オルメテック錠の効果と副作用

オルメテック錠(一般名:オルメサルタン メドキソミル)は2004年に発売された降圧剤(血圧を下げるお薬)で、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(AngiotensinⅡ Receptor Blocker:ARB)という種類に属します。

オルメテックをはじめとしたARBは、血圧を下げる作用の他、心臓や腎臓などの臓器を保護する作用もあるため、臓器障害を有する方にも適した降圧剤になります。

ARBは上手に使えば1剤で複数の効果が期待できます。お薬の作用をしっかりと熟知すれば非常に頼もしいお薬だと言えるでしょう。

血圧を下げる降圧剤にも多くの種類があります。その中でオルメテックはどんな特徴のある降圧剤で、どんな患者さんに向いているお薬なのでしょうか。

オルメテック錠の効果や特徴についてみていきましょう。

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1.オルメテック錠の特徴

オルメテック錠というお薬の特徴についてみてみましょう。

オルメテックはARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)という種類の降圧剤になります。ARBはアンジオテンシンⅡという物質のはたらきをブロックすることで、血圧を下げるお薬になります。アンジオテンシンⅡは血圧を上げる作用が強い物質なので、これをブロックすると血圧が下がるのです。

ARBはオルメテック以外にもいくつかあります。まずはARBの特徴について紹介します。

【ARBの特徴】
・血圧を下げる力(降圧力)は中程度
・臓器保護作用があり心不全・腎不全にも用いられる
・お薬によっては血糖値や尿酸値などの改善も期待できる

ARBは降圧剤に属し、血圧を下げるはたらきを狙って投与されるお薬です。しかしそれ以外にも付加的な効果が期待できます。単純に「血圧を下げる力」だけを見れば、カルシウム拮抗薬という降圧剤の方が強力です。しかしARBは、血圧を下げる以外にも付加的な効果があるのです。

その1つが「臓器保護作用」です。ARBは心臓や腎臓を保護してくれる作用が確認されています。

血圧が高いと心臓や腎臓にもダメージを与えます。血液は心臓から全身の血管に届くわけですから、血管が硬くなって血圧が上がれば心臓の負荷が上がり、心臓も痛みやすくなります。

また腎臓は血液から老廃物を取り出し尿を作るはたらきがあります。血管が硬くなっている高血圧の方では、尿を作るのも負荷がかかるようになり腎臓も痛みやすくなります。

このように血圧が高い方というのは、心臓や腎臓といった臓器にもリスクが生じるため、臓器保護作用を持つARBは高血圧による全身へのダメージをより広く守ってくれるお薬だと言えるでしょう。

またARBの中には様々な付加的効果を持つものがあり、糖尿病や高尿酸血症の改善も期待できるものがあります。

では次にARBの中でのオルメテックの特徴を紹介します。

・ARBの中では降圧力は最強クラス
・インバースアゴニスト作用が強い

オルメテックのARBの中での特徴は「強い降圧作用」にあります。ARBは様々な付加効果がある反面で、単純な降圧力としてそこまで強力ではないものもありますが、オルメテックは降圧作用も強力です。

またARBにはインバースアゴニストという作用があるものがあります。ARBはアンジオテンシンⅡ受容体という部位に作用するのですが、実はアンジオテンシンⅡ受容体は何も結合していない状態でもある程度勝手に活性化して作用をもたらしています。

この受容体自身が持つ活性をも抑制する作用がインバースアゴニスト作用です。アンジオテンシンⅡ受容体をブロックして、アンジオテンシンⅡが結合した時の活性が生じないようにするほか、アンジオテンシンⅡ受容体自身が持っている活性をもブロックする事でより降圧力・臓器保護作用を高めてくれます。

