パルデス軟膏の強さと副作用【外用ステロイド薬】

パルデス軟膏・パルデスクリーム・パルデスローション(一般名:クロベタゾン酪酸エステル)は1984年から発売されている「キンダベート」というステロイド外用剤のジェネリック医薬品になります。

外用剤とは皮膚に塗る「塗り薬」の事です。ステロイド外用剤は主に皮膚の炎症を抑える作用に優れます。飲み薬のように全身に作用するわけではなく、皮膚局所にのみ作用するため、効かせたい部位にしっかりと効き、余計な部位に作用しないというメリットがあります。

塗り薬はたくさんの種類があるため、それぞれがどのような特徴を持つのか一般の方にとっては分かりにくいと思います。

パルデスがどんな特徴のあるお薬で、どんな患者さんに向いているお薬なのか、パルデス軟膏の効能や特徴・副作用についてみてみましょう。

スポンサーリンク

1.パルデスの特徴

まずはパルデスの特徴をざっくりと紹介します。

パルデスは皮膚に塗る外用ステロイド薬であり、皮膚の炎症を抑えてくれます。外用ステロイド薬の中での強さは5段階中4番目で「中等度」になります。

パルデスはステロイドになりますが、外用ステロイド剤は強さによって5段階に分かれています。

Ⅰ群(最も強力:Strongest):デルモベート、ダイアコートなど
Ⅱ群(非常に強力:Very Strong):マイザー、ネリゾナ、アンテベートなど
Ⅲ群(強力:Strong):ボアラ、リドメックスなど
Ⅳ群(中等度:Medium):アルメタ、ロコイド、キンダベートなど
Ⅴ群(弱い:Weak):コートリル、プレドニンなど

この中でパルデスは「Ⅳ群」に属します。パルデスはキンダベートのジェネリック医薬品ですので強さもキンダベートと同じになります。

ステロイドはしっかりとした抗炎症作用(炎症を抑える作用)が得られる一方で、長期使用による副作用の問題などもあるため、皮膚状態に応じて適切に使い分ける事が大切です。

パルデスは外用ステロイド剤の中では効きは穏やかであるため、顔や陰部など皮膚が薄い部位にも使いやすいステロイドになります。

しかしステロイドはどれも長期使用すると、皮膚が薄くなってしまったり感染しやすくなってしまったりといった副作用が生じる可能性があります。パルデスもそういった副作用が生じる可能性はあるため、必要な期間のみ使用し、漫然と塗り続けないことが大切です。

またパルデスはジェネリック医薬品ですので先発品と比べて薬価が安いのもメリットとなります。

以上からパルデスの特徴として次のような事が挙げられます。

【パルデス軟膏・クリーム・ローションの特徴】

・Ⅳ群(中等度の強さ)に属する外用ステロイド剤である
・ステロイドの中で効果は穏やか
・顔や陰部などの皮膚が薄い部位にも使いやすい
・ステロイドであるため、長期使用による副作用に注意
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

2.パルデスはどんな疾患に用いるのか

パルデスはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

アトピー性皮膚炎(乳幼児湿疹を含む)
顔面、頚部、腋窩、陰部における湿疹・皮膚炎

パルデスはステロイド外用剤ですが、ステロイド外用剤を用いるのは、

  • 炎症を抑えたい
  • 免疫を抑えたい
  • 皮膚の増殖を抑えたい

という3つの場合であり、これを期待したい時に用いられる塗り薬になります。

パルデスは穏やかな効きのステロイドであるため、皮膚が敏感なお子様(乳幼児)に用いられる事が多いステロイド外用剤になります。

また、顔・首・わきの下・陰部といった皮膚が薄い部位にも比較的使いやすいステロイドになります。

パルデスはこれらの疾患に対してどのくらいの効果があるのでしょうか。パルデスはジェネリック医薬品であるため有効性に対する詳しい調査は行われていません。

先発品のキンダベート軟膏での調査では、

  • アトピー性皮膚炎に対する有効率は83.5%
  • 顔面、頸部、腋窩、陰部における湿疹・皮膚炎に対する有効率は85.7%

と報告されています。同等の効果を持つパルデス軟膏もこれと同等の有効性があると考えられます。

またパンデルクリームに対して少数(139例)を対象にした試験では、

  • アトピー性皮膚炎に対する改善率は81.3%
  • 接触性皮膚炎に対する改善率は88.2%
  • 急性湿疹に対する改善率は76.0%
  • 脂漏性湿疹に対する改善率は87.5%

