ザーネ軟膏の効果・効能

ザーネ軟膏(一般名:ビタミンA油)は1981年から発売されている塗り薬です。

ザーネ軟膏はビタミンAを含有しており、このビタミンAが角質を柔らかくする作用を持ちます。そのためザーネ軟膏は角化症などの皮膚が硬くなっている疾患に対して用いられます。

塗り薬はたくさんの種類があるため、それぞれがどのような特徴を持つのか分かりにくいと感じていらっしゃる方も多いと思います。

ザーネ軟膏はどのような特徴のあるお薬で、どのような患者さんに向いているお薬なのか。ここではザーネ軟膏の効能や特徴を紹介していきたいと思います。

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1.ザーネ軟膏の特徴

まずはザーネ軟膏の特徴をざっくりと紹介します。

ザーネ軟膏の特徴は、硬くなった皮膚を柔らかくする作用に優れることです。

ザーネに含まれるビタミンAは、皮膚のケラチン形成を抑制することで角質を柔らかくする作用があります。そのため、角質が硬くなるような疾患(角化症など)の治療に用いられます。

またアトピー性皮膚炎に用いることもあります。ザーネ軟膏に抗アレルギー作用はないのですが、アトピーで硬くなった皮膚を柔らかくしたり保湿作用が期待できるためです。

ザーネ軟膏には副作用はほとんどありません。稀に塗った場所が赤くなったり、湿疹ができたりということがあるくらいで、これも重篤になることはなく、塗布をやめれば改善する程度のものがほとんどです。

ビタミンA大量投与の催奇形性(赤ちゃんに奇形が起こる)が報告されているため、ザーネ軟膏は妊婦には慎重投与となっていますが、塗布したザーネが血中に移行するのはわずかであるため、普通量を使う程度であれば妊婦の方が使っても問題はないことがほとんどです(とは言っても一応、主治医の確認を取ってください)。

【ザーネ軟膏(ビタミンA油)の特徴】

・硬くなった皮膚を柔らかくする作用がある
・副作用はほとんどない
・妊婦は慎重投与だが、普通に使う分には問題ないことがほとんど

2.ザーネ軟膏はどんな疾患に用いるのか

ザーネ軟膏はどのような疾患に用いられるのでしょうか。ザーネ軟膏の添付文書には、次のように記載されています(2015年6月現在)。

【効能又は効果】

角化性皮膚疾患(尋常性魚鱗癬、毛孔性苔癬、単純性粃糠疹)

難しい専門用語が並んでいますが、ざっくりと言えば「皮膚(角質)が硬くなっている病気に使う」という事になります。

角化性皮膚疾患(角化症)とは、皮膚の表面にある角質の肥厚や増殖などが生じる疾患のことです。ザーネ軟膏は、角質に存在するケラチンという細胞骨格の形成を抑制することで、皮膚を柔らかくするため、角化症に効果があります。

また、角化症以外でも角質の肥厚が生じてしまい、それを正常化させたい場合は効果が期待できます。

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3.ザーネ軟膏にはどのような作用があるのか

主に厚くなった皮膚(角質)を柔らかくする目的で用いられるザーネ軟膏ですが、具体的にはどのような作用を持っているのでしょうか。

ザーネ軟膏には主に2つの作用があります。

Ⅰ.皮膚(角質)を柔らかくする作用

ザーネ軟膏はビタミンAを含有し、このビタミンAは表皮の新陳代謝を高め、ケラチン形成を抑制することが分かっています。

ケラチンというのは、細胞骨格を形成するタンパク質のことで、皮膚の強度を保つために役立っています。しかし何らかの原因でケラチンが過剰になってしまうと皮膚が硬くなりすぎてしまいます。

研究においては、モルモットにおいてビタミンAを塗布することで表皮の新陳代謝促進・ケラチン抑制が確認されています。またネズミを用いた研究で、ビタミンAが欠乏すると膣粘膜などの角化が著明に認められるようになることも報告されています。

ここからビタミンAが少なくなると角質が厚くなり、ビタミンAが多くなると角質が柔らかくなるということが分かります。

Ⅱ.保湿作用

これは他の軟膏でも同様なのですが、ザーネ軟膏を塗ることによって皮膚が軟膏で覆われるため、皮膚の保湿作用が期待できます。

ザーネは「軟膏」とはなっていますが、一般的な軟膏と異なり乳剤性基剤を用いているためクリームに近い使用感があります。軟膏よりクリームの方が粘度が落ちるため保湿性は劣ってしまいますが、クリームの方が皮膚への浸潤性は高いため、ビタミンAを皮膚へ移行させるために有効なのです。

