アルタットカプセル(ロキサチジン)の効果と副作用【胃薬】

アルタットカプセル(一般名:ロキサチジン)は1986年から発売されている胃薬になります。

アルタットカプセルは胃薬の中でもH2ブロッカーという種類に属し、胃壁細胞のヒスタミン2(H2)受容体をブロックすることで胃酸の分泌を抑えるはたらきがあります。

胃酸の分泌をおさえるお薬には多くのものがあります。H2ブロッカーにもたくさんの種類がありますし、他にも「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」と呼ばれるお薬もあります。これらの中でアルタットカプセルはどのような位置付けになるのでしょうか。

アルタットカプセルの効果や特徴、どのような方に向いているお薬なのかについてみていきましょう。

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1.アルタットカプセルの特徴

まずはアルタットカプセルの特徴について、かんたんに紹介します。

アルタットカプセルは胃酸の分泌を抑えるお薬になり、小児への適応を持っています。

アルタットカプセルはヒスタミン2(H2)受容体をブロックする作用を持つお薬で、そのため「H2ブロッカー」とも呼ばれています。

胃壁に存在する胃壁細胞はヒスタミン2受容体があり、これにヒスタミンという物質がくっつくと胃酸を分泌するシグナル(cAMP)が発信されます。アルタットカプセルはヒスタミン2受容体をブロックするため、これにより胃酸分泌のシグナル弱めるはたらきがあるのです。

そのため胃酸が胃に対して悪さをしてしまっている時に効果を発揮するお薬になります。例えば、胃炎や胃潰瘍などでは胃酸が胃壁に出来た傷を攻撃してしまうため、胃酸の分泌を弱めた方が傷が早く治ります。

H2ブロッカーの中でのアルタットカプセルの特徴としては、小児に対する適応を持っているため小児に対して使いやすいという点が挙げられます。

他のH2ブロッカーも小児に使えるのですが、小児を対象とした研究が行われていないため「小児に対する安全性は確立していない」という風に書かれています。しかしアルタットは小児を対象に効果や副作用をしっかりと調べているため、より安心して小児の方に処方できるのです・

またH2ブロッカーの中で「カプセル剤」だという特徴もあります。カプセル剤の利点というのは実はあまりないのですが、1つの特徴ではあります。ちなみにアルタットカプセルは、徐放製剤であり、ゆっくりと溶けてゆっくり長く効くように作られています。

アルタットカプセルの副作用は多くはありません。稀に重篤な副作用の報告もありますが、臨床の実感としては十分安全に使用できるお薬になります。

胃酸の分泌を抑えるお薬というとPPI(プロトンポンプ阻害薬)もありますが、PPIとH2ブロッカーには特徴の違いがあるため、症状・経過によって使い分けられます(詳しくは後述します)。

簡単に言うと、H2ブロッカーは効果はPPIに劣るものの、夜間の胃酸分泌の抑制に効果的です。薬価も安く、急性期よりも維持期に使用するのに向いています。

以上からアルタットカプセルの特徴として次のようなことが挙げられます。

【アルタットカプセル(ロキサチジン)の特徴】

・ヒスタミン2(H2)受容体をブロックすることで、胃酸の分泌を抑える
・特に夜間の胃酸分泌を抑えてくれる
・小児への使用の適応がある
・副作用が少ない

2.アルタットカプセルはどんな疾患に用いるのか

アルタットカプセルはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

・胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger-Ellison症候群、逆流性食道炎、麻酔前投薬

・急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善

アルタットカプセルは、胃のヒスタミン2受容体をブロックすることで胃酸の分泌を抑えるはたらきがあります。

胃酸は強力な酸ですので、私たちの細胞をも傷付けてしまいます。普段は胃粘膜には胃酸から細胞を守るようなバリアが張られているのですが、胃に炎症や潰瘍などが生じるとこのバリアが不十分になるため、胃酸が胃壁細胞を傷付けてしまいます。

このような場合はアルタットカプセルなどのお薬を使うことで、胃酸を弱めて胃炎・胃潰瘍の治りを早めることができます。

また逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流して食道壁を傷付けてしまう疾患ですが、これもアルタットカプセルなどのお薬で胃酸の分泌を抑えると改善が得られます。

適応外ですが、これら以外にも抗血小板薬や抗凝固薬といった「血が固まりにくくなるお薬」を服薬している方に胃出血の予防目的で投与されることもあります。

同様に、NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛剤、いわゆる「痛み止め」)を長期服薬していると胃が荒れやすくなる副作用が生じることがあるため、このような場合にアルタットカプセルを併用して胃潰瘍の予防をすることもあります。

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3.アルタットカプセルにはどのような作用があるのか

アルタットカプセルは主に胃酸の分泌を抑えることで胃を守る作用があります。これはどのような作用機序になっているのでしょうか。アルタットカプセルの主な作用について詳しく紹介します。

Ⅰ.胃酸の分泌抑制作用

アルタットカプセルは、胃の壁細胞に存在するヒスタミン2(H2)受容体に作用します。

胃壁細胞のヒスタミン2受容体にヒスタミンがくっつくと、cAMPというメッセンジャーが胃酸を分泌させるシグナルを送り、これによって胃酸が分泌されます。

アルタットカプセルはヒスタミン2受容体のはたらきをブロックする作用があり、これによって胃酸の分泌を抑えてくれるのです。

Ⅱ.ペプシンの分泌抑制作用

アルタットカプセルはぺプシンという酵素のはたらきをブロックする作用もあります。

ペプシンは胃に存在する酵素の1つで、胃に入ってきたタンパク質を小さく分解する作用があります。

つまりタンパク質が分解しにくくなるということで、これにより時折便秘や腹部膨満感、吐き気などの副作用が生じることがあります。

ちなみにアルタットカプセルには胃粘膜の分泌を増やすという作用も報告されています。しかしこの作用は極めて弱いため、臨床で使用する量においてはほとんど効果はない印象があります。