と報告されています。

パンデルローションに対して同じく少数(103例)を対象にした試験では、

  • アトピー性皮膚炎に対する改善率は83.9%
  • 接触性皮膚炎に対する改善率は92.3%
  • 急性湿疹に対する改善率は82.1%
  • 脂漏性湿疹に対する改善率は75.9%

と報告されています。

スポンサーリンク

3.パルデスにはどのような作用があるのか

皮膚の炎症を抑えてくれるパルデスですが、具体的にはどのような作用があるのでしょうか。

パルデスの作用について詳しく紹介します。

Ⅰ.免疫抑制作用

パルデスはステロイド剤です。

ステロイドには様々な作用がありますが、その1つに免疫を抑制する作用があります。

免疫というのは異物が侵入してきた時に、それを攻撃する生体システムの事です。皮膚からばい菌が侵入してきた時には、ばい菌をやっつける細胞を向かわせることでばい菌の侵入を阻止します。

免疫は身体にとって非常に重要なシステムですが、時にこの免疫反応が過剰となってしまい身体を傷付けることがあります。

代表的なものがアレルギー反応です。アレルギー反応というのは、本来であれば無害の物質を免疫が「敵だ!」と誤認識してしまい、攻撃してしまう事です。

代表的なアレルギー反応として花粉症(アレルギー性鼻炎)がありますが、これは「花粉」という身体にとって無害な物質を免疫が「敵だ!」と認識して攻撃を開始してしまう疾患です。その結果、鼻水・鼻づまり・発熱・くしゃみなどの不快な症状が生じてしまいます。

同じく皮膚にアレルギー反応が生じる疾患にアトピー性皮膚炎がありますが、これも皮膚の免疫が誤作動してしまい、本来であれば攻撃する必要のない物質を攻撃してしまい、その結果皮膚が焼け野原のように荒れてしまうのです。

このような状態では、過剰な免疫を抑えてあげると良いことが分かります。

ステロイドは免疫を抑えるはたらきがあります。パルデスは塗り薬であるため、塗った部位の皮膚の免疫力が低下します。

Ⅱ.抗炎症作用

上記のようにパルデスをはじめとしたステロイドは免疫力を低下させる作用があります。

これによって炎症が抑えられます。

炎症とは、

  • 発赤 (赤くなる)
  • 熱感 (熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛みを感じる)

の4つの徴候を生じる状態のことです。今説明したように感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーで生じることもあります。

みなさんも身体をぶつけたり、ばい菌に感染したりして、身体がこのような状態になったことがあると思います。これが炎症です。皮膚に炎症が起こることを皮膚炎と呼びます。皮膚炎も外傷でも生じるし、ばい菌に感染することでも生じるし、アレルギーでも生じます。

ステロイドは免疫を抑制することで、炎症反応を生じにくくさせてくれるのです。

Ⅲ.皮膚細胞の増殖抑制作用

パルデスをはじめとしたステロイド外用剤は、塗った部位の皮膚細胞の増殖を抑えるはたらきがあります。

これも主に副作用となる事が多く、強いステロイドを長期間塗り続けていると皮膚が薄くなっていき毛細血管が目立って赤みのある皮膚になってしまう事があります。

しかし反対に皮膚が肥厚してしまうような疾患(乾癬や角化症など)においては、ステロイドを使う事で皮膚細胞の増殖を抑え、皮膚の肥厚を改善させることも出来ます。

4.パルデスの副作用

パルデスの副作用はどのようなものがあるのでしょうか。またその頻度はどのくらいなのでしょうか。

パルデス軟膏はジェネリック医薬品ですので副作用発生率の詳しい調査は行われていません。しかし先発品のキンダベート軟膏では行われており、副作用発生率は0.6%と報告されています。パルデス軟膏の副作用発生率もこれと同程度だと考えられます。

