シダトレンの効果と副作用

シダトレン(シダトレン スギ花粉舌下液)は2014年から発売されている免疫治療薬になります。

スギ花粉によるアレルギーに対しての治療薬になり、主治医に指示のもとで服薬を続けることによってアレルギー症状を和らげることができます(これを減感作療法と呼びます)。

今までは花粉症などのアレルギー疾患に対しては、抗アレルギー薬を使って症状を「抑える」ことしかできず、病気の根本を治しているわけではありませんでした。しかしシダトレンはアレルギー症状の根本を治すことができる、新しい可能性を持ったお薬になります。

シダトレンはどんな特徴のあるお薬で、どんな患者さんに向いているお薬なのでしょうか。

シダトレンの効果や特徴・副作用についてみていきましょう。

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1.シダトレンの特徴

まずはシダトレンの特徴についてみてみましょう。

シダトレンは、アレルギー症状を治すことを目的として投与されるお薬ですが、すべてのアレルギー疾患に有効なわけではなく、「スギ花粉」のみに限定されたお薬になります。そのため、スギ花粉によるアレルギー症状を持っている方のみに適応があるお薬になります。

シダトレンは、減感作療法という方法でアレルギー症状を抑えていきます。これはかんたんに言うとスギ花粉エキスを少量から摂取し、その量を徐々に増やしていくことで身体をスギ花粉に慣らしていく、という治療法になります。

従来もアレルギー症状に対する減感作療法の治療薬はあったのですが、シダトレンが画期的なところは「飲み薬」である点です。従来のお薬は全て注射薬(皮下注射)であったため、患者さんにとってハードルが高く、今一つ普及しませんでした。

しかしシダトレンは飲み薬であるため、「飲むだけならやってみたい」と考える患者さんは多いのではないかと思われます。

デメリットとしては、シダトレンは少量ずつ慎重にお薬を増やしていかないといけないため、1〜2週間に1回と通院も細めにしないといけず、数年間(2〜5年程度)という長期間の毎日の服薬継続が必要であり、「面倒」な治療にはなります。

長期服薬はしますが、100%改善するというわけではなく、有効率は70~80%と考えられています(症状がほぼ消失が20~30%、一部消失が50%程度)。

またアレルギー物質をあえて投与するという治療法であるため、減感作療法について十分な知識・経験があると判断された医師でないと処方できず、また緊急時の対応ができる医療機関でないと処方できません。そのため、処方できる病院が限られているのもデメリットになります。

しかし従来のお薬でアレルギー症状を抑えるという方法ではなく、アレルギー疾患そのものを治してくれるシダトレンは、アレルギー治療の新しい可能性を秘めたお薬になります。

以上から、シダトレンの特徴として次のようなことが挙げられます。

【シダトレン スギ花粉舌下液の特徴】

・スギ花粉に特化した減感作療法の治療薬
・アレルギー症状をお薬で抑えるのではなく、治す作用がある
・70~80%ほどの患者さんは効果を感じる
・細めに定期的に受診しないといけないため、面倒
・長期間、毎日の服薬を続けなくてはいけず面倒
・処方できる医師・医療機関が限られている
(十分な経験・知識があると判断された医師、緊急対応ができる医療機関)

2.シダトレンはどのような疾患に用いるのか

シダトレンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。

【効能又は効果】

・スギ花粉症(減感作療法)

シダトレンはスギ花粉に特化した、アレルギー症状を和らげるお薬です。

そのためスギ花粉の確定診断が行われていないと使うことができません。シダトレンを使用する前に、皮膚反応テストや特異的IgE抗体検査などを行って、スギ花粉症の診断をする必要があります。

スギ花粉にアレルギーはあるけども、他の物質にも強いアレルギーがあるという方にはシダトレンの有効性は確認されていません。

そのため「主にスギ花粉だけにアレルギーを持っています」という方が使えるお薬になります。

また
・12歳未満、65歳以上
・妊婦

においては有効性や安全性が確立していないため、使用するのは「医師がどうしても必要と判断した場合のみ」になり、基本的にはこれらの患者さんには使用はしません。

シダトレンは液体を舌下投与します。舌下投与というのは舌の下に液剤を置くようなイメージです。すぐに飲み込んではいけず、2分ほど舌下において、その後に飲み込みます(吐き出しても構いません)。

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3.シダトレンの効果と作用機序

スギ花粉に対して用いられるシダトレンですが、どのような機序でアレルギー症状を改善させるのでしょうか。

シダトレンはスギ花粉に対してアレルギーを持つ方(スギ花粉症の方)に対して使うお薬です。

その機序は、スギ花粉のエキスを少量から毎日摂取してもらい、その量を徐々に増やしていくことで徐々に身体をスギ花粉に慣らしていくという方法になります。「徐々に慣らしていく」という事で、専門的にはこれを減感作療法と言います。

