スタデルム軟膏・スタデルムクリームの効能と副作用【非ステロイド抗炎症剤】

スタデルム軟膏・スタデルムクリーム(一般名:イブプロフェンピコノール)は1984年から発売されている外用剤(塗り薬)で「非ステロイド系抗炎症剤」という種類に属します。

非ステロイド系抗炎症剤とは、

  • ステロイドではなく
  • 主に炎症を抑えたり痛みを和らげる作用を持つ

お薬の総称で、NSAIDsとも呼ばれています。

皮膚に生じた急性の炎症に対して、炎症を抑えたり痛みを軽減する目的で処方されますが、効果は強くはないため、症状が軽めの方に用いられることの多いお薬です。

皮膚に塗る外用剤はたくさんの種類があり、それぞれがどのような特徴を持つのか分かりにくいと思います。スタデルム軟膏(クリーム)がどんな特徴のあるお薬で、どんな患者さんに向いているお薬なのか、その効果・効能や特徴、副作用についてみていきましょう。

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1.スタデルムの特徴

まずはスタデルムの特徴をざっくりと紹介します。

スタデルムは、主に炎症を和らげる(消炎)はたらきと痛みを和らげる(鎮痛)はたらきを持ちます。効果は穏やかですがステロイドではないため、ステロイドが使いにくいような疾患にも向いています。

スタデルムは「非ステロイド性消炎鎮痛剤」と呼ばれますが、その名の通り「ステロイドではない」「消炎・鎮痛作用がある」ことが特徴です。

ステロイドではないため、ステロイドを塗ることが推奨されないような感染性の湿疹(帯状疱疹など)や酒さ様皮膚炎などにも塗ることが出来ます。

ステロイドは免疫力(ばい菌と闘う力)を下げてしまうため、感染症に用いることは推奨されていません。また酒さ様皮膚炎は、ステロイドの副作用によって皮膚炎を生じている疾患ですので、ステロイドを用いるわけにはいきません。

スタデルムは主に急性の湿疹に対して用いられることが多く、帯状疱疹など一時的に炎症や痛みが強くなる皮膚疾患において用いられる事が多いお薬です。

デメリットとしては、スタデルムを塗ることによって接触皮膚炎(いわゆる「かぶれ」)が生じてしまう事が頻度は低いながらもある事です。ちなみにスタデルムと作用機序が似ているアンダーム(一般名:ブフェキサマク)というお薬は、接触性皮膚炎の副作用の問題などもあり、2010年に販売中止となっています。

以上から、スタデルムの特徴としては次のようなことが挙げられます。

【スタデルム軟膏・スタデルムクリームの特徴】
・消炎作用(炎症を抑える)・鎮痛作用(痛みを和らげる)がある
・効果は穏やかであるため、主に軽症例に用いられる
・ステロイドではないため、ステロイドが向かない疾患にも使える
(感染性疾患や酒さ様皮膚炎など)
・接触性皮膚炎に注意

2.スタデルムはどのような疾患に用いるのか

スタデルムはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】
急性湿疹、接触皮膚炎、アトピー皮膚炎、慢性湿疹、酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎・帯状疱疹

尋常性痤瘡(クリーム剤のみ)

たくさんの病名に対して適応を持っていますが、実際に用いる事が多いのは、

  • 急性湿疹
  • 酒さ様皮膚炎
  • 帯状疱疹

あたりになります。

スタデルムは消炎作用と鎮痛作用を有していますが、それ以外の作用はほとんどありません。アレルギーを抑える作用や傷を早く治す作用があるわけではなく、炎症を抑える事で「痛み」などの症状を抑えるだけになります。

そのためアレルギーが原因であるアトピー皮膚炎に対しては、ステロイドや保湿剤など他の塗り薬を用いることが多いのが実情です。

また創傷(キズ)の治りを早める作用に優れるわけでもないため、慢性湿疹などに対しても別の塗り薬を用いることが多いのが現状です。

接触皮膚炎に対しては、スタデルムは炎症を抑える効果は期待できますが、スタデルム自体が接触皮膚炎の原因になってしまう事もあるため、あまり用いられることがありません。

尋常性痤瘡というのはいわゆる「にきび」の事で、アクネ菌などの細菌感染が原因となるため、一般的には抗生剤軟膏などが用いられます。スタデルムはちょっと変わった作用があるため(次の項で詳しく説明します)、非ステロイド性消炎鎮痛剤でありながら尋常性ざ瘡に適応があります。

