トランドラプリルの効果と副作用【降圧剤】

トランドラプリルは1996年に発売された「オドリック」「プレラン」という降圧剤(血圧を下げるお薬)のジェネリック医薬品になります。降圧剤の中でもACE阻害薬という種類に属します。

ACE阻害薬は、単に血圧を下げるだけでのお薬ではありません。心臓や腎臓を保護したり、糖尿病を改善させたりといった付加的な作用があります。

上手に使えば1剤で複数の効果が期待できます。お薬の作用をしっかりと熟知すれば非常に頼もしいお薬だと言えるでしょう。

血圧を下げる降圧剤にも多くの種類があります。その中でトランドラプリルはどんな特徴のある降圧剤で、どんな患者さんに向いているお薬なのでしょうか。

トランドラプリルの効果や特徴についてみていきましょう。

スポンサーリンク

1.トランドラプリルの特徴

まずはトランドラプリルというお薬の特徴について説明します。

トランドラプリルは「ACE阻害薬」という種類の降圧剤になります。ACE阻害薬はその名の通り、ACE(アンジオテンシン変換酵素)という酵素のはたらきをブロックすることで血圧を下げるお薬になります。

ACEはアンジオテンシンⅠという物質をアンジオテンシンⅡという物質に変えるはたらきがあります。アンジオテンシンⅡは血圧を上げる作用があるため、ACEがブロックされるとアンジオテンシンⅡが少なくなり、血圧が下がるのです。

ACE阻害薬はトランドラプリル以外にもいくつかありますが、まずは降圧剤の中でのACE阻害薬の特徴について紹介します。

【ACE阻害薬の特徴】
・血圧を下げる力(降圧力)は中程度
・臓器保護作用があり心不全・腎不全にも用いられる
・糖尿病を改善させる作用がある
・空咳が生じる事があるが、逆手にとって誤嚥予防に用いられることも

ACE阻害薬は降圧剤に属し、血圧を下げるはたらきを狙って投与されます。しかしそれ以外にも付加的な効果があるのが特徴です。

単純に「血圧を下げる力」だけを見れば、カルシウム拮抗薬などより効果が強い降圧剤もあります。しかしACE阻害薬は血圧を下げる作用以外にもいくつかの作用があるのです。

その1つが「臓器保護作用」です。ACE阻害薬は心臓や腎臓を保護してくれる作用が確認されています。

血圧が高いと心臓や腎臓にもダメージを与えます。血液は心臓から血管を通って全身の臓器に送られるわけですから、血管が硬くなって血圧が上がれば心臓の負荷が上がり、心臓も痛みやすくなります。

また腎臓は血液から老廃物を取り出し尿を作るはたらきがあります。血管が硬くなっている高血圧の方では、尿を作るのも負荷がかかるようになり腎臓も痛みやすくなります。

このように血圧が高い方というのは、心臓や腎臓といった臓器にもリスクが生じるため、臓器保護作用を持つACE阻害薬は高血圧による全身へのダメージをより広く守ってくれるお薬だと言えます。

更にACE阻害薬は、インスリンの効きを増強させるはたらきがある事が報告されています。インスリンは血糖値を下げるホルモンですので、インスリンが増強されれば糖尿病の改善も期待できます。

ACE阻害薬に特徴的な副作用としては、「空咳」があります。これはACEをブロックするとサブスタンスPという物質が増えるためだと考えられています。人によっては困る副作用でありますが、この副作用を逆手に取って「誤嚥の予防」に用いることもあります。

高齢者では食べ物を飲み込む力(嚥下能)が低下してしまい、食べたものが食道ではなく気管にあやまって入ってしまうという事が起こり得ます。これを「誤嚥」と言い、誤嚥を起こすと肺に異物が入るため誤嚥による肺炎(誤嚥性肺炎)を引き起こしてしまいます。