簡単に言えば、インバースアゴニスト作用が強いARBほど、しっかり血圧を下げ、臓器を保護すると言えます。

以上からオルメテックの特徴を挙げると次のようになります。

【オルメテックの特徴】

・降圧作用が強い(ARBでは最強クラス)
・心臓・腎臓などの臓器保護作用がある

2.オルメテック錠はどんな疾患に用いるのか

オルメテックはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

高血圧症

オルメテックは降圧剤ですので、「高血圧症」の患者さんに用います。

オルメテックはARBの中では効果が強く、しっかりと血圧を下げてくれるお薬になります。

オルメテックの有効率は、

  • 本態性高血圧症への有効率は79.8%
  • 重症高血圧症への有効率は86.2%
  • 腎障害を伴う高血圧症への有効率は68.0%

と報告されています。

これ以外にもオルメテックは臓器保護作用を持っており、このためオルメテックのようなARBは心不全や腎不全に対しての治療薬としてもよく用いられています。

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3.オルメテック錠にはどのような作用があるのか

オルメテックは具体的にどのような作用を有しているのでしょうか。

オルメテックの作用機序について紹介します。

Ⅰ.降圧作用

オルメテックは「降圧剤」であり、主な作用は血圧を下げる作用になります。

ではオルメテックはどのような機序で血圧を下げてくれるのでしょうか。

私たちの身体の中には、血圧を上げる仕組みがいくつかあります。その1つに「RAA系」と呼ばれる体内システムがあります(RAA系とは「レニン-アンジオテンシン-アルドステロン」の略です)。

RAA系は本来、血圧が低くなりすぎてしまった時に血圧を上げるシステムです。

腎臓は血液から老廃物を取り出して尿を作る臓器ですが、ここに「傍糸球体装置」というものがあります。傍糸球体装置は腎臓に流れてくる血液が少なくなると「レニン」という物質を放出します。

レニンはアンジオテンシノーゲンをアンジオテンシンⅠという物質に変えるはたらきがあります。

更にアンジオテンシンⅠはACEという酵素によってアンジオテンシンⅡになります(ちなみにこれをブロックするのがACE阻害薬という降圧剤です)。

アンジオテンシンⅡは、血管を収縮させて血圧を上げるはたらきがあります。また副腎という臓器に作用して、アルドステロンというホルモンを分泌させます。

アルドステロンは血液中にナトリウムを増やします(詳しく言うと、尿として捨てる予定だったナトリウムを体内に再吸収します)。血液中のナトリウムが増えると血液の浸透圧が上がるため、ナトリウムにつられて水分も血液中に引き込まれていきます。これにより血液量が増えて血圧も上がるという仕組みです。

通常であればこのRAA系は、血圧が低くなった時だけ作動する仕組みです。しかし血圧が高い状態が持続している方は、このRAA系のスイッチが不良になってしまい、普段からRAA系システムが作動してしまっていることがあります。

オルメテックをはじめとしたARBは、アンジオテンシンⅡのはたらきをブロックすることで、RAA系が作動しないようにします。すると血圧を上げる物質が少なくなるため、血圧が下がるというわけです。

Ⅱ.臓器保護作用

オルメテックには臓器保護作用があります。

具体的には心臓・腎臓や脳に対して、これらの臓器が傷付くのを防いでくれるのです。

心臓が傷んでしまい、十分に機能できなくなる状態を「心不全」と呼びます。高血圧は心不全のリスクになるため、オルメテックの強力な降圧作用はそれ自体が心保護作用になります。

またそれ以外にも先ほど説明したRAA系の「アンジオテンシンⅡ」は心臓の筋肉(心筋)の線維化を促進し、これも心臓の力を弱める原因となります。

オルメテックはアンジオテンシンⅡのはたらきをブロックしてくれるため、これも心保護作用になります。

実際、オルメテックのようなARBは心不全に対しての第一選択薬となっています。

また腎臓に対しても同様です。

腎臓が傷んでしまい、十分に機能できなくなる状態は「腎不全」と呼ばれ、これも高血圧が発症リスクになるため、オルメテックの強力な降圧作用はそれ自体が腎保護作用になります。

アンジオテンシンは腎臓の線維化も促進し、これも腎不全の原因になるのですが、オルメテックは同様の機序で腎臓の線維化を抑え、腎保護作用を発揮します。

4.オルメテック錠の副作用

オルメテックの副作用はどのようなものがあるのでしょうか。またオルメテックは安全はお薬なのでしょうか、それとも副作用が多いお薬なのでしょうか。

全体的な印象としてオルメテックをはじめとしたARBは安全性が高いお薬です。高血圧の患者さんは多く、ARBを処方する機会も非常に多いのですが、適正に使用していれば重篤な副作用に出会うことはほとんどありません。

オルメテックの副作用発生率は3.9~11.4%と報告されています。

生じうる副作用としては、

  • めまい
  • 頭痛
  • 下痢
  • 発疹・掻痒

などがあります。頭痛やめまいはオルメテックは血圧を下げてしまうことによって生じる症状です。

また血液検査値の異常の報告もあります。

  • カリウム(K)上昇
  • 尿酸上昇
  • 肝臓系酵素(AST、ALTなど)の上昇
  • 腎臓系酵素(BUN、クレアチニンなど)の上昇
  • CK(CPK)上昇

などです。

オルメテックは「アルドステロン」というホルモンのはたらきを弱めますが、アルドステロンは本来、体内のナトリウムを増やし、その代り体内のカリウムを減らすはたらきがあります(ナトリウムを尿から再吸収し、カリウムを尿に排泄します)。

オルメテックはこの作用を止めてしまうため、体内のカリウムが増えすぎてしまうことがあるのです。

そのためARBを長期間副作用されている方は定期的に血液検査などで肝機能、腎機能、電解質(カリウムなど)をチェックしておくことが望ましいでしょう。

また、稀ですが重篤な副作用として

  • 血管浮腫
  • 腎不全
  • 高カリウム血症
  • ショック、失神、意識消失
  • 肝機能障害、黄疸
  • 血小板減少
  • 低血糖
  • 横紋筋融解症
  • アナフィラキシー
  • 重度の下痢

などが報告されています。

また、オルメテックは

  • 妊婦
  • ラジレスを投与中の糖尿病患者様

は原則服薬することが出来ません。

妊娠中の方が服薬できないのは、妊娠中期~末期にオルメテックなどのARBを投与された妊婦さんの赤ちゃんに、羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の変形、肺の形成不全などが認められたという報告があるためです。

難しい名前をたくさん挙げましたが、要するに妊婦さんがオルメテックなどのARBを服薬すると赤ちゃんに奇形が発生する確率が高くなる、という事です。

またオルメテックをはじめとしたARBは糖尿病患者さんにおいてはラジレスというお薬と併用する事はできません。ラジレスとオルメテック(ARB)の併用で非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されているためです。

しかしどうしても他の降圧剤で治療できない高血圧症の方に限り、慎重に用いることは認めれています。

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5.オルメテックの用法・用量と剤形

オルメテックは、

オルメテック錠 5mg
オルメテック錠 10mg
オルメテック錠 20mg
オルメテック錠 40mg

オルメテックOD錠 10mg
オルメテックOD錠 20mg
オルメテックOD錠 40mg

の7剤形があります。

オルメテックの使い方は、

通常、成人には10~20mgを1日1回経口投与する。なお、1日5~10mgから投与を開始し、年齢、症状により適宜増減するが、1日最大投与量は40mgまでとする。

と書かれています。

服用時間は食前でも食後でもどちらでも問題ありません。

ちなみにオルメテックを服薬してからどれくらいで効果を判定すれば良いのでしょうか。これは明確に決まっているわけではありませんが、通常2週間程度で効果は現れはじめます。しっかりとした効果を判定するには「約1カ月」程度を考えます。

6.オルメテック錠が向いている人は

以上から考えて、オルメテックが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

オルメテックの特徴をおさらいすると、

・降圧作用が強い(ARBでは最強クラス)
・心臓・腎臓などの臓器保護作用がある

というものでした。

オルメテックの最大の売りは、ARBで最強クラスの強力な降圧効果です。

そのため、

・血圧をしっかりと下げたい方で
・臓器保護も必要な方

に良い適応となります。

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