減感作療法は、すぐに効果は表れないため地道にやらなくてはいけない治療ですが、アレルギー疾患の根本を治せる可能性のある治療になり、抗アレルギー薬にて症状を「その場しのぎで抑える」治療とは異なります。

有効率は、まだデータは多くはありませんが、

・2〜3割の患者さんが寛解(ほぼ症状が改善)
・5割程度の患者さんが一部有効
・2割の患者さんが無効

と、全体的に見ると70〜80パーセントの方は効果を得られる結果となっています。

4.シダトレンの副作用

シダトレンにはどんな副作用があるのでしょうか。

シダトレンの副作用は13.5%の患者さんに認められたと報告されています。

スギに対してアレルギーがある方にスギ花粉を投与するため、治療中はアレルギー反応が出ることがあります。特に舌下投与のため、口腔・気道へのアレルギー症状が多いようです。

具体的には、

  • 口内炎
  • 舌下腫脹
  • 咽喉頭掻痒感(のどのかゆみ)
  • 口腔内腫脹
  • 耳掻痒感(耳のかゆみ)
  • 頭痛
  • 鼻汁
  • くしゃみ

などです。「スギ花粉に身体を慣らしている段階」ですので、ある程度こういったアレルギー症状が出てしまうのは仕方のないところもあります。

あまりにこれらのアレルギー症状がつらい場合は治療中止も検討しますが、耐えられる程度でしたらそのまま様子をみていくこともあります。様子観察を続けているうちに身体がスギ花粉に慣れていって、これらの副作用も軽減していくことがあるからです。

またシダトレンはアレルギー物質にあえて患者さんを暴露する治療であるため、稀にですが、重篤なアレルギー症状が生じてしまう事があります。

具体的には、

  • アナフィラキシーショック

が生じる可能性はあります。

【アナフィラキシーショック】
即時型のアレルギー症状で、抗原(アレルギー物質)に対して過剰・急激に身体が反応してしまって生じる。

血管拡張による血圧低下、気管支のけいれんによる呼吸困難などの他、失神、皮膚症状(蕁麻疹など)、胃腸症状(下痢、腹痛など)も生じる。重篤な場合は命に関わることもある。

そのためシダトレンは、

  • 減感作療法に関する十分な知識・経験を持つ医師
  • シダトレンの効果だけでなくリスクもしっかりと管理・説明できる医師
  • 緊急時に十分対応できる医療機関

でのみ処方することとなっています。

またアナフィラキシーショックが生じるのは特に初回投与後が多いため、シダトレンを初回投与後は少なくとも30分間はそのまま病院で安静にしていただき、問題がないかを確認しないといけません。

またシダトレン投与前後2時間程度は、アナフィラキシーショック予防のため、激しい運動や入浴、飲酒はさけるように推奨されています。

シダトレンはこのような理由から、減感作療法の講習会を受講し受講修了の登録をした医師・緊急対応が出来る医療機関でないと処方することはできません。

と色々怖い事を書いてしまいましたが、アナフィラキシーショックを起こす可能性は非常に低く、処方する医師・医療機関も万が一に備えて十分な体制を整えていますのでシダトレンを過剰に怖がる必要はありません。

日本では今のところアナフィラキシー発症報告はなく、世界的に見ても数例程度しかありません。

またシダトレンは次のような疾患を持っている方は使用することができません。

  • 重症の気管支喘息
  • 免疫系に異常をきたす全身疾患(自己免疫性疾患や免疫不全)
  • 悪性腫瘍

これらの方は免疫系の異常によって、治療がうまくいかなかったり、副作用が出やすくなったりするためです。気管支喘息は重症でない場合は「慎重投与」となっており、投与は可能であるものの慎重に投与する必要があります。

また、

  • 非選択性βブロッカー
  • 三環系抗うつ剤
  • モノアミン阻害薬
  • 全身性ステロイド薬

などを投与されている方は、シダトレンの効果が出にくくなったり、副作用が出やすくなる可能性があるため、シダトレンの使用は慎重に判断する必要があります。

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5.シダトレンの用法・用量と剤形

シダトレンは、

シダトレン スギ花粉 舌下液 200JAU/mlボトル
シダトレン スギ花粉 舌下液 2,000JAU/mlボトル
シダトレン スギ花粉 舌下液 2,000JAU/mlパック

の3剤形があります。

200JAU/mlボトルは1週目に使用し、2,000JAU/mlボトルは2週目に使用します。そして3週目以降は2,000JAU/mlパックを使用します。

ボトルはポンプを押すと液体が出てくる仕組みになっていますが、1プッシュでで0.2ml(200JAU/mlなら40JAU、2,000JAU/mlなら400JAU)が出てきます。