誤嚥はサブスタンスPが減ることで咳反射が生じにくくなると起こりやすくなります。サブスタンスPが増えると咳は生じやすくなりますが、誤嚥は起こしにくくなるのです。

元々、咳というのは気管に入った異物を追い出す行為である事を考えれば、これは当然と言えるでしょう。

この作用を利用してACE阻害薬は誤嚥予防に用いられる事もあるのです。

では次にACE阻害薬の中でのトランドラプリルの特徴を紹介します。

・作用時間が非常に長く、1日1回の服用で安定した効果が得られる
・腎機能が悪い方でも比較的使いやすい
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

ACE阻害薬の中でのトランドラプリルの最大の特徴は、その作用時間の長さです。1日1回の服用で良いACE阻害薬はいくつかありますが、トランドラプリルはその中でも長時間安定して効き続けるという特徴があります。

トラフ/ピーク値という指標があります。これは、お薬が最も効いていて血圧が最も下がっている時(ピーク)と、お薬の効果が最も弱くなっていると考えられる翌日の服用直前時(トラフ)の血圧下降度の比率になります。

トラフ/ピーク値が高い(100に近い)ほどお薬が長時間同じ強さで効き続けているということになります。

多くのACE阻害薬のトラフピーク値は30~60くらいですが、トランドラプリルはというと84という高いトラフ/ピーク値を有し、お薬が長く安定して効くお薬だと言えます。

トランドラプリルは体内でトランドラプリラートという物質になりますが、このトランドラプリラートの作用時間が極めて長いためだと考えられています。

また多くのACE阻害薬が腎臓で排泄されますが、腎排泄性のお薬は腎機能が悪い方にとっては腎臓に負担をかけてしまうリスクがあります。

トランドラプリルは腎臓からも排泄されますが、肝臓・胆汁から便としても排泄されます。その割合は腎排泄率が30%ほどと言われており、ほとんどが腎から排泄されるACE阻害薬と比べると腎臓への負担が少ないのです。

これは腎機能が元々悪い方にとっては使いやすいお薬だという事になります。

トランドラプリルはジェネリック医薬品であり、先発品の「エースコール」と比べて薬価が安いというのもメリットになります。

以上からトランドラプリルの特徴を挙げると次のようになります。

【トランドラプリルの特徴】

・中等度の血圧を下げる作用がある
・心臓・腎臓などの臓器保護作用がある
・糖尿病を改善させる作用がある
・空咳が起こり得るが、これが誤嚥の予防になる事もある
・作用時間が非常に長く、1日1回の服用で安定した効果が得られる
・腎機能が悪い方でも比較的使いやすい
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

2.トランドラプリルはどんな疾患に用いるのか

トランドラプリルはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

高血圧症

トランドラプリルは降圧剤ですので、「高血圧症」の患者さんに用います。

高血圧症も細かく分ければ様々なタイプがありますが、トランドラプリルは高血圧症であればすべてに使用する事ができます。

トランドラプリルはジェネリック医薬品であるため、有効性に対する詳しい調査は行われていません。しかし先発品の「オドリック」「プレラン」における各高血圧症に対する総合的な有効率は73.6%と報告されており、トランドラプリルも同程度だと考えられます。

内訳としては、

  • 軽~中等症の本態性高血圧症に対する有効率(単独療法)は71.8%
  • 軽~中等症の本態性高血圧症に対する有効率(併用療法)は80.9%
  • 重症高血圧症に対する有効率は83.3%
  • 腎障害を伴う高血圧症に対する有効率は63.9%

となっています。

本態性高血圧というのは原因が特定されていない高血圧の事で、一般的に言われる高血圧の事です。本態性でない高血圧は「二次性高血圧」と呼ばれ、これは何らかの原因があって二次的に血圧が上がっているような状態を指します。これにはお薬の副作用による血圧上昇、ホルモン値の異常による高血圧(原発性アルドステロン症など)があります。

