パントシン錠・パントシン散(パンテチン)の効果・効能と副作用

パントシン錠・パントシン散(一般名:パンテチン)は1978年から発売されているビタミン剤です。

パントシンの主成分である「パンテチン」は、ビタミンB5のことでビタミンの1種になります。

パンテチン(ビタミンB5)は糖分や脂質といった栄養分の代謝(栄養素を分解する過程でエネルギ―を取り出すこと)に必要な物質であるほか、腸管の動きを活性化する作用もあります。

そのためパンテチン不足によって栄養素の代謝障害や、腸管運動低下(便秘・腹痛など)が生じている場合は、パントシン(パンテチン)を投与することで改善が期待できます。

とはいってもパンテチンは多くの食べ物に含まれているビタミンであり、普通に生活をしていれば欠乏することはまずありません。

そのためお薬として使用する機会はそこまで多くはないパントシンですが、食事を十分にとれない期間が続いている方などに処方されることがあります。

今日はパントシンの効果や特徴・副作用についてみていきましょう。

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1.パントシンの特徴

まずはパントシンの特徴についてみてみましょう。

パントシンの主成分は「パンテチン」という物質で、これは以前は「ビタミンB5」と呼ばれていたものでビタミンの1種になります。

パンテチンは多くの食品に含まれている「ありふれた」ビタミンであり、普通の食生活を送っていればまず不足することはありません。

そのため、何らかの病気によって「普通の食生活を送れていない人」や、何らかの病気によって「普通以上のパンテチンが必要になっている人」に対して用いられます。

パンテチンの主なはたらきは、栄養素(特に脂質と糖質)の代謝を促進することで、脂質を低下させたり、糖質を低下させたりする作用があります。また腸の動きを良くすることで便秘改善の作用も認められます。

元々、多くの食品に含まれているビタミンであるため、副作用はほとんどありません。パンテチンはコリン作用により腸管の動きを良くするため、たまに軟便や下痢が生じる程度です。

また水溶性ビタミンであるパンテチンは、大量に服薬しても身体に蓄積することなく、尿から過剰分は全て排泄されていきます。

以上から、パントシンの特徴として次のようなことが挙げられます。

【パントシン(パンテチン)の特徴】

・多くの食品に含まれているありふれたビタミンである
・脂質・糖質の代謝を促進する作用がある
・腸管の動きを良くする作用がある
・副作用はほとんどなく、安全性に優れる

2.パントシンはどんな疾患に用いるのか

パントシンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。パントシンの添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

1.パントテン酸欠乏症の予防及び治療
2.パントテン酸の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給
(消耗性疾患、甲状腺機能亢進症、妊産婦、授乳婦など)
3.下記疾患のうち、パントテン酸の欠乏または代謝障害が関与すると推定される場合

・高脂血症
・弛緩性便秘
・ストレプトマイシン及びカナマイシンによる副作用の予防及び治療
・急・慢性湿疹
・血液疾患の血小板数ならびに出血傾向の改善

なお、3.の適応に対して、効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。

かなり難しく書かれています。

まずパントシン(パンテチン)は、普通に食事を取っていれば十分に摂取できるビタミンだという前提があります。

ほとんどの食品に含まれているほどのビタミンであり、普通に生活をしていてパンテチンが足りなくなることは極めて稀です。

そのため、パントシンを使うのは、「普通に食事を取れていない時」あるいは「普通に食事をとっていてもパンテチンが急速に減少するような状態の時」に限られます。

具体的には、ビタミンなどが多く消耗されてしまうような炎症性疾患であったり、代謝が促進されてしまう甲状腺機能亢進症であったり、あるいは必要なエネルギーが増大する妊産婦などが挙げられます。

普通に食事をしていて十分量のパンテチンを摂取できている人が、

「更にコレステロールを下げたい!」
「更に便秘を改善したい!」

という目的で服薬してもあまり効果は得られません。

パンテチンは水溶性のビタミン剤であり、取れば取るほど効果が出るというものではなく、過剰な分は尿から全て排泄されてしまうからです。あくまでも「パンテチンが足りなくて」諸症状を来たしている方のみが使うべきお薬なのです。

