シンラック内用液・錠(ピコスルファートナトリウム)の効果と副作用

シンラック内用液・シンラック錠(一般名:ピコスルファートナトリウム)は1987年から発売されている下剤(瀉下薬、便秘薬)になります。

古いお薬ですが、シンラックは安全性が高い割にしっかりとした排便効果を得られるバランスの良い下剤であるため、現在でも広く用いられています。

同じ成分のお薬にラキソベロン(ピコスルファートナトリウム)がありますが、ラキソベロンは先発品であり、シンラックはラキソベロンのジェネリック(後発品)になります。

シンラックはどんな特徴のある便秘薬で、どんな患者さんに向いているお薬なのでしょうか。シンラック内用液・シンラック錠の効果や特徴についてみていきましょう。

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1.シンラックの特徴

まずはシンラック内用液・シンラック錠の特徴についてみてみましょう。

シンラック(ピコスルファートナトリウム)は下剤ですが、その中でも「大腸刺激性下剤」という種類に属します。

便秘の方の排便を改善させる方法としては、主に2つの方法があります。それは、

  • 水分を増やすことで便を柔らかくする
  • 大腸の動きを活性化させる

の2つです。

実際、下剤のほとんどはこの2つのどちらかの作用を持っています。

シンラックはというと、この両方の作用によって排便を促してくれます。

主な作用は大腸を刺激して大腸の動きを活性化させることで排便を促す作用の方であり、そのためシンラックは「大腸刺激性下剤」に属してはいます。

しかし、実はシンラックはそれ以外にも腸管に水分を吸収させにくくする作用も持っています。腸管が水分を体内に吸収しなければ、便に水分が多く含まれることになるため便が柔らかくなり、排便しやすくなります。

つまり、シンラックは大腸の動きが低下して便秘になっている方に向いている下剤ではありますが、便が硬くなっている方にも効果が期待できる下剤でもあり、様々なタイプの便秘症の方に幅広く効果を発揮するお薬になります。

また、シンラックは腸管から体内にほとんど吸収されないという特徴を持つため、妊婦さんや小児にも使うことが出来、安全性も高いお薬です。同じ大腸刺激性下剤でもプルゼニド(センノシド)やアローゼン(センナ・センナ実)は妊婦には使えません。

妊婦の方はお腹が大きくなって腸を圧迫することや、活動量が減ることで便秘になりやすくなるため、妊婦さんにも使える下剤というのは重宝します。

注意点としては、大腸を刺激して排便を促す大腸刺激性下剤には「耐性」があることが挙げられます。

大腸刺激性下剤は、確実な排便を期待できる反面で、大腸が次第に刺激に慣れてきてしまうという欠点もあります。大腸への刺激を慢性的に続けていると、次第に大腸は刺激に反応しなくなり、必要なシンラックの量がどんどんと増えてしまいます。これを「耐性が生じる」と言います。

シンラックは、大腸刺激だけでなく、腸管からの水分吸収作用も持つため、その分耐性形成は他の大腸刺激薬と比べると少ないのですが、耐性がまったく生じないわけではありません。

また、これは多くの下剤に当てはまることなのですが、下剤は価格がかなり安いのもメリットです。薬局で購入する下剤と比べると非常に安価になります。

ここからシンラックの特徴として次のようなことが挙げられます。

【シンラック内用液・錠(ピコスルファートナトリウム)の特徴】

・大腸を刺激して排便を促す作用がある
・水分を多くすることで便を柔らかくして排便を促す作用がある
・2つの作用があるため、幅広いタイプの便秘症に効果がある。
・安全性が高く、小児・妊婦にも使用可
・慢性的に使うと耐性(慣れ)が生じるが、他大腸刺激薬より耐性形成は軽度
・値段が安い

2.シンラックはどのような疾患に用いるのか

シンラックはどのような疾患に用いられるのでしょうか。

【効能又は効果】

各種便秘症
術後排便補助
造影剤(硫酸バリウム)投与後の排便促進

(以下は液剤のみ)
大腸検査(X線・内視鏡)前処置における腸内容物の排除
手術前の腸管内容物の排除

シンラックは下剤であり、使用する主な疾患は「便秘症」になります。

シンラックは下剤の中でも大腸刺激性下剤に属します。大腸刺激性下剤は大腸を刺激することで大腸の動きを活性化させます。大腸が活発に動くようになれば、便は排出されやすくなります。そのため大腸刺激性下剤は、腸管の動きが悪くなっているタイプの便秘に良く効きます。