本態性高血圧のほとんどは単一の原因ではなく、喫煙や食生活の乱れ、運動習慣の低下などが続く事による全身の血管の動脈硬化によって生じます。

トランドラプリルをはじめとしたACE阻害薬は単なる高血圧に使うのではなく、

  • 心肥大を合併した高血圧症
  • 腎機能障害を合併した高血圧症
  • 糖尿病を合併した高血圧症
  • 誤嚥しやすい方に合併した高血圧症

に用いることによって、1剤で複数の効果を得る事が出来ます。

スポンサーリンク

3.トランドラプリルにはどのような作用があるのか

トランドラプリルは具体的にどのような作用を有しているのでしょうか。

トランドラプリルの作用機序について紹介します。

Ⅰ.降圧作用

トランドラプリルは降圧剤であり、主な作用は血圧を下げる作用になります。

ではトランドラプリルはどのように血圧を下げてくれるのでしょうか。

私たちの身体の中には、血圧を上げる仕組みがいくつかあります。その1つに「RAA系」と呼ばれる体内システムがあります(RAA系とは「レニン-アンジオテンシン-アルドステロン」の略です)。

RAA系は本来、血圧が低くなりすぎてしまった時に血圧を上げるシステムです。RAA系は「腎臓に流れてくる血流量」を元に全身の血圧を推測し、血圧をコントロールするシステムになります。

腎臓は血液から老廃物を取り出して尿を作る臓器ですが、ここに「傍糸球体装置」というものがあります。傍糸球体装置は腎臓に流れてくる血液が少なくなると「血圧が低くなっている!」と判断して「レニン」という物質を放出します。

レニンはアンジオテンシノーゲンをアンジオテンシンⅠという物質に変えるはたらきがあります。

更にアンジオテンシンⅠはACEという酵素によってアンジオテンシンⅡになります。

アンジオテンシンⅡは、血管を収縮させて血圧を上げるはたらきがあります。また副腎という臓器に作用して、アルドステロンというホルモンを分泌させます。

アルドステロンは血液中にナトリウムを増やします(詳しく言うと、尿として捨てる予定だったナトリウムを体内に再吸収します)。血液中のナトリウムが増えると血液の浸透圧が上がるため、ナトリウムにつられて水分も血液中に引き込まれていきます。これにより血液量が増えて血圧も上がるという仕組みです。

通常であればこのRAA系は、血圧が低くなった時だけ作動します。しかし血圧が高い状態が持続している方は、このRAA系のスイッチが不良になってしまい、普段からRAA系システムが作動してしまっていることがあります。

トランドラプリルは服用すると体内で代謝されてトランドラプリラートになります。このトランドラプリラートがACEのはたらきをブロックし、アンジオテンシンⅡが作られないようにします。血圧を上げる物質であるアンジオテンシンⅡが少なくなるため、血圧が下がるというわけです。

また、ACEをブロックするとキニナーゼⅡという物質の産生も抑える事が分かっています。キニナーゼⅡはブラジキニンという物質の分解を抑えるため、キニナーゼⅡが減ると、ブラジキニンも減ります。

ブラジキニンも血圧を上げる作用があるため、この作用も降圧作用に貢献していると考えられています。

Ⅱ.臓器保護作用

トランドラプリルには臓器保護作用があります。

具体的には心臓・腎臓や脳に対して、これらの臓器が傷付くのを防いでくれるのです。

心臓が傷んでしまい、十分に機能できなくなる状態を「心不全」と呼びます。高血圧は心不全のリスクになるため、トランドラプリルの降圧作用はそれ自体が心保護作用になります。

またそれ以外にも先ほど説明したRAA系の「アンジオテンシンⅡ」は心筋の線維化(リモデリング)を促進し、これも心臓の力を弱める原因となります。

トランドラプリルはアンジオテンシンⅡの産生量を少なくしてくれるため、これも心保護作用になります。またアンジオテンシンⅡが減る事によりアルドステロンも減るため、これにより体内の余分な水分が減り、心臓への負担も軽減します。

