ザルティア錠の効果と特徴

ザルティア錠(一般名タダラフィル)は2014年に発売された前立腺肥大症の治療薬です。

PDE5阻害剤と呼ばれており、PDE5という酵素のはたらきをブロックする事で前立腺肥大症に伴う諸症状(排尿困難、残尿感、頻尿など)を改善させます。

前立腺肥大症の治療薬にはいくつかの種類がありますが、その中でザルティアはどのような特徴のあるお薬で、どのような患者さんに向いているお薬なのでしょうか。

ここではザルティアの効能や特徴を紹介していきたいと思います。

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1.ザルティア錠の特徴

まずはザルティアの特徴をざっくりと紹介します。

ザルティアの特徴は、下部尿路系(前立腺、膀胱、尿道など) の血流を増やし、筋肉を緩めることで前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善させることです。

前立腺は膀胱の下にある臓器で、尿が通る尿道を囲むように位置しています。そのため前立腺が肥大すると尿道が圧迫され、尿が出にくくなります。尿が出ないと膀胱に尿がたくさん溜まってしまうので、膀胱が過剰に伸展してしまって膀胱の血流障害の原因となり、排尿症状は更に悪化していきます。

ザルティアは下部尿路の血管を拡張させて血流を増やすことで、この悪循環を改善させる効果があります。また下部尿路の筋肉を緩めることで、尿が排出しやすくするはたらきもあります。

以上からザルティアの特徴として次のような点が挙げられます。

【ザルティアの特徴】

・下部尿路の血流を増やし、筋肉を緩めることで排尿を改善する

2.ザルティア錠はどんな疾患に用いるのか

ザルティア錠はどのような疾患に用いられるのでしょうか。ザルティアの添付文書には、次のように記載されています(2015年7月現在)。

【効能又は効果】

前立腺肥大症に伴う排尿障害

前立腺肥大症とは、その名の通り前立腺が肥大する疾患です。前立腺は前立腺液を作る臓器で、これは精子の一部となる液です。前立腺には他にもはたらきがあるのではと考えられていますが、そのはたらきはまだ分かっていません。男性にしかない臓器であるため、前立腺肥大症は男性特有の疾患になります。

なぜ前立腺が肥大するのかははっきりとは分かっていませんが、加齢や男性ホルモン、高血圧、高脂血症、遺伝などが関係すると言われています。特に加齢の影響は大きく、高齢者では高い確率で前立腺肥大症が認められます。

前立腺は膀胱の下部にある尿道を囲むようにして存在しています。そのため、前立腺が肥大すると尿道が圧迫され尿が出にくくなってしまいます。これを排尿困難といいます。また、尿が出にくくなるため、全ての尿が排出されず、膀胱内に尿が残ってしまうという残尿が生じることもあります。排尿困難と逆に、膀胱が刺激されることによる頻尿が生じることもあります。

ザルティアは下部尿路(膀胱・前立腺・尿道など)の血管を拡張させ、同部の血流を増やすことで、前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善させることができます。またザルティアは下部尿路の筋肉を緩めるはたらきも持ち、これも前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善させます。

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3.ザルティア錠にはどのような作用があるのか

ザルティアは「PDE5阻害薬」と呼ばれています。PDEは「ホスホジエステラーゼ」の略で、PDE5という酵素のはたらきをブロックすうることがザルティアのはたらきになります。

PDE5は主に下部尿路(膀胱・前立腺・尿道)などに多く存在すると言われており、血管や筋肉を収縮させる作用がある事が知られています。ザルティアはPDE5のはたらきをブロックするわけですから、下部尿路血管を拡張させたり、筋肉を緩めたりすることになります。

ザルティアには排尿障害に対しては主に3つの作用を持っていると考えられています。

Ⅰ.下部尿路(尿道、前立腺、膀胱)の血管拡張

ザルティアは、主に下部尿路に存在しているPDE5のはたらきをブロックする事で、下部尿路の血管を拡張させ、血流を増やすはたらきがあります。

前立腺肥大症で尿がでにくくなっている患者さんでは、膀胱に尿が溜まりやすくなっていることや膀胱ががんばって尿を出そうとしている事から、膀胱が過伸展しており膀胱の血流障害・組織障害が生じていることがあります。