腸管の動きが悪いために生じる便秘を専門的には「弛緩性便秘」と呼びます。つまりシンラックは便秘症の中でも、特に弛緩性便秘に効果的な下剤だと言えます。

腸管の動きが悪くなる原因というのは、具体的には

・高齢(加齢によって腸管の動きが悪くなる)
・運動不足・寝たきり
・お薬の副作用

などがあります。

また、シンラックは大腸刺激作用の他にも、腸管から身体に水分が吸収されるのを防ぐはたらきも持っています。、れによって便に含まれる水分が多くなると、便を柔らかくなるため排便しやすくなるのです。

これは食生活のかたよりや食物繊維不足・水分不足などで、便が硬くなって便秘になっている患者さんに効果があります。

このようにシンラックは、主に弛緩性便秘に効果を発揮しますが、それ以外の便秘にも効果が期待できる下剤なのです。

ちなみに、便秘症以外の適応も色々書いていますが、これは医療行為の都合状、排便をさせたい時という事です。例えば、手術時は腸管の中に何も入っていない方が安全ですので、なるべく腸の中を空にしておく必要があります。大腸の内視鏡検査をする場合も、できるだけ腸内を空にしておかないと、カメラを入れても便で何も見えなくなってしまいます。

このような時にシンラックは確実な排便効果が期待できるため、手術や処置施行前後に服用することがあるのです。

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3.シンラックの作用機序

便秘症に対して用いられるシンラックですが、どのような機序で便秘を改善させているのでしょうか。

シンラックの特徴は、大腸に選択的に作用する点です。これは逆に言えば大腸以外の部位には作用しにくく、効かせたいところにだけピンポイントで効くということです。口から飲み込まれたシンラックは、食道、胃、十二指腸、小腸を経て大腸に到達しますが、大腸に到達するまではほとんど作用しません。

大腸に到達するとシンラックは下剤としての効果を発揮します。具体的には大腸に常在している腸内細菌が分泌しているアリルスルファターゼという酵素によってシンラックは分解(加水分解)されます。これによりシンラックは活性型ジフェノール体になります。

活性型ジフェノール体には、

・腸管の動きを促進する
・腸管から身体に水分が吸収されるのを阻害する

といったはたらきがあることがラットで確認されており、これが下剤としての作用となると考えられています。

ここで注意しなくてはいけないのは、シンラックのはたらきは腸内細菌の力を借りているということです。実際、腸内細菌を駆除して無菌ラットにシンラックを投与したところ、下剤としての作用が得られなかったという報告があります。

つまり抗生物質などを服用している時は腸内細菌が駆除されてしまい、シンラックの効果が得られなくなることがあるという事です。抗生物質の服薬をする場合、シンラックを使っている方はシンラックの効きが悪くなり便秘が悪化する可能性がありますので、事前に主治医によく相談しておきましょう。

4.シンラックの副作用

シンラックにはどんな副作用があるのでしょうか。

基本的にシンラックは安全性が高く、重篤な副作用はほとんどありません。しかし副作用自体がないわけではありません。

シンラックは腸管に作用して体内にはほとんど吸収されないため、生じる副作用もほとんどが胃腸系の副作用になります。

具体的には、

・腹痛
・下痢
・腹鳴
・悪心・嘔吐
・肛門痛

などが報告されています。いずれもシンラックが腸管の動きを活性化した結果生じる副作用だと考えられます。

稀ですが、重篤な副作用としては、

・腸閉塞(詰まってしまったりして腸が動かなくなってしまう)
・腸管穿孔(腸に穴が開いてしまう)
・虚血性大腸炎

などがありますが、遭遇することは滅多にありません。

急性腹症の方や腸管の閉塞の疑いがある方には基本的にはシンラックを投与することは禁忌(絶対にダメ)になっています。

急性腹症は胃腸系に何らかの障害が生じて腹痛などを生じている状態であり、この時にシンラックで腸管の動きを促進してしまうと症状を増悪させてしまう危険があります。

また腸閉塞は腸が詰まったりすることで動かなくなっている状態です。この状態でシンラックで無理矢理腸管を動かしてしまうと、腸内圧が上がって最悪の場合は腸管が破裂してしまうこともあり、大変に危険です。