実際、オドリック・プレラン(トランドラプリルの先発品)を服用した患者さんの胸部レントゲン撮影において、心肥大の退縮効果が得られたことが確認されています。また海外における調査では、オドリック・プレランを服用した患者さんに行った心臓超音波検査で、心臓の重量の低下が得られたことが報告されています。

腎臓に対しても同様です。腎臓が傷んでしまい、十分に機能できなくなる状態は「腎不全」と呼ばれ、これも高血圧が発症リスクになるため、トランドラプリルの降圧作用はそれ自体が腎保護作用になります。

アンジオテンシンは腎臓の線維化も促進し、これも腎不全の原因になるのですが、トランドラプリルは同様の機序で腎臓の線維化を抑え、腎保護作用を発揮します。

更にトランドラプリルは腎臓だけでなく肝臓・胆汁からも排泄されるため、腎臓に余計な負担をかけにくいというメリットもあります。

Ⅲ.血糖改善作用

トランドラプリルには血糖値を改善させる作用があります。

その作用は強くはないため単独で糖尿病の治療に用いられる事はありませんが、高血圧に糖尿病を合併しているような場合では1剤で複数の作用を期待できます。

血糖を改善させる作用はトランドラプリルがアンジオテンシンⅡの産生を抑制するためだと考えられています。アンジオテンシンⅡはインスリンのはたらきを弱める事で、血液中の血糖が筋肉などの組織に取り込まれにくくします。

ACE阻害薬はACEをブロックすることでアンジオテンシンⅡを減らすため、インスリンの作用が減弱されにくくなり、これが血糖改善になるのです。

またACE阻害薬はブラジキニンという物質を増やす作用があります。ブラジキニンは血液中の血糖を筋肉などの組織に取り込むはたらきがあるため、これも血糖改善作用に貢献しています。

Ⅳ.咳反射の亢進

ACE阻害薬はACEという酵素をブロックする事でサブスタンスPという物質を増やします。

サブスタンスPは咳反射を亢進させる物質です。そのためACE阻害薬では咳が出やすくなるという副作用が生じることがあります。

一方で咳というのは気管に異物が入らないように気管や肺を守るはたらきがあります。特に高齢者では食物を飲み込む力(嚥下能)が弱ってしまい、食道ではなく気管に食べ物が入ってしまうことがあります(これを誤嚥と呼びます)。

トランドラプリルはACEを阻害して咳反射を亢進させることにより、この誤嚥を起こす頻度を減らす効果があるのではと考えられており、しばしば誤嚥リスクの高い方に投与されます。

トランドラプリルをはじめとしたACE阻害薬の誤嚥予防効果は強いものではありませんが、誤嚥は誤嚥性肺炎を引き起こし命に関わる事もあるため、その頻度を少しでも減らせることは意味のある事です。

4.トランドラプリルの副作用

トランドラプリルの副作用はどのようなものがあるのでしょうか。またトランドラプリルは安全はお薬なのでしょうか、それとも副作用が多いお薬なのでしょうか。

全体的な印象としてトランドラプリルをはじめとしたACE阻害薬は安全性が高いお薬です。適正に使用していれば重篤な副作用に出会うことはほとんどありません。

トランドラプリルはジェネリック医薬品であるため副作用発生率の詳しい調査は行われていません。しかし先発品の「オドリック」「プレラン」の副作用発生率は、高血圧症への使用の場合は約11.14%と報告されています。

臨床的な感覚としては他のACE阻害薬と比べて副作用が特別多いという印象はありませんが、報告上は他のACE阻害薬よりも副作用発生率は高くなっています(他のACE阻害薬はおおよそ6%前後)。