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3.パントシンの作用機序

パントシンは、どのような作用機序を持っているのでしょうか。

パントシンの主成分であるパンテチン(ビタミンB5)はCoAという酵素の構成成分であり、このCoAは糖質や脂質の代謝に関わっています。

そのため、具体的には次の作用があることが知られています。

Ⅰ.脂質代謝を促進する

脂肪は3大栄養素の1つであり、私たちにとって大切なエネルギー源になります。

食べ物として口から入った脂質は、

パントシン(パンテチン)は、脂質を分解するために必要な酵素であるCoAの構成成分です。

そのためパントシンは脂質の分解を促進するというはたらきがあります。

具体的には

・総コレステロールの低下
・中性脂肪(TG:トリグリセリド)の低下
・善玉コレステロール(HDL)の増加

が得られます。またこれにより血管壁にこびりついた脂質を取り除くため、動脈硬化の改善が期待できます。

Ⅱ.糖質代謝を促進する

パントシンの主成分であるパンテチンは、脂質と同様、糖質の代謝を促進する作用もあります。

これは、糖質を分解してそこからエネルギーを取り出すということで、血糖を下げる作用となります。

Ⅲ.腸管運動を促進する

パンテチンが欠乏すると腸管の動きが弱まります。パンテチン不足によって腸管運動が低下している場合、パントシンを投与すると腸管の動きを良くしそれに伴って便秘等を改善させるはたらきがあります。

これは、パントシンによるコリン作用によるものだと考えられています。

コリン作用というのは、神経伝達物質の1種である「アセチルコリン」のはたらきが高まることです。アセチルコリンは「リラックスの神経」である副交感神経から分泌される神経伝達物質であり、腸管の動きを促進するはたらきをします。

4.パントシンの副作用

パントシンは、ほとんどの食品に含まれているようなビタミンになります。

元々「パントテン」という名前の由来は、ギリシア語の「どこにでもある」という言葉からきているそうです。この由来からも分かるように、普通に食事をしていれば摂取しているビタミンなのです。

そのため、副作用というものはほとんどありません。実際、添付文書上でも副作用の発現頻度は0.4%と報告されています。

そのほとんどが胃腸系の副作用であり、

  • 下痢、軟便

がもっとも多く認められます。また、

  • 食欲不振
  • 嘔吐

なども稀ながら報告があります。しかし、重篤な副作用が生じることはまずありません。

また水溶性ビタミンであるパントシンは、過剰に服薬しても尿中に排泄されるため過剰服薬による副作用を生じることもないと考えられています。

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5.パントシンの用法・用量と剤形

パントシンは、

・パントシン錠 30mg
・パントシン錠 60mg
・パントシン錠 100mg
・パントシン錠 200mg

・パントシン散 20%

・パントシン細粒 50%

・パントシン注 5%(100mg/2ml)
・パントシン注 10%(200mg/2ml)

の剤形があります。

またパントシンの用法・用量は次のようになります。

通常成人には1日30~180mgを1~3回に分けて経口投与する。

血液疾患・弛緩性便秘には、1日300~600mgを1~3回に分けて経口投与する。高脂血症には、1日600mgを3回に分けて経口投与する。

なお、年齢、症状により適宜増減する。

6.パントシンが向いている人は?

以上から考えて、パントシンが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

パントシンの特徴をおさらいすると、

・多くの食品に含まれているありふれたビタミンである
・脂質・糖質の代謝を促進する作用がある
・腸管の動きを良くする作用がある
・副作用はほとんどなく、安全性に優れる

というものがありました。

ここから、そもそも食事から必要なパンテチンを十分に摂取できている人には不要なお薬であることが分かります。

十分なパンテチンが補えているのに、高脂血症(脂質異常症)や便秘の改善に更に摂取しても効果は乏しく、余分なパンテチンは尿からそのまま排泄されてしまうだけです。

十分なパンテチンが摂取できていなかったり、パンテチンの消耗が通常より激しいと予測されるような状態においては、パンテチンを補うことで、糖質・脂質代謝の改善や腸管運動の改善が得られます。

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