ただし主に軽症例に用いるようなお薬で、程度の重い尋常性痤瘡に対しては、抗生剤軟膏を用いる方が良いでしょう。

実際、尋常性痤瘡に使用する場合の注意点として、次のように記載されています。

1)石鹸で洗顔後使用すること。
2)膿疱の多発した重症例には他の適切な治療を行うことが望ましい。

スタデルムの改善率(中等度以上改善した率)は、

  • 急性湿疹での改善率は、軟膏で64.8%・クリームで50.6%
  • 接触皮膚炎での改善率は、軟膏で77.4%・クリームで57.4%
  • アトピー皮膚炎での改善率は、軟膏で64.7%・クリームで55.2%
  • 慢性湿疹での改善率は、軟膏で75.0%・クリームで71.7%
  • 酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎への有効率は、軟膏で72.7%・クリームで66.7%
  • 帯状疱疹での改善率は、軟膏で96.5%・クリームで93.8%
  • 尋常性痤瘡での改善率は、クリームで70.7%

と報告されています。

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3.スタデルムにはどのような作用があるのか

スタデルムは、どのような作用を持つお薬なのでしょうか。

スタデルムを塗る事で期待できる作用について紹介します。

Ⅰ.抗炎症作用

スタデルムは、炎症を和らげる作用を持ちます。

炎症とは、

  • 発赤 (赤くなる)
  • 熱感 (熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛みを感じる)

の4つの徴候を生じる状態のことで、感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーで生じることもあります。

例えば身体をぶつけたり、身体にばい菌が入ったりすると、その部位が赤くなったり熱感を持ったり、腫れたり、痛んだりという状態になりますが、これが炎症です。

皮膚に炎症が起こることを皮膚炎と呼びます。皮膚炎も外傷でも生じるし、ばい菌に感染することでも生じるし、アレルギーでも生じます。

どのような原因であれ、炎症そのものを抑えてくれる作用が抗炎症作用です。スタデルムは抗炎症作用があり、発赤・熱感・腫脹・疼痛といった症状を和らげてくれます。

具体的にスタデルムなどのNSAIDsの作用機序を見ると、シクロオキシゲナーゼ(COX)という物質をブロックするはたらきがあります。

COXは、プロスタグランジン(PG)が作られる時に必要な物質であるため、COXがブロックされるとプロスタグランジンが作られにくくなります。

プロスタグランジンは炎症や痛みを誘発する物質であるため、スタデルムがCOXをブロックすると炎症や痛みが生じにくくなるのです。

炎症が起きると血管の透過性が亢進し、血管内から血管外へ様々な物質が移動していきます。これは炎症の原因となっているもの(ばい菌や外傷など)を修復する作用がある一方で、「発赤」「熱感」「腫脹」「疼痛」を引き起こしてしまいます。また浮腫(むくみ)の原因になることもあります。

スタデルムは、COXの作用をブロックすることで、炎症や浮腫を和らげるはたらきがあるのです。

Ⅱ.鎮痛作用

炎症は疼痛(痛み)も引き起こします。

スタデルムはCOXをブロックすることで炎症を和らげ、痛みを抑える作用も有しています。

ただしその効果は強くはありません。

Ⅲ.脂質の増加を抑制する

スタデルムのうち、スタデルムクリームは脂質の増加を抑制する作用が確認されています。

ウサギに人工的にニキビを作り、そこにスタデルムクリームを塗ったところ、

  • 毛孔部(毛穴)の拡大を抑制
  • 総脂質、中性脂肪、遊離脂肪酸の増加を抑制

した事が報告されています。

尋常性痤瘡(にきび)は、アクネ菌という細菌が毛穴に入る事で発症します。アクネ菌はリパーゼという酵素を分泌しますが、リパーゼは毛穴の周辺にある皮脂腺から分泌される皮脂を遊離脂肪酸とグリセロールに分解します。

これにより遊離脂肪酸が増える事で炎症が生じるため、発症すると考えられています。

スタデルムクリームは炎症を抑える作用に加えて、遊離脂肪酸をはじめとした脂質の増加を抑制する作用があります。

そのため、尋常性痤瘡に効果が期待できるのです。

特に10代などの若年者に発症するにきびは皮脂が原因となる事が多いため、若年者のにきび治療に推奨されます。

4.スタデルムの副作用

スタデルムにはどのような副作用があるのでしょうか。また副作用はどのくらいの頻度で生じるのでしょうか。

スタデルムの副作用発生率は軟膏で1.34%・クリームで2.41%と報告されており、多くはありません。

しかし全体的に効果が穏やかなスタデルムは、効果/副作用の比で考えると、効果の割には副作用が生じる印象のあるお薬です。

効果の強いお薬は副作用も強い、効果の弱いお薬は副作用も少ない。これがお薬の効果・副作用関係の基本になります。しかしスタデルムは効果が弱い割には副作用が極めて少ないとは言えません。