生じうる副作用としては、

  • 咳嗽(咳)
  • 発疹、かゆみ
  • 頭痛
  • めまい
  • 動悸
  • 嘔気
  • 咽頭部刺激感

などが報告されています。

咳嗽や咽頭刺激感はACE阻害薬がサブスタンスPを増やす事によって生じる副作用で、ACE阻害薬に共通する副作用になります。

頭痛やめまいはトランドラプリルは血圧を下げてしまうことによって生じる症状です。

また血液検査値の異常の報告もあり、

  • AST、ALT上昇
  • BUN、クレアチニン上昇
  • カリウム上昇
  • 尿酸値上昇
  • CK上昇
  • 貧血
  • 白血球上昇

などが挙げられます。

トランドラプリルは「アルドステロン」というホルモンのはたらきを弱めますが、アルドステロンは本来、体内のナトリウムを増やし、その代り体内のカリウムを減らすはたらきがあります(ナトリウムを尿から再吸収し、カリウムを尿に排泄します)。

トランドラプリルはこの作用を止めてしまうため、体内のカリウムが増えすぎてしまうことがあるのです。

そのためACE阻害薬を長期間副作用されている方は定期的に血液検査などで肝機能、腎機能、電解質(カリウムなど)をチェックしておくことが望ましいでしょう。

稀ですが重篤な副作用として

  • 血管浮腫
  • 腎機能障害の増悪
  • 高カリウム血症
  • 横紋筋融解症
  • 肝機能障害、黄疸
  • 膵炎

などが報告されています。

また、トランドラプリルは次の状態の方には禁忌(使用してはダメ)となっています。

  • トランドラプリルの成分に対し過敏症の既往歴のある方
  • 血管浮腫の既往歴のある方(血管浮腫による呼吸困難が出現する可能性がある)
  • デキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシスを施行中の方(ブラジキニンの蓄積によりアフナフィラキシーが生じる可能性がある)
  • アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜(AN69®)を用いた血液透析施行中の方(透析中にアナフィラキシーを起こす可能性がある)
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある方
  • ラジレスを投与中の糖尿病の方(非致死性脳卒中、腎機 能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスクが高まる可能性がある)

妊婦さんに投与できないのは、妊娠中期及び末期にACE阻害薬を投与された際に、羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の変形などが現れたとの報告があるためです。

難しい用語を並べましたが、要するにACE阻害薬を妊娠中に服用すると赤ちゃんに奇形が生じる確率が上がってしまうため、使用する事が出来ないという事です。

また糖尿病患者さんがラジレスとACE阻害薬は併用すると非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されています。

ただしラジレスとの併用に関しては、どうしても他の降圧剤で治療できない高血圧症の方に限り、慎重に用いることは認められています。

スポンサーリンク

5.トランドラプリルの用法・用量と剤形

トランドラプリルは、

トランドラプリル錠 0.5mg
トランドラプリル錠 1mg

の2剤形があります。

トランドラプリルの使い方は、

通常、成人には1~2mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、重症高血圧症又は腎障害を伴う高血圧症の患者では0.5mgから投与を開始することが望ましい。

と書かれています。

血清クレアチニン値が3を超えるような腎障害のある方は、減量するか投与間隔を伸ばすことが推奨されていますが、トランドラプリルは腎臓だけでなく肝臓・胆汁からも排泄されますので、減量や投与間隔延長の程度が他のACE阻害薬と比べると少なくて済むと考えられ、これはトランドラプリルのメリットの1つとなります。

トランドラプリルは作用の持続時間が長く、服用後約24時間にわたって効果が持続すると考えられています。1日を通して確実に血圧を下げてくれるのもトランドラプリルのメリットの1つです。

ちなみにトランドラプリルを服薬してからどれくらいで効果を判定すれば良いのでしょうか。これは明確に決まっているわけではありませんが、通常2週間程度で効果は現れはじめます。しっかりとした効果を判定するには「約1カ月」程度を考えます。

6.トランドラプリルが向いている人は

以上から考えて、トランドラプリルが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

トランドラプリルの特徴をおさらいすると、

・中等度の血圧を下げる作用がある
・心臓・腎臓などの臓器保護作用がある
・糖尿病を改善させる作用がある
・空咳が起こり得るが、これが誤嚥の予防になる事もある
・作用時間が非常に長く、1日1回の服用で安定した効果が得られる
・腎機能が悪い方でも比較的使いやすい
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