ちなみにJAUというのはアレルギー活性の単位の事です。

パックは使い切りの分包になっているタイプで、1回に2,000JAUを使う維持期には簡便に使えます。使い切りなので用量を間違えることもなく安心です。

使い方としては、

①増量期(1~2週目)
通常、成人及び12歳以上の小児には、増量期として投与開始後2週間、以下の用量を1日1回、舌下に滴下し、2分間保持した後、飲み込む。その後5分間は、うがい・飲食を控える。

②維持期(3週目以降)
増量期終了後、維持期として、2,000JAU/mlパックの全量(1ml)を1日1回、舌下に滴下し、2分間保持した後、飲み込む。その後5分間は、うがい・飲食を控える。

と書かれています。

ちなみに増量期の増やし方は、

【1週目】(シダトレン スギ花粉舌下液200JAU/mlボトルを使用)
1日目 0.2ml(40JAU)
2日目 0.2ml(40JAU)
3日目 0.4ml(80JAU)
4日目 0.4ml(80JAU)
5日目 0.6ml(120JAU)
6日目 0.8ml(160JAU)
7日目 1.0ml(200JAU)

【2週目】(シダトレン スギ花粉舌下液2,000JAU/mlボトルを使用)
1日目 0.2ml(400JAU)
2日目 0.2ml(400JAU)
3日目 0.4ml(800JAU)
4日目 0.4ml(800JAU)
5日目 0.6ml(1,200JAU)
6日目 0.8ml(1,600JAU)
7日目 1.0ml(2,000JAU)

少しずつ慎重に増やしていき、徐々に身体をスギ花粉に慣れされていきます。

なおスギ花粉の飛散が多い時期(2月頃〜4月頃)は、アレルギー過敏性が高まっている可能性があるため、この時期に治療を開始することは推奨されておらず、飛散が少ない時期に加療を開始するようにしましょう。

また服薬期間は明確には定義されていませんが、数年は毎日飲み続ける必要があります。おおよそ2~5年程度の服薬継続と考えられており、治療は長期に渡ります。

6.シダトレンが向いている人は?

以上から考えて、シダトレンが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

シダトレンの特徴をおさらいすると、

・スギ花粉に特化した減感作療法の治療薬
・アレルギー症状をお薬で抑えるのではなく、治す作用がある
・70~80%ほどの患者さんは効果を感じる
・細めに定期的に受診しないといけないため、面倒
・長期間、毎日の服薬を続けなくてはいけず面倒
・処方できる医師・医療機関が限られている
(十分な経験・知識があると判断された医師、緊急対応ができる医療機関)

といったものでした。

アレルギー症状をお薬で「その場しのぎ」で抑えるのではなく、根本を治す可能性のあるシダトレンは、スギ花粉症で悩んでいる方にとっては魅力的なお薬です。

しかし、治療は数年に渡り、その間は毎日お薬を飲み続けなくてはいけず、処方できる医師・病院も限られているお薬であるため、まだまだ「気軽に始めることの出来る」治療とは言えません。

  • スギ花粉のアレルギー症状が重篤な方
  • 抗アレルギー薬では十分な効果が期待できない方
  • 時間がかかってもいいから、アレルギー症状を根本から治したい方

には向いているお薬になります。

しかし一方で、現在服薬している抗アレルギー薬である程度満足できている方は、そのままでもいいかもしれません。

治療は長期間に渡ります。そのため、実際途中で面倒になって服薬を止めてしまう人も少なくありません。そうなってしまうようでは、せっかく治療した意味がなくなってしまいます。

シダトレンは、「数年かけてアレルギー症状を治す!」という、治療を続ける覚悟が必要な治療薬でしょう。

7.シダトレンの薬価

シダトレンの薬価はどれくらいでしょうか。

長期間続けるお薬ですから、薬価も気になるところですよね。

薬価は2年に1回改訂されるため、今後もずっと同じ薬価というわけではないのですが、2015年5月の薬価基準収載では次のように薬価が設定されています。

シダトレン スギ花粉 舌下液 200JAU/mlボトル   10ml 421.10円
シダトレン スギ花粉 舌下液 2,000JAU/mlボトル    10ml 1006.60円
シダトレン スギ花粉 舌下液 2,000JAU/mlパック  1ml 100.80円

3週目以降は2,000JAU/mlパックを1日1個使いますから、1日100円かかるという計算になります。保険診療にて3割負担となれば、1日30円程度となります。

1カ月約3,000円(3割負担で約1,000円)、1年で約36,000円(3割負担で約12,000円)です。

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