またパルデスクリーム・パルデスローションは先発品に同様の剤型がないために副作用発生率の調査が行われています。いずれも少数を対象にした調査になりますが、

  • パルデスクリームの副作用発生率は2.2%(139例を対象とした調査)
  • パルデスローションの副作用発生率は1.0%(103例を対象とした調査)

と報告されています。

塗り薬であり、全身に投与するものではないのでその副作用は多くはありません。しかしステロイド剤ですので、漫然と塗り続けないように注意は必要です。

生じる副作用は、ほとんどが局所の皮膚症状で、

  • 掻痒(かゆみ)
  • 毛のう炎・癤(せつ)
  • 刺激感
  • ステロイドざ瘡
  • 皮疹の増悪
  • 皮膚の潮紅・腫脹
  • 皮膚の乾燥

などです(「せつ」とはいわゆる「おでき」の事です)。

ステロイドは免疫を低下させてしまうため、ばい菌に感染しやすくなってしまい、毛のう炎・癤などが生じる事があります。また皮膚を薄くしてしまう副作用により刺激感が生じる事もあります。

ステロイドざ瘡とは、ステロイドの長期塗布によって皮膚に細菌・真菌が感染してしまい、にきびのようになってしまうことです。

いずれも重篤となることは少なく、多くはパルデスの使用を中止すれば自然と改善していきますが、安易に長期使用しないよう注意が必要です。

また滅多にありませんが、ステロイド外用薬を長期・大量に塗り続けていると全身に作用してしまい、

  • 緑内障(眼圧亢進)
  • 後嚢白内障

などが生じる可能性があると言われています。

ステロイド外用剤の注意点としては、ステロイドは免疫力を低下させるため免疫力が活性化していないとまずい状態での塗布はしてはいけません。具体的にはばい菌感染が生じていて、免疫がばい菌と闘わなくてはいけないときなどが該当します。

このような状態の皮膚にパルデスを塗る事は禁忌(絶対にダメ)となっています。

ちなみに添付文書には次のように記載されています。

【禁忌】
(1)本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
(2)鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎
(3)潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷

【原則禁忌】
細菌、真菌、ウイルス皮膚感染症(病期あるいは症状に応じて使用すること)

これらの状態でパルデスが禁忌となっているのは、皮膚の再生を遅らせたり、感染しやすい状態を作る事によって重篤な状態になってしまう恐れがあるためです。

スポンサーリンク

5.パルデスの用法・用量と剤形

パルデスには、

パルデス軟膏 0.05% 5g (チューブ)
パルデス軟膏 0.05% 10g (チューブ)
パルデス軟膏 0.05% 500g (ポリ容器)

パルデスクリーム 0.05% 5g (チューブ)
パルデスクリーム 0.05% 10g (チューブ)
パルデスクリーム 0.05% 600g (ポリ容器)

パルデスローション 0.05% 10g (ポリ容器)

といった剤型があります。

ちなみに塗り薬には「軟膏」「クリーム」「ローション(外用液)」などいくつかの種類がありますが、これらはどのように違うのでしょうか。

軟膏は、ワセリンなどの油が基材となっています。保湿性に優れ、刺激性が少ないことが特徴ですが、べたつきは強く、これが気になる方もいらっしゃいます。

クリームは、水と油を界面活性剤で混ぜたものです。軟膏よりも水分が入っている分だけ伸びがよく、べたつきも少なくなっていますが、その分刺激性はやや強くなっています。

ローションは水を中心にアルコールなどを入れることもある剤型です。べたつきはほとんどなく、遣い心地は良いのですが、保湿効果は長続きしません。

パルデスの使い方は、

通常1日1~数回適量を患部に塗布する。なお、症状により適宜増減する。

と書かれています。実際は皮膚の状態や場所によって回数や量は異なるため、主治医の指示に従いましょう。

6.パルデスの使用期限はどれくらい?