ザルティアによって同部の血流が増えると、血流障害・組織障害を改善させるはたらきが期待できます。

Ⅱ.下部尿路(尿道、前立腺、膀胱)の筋肉の弛緩

ザルティアは、主に下部尿路に存在しているPDE5のはたらきをブロックすることで、下部尿路の筋肉をゆるめるはたらきがあります。

下部尿路には一酸化窒素合成酵素(NOS:Nitric Oxide Synthase)という酵素が存在し、これが一酸化窒素(NO:Nitric Oxide)を作ります。一酸化窒素はcGMPと呼ばれる物質の濃度を上げ、これが下部尿道の筋肉を緩めるはたらきをもちます。この作用がうまくはたらく事で私たちは必要な時にスムーズに排尿が出来ています。

加齢や動脈硬化などがあるとNOSのはたらきが悪くなってcGMPが減少することが知られており、これも排尿障害の原因となっています。

ザルティアはPDE5のはたらきをブロックしますが、PDE5をブロックするとcGMPが分解されにくくなり濃度が上がるため、下部尿路の筋肉を緩めます。すると、尿が通りやすくなるため、前立腺肥大症による排尿障害の改善が期待できます。

Ⅲ.排尿刺激の抑制

ザルティアは膀胱から中枢へ向かう神経の活動を抑えるはたらきがあります。

膀胱から中枢へ向かう神経を「求心性神経」と呼びますが、これは膀胱に尿が溜まったのを中枢に伝えるはたらきがあります。前立腺肥大症では、膀胱への刺激が多くなっているため、求心性神経が過敏になっており、これが頻尿の原因になります。

ザルティアは、この過敏になっている求心性神経の活動を抑えるため、前立腺肥大症に伴う頻尿を緩和させるはたらきがあります。

4.ザルティア錠の副作用

ザルティアにはどんな副作用があるのでしょうか。

ザルティアに比較的認められる副作用には、

・痛み(頭痛、筋肉痛、背部痛、四肢痛など)
・消化器症状(消化不良など)

があります。

ザルティアはPDE5をブロックすることで血管を拡張させることがはたらきです。下部尿路の血管以外も拡張してしまうと、

・血圧低下とそれによるふらつき、めまい
・顔のほてり(顔面血管の拡張)

が生じる事もあります。

またザルティアはED治療薬としても用いられているため、この作用が副作用となって現れることがあります。頻度は多くありませんが、

・持続勃起

が出現する可能性があります。

非常に稀になりまずがPDE5阻害薬で

・視力低下
・聴力低下
・けいれん
・Stevens-Johnson症候群

などの報告があります。

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5.ザルティア錠の用法・用量と剤形

ザルティアは次の剤型が発売されています。

ザルティア錠(タダラフィル) 2.5mg
ザルティア錠(タダラフィル) 5mg

の2剤型が発売されています。

また、ザルティアの使い方は、

通常成人には1日1回5mgを経口投与する。

と書かれています。

ザルティアは半減期が約15~33時間と長いお薬です。半減期とは、お薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことで、そのお薬の作用時間の一つの目安になる数値です。半減期が長いため、1日1回の服薬では十分効果が持続すると考えられています。

また食事の影響をほとんど受けないため、食後・空腹時問わずに服薬することが可能です。

6.ザルティア錠が向いている人は?

以上から考えて、ザルティアが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ザルティアの特徴をおさらいすると、

・下部尿路の血流を増やし、筋肉を緩めることで排尿を改善する

となったものでした。

ザルティアは他の前立腺肥大症治療薬(α阻害薬や5α還元酵素阻害薬など)と異なる作用を持つため、他のお薬で効果がなかった前立腺肥大症の方には、試す価値があるお薬になります。

ちなみにザルティアは、ED治療薬であるシアリス(一般名タダラフィル)と同じ成分のお薬であるため、前立腺肥大ではなくEDの治療目的で処方を希望される患者さんがいます。

しかし保険診療上ザルティアの処方が認められているのは前立腺肥大症であり、EDへの処方は認められていません。

保険診療においてEDの症状に対してザルティアを処方することはできません。

7.ザルティア錠の薬価

ザルティアの薬価はどれくらいなのでしょうか。

薬価は2年に1回改訂されますが、2015年5月の薬価基準収載では次のように薬価が設定されています。

ザルティア錠(タダラフィル) 2.5mg  118.30円
ザルティア錠(タダラフィル) 5mg     230.60円
(2015年7月現在)

なお薬価の改訂は定期的に行われているため、ザルティアの薬価も今後、変更される可能性がありますことをご了承下さい。最新の薬価は、厚生労働省のサイトや製薬会社のサイトにてご確認下さい。

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