4.ザーネ軟膏の副作用

ザーネ軟膏にはどんな副作用があるのでしょうか。

ザーネ軟膏は重篤となるような副作用はほとんどなく、安全性は非常に高いお薬だと言えます。

副作用の頻度も非常に低く、添付文書によれば0.61%と報告されています。その内容も皮膚の赤みや湿疹など軽度のものがほとんどであり、ザーネ軟膏を中止すれば自然と改善するものがほとんどです。

ビタミンAの大量投与は妊婦における胎児への催奇形性が報告されているため、ザーネ軟膏は妊婦には「慎重投与(気を付けて使用すること)」となっています。

しかし塗布したビタミンAのうち、血中に入り赤ちゃんに届く量はかなり少ないため、大量に塗りたくるわけでなければ妊婦の方が使用してもほとんど問題はありません。ただし妊婦の方は念のため主治医に指示を仰ぐようにしてください。

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5.ザーネ軟膏の用法・用量と剤形

ザーネ軟膏は剤型としては軟膏のみが発売されています。

ちなみに市販薬に「ザーネクリーム」というものがありますが、これはザーネ軟膏とは全く異なるものですので、注意してください。ザーネ軟膏はビタミンAを主成分とし、主に皮膚を柔らかくする作用を持ちます。しかし市販のザーネクリームはビタミンEを主成分とし、皮膚の血行を良くする作用があります。

似たような名前ですが、その効果は全く違うのです。

ザーネ軟膏は、「軟膏」というくくりになっていますが、実際はクリームに近い使用感です。ちなみに塗り薬には「軟膏」「クリーム」「ローション」などいくつかの剤型がありますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。

軟膏は、ワセリンなどの油が基材となっています。保湿性に優れ、刺激性が少ないことが特徴ですが、べたつきは強く、これが気になる方もいらっしゃいます。

クリームは、水と油を界面活性剤で混ぜたものです。軟膏よりも水分が入っている分だけ比べて伸びがよく、べたつきも少なくなっていますが、その分刺激性はやや強くなっています。

ローションは水を中心にアルコールなどを入れることもある剤型です。べたつきはほとんどなく、遣い心地は良いのですが、保湿効果は長続きしません。

また、ザーネ軟膏は、

ザーネ軟膏0.5%(ビタミンA油) 500g

の1つの剤型が発売されています。壺のようなプラスチック容器に入っています。

ザーネ軟膏の使い方は、

1日2~3回患部に塗擦する

と書かれています。実際は皮膚の状態や場所によって回数や量は異なるため、主治医の指示に従いましょう。

塗布されたザーネ軟膏は皮膚に吸収されて効果を発揮するのですが、塗布後1時間で皮膚のビタミンA濃度は最高値となり、その後緩やかに低下していきます。12時間後には最高値の20%以下にまで濃度が低下するため、効果を一定させたいのであれば、1日に複数回塗布する必要があります。

6.ザーネ軟膏の使用期限はどれくらい?

ザーネ軟膏の使用期限って、どのくらいの長さなのでしょうか。

「家に数年前に処方してもらった軟膏があるんだけど、これってまだ使えますか?」

このような質問は患者さんから時々頂きます。

これは保存状態によっても異なってきますので一概に答えることはできませんが、室温・暗所で保存していたとすれば、

・未開封であれば3年
・開封していれば3か月

程度が目安になると考えられます。

未開封の場合、室温保存では40か月後でもビタミンAの含有量低下は規格内であったと報告されています。また40℃で保存した場合も6か月間は含有量低下は規格内であったそうです。

開封した場合、40℃保存で3か月経過すると、規格内ではあったものの含有量は低下していたことが報告されています。ここから考えると、開封した場合は徐々に含有量は減っていくことが想定されますので、3か月を目安に使い切った方が良いでしょう。

7.ザーネ軟膏が向いている人は?

以上から考えて、ザーネ軟膏が向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ザーネ軟膏の特徴をおさらいすると、

・硬くなった皮膚を柔らかくする作用がある
・副作用はほとんどない
・妊婦は慎重投与だが、普通に使う分には問題ないことがほとんど

というものでした。

ここから、皮膚(角質)が硬くなって、それを改善したい場合に用いるお薬であると言えます。

ザーネ軟膏には皮膚を柔らかくする以外の作用はありません。炎症を抑えたり、アレルギーを抑えたり、痛みを和らげたりする作用はありませんので、これらの症状がある場合は、それに応じた塗り薬の方がよいかもしれません。

皮膚の厚みを取るということだけであれば、ザーネ軟膏はよい適応になると思われます。

8.ザーネ軟膏の薬価

ザーネ軟膏の薬価はどれくらいなのでしょうか。

薬価は2年に1回改訂されますが、2015年5月の薬価基準収載では次のように薬価が設定されています。

ザーネ軟膏0.5%(ビタミンA油) 1g 3.50円
(2015年6月現在)

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