パルデスの使用期限って、どのくらいの長さなのでしょうか。

「家に数年前に処方してもらった軟膏があるんだけど、これってまだ使えますか?」

このような質問は患者さんから時々頂きます。

これは保存状態によっても異なってきますので、一概に答えることはできませんが、製薬会社による記載では室温保存にて「3年」となっています。

7.パルデスが向いている人は?

以上から考えて、パルデスが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

パルデスの特徴をおさらいすると、

・Ⅳ群(中等度の強さ)に属する外用ステロイド剤である
・ステロイドの中で効果は穏やか
・顔や陰部などの皮膚が薄い部位にも使いやすい
・ステロイドであるため、長期使用による副作用に注意
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

というものでした。

ここから、皮膚の免疫反応が過剰となり、炎症が生じている際に使用する塗り薬だと考えられます。

ステロイドの中では効果は穏やかであるため、比較的軽症の皮膚状態や皮膚が過敏な部位(皮膚が薄い顔や陰部)に向いているお薬でしょう。

しかし、これはステロイド全てに言えることですが、漫然と使い続けることは良くありません。ステロイドは必要な時期のみしっかりと使い、必要がなくなったら使うのを止めるという、メリハリを持った使い方が非常に大切です。

8.先発品と後発品(ジェネリック)の効果は本当に同じなのか?

パルデスは「キンダベート」というお薬のジェネリック医薬品になります。

ジェネリックは薬価も安く、患者さんにとってメリットが多いように見えます。

しかし「安いという事は品質に問題があるのではないか」「やはり正規品の方が安心なのではないか」とジェネリックへの切り替えを心配される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

同じ商品で価格が高いものと安いものがあると、つい私たちは「安い方には何か問題があるのではないか」と考えてしまうものです。

ジェネリックは、先発品と比べて本当に遜色はないのでしょうか。

結論から言ってしまうと、先発品とジェネリックはほぼ同じ効果・効能だと考えて問題ありません。

ジェネリックを発売するに当たっては「これは先発品と同じような効果があるお薬です」という根拠を証明した試験を行わないといけません(生物学的同等性試験)。

発売したいジェネリック医薬品の詳細説明や試験結果を厚生労働省に提出し、許可をもらわないと発売はできないのです、

ここから考えると、先発品とジェネリックはおおよそ同じような作用を持つと考えられます。明らかに効果に差があれば、厚生労働省が許可を出すはずがないからです。

しかし先発品とジェネリックは多少の違いもあります。ジェネリックを販売する製薬会社は、先発品にはないメリットを付加して患者さんに自分の会社の薬を選んでもらえるように工夫をしています。例えば使い心地を工夫して添加物を先発品と変えることもあります。

これによって患者さんによっては多少の効果の違いを感じてしまうことはあります。この多少の違いが人によっては大きく感じられることもあるため、ジェネリックに変えてから調子が悪いという方は先発品に戻すのも1つの方法になります。

では先発品とジェネリックは同じ効果・効能なのに、なぜジェネリックの方が安くなるのでしょうか。これを「先発品より品質が悪いから」と誤解している方がいますが、これは誤りです。

先発品は、そのお薬を始めて発売するわけですから実は発売までに莫大な費用が掛かっています。有効成分を探す開発費用、そしてそこから動物実験やヒトにおける臨床試験などで効果を確認するための研究費用など、お薬を1つ作るのには実は莫大な費用がかかるのです(製薬会社さんに聞いたところ、数百億という規模のお金がかかるそうです)。

しかしジェネリックは、発売に当たって先ほども説明した「生物学的同等性試験」はしますが、有効成分を改めて探す必要もありませんし、先発品がすでにしている研究においては重複して何度も同じ試験をやる必要はありません。

先発品と後発品は研究・開発費に雲泥の差があるのです。そしてそれが薬価の差になっているのです。

つまりジェネリック医薬品の薬価は莫大な研究開発費がかかっていない分が差し引かれており先発品よりも安くなっているということで、決して品質の差が薬価の差になっているわけではありません。

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
こちらの記事も是非ご覧下さい