というものでした。

トランドラプリルは1日1回で効果が24時間持続し、また腎臓だけでなく胆汁からも排泄されるため、腎機能の悪い高血圧症の方に適しています。特にお薬で腎障害が出てしまうような方には良い適応となるでしょう。

またトラフ/ピーク値が安定しており、長期間安定した効果が得られますので、一日を通して血圧の上下が大きい方にも向いているでしょう。

最近ではARBなどのより新しい降圧剤によって、トランドラプリルのようなACE阻害薬が処方されることが少なくなりましたが、どんな場合もARBの方が優れているという事はありません。

ARBはACE阻害薬と比べて空咳が生じにくいなどのメリットもありますが、一方で薬価が高いというデメリットもあります。また心筋リモデリングの抑制効果はARBよりもACE阻害薬の方が優れているという報告もあります。

ACE阻害薬でありジェネリック医薬品でもあるテモカプリルはARBの先発品と比べると薬価は非常に安くなっています。

ACE阻害薬は古いお薬ではありますが、正しく使えば現在でも十分な効果を期待できるお薬なのです。

7.先発品と後発品は本当に効果は同じなのか?

トランドラプリルは「オドリック」「プレラン」というお薬のジェネリック医薬品になります。

ジェネリックは薬価も安く、患者さんにとってメリットが多いように見えます。

しかし「安いという事は品質に問題があるのではないか」「やはり正規品の方が安心なのではないか」とジェネリックへの切り替えを心配される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

同じ商品で価格が高いものと安いものがあると、つい私たちは「安い方には何か問題があるのではないか」と考えてしまうものです。

ジェネリックは、先発品と比べて本当に遜色はないのでしょうか。

結論から言ってしまうと、先発品とジェネリックはほぼ同じ効果・効能だと考えて問題ありません。

ジェネリックを発売するに当たっては「これは先発品と同じような効果があるお薬です」という根拠を証明した試験を行わないといけません(生物学的同等性試験)。

発売したいジェネリック医薬品の詳細説明や試験結果を厚生労働省に提出し、許可をもらわないと発売はできないのです、

ここから考えると、先発品とジェネリックはおおよそ同じような作用を持つと考えられます。明らかに効果に差があれば、厚生労働省が許可を出すはずがないからです。

しかし先発品とジェネリックは多少の違いもあります。ジェネリックを販売する製薬会社は、先発品にはないメリットを付加して患者さんに自分の会社の薬を選んでもらえるように工夫をしています。例えば使い心地を工夫して添加物を先発品と変えることもあります。

これによって患者さんによっては多少の効果の違いを感じてしまうことはあります。この多少の違いが人によっては大きく感じられることもあるため、ジェネリックに変えてから調子が悪いという方は先発品に戻すのも1つの方法になります。

では先発品とジェネリックは同じ効果・効能なのに、なぜジェネリックの方が安くなるのでしょうか。これを「先発品より品質が悪いから」と誤解している方がいますが、これは誤りです。

先発品は、そのお薬を始めて発売するわけですから実は発売までに莫大な費用が掛かっています。有効成分を探す開発費用、そしてそこから動物実験やヒトにおける臨床試験などで効果を確認するための研究費用など、お薬を1つ作るのには実は莫大な費用がかかるのです(製薬会社さんに聞いたところ、数百億という規模のお金がかかるそうです)。

しかしジェネリックは、発売に当たって先ほども説明した「生物学的同等性試験」はしますが、有効成分を改めて探す必要もありませんし、先発品がすでにしている研究においては重複して何度も同じ試験をやる必要はありません。

先発品と後発品は研究・開発費に雲泥の差があるのです。そしてそれが薬価の差になっているのです。

つまりジェネリック医薬品の薬価は莫大な研究開発費がかかっていない分が差し引かれており先発品よりも安くなっているということで、決して品質の差が薬価の差になっているわけではありません。

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
こちらの記事も是非ご覧下さい