もちろん副作用が多いお薬ではないのですが、これもスタデルムが近年用いられていない理由なのではないでしょうか。

報告されている副作用としてはありふれたものが多く、

  • 発疹
  • 刺激感
  • かゆみ
  • 接触皮膚炎
  • 面皰
  • つっぱり感
  • 皮膚の乾燥

などがあります。いずれも重篤となることは少なく、スタデルムの使用を中止すれば改善することがほとんどです。

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5.スタデルムの用量・用法と剤型

スタデルムは、

スタデルム軟膏5% 10g(チューブ)
スタデルム軟膏5% 100g(プラスチック容器)
スタデルム軟膏5% 500g(プラスチック容器)

スタデルムクリーム5% 10g(チューブ)
スタデルムクリーム5% 100g(プラスチック容器)
スタデルムクリーム5% 500g(プラスチック容器)

といった剤型があります。

いずれも10gはチューブに入っており、100g・500gは壺のようなプラスチック容器に入っています。

スタデルムの使い方は、

急性湿疹、接触皮膚炎、アトピー皮膚炎、慢性湿疹、酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎については、適量を1日数回患部に塗布する。

帯状疱疹については、適量を1日1~2回患部に貼布する。

尋常性痤瘡については、適量を1日数回石鹸で洗顔後患部に塗布する。

と書かれています。

ちなみに塗り薬には、「軟膏」「クリーム」「ローション」などがありますが、これらはどう違うのでしょうか。

軟膏は、ワセリンなどの油が基材となっています。長時間の保湿性に優れ、刺激性が少ないことが特徴ですが、べたつきは強く、これが気になる方もいらっしゃいます。また皮膚への浸透力も強くはありません。

クリームは、水と油を界面活性剤で混ぜたものです。軟膏よりも水分が入っている分だけ伸びがよく、べたつきも少なくなっていますが、その分刺激性はやや強くなっています。

ローションは水を中心にアルコールなどを入れることもある剤型です。べたつきはほとんどなく、遣い心地は良いのですが、保湿効果は長続きしません。しかし皮膚への浸透力は強く、皮膚が厚い部位などに使われます。

それぞれ一長一短あるため、皮膚の状態に応じて主治医とよく相談し、使い分ける事が大切です。

スタデルムには軟膏剤とクリーム剤があります。

6.スタデルムの使用期限はどれくらい?

スタデルムの使用期限って、どのくらいの長さなのでしょうか。

「家に数年前に処方してもらった軟膏があるんだけど、これってまだ使えますか?」

このような質問は患者さんから時々頂きます。

これは保存状態によっても異なってきますので一概に答えることはできませんが、適切な条件で保存されていたのであれば

  • スタデルム軟膏は4年
  • スタデルムクリームは3年

が使用期限になります。

スタデルムは基本的には遮光、気密容器、室温で保存するものですので、この状態で保存していたのであれば上記期間持つと考えて良いでしょう。反対に暑い場所で保管していたり、光が当たる場所で保管していた場合は、使用期限は短くなる可能性があります。

7.スタデルムが向いている人は?

以上から考えて、スタデルムが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

スタデルムの特徴をおさらいすると、

・消炎作用(炎症を抑える)・鎮痛作用(痛みを和らげる)がある
・効果は穏やかであるため、主に軽症例に用いられる
・ステロイドではないため、ステロイドが向かない疾患にも使える
(感染性疾患や酒さ性皮膚炎など)
・接触性皮膚炎に注意

というものでした。

スタデルムは穏やかに炎症を抑え、痛みを取ってくれるため、主に軽症の皮膚疾患に用いるお薬になります。しっかりと症状を抑える必要がある場合は、より強い効果が得られるステロイドなどを検討する必要があるでしょう。

スタデルムはステロイドではないため、ステロイドが好ましくないような皮膚状態で、かつ消炎・鎮痛をした方が良い皮膚には向いているお薬です。

具体的には、

  • 感染性の皮膚疾患(帯状疱疹など)
  • 酒さ様皮膚炎

などが挙げられます。

またスタデルムクリームは、炎症を抑える作用に加えて脂質の増加を抑制する作用があるため、尋常性痤瘡への効果も期待できます。ただしこれも軽症例に用いるべきで、程度が重い場合は抗生剤の入った軟膏を使った方が良いでしょう。

スタデルムはあくまでも炎症を抑えているだけで根本を治しているわけではない事は知っておく必要があります。

例えば帯状疱疹に用いれば、帯状疱疹で生じる皮膚のピリピリした痛みは和らぎますが、原因であるヘルペスウイルスをやっつける作用はありません。スタデルムで痛みを抑えながらも抗ウイルス薬も併用していく必要があります。

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