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5.シンラックの用法・用量と剤形

シンラックは、

シンラック内用液0.75%(ピコスルファートナトリウム) 10ml
シンラック内用液0.75%(ピコスルファートナトリウム) 100ml

シンラック錠(ピコスルファートナトリウム) 2.5mg
シンラック錠(ピコスルファートナトリウム) 7.5mg

の4剤形(内用液が2剤形、錠剤が2剤型)があります。先発品のラキソベロンには7.5mg錠はありませんので、ジェネリック医薬品であるシンラックの方が剤型が多いことになります。

液剤が処方される事が多く、これは内服量を細かく調整できるメリットのためだと思われます。

シンラックは各種便秘症に対しては、

成人であれば、1日1回10~15滴(シンラック錠なら5mg~7.5mg)を経口投与します。小児ではより少ない量で用いられます。

7か月未満 1日1回2滴(錠剤なら1mg)
7~12か月 1日1回3滴(錠剤なら1.5mg)
1~3歳   1日1回6滴(錠剤なら3.0mg)
4~6歳   1日1回7滴(錠剤なら3.5mg)
7~15歳  1日1回10滴(錠剤なら5mg)

ただし症状により、主治医と相談の上、適宜増減することが可能です。

シンラック液は1滴の量が0.067ml程度だと言われています。押し出す力によって滴下される量は多少異なってくるため、これはあくまでも目安になりますが、15滴で約1mlですので、シンラック含有量としては約7.5mgになります。

だいたいの換算としては、シンラック液15滴がシンラック錠(7.5mg)1錠、つまりシンラック液5滴とシンラック錠(2.5mg)1錠が同等くらい、と考えると良いと思います。

各種便秘症以外の用法(術前や大腸検査施行前など)については、担当医が処置施行前に指示すると思いますので、ここでは割愛します。シンラックの添付文書に記載されていますので、そちらをご覧ください。添付文書はネット上で見ることが出来ます。

6.シンラックの作用時間

シンラックは、1回服薬すると7~12時間後に効果が出てくると考えられています。もちろん個人差はありますので、必ず7~12時間後に排便できるというわけではありませんが、最初はこの時間を目安にして投与時間を考えるとよいでしょう。

一般的には就寝前(寝る前)に服薬することが多く、これにより朝起床後に排便することを狙います。しかし絶対にこうしなくてはいけないというわけではありません。この用法で上手くいかない場合は、別の時間に服薬しても問題ありません。

例えば、効果が出るのが12時間後だということであれば、夕食後に服薬して、翌朝起床後に排便が出ることを狙ってもいいですし、効果が6時間後に出るという方であれば、朝食後に服薬して昼過ぎに排便が出ることを狙っても良いでしょう。

ただし昼や夕方に服薬してしまうと、夜中に便意を感じて睡眠が中断されてしまう可能性がありますので、注意しましょう。

7.シンラックが向いている人は?

以上から考えて、シンラックが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

シンラックの特徴をおさらいすると、

・大腸を刺激して排便を促す作用がある
・水分を多くすることで便を柔らかくして排便を促す作用がある
・2つの作用があるため、幅広いタイプの便秘症に効果がある。
・安全性が高く、小児・妊婦にも使用可
・慢性的に使うと耐性(慣れ)が生じるが、他大腸刺激薬より耐性形成は軽度
・値段が安い

というものでした。

シンラックは、幅広いタイプの便秘に対して、しっかりとした効果が期待できます。また安全性も高いため、あらゆる便秘に対して検討できる下剤だと言っても良いでしょう。

特に小児や妊婦の方にも使いやすい下剤ですので、小さい子供が便秘になってしまったり、妊婦さんが便秘になってしまった場合にはよく用いられます。

しかしシンラックには弱いながらも耐性が生じる可能性があることも忘れてはいけません。つまり、慢性的に使いそうな方に対しては安易に投与し続けて良いものではないということです。シンラックを使用しながらも、排便に良いと思われる生活習慣の改善(運動、食生活の是正など)は並行して行っていきましょう。

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