強力ポステリザン軟膏の効果と副作用【痔疾患治療薬】

強力ポステリザン軟膏(一般名:大腸菌死菌・ヒドロコルチゾン配合)は病院で処方される軟膏で、「痔疾患治療薬」という種類のお薬になります。1965年から発売されています。

その名の通り痔を改善するために用いられているお薬で、古いお薬ながらも現在でも良く用いられます。

強力ポステリザン軟膏はどのような作用を持っていて、どのような効果が期待できるお薬なのでしょうか。

強力ポステリザン軟膏の効果・効能や特徴、副作用についてみてみましょう。

スポンサーリンク

1.強力ポステリザン軟膏の特徴

まずは強力ポステリザン軟膏の特徴をざっくりと紹介します。

強力ポステリザン軟膏は痔が出来てしまった部位の炎症を抑え、ばい菌が感染しないようにしながら傷の治りを促進する作用を持つお薬になります。

強力ポステリザン軟膏は、「大腸菌死菌」と「ヒドロコルチゾン」の2つが主成分として含まれています。

大腸菌死菌は、その名の通り死んだ大腸菌の事ですが、これには傷の治りを促進したり、傷にばい菌が入らないように感染を防御するはたらきがあることが確認されています。またヒドロコルチゾンはいわゆる「ステロイド」であり、これは炎症を抑えるはたらきがあります。

強力ポステリザン軟膏を痔に塗る事で、炎症を抑え、傷口の治りを促進し、ばい菌が入らないようにしてくれるお薬なのです。これによって痔が治りやすくなるというわけです。

注意点としては、強力ポステリザン軟膏にはステロイドが含まれている事が挙げられます。強力ポステリザン軟膏に含まれるステロイドは弱い部類に入るものではありますが、ステロイドは免疫系に作用する事により感染に弱くしてしまうという特徴があるため、肛門部のウイルスや細菌、真菌の感染がすでにある場合は使用を控えるべきお薬になります。

また長期間漫然と使い続けると、皮膚が薄くなったりといったステロイド特有の副作用が出現してしまう事があるため、長期間の使用はあまり推奨されません。

以上から強力ポステリザン軟膏の特徴を挙げると、次のようなことが挙げられます。

【強力ポステリザン軟膏の特徴】
・痔を改善させる治療薬
・傷口の治りを促進する作用がある
・傷口のばい菌の感染を防ぐ作用がある
・傷口の炎症を抑える作用がある
・ステロイドを含むため、感染している創には使えない
・ステロイドを含むため、漫然と長期間は使うべきではない

2.強力ポステリザン軟膏はどのような疾患に用いるのか

強力ポステリザン軟膏はどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】
・痔核・裂肛の症状(出血、疼痛、腫脹、痒感)の寛解、肛門部手術創、肛門周囲の湿疹、皮膚炎、軽度な直腸炎の症状寛解

強力ポステリザン軟膏は、主に痔に対して良く処方される軟膏になります。またそれ以外にも肛門周囲の炎症病変に対しても使うことが出来ます。

スポンサーリンク

3.強力ポステリザン軟膏にはどのような作用があるのか

強力ポステリザン軟膏は主に痔を治療するために使われますが、どのような作用を持っているのでしょうか。

強力ポステリザン軟膏には、大腸菌死菌とヒドロコルチゾンの2つの成分が含まれています。そしてこの2つの成分が痔を改善させる作用を持っています。

具体的な強力ポステリザン軟膏の作用について紹介します。

Ⅰ.創傷治癒促進作用

強力ポステリザン軟膏は傷(創傷)の治りを早める効果があります。これは強力ポステリザン軟膏に含まれる大腸菌死菌が肉芽形成を促進する作用を持つことによります。

痔というのは肛門部に傷がついてしまった状態ですので、この肉芽形成作用によって痔の治りが促進されます。

【肉芽(組織)】
皮膚に傷が出来ると、そこに繊維芽細胞がきて同部は結合組織で補充され、更にそこに血管が新生されていきます。この毛細血管と結合組織からなるものを肉芽といいます。

肉芽は傷が治る過程において必要なものです。傷が治るにつれて肉芽組織は瘢痕組織となっていき、肉芽組織の上に表皮組織が形成されていき、傷は徐々に小さくなって治っていきます。

Ⅱ.感染防御作用

強力ポステリザン軟膏に含まれる大腸菌死菌の浮遊液は、生菌増殖を抑制し、溶菌作用(菌を破壊する作用)があることが知られています。

これはワクチンと似たような機序ではないかと考えられています。死んだ大腸菌を投与することによって、ばい菌をやっつける細胞である白血球の遊走能を高め、菌に対する抵抗力を高めます。

痔が出来る肛門部というのは、大腸菌などの腸内細菌が多く生息している部位になります。そのため、ここに傷が出来るとばい菌感染が二次的に生じやすいため、このような感染防御作用は痔の改善に大きく貢献します。

強力ポステリザン軟膏はこの感染防御作用により、ばい菌が多い肛門部においても感染をなるべく起こさないようにしてくれます。

Ⅲ.抗炎症作用

強力ポステリザン軟膏には「ヒドロコルチゾン」というステロイドが配合されており、これは傷口の炎症を抑える作用があります。

炎症とは、

  • 発赤(赤くなる)
  • 熱感(熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛くなる)

といった症状を認める状態で、強力ポステリザン軟膏はこれを軽減してくれます。

つまり熱感や痛み、腫れを和らげることで痔による不快な症状を軽減してくれるのです。

ちなみにステロイドは強さによって5段階に分かれています。

Ⅰ群(最も強力:Strongest)
Ⅱ群(非常に強力:Very Strong)
Ⅲ群(強力:Strong)
Ⅳ群(中等度:Medium)
Ⅴ群(弱い:Weak)

このうち、ヒドロコルチゾンは最も弱い「V群(弱い:Weak)」になります。

ヒドロコルチゾンは炎症を抑える効果はステロイドの中では弱めになりますが、その分副作用も少なめになります。

ちなみに同じ痔の治療薬である「ネリプロクト」もステロイドを含むお薬ですが、ネリプロクトに含まれるジフルコルトロンというステロイドは「Ⅱ群(非常に強力:Very Strong)」になります。

ステロイドは炎症などの症状は抑えてくれますが、身体の免疫力を抑制するため傷の治り自体は遅くしてしまう傾向があります。

炎症症状が強い場合には使うメリットの方が高いため、使うこともありますが、傷に対してどんな時でも万能というお薬ではありませんので、使用すべきかは医師にしっかりと判断してもらう必要があります。

Ⅳ.便の通りを滑らかにする

強力ポステリザン軟膏は、油性の軟膏剤が基剤になっています。

油性の軟膏は滑りが良く、また傷口を保護してくれますので、強力ポステリザン軟膏を塗ることで便が傷口を刺激しにくくなります。

4.強力ポステリザン軟膏の副作用

強力ポステリザン軟膏は塗り薬であり、全身に投与するものではないのでその副作用も局所に留まる事がほとんどです。そのため、強力ポステリザン軟膏の副作用は多くはなく、副作用発生率は0.4%前後と報告されています。

報告されている副作用としては、

  • 掻痒感(かゆみ)
  • 便意
  • 不快感

などの局所の副作用です。

いずれも重篤となることは少なく、多くは強力ポステリザン軟膏の使用を中止すれば自然と改善していきます。

強力ポステリザン軟膏はステロイドを含んでいるため、長期間・大量使用を続けていると

  • 緑内障
  • 後嚢白内障

などを来たすことがあり得ます。

またステロイドは長期連用によってホルモンバランスを崩したり、皮膚を菲薄化(薄くする)させたりする可能性もあります。

そのため強力ポステリザン軟膏は必要な期間のみ使用し、漫然と長期間使用し続けないように気を付けましょう。

スポンサーリンク

5.強力ポステリザン軟膏の用量・用法と剤型

強力ポステリザン軟膏は、

強力ポステリザン軟膏 2g
強力ポステリザン軟膏 30g

の2剤型があります。

2gは1回使い切りタイプの坐薬になり、30gは軟膏チューブになります。ちなみに強力ポステリザン軟膏2g中には大腸菌死菌が約5億個も含まれているそうです。

強力ポステリザン軟膏の使い方は、

通常1日1~3回適量を患部に塗布または注入する

と書かれています。

具体的な使い方としては、肛門内の痔に対して用いる際は、2gの使い切りタイプの場合、先端が細くなっていますので先端を肛門内に入れてから軟膏を出します。また肛門に挿入する前にちょっとだけ軟膏を出しておくと、それが滑りを良くしてくれ、肛門を刺激せずに済みます。

肛門外に使う場合は、そのまま軟膏を塗るか、ガーゼなどに軟膏を出してから患部に当てましょう。

6.強力ポステリザン軟膏が向いている人は?

以上から考えて、強力ポステリザン軟膏が向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

強力ポステリザン軟膏の特徴をおさらいすると、

・痔を改善させる治療薬
・傷口の治りを促進する作用がある
・傷口のばい菌の感染を防ぐ作用がある
・傷口の炎症を抑える作用がある
・ステロイドを含むため、感染している創には使えない
・ステロイドを含むため、漫然と長期間は使うべきではない

というものでした。

痔は軽度のものであればお薬で創部を治すことで改善しますが、ある程度進行しているものだと手術を行う必要があります。

そのため、

  • 手術を要しない程度の軽度の痔核

に向いている塗り薬だと考えられます。

強力ポステリザン軟膏は、

  • 大腸菌死菌による創傷治癒促進、感染防御
  • ヒドロコルチゾンによる抗炎症作用

を持っていることが特徴です。またいずれの作用も強力ではなく、穏やかな作用であるもの特徴になります。

そのため、軽度な痔疾患で、副作用少なく安全に治したい場合に向いているお薬だと言えます。

ステロイドを含んでいるため、長期間漫然と使用を続けることは避けるべきで、強力ポステリザン軟膏を塗っても改善がない場合は、医師の指示をあおぎ、手術なども検討する必要があります。

また痔の治療はお薬だけでなく生活習慣の改善が一番大切です。

  • 座る時間を減らす
  • 食事を規則正しく、バランス良く
  • 飲酒やタバコを控える
  • しっかりと睡眠を取る
  • 刺激物(からいものなど)の摂取を控える

など、生活習慣の改善も忘れないようにしましょう。

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
こちらの記事も是非ご覧下さい