トラニラストの効果と副作用

トラニラストは1982年から発売されている「リザベン」というお薬のジェネリック医薬品になります。

アレルギーによって生じる諸症状を抑え、主にアレルギー疾患の治療薬として用いられています。またそれ以外にもケロイド・肥厚性瘢痕といった皮膚科疾患にも使われる面白いお薬です。

抗アレルギー薬の中でトラニラストはどのような特徴のあるお薬で、どんな作用を持っているお薬なのでしょうか。

トラニラストの効果や特徴・副作用についてみていきましょう。

スポンサーリンク

1.トラニラストの特徴

まずはトラニラストの全体的な特徴についてみてみましょう。

トラニラストはケミカルメディエーターの分泌を抑えることでアレルギー症状を改善させます。またケロイドや肥厚性瘢痕といった傷跡を薄くする効果もあります。

アレルギー症状はアレルギー反応性細胞(肥満細胞や好酸球など)が、アレルギー誘発物質を過剰に分泌することで発症します。

このアレルギー誘発物質は「ケミカルメディエーター」と呼ばれ、ヒスタミン、ロイコトリエン、PAF(血小板活性化因子)、プロスタグランジンなど様々な物質があります。

トラニラストは、これらのケミカルメディエーターがアレルギー反応性細胞から分泌されるのを抑制するはたらきがあります。これによってアレルギー症状を抑えてくれます。

またトラニラストの特徴として、肥厚性瘢痕・ケロイドに効果がある点が挙げられます。これらは手術や外傷のあとに残ってしまう皮膚の傷跡のようなものです。悪さをするものではありませんが、美容的に問題となる事が多く、「この傷跡が何とか治らないか」と希望される患者さんは少なくありません。

トラニラストはケロイドや肥厚性瘢痕の成因であるTGF- β1や活性酸素のはたらきを抑えることで、これらの傷跡を改善させる作用があるのです。このためトラニラストはアレルギー疾患のみならず、皮膚科・形成外科でも処方されることのあるお薬になります。

またトラニラストはジェネリック医薬品であるため、先発品のリザベンと比べて薬価が安いというメリットもあります。

以上から、トラニラストの特徴として次のようなことが挙げられます。

【トラニラストの特徴】

・ケミカルメディエーターのはたらきを抑え、アレルギー症状を抑える
・ケロイド・肥厚性瘢痕の傷跡を改善させる作用がある
・ジェネリック医薬品であり、薬価が安い

2.トラニラストはどのような疾患に用いるのか

トラニラストはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎

ケロイド・肥厚性瘢痕

トラニラストはアレルギーの原因となるケミカルメディエーターのはたらきを抑えるため、アレルギー疾患に対して適応があります。

具体的には喘息やアレルギー性鼻炎(いわゆる花粉症)、アトピー性皮膚炎などですね。

また、ケロイド・肥厚性瘢痕といった傷跡を改善させる作用もあり、これらの疾患に用いられることもあります。

トラニラストはジェネリックであるため有効性についての詳しい調査は行われていませんが、先発品の「リザベン」においては、の有効性については、

  • 気管支喘息に対する有効率(有効以上)は43.6%
  • アレルギー性鼻炎に対する有効率(有効以上)は45.9%
  • アトピー性皮膚炎に対する有効率(有効以上)は48.5%
  • ケロイド・肥厚性瘢痕に対する有効率(有効以上)は59.7%

という結果が出ており、トラニラストも同程度の有効率があると考えられます。

スポンサーリンク

3.トラニラストにはどのような作用があるのか

トラニラストはどのような作用機序によって、アレルギー症状を抑えてくれるのでしょうか。

トラニラストの作用について詳しく紹介させて頂きます。

Ⅰ.ケミカルメディエーターの抑制

アレルギー症状は、アレルゲン(アレルギーを起こすような物質)が体内に入ってくると生じます。

アレルゲンによって、アレルギー反応性細胞(肥満細胞や好酸球など)からアレルギー誘発物質(ケミカルメディエーター)が分泌されます。これが受容体などに結合することで様々なアレルギー症状が発症するのです。

代表的なケミカルメディエーターには、

  • ヒスタミン
  • ロイコトリエン
  • PAