ニューロタン錠の効果と副作用

ニューロタン(一般名:ロサルタンカリウム)は1998年に発売された降圧剤(血圧を下げるお薬)で、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(AngiotensinⅡ Receptor Blocker:ARB)という種類に属します。

ニューロタンをはじめとしたARBは、血圧を下げる作用の他、心臓や腎臓などの臓器を保護する作用もあるため、臓器障害を有する方にも適した降圧剤になります。

ARBは上手に使えば1剤で複数の効果が期待できます。お薬の作用をしっかりと熟知すれば非常に頼もしいお薬だと言えるでしょう。

血圧を下げる降圧剤にも多くの種類があります。その中でニューロタンはどんな特徴のある降圧剤で、どんな患者さんに向いているお薬なのでしょうか。

ニューロタンの効果や特徴についてみていきましょう。

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1.ニューロタン錠の特徴

まずはニューロタン錠というお薬の特徴についてみてみましょう。

ニューロタンはARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)という種類の降圧剤になります。ARBはアンジオテンシンⅡという物質のはたらきをブロックすることで、血圧を下げるお薬になります。アンジオテンシンⅡは血圧を上げる作用が強い物質なので、これをブロックすると血圧が下がるのです。

ARBはニューロタン以外にもいくつかあります。まずはARBの特徴について紹介します。

【ARBの特徴】
・血圧を下げる力(降圧力)は中程度
・臓器保護作用があり心不全・腎不全にも用いられる
・お薬によっては血糖値や尿酸値などの改善も期待できる

ARBは降圧剤に属し、血圧を下げるはたらきを狙って投与されるお薬です。しかしそれ以外にも付加的な効果が期待できます。単純に「血圧を下げる力」だけを見れば、カルシウム拮抗薬という降圧剤の方が強力です。しかしARBは、血圧を下げる以外にも付加的な効果があるのです。

その1つが「臓器保護作用」です。ARBは心臓や腎臓を保護してくれる作用が確認されています。

血圧が高いと心臓や腎臓にもダメージを与えます。血液は心臓から全身の血管に届くわけですから、血管が硬くなって血圧が上がれば心臓の負荷が上がり、心臓も痛みやすくなります。

また腎臓は血液から老廃物を取り出し尿を作るはたらきがあります。血管が硬くなっている高血圧の方では、尿を作るのも負荷がかかるようになり腎臓も痛みやすくなります。

このように血圧が高い方というのは、心臓や腎臓といった臓器にもリスクが生じるため、臓器保護作用を持つARBは高血圧による全身へのダメージをより広く守ってくれるお薬だと言えるでしょう。

またARBの中には様々な付加的効果を持つものがあり、糖尿病や高尿酸血症の改善も期待できるものがあります。

では次にARBの中でのニューロタンの特徴を紹介します。

・1番最初に発売されたARBである
・尿酸値を下げる作用がある

ニューロタンは一番最初に発売されたARBになります。強い降圧力(血圧を下げる力)はARBの中でもあまり強くはありませんが、付加効果として尿酸を下げる作用が報告されています。

以上からニューロタンの特徴を挙げると次のようになります。

【ニューロタンの特徴】

・降圧作用は強くはない
・心臓・腎臓などの臓器保護作用がある
・尿酸値を下げる作用がある

2.ニューロタン錠はどんな疾患に用いるのか

ニューロタンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

1.高血圧症
2.高血圧及び蛋白尿を伴う2型糖尿病における糖尿病性腎症

ニューロタンは降圧剤ですので「高血圧症」の患者さんに用います。

またニューロタンは臓器保護作用を持っており、このためニューロタンのようなARBは心不全や腎不全に対しての治療薬としてもよく用いられています。

ニューロタンの有効率は、

  • 軽症・中等症本態性高血圧症への有効率は69.7%
  • 重症高血圧症への有効率は61.8%
  • 腎障害を伴う高血圧症への有効率は65.4%

と報告されています。

また糖尿病性腎症においても、ニューロタンを投与する事で腎機能の悪化や死亡率を軽減させることが確認されています。

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3.ニューロタン錠にはどのような作用があるのか

ニューロタンは具体的にどのような作用を有しているのでしょうか。

ニューロタンの作用機序について紹介します。

Ⅰ.降圧作用

ニューロタンは「降圧剤」であり、主な作用は血圧を下げる作用になります。

ではニューロタンはどのような機序で血圧を下げてくれるのでしょうか。

私たちの身体の中には、血圧を上げる仕組みがいくつかあります。その1つに「RAA系」と呼ばれる体内システムがあります(RAA系とは「レニン-アンジオテンシン-アルドステロン」の略です)。

RAA系は本来、血圧が低くなりすぎてしまった時に血圧を上げるシステムです。

腎臓は血液から老廃物を取り出して尿を作る臓器ですが、ここに「傍糸球体装置」というものがあります。傍糸球体装置は腎臓に流れてくる血液が少なくなると「レニン」という物質を放出します。

レニンはアンジオテンシノーゲンをアンジオテンシンⅠという物質に変えるはたらきがあります。

更にアンジオテンシンⅠはACEという酵素によってアンジオテンシンⅡになります(ちなみにこれをブロックするのがACE阻害薬という降圧剤です)。

アンジオテンシンⅡは、血管を収縮させて血圧を上げるはたらきがあります。また副腎という臓器に作用して、アルドステロンというホルモンを分泌させます。

アルドステロンは血液中にナトリウムを増やします(詳しく言うと、尿として捨てる予定だったナトリウムを体内に再吸収します)。血液中のナトリウムが増えると血液の浸透圧が上がるため、ナトリウムにつられて水分も血液中に引き込まれていきます。これにより血液量が増えて血圧も上がるという仕組みです。

通常であればこのRAA系は、血圧が低くなった時だけ作動する仕組みです。しかし血圧が高い状態が持続している方は、このRAA系のスイッチが不良になってしまい、普段からRAA系システムが作動してしまっていることがあります。

ニューロタンをはじめとしたARBは、アンジオテンシンⅡのはたらきをブロックすることで、RAA系が作動しないようにします。すると血圧を上げる物質が少なくなるため、血圧が下がるというわけです。

Ⅱ.臓器保護作用

ニューロタンには臓器保護作用があります。

具体的には心臓・腎臓や脳に対して、これらの臓器が傷付くのを防いでくれるのです。

心臓が傷んでしまい、十分に機能できなくなる状態を「心不全」と呼びます。高血圧は心不全のリスクになるため、ニューロタンの降圧作用はそれ自体が心保護作用になります。

またそれ以外にも先ほど説明したRAA系の「アンジオテンシンⅡ」は心臓の筋肉(心筋)の線維化を促進し、これも心臓の力を弱める原因となります。

ニューロタンはアンジオテンシンⅡのはたらきをブロックしてくれるため、これも心保護作用になります。

実際、ニューロタンのようなARBは心不全に対しての第一選択薬となっています。

また腎臓に対しても同様です。

腎臓が傷んでしまい、十分に機能できなくなる状態は「腎不全」と呼ばれ、これも高血圧が発症リスクになるため、ニューロタンの降圧作用はそれ自体が腎保護作用になります。

アンジオテンシンは腎臓の線維化も促進し、これも腎不全の原因になるのですが、ニューロタンは同様の機序で腎臓の線維化を抑え、腎保護作用を発揮します。

実際、ニューロタンのようなARBは腎不全の1つの指標である尿中蛋白を減少させることが報告されており、腎不全に対しても第一選択薬となっています。

Ⅲ.尿酸値を下げる作用

ARBの中でのニューロタンの特徴の1つとして、尿酸値を下げる作用がある事が挙げられます。

これはARBの中でもニューロタンと「イルベタン・アバプロ(イルベザルタン)」の2剤にのみ報告されている作用です。

ニューロタンは腎臓にあるURAT1という輸送体をブロックするはたらきがあります。URAT1は尿にある尿酸を体内に再吸収する役割があります。

URAT1がブロックされると、尿酸が再吸収されずにそのまま尿と一緒に排泄される事になり、これによって尿酸値が下がると考えられています。

ニューロタンは用量依存的に尿酸値を下げ(服薬量が多いほど尿酸値を下げる力も強い、という事)、尿酸値をおおよそ0.3~1.0程度下げる力があります。

4.ニューロタン錠の副作用

ニューロタンの副作用はどのようなものがあるのでしょうか。またニューロタンは安全はお薬なのでしょうか、それとも副作用が多いお薬なのでしょうか。

全体的な印象としてニューロタンをはじめとしたARBは安全性が高いお薬です。高血圧の患者さんは多く、ARBを処方する機会も非常に多いのですが、適正に使用していれば重篤な副作用に出会うことはほとんどありません。