動物実験(ラット)では、100mg/kg以上という高用量でのみ胃粘液の分泌は増加することが確認されています。体重60kgのヒトに用いるアルタットの量は150mg程度ですから、少なくとも大きな胃粘液分泌効果は得られない可能性が高いと考えられるでしょう。

4.アルタットカプセルの副作用

アルタットカプセルをはじめとするH2ブロッカーは安全性に優れ、副作用が少ないお薬になります。アルタットカプセルもその副作用発生率は1.7%前後と報告されており、H2ブロッカーの中ではやや多めになるものの、安全性は高いお薬となります。

生じうる副作用としては、

  • 便秘・下痢

などが報告されています。

また検査数値の異常としては、

  • 肝機能障害(AST、ALT上昇)

などが報告されているため、アルタットカプセルを長期的に服用する場合は定期的に血液検査を行うことが望まれます。

稀ですが重篤な副作用の報告もあり、

  • ショック
  • 再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少
  • 中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(SJS)
  • 横紋筋融解症

などがあります。注意は必要ですが、臨床で適切に使っている分には見かけることはほとんどありません。

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5.アルタットカプセルの用法・用量と剤形

アルタットカプセルは、

アルタットカプセル(ロキサチジン) 37.5mg
アルタットカプセル(ロキサチジン) 75mg

の2剤型があります。

アルタットカプセルの使い方は、

【胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎】
通常成人には、1回75mgを1日2回(朝食後、夕食後又は就寝前)経口投与する。また1回150mgを1日1回(就寝前)経口投与することもできる。なお、症状により適宜増減する。

通常小児には、体重30kg未満では1回37.5mgを、体重30kg以上では1回75mgを1日2回(朝食後、夕食後又は就寝前)経口投与する。なお、症状により適宜増減する。

【Zollinger-Ellison症候群】
通常成人には、1回75mgを1日2回(朝食後、夕食後又は就寝前)経口投与する。

通常小児には、体重30kg未満では1回37.5mgを、体重30kg以上では1回75mgを1日2回(朝食後、夕食後又は就寝前)経口投与する。なお、症状により適宜増減する。

【麻酔前投薬】
通常成人には、1回75mgを手術前日就寝前及び手術当日麻酔導入2時間前の2回経口投与する。また、1回150mgを手術前日就寝前に1回経口投与する事もできる。

通常小児には、体重30kg未満では1回37.5mgを、体重30kg以上では1回75mgを手術前日就寝前及び手術当日麻酔導入2時間前の2回経口投与する。

【急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善】
通常成人には、1回75mgを1日1回(夕食後又は就寝前)経口投与する。

通常小児には、体重30kg未満では1回37.5mgを、体重30kg以上では1回75mgを1日1回(夕食後又は就寝前)経口投与する。なお、症状により適宜増減する。

となっています。

アルタットカプセルは腎臓でも排泄されるお薬ですので、腎機能が悪い患者さんでは注意が必要です。腎機能が悪い方では、お薬が身体から抜けにくくなるため、量を減らしたり、服薬回数を少なくするなどの必要があります。主治医と良く相談しましょう。

6.H2ブロッカーとPPIの違い

アルタットカプセルはH2ブロッカーに属しますが、同じように胃酸の分泌を抑えるものとしてPPI(プロトンポンプ阻害薬)もあります。

この2つはどう違うのでしょうか。

まず強さとしてはPPIの方が強力です。その理由はPPIの方が胃酸分泌をより直接的にブロックするためです。

そのため、急性期の胃潰瘍などではまずはPPIを使うことが多くなっています。

即効性で言えば、H2ブロッカーの方が速く効きます。おおよそですが、H2ブロッカーは効くまでに約2~3時間、PPIは約5~6時間ほどと言われています。

また効く時間帯にも特徴があり、PPIは主に日中の胃酸分泌を強く抑え、H2ブロッカーは主に夜間の胃酸分泌を強く抑えると言われています。

最後に保険的な話になってしまうのですが、PPIは投与制限が設けられているものも多く(4週間までしか投与してはいけませんよ、など)、長くは使えないものも少なくありません。

そのため胃潰瘍の治療では、まずは効果の高いPPIから初めて、保険が通らなくなる時期が来たらH2ブロッカーに切り替えるというのが良く行われている方法になります。

7.アルタットカプセルが向いている人は?

以上から考えて、アルタットカプセルが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

アルタットカプセルの特徴をおさらいすると、

・ヒスタミン2(H2)受容体をブロックすることで、胃酸の分泌を抑える
・特に夜間の胃酸分泌を抑えてくれる
・小児への使用の適応がある
・副作用が少ない

というものでした。

H2ブロッカーには多くの種類がありますが、極論を言えばどれを使っても総合的な効果にあまり差はありません。ガスター(一般名:ファモチジン)が一番有名で処方されていますが、どのH2ブロッカーを処方するかは、先生が使い慣れているお薬が選択されることが多いようです。

アルタットカプセルをはじめとしたH2ブロッカーは、急性期にPPIで治療された胃潰瘍の維持期に用いたり、主に夜間の胃酸分泌亢進で困っている方に用いられる胃薬になります。

アルタットカプセルは、H2ブロッカーの中でも特にこれといった特徴を持つお薬ではありません。

しかし小児に対する効果・副作用の報告がしっかりと行われているH2ブロッカーだというのは、1つの利点になります。小児にH2ブロッカーを使いたい場合では、安心して処方しやすいお薬でしょう。

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