりやすいのです。

ペラグラは「3つのD」という症状が代表的です。

・皮膚症状(Dermatitis):皮膚炎、光線過敏など
・下痢(Diarrhea):他にも吐き気、便秘など
・認知症(Dementia):不眠、錯乱、幻覚など

です。最悪の場合は死亡する可能性もある疾患であり、ニコチン酸の投与が必要です。

他にもニコチン酸不足によって生じているような諸症状に対して適応を持っています。

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3.ナイクリンにはどのような作用があるのか

ナイクリンにはどのような作用があるのでしょうか。

ナイクリンはニコチン酸から成るお薬です。ビタミンの作用というのは多岐に渡るため、ここでその全てを紹介すると大変難しい説明になってしまいます。

そのため、ここではナイクリンの代表的な作用を紹介させていただきます。

Ⅰ.血管を拡げて血流を良くする作用

ナイクリンには血管を拡げる作用があります。

これはナイクリンに含まれるニコチン酸が血液中で血管壁に作用して、プロスタンジンという物質の合成を促進するためです。

プログタグランジンは血管を拡げる作用があります。血管が拡がるとより多くの血液が流れるようになります。

これは四肢の冷えなどの改善に役立ちます。

Ⅱ.栄養の分解

私たちは食べ物から栄養を得ています。

その機序はと言うと、食事から摂取された炭水化物、タンパク質、脂質といった栄養素を分解することでエネルギーを取り出しているのです。

このエネルギーを元に私たちは日々の活動を行っています。

ニコチン酸はこれら栄養素を分解し、エネルギーを取り出すのを助けてくれます。

そのため、ニコチン酸が欠乏すると、エネルギーをうまく作り出せなくなるため、全身の臓器が栄養不良になり、

  • 精神神経症状(認知症様、不眠、幻覚、錯乱など)
  • 消化器症状(下痢や便秘、吐き気など)
  • 循環器症状
  • 皮膚症状

など様々な症状が出現します。

Ⅲ.皮膚・粘膜の正常化

ニコチン酸は、皮膚や粘膜(口腔粘膜、舌など)の組織を正常に保つはたらきがあるようです。これはⅠ.の血流を改善する作用やⅡ.の栄養を分解する作用とも関係していると思われます。

そのためニコチン酸が欠乏すると、皮膚炎や舌炎、口内炎などが生じやすくなります。

Ⅳ.アルコールの分解

ニコチン酸はアルコールを分解する時にはたらくアルコール脱水素酵素などを補助する補酵素としてはたらきます。

つまりニコチン酸があるとアルコールの分解が促進されるという事です。

反対にニコチン酸が欠乏していると、アルコールが分解されにくく二日酔いなどにもなりやすいと考えられます。

Ⅴ.脳への作用

ニコチン酸は脳神経を正常化させる作用があると考えられます。

実際ニコチン酸が欠乏すると、認知症のように脳の機能不全が生じ、見当識障害、錯乱、健忘、幻覚などが生じることが報告されています。

4.ナイクリンの副作用

ナイクリンはビタミン剤になり、ビタミンというのは本来食べ物などに含まれている成分になります。

ナイクリンの主成分はニコチン酸であり、これはビタミンB3とも呼ばれます。ビタミンB3は魚介類に多く含まれているビタミンであり、適正に摂取している分には大きな副作用が出ることはほとんどありません。

しかしビタミンと言えども過剰に摂取してしまうと副作用が出現してしまう事もあります。

副作用としては、

  • 顔面・皮膚紅潮
  • 熱感

などの報告があります。

これはナイクリンの持つ血管拡張作用によるものだと考えられます。

また、大量投与してしまった際には、

  • 皮膚病変
  • 肝機能障害
  • 痛風
  • 潰瘍形成

などを引き起こす可能性があると報告されています。

ナイクリンは

  • 重症低血圧の方
  • 動脈出血がある方

には禁忌(絶対に使ってはダメ)となっています。ナイクリンは血管を拡げて血圧を下げるため、元々重症低血圧がある方に使うと血圧を更に下げる危険があります。

また動脈から出血している患者さんにナイクリンを使って血管を拡げてしまうと、更に出血が悪化する可能性があるためです。

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5.ナイクリンの用法・用量と剤形

ナイクリンは、

ナイクリン錠(ニコチン酸) 50mg
ナイクリン散(ニコチン酸) 10%

の2剤形があります。

ナイクリンの用法・用量は次のようになります。

通常成人1日25~200mgを経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

ナイクリンは食品にも含まれるビタミンが主成分であるため、その飲み方もある程度幅を持たせた服薬法となっています。

6.ナイクリンが向いている人は?

以上から考えて、ナイクリンが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ナイクリンの特徴をおさらいすると、

・ニコチン酸(ビタミンB3)である
・血管を拡張し、血流を改善する作用がある
・栄養を分解し利用しやすくする作用がある
・アルコールを分解する作用がある
・副作用はほとんどなく、安全性に優れる

というものでした。

誤解してはいけないのが、ナイクリンはそもそも食事からニコチン酸を十分に摂取できている人には不要なお薬です。

十分なニコチン酸が食事で補えているのに、「もっと血流を良くしたい!」「もっと皮膚を健康にしたい!」と大量にナイクリンを服薬してもあまり意味はありません。摂取された余分なニコチン酸はむしろ害となります。

十分なニコチン酸が摂取できていなかったり、ニコチン酸の消耗が通常より激しいと予測されるような状態において、血流障害を認めたり、皮膚炎・口内炎・舌炎などが生じたり、めまい、健忘・錯乱などの精神症状が出現していたりという時は、ナイクリンを使うことで改善が得られる可能性があります。

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