ニューロタンの副作用発生率は約3.6~17.2%と報告されています。

生じうる副作用としては、

  • 頭痛
  • めまい
  • 嘔吐・嘔気
  • ほてり
  • 咳嗽
  • 発疹
  • 低血圧

などがあります。頭痛やめまいはニューロタンは血圧を下げてしまうことによって生じる症状です。

また血液検査値の異常の報告もあります。

  • 肝酵素(AST、ALTなど)上昇
  • CK(CPK)上昇
  • 総コレステロール上昇
  • 赤血球減少
  • クレアチニン上昇
  • BUN上昇
  • カリウム上昇

などです。

ニューロタンは「アルドステロン」というホルモンのはたらきを弱めますが、アルドステロンは本来、体内のナトリウムを増やし、その代り体内のカリウムを減らすはたらきがあります(ナトリウムを尿から再吸収し、カリウムを尿に排泄します)。

ニューロタンはこの作用を止めてしまうため、体内のカリウムが増えすぎてしまうことがあるのです。

そのためARBを長期間副作用されている方は定期的に血液検査などで肝機能、腎機能、電解質(カリウムなど)をチェックしておくことが望ましいでしょう。

また、稀ですが重篤な副作用として

  • アナフィラキシー
  • 血管浮腫
  • 急性肝炎または劇症肝炎
  • ショック、失神、意識消失
  • 横紋筋融解症
  • 高カリウム血症
  • 不整脈
  • 汎血球減少、白血球減少、血小板減少
  • 低血糖
  • 低ナトリウム血症

などが報告されています。

また、ニューロタンは

  • 妊婦又は妊娠している可能性のある方
  • 重篤な肝障害のある方
  • ラジレスを投与中の糖尿病の方(ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)

は原則服薬することが出来ません。

妊娠中の方が服薬できないのは、妊娠中の服薬により羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、多臓器不全、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の奇形、頭蓋顔面の奇形、肺の発育不全等が現れたという報告があるからです。

難しい名前をたくさん挙げましたが、要するに妊婦さんがニューロタンなどのARBを服薬すると赤ちゃんに奇形が発生する確率が高くなる、という事です。

またラジレスというお薬とニューロタンのようなARBは原則併用できません。これはラジレスとニューロタン(ARB)の併用で非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されているためです。

ただし、どうしても他の降圧剤で治療できない高血圧症の方に限り、慎重に併用することは認めれています。

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5.ニューロタンの用法・用量と剤形

ニューロタンは、

ニューロタン錠 25mg
ニューロタン錠 50mg
ニューロタン錠 100mg

の3剤形があります。

ニューロタンの使い方は、

<高血圧症>
通常、成人には25~50mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日100mgまで増量できる。

<高血圧及び蛋白尿を伴う2型糖尿病における糖尿病性腎症>
通常、成人には50mgを1日1回経口投与する。なお、血圧値をみながら1日100mgまで増量できる。ただし、過度の血圧低下を起こすおそれのある患者等では25mgから投与を開始する。

と書かれています。

基本的には25~50mgから始め、必要に応じて100mgまで増薬します。

用法・用量の注意点としては、

高血圧及び蛋白尿を伴う 2 型糖尿病における糖尿病性腎症に対して、本剤を投与後、血清クレアチニン値が前回の検査値と比較して30%(あるいは1mg/dL)以上増加した場合、及び糸球体ろ過値、1/血清クレアチニン値の勾配等で評価した腎機能障害の進展速度が加速された場合には、減量あるいは投与中止を考慮すること。

と書かれています。これはニューロタンを開始してから腎機能障害が急激に進んでしまった場合はニューロタンの減量・中止を検討しなさい、という内容になります。

ARBの服薬中は定期的に血液検査を行い、このような状態が生じないか確認していく必要があります。

ちなみにニューロタンを服薬してからどれくらいで効果を判定すれば良いのでしょうか。これは明確に決まっているわけではありませんが、通常2週間程度で効果は現れはじめます。しっかりとした効果を判定するには「約1カ月」程度を考えます。

6.ニューロタン錠が向いている人は

以上から考えて、ニューロタンが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ニューロタンの特徴をおさらいすると、

・降圧作用は強くはない
・心臓・腎臓などの臓器保護作用がある
・尿酸値を下げる作用がある

というものでした。

ニューロタンは一番古いARBでもあり、今となってはそこまで多く処方されているARBではありません。

しかし尿酸を下げる力を持った数少ないARBですので、高尿酸血症を併発している方には良い選択肢になります。

またこれはARBすべてに言える事ですが、単に血圧を下げるだけでなく臓器保護作用を持つニューロタンは、心不全・腎不全・脳梗塞の既往があるなどの臓器保護が必要な方にも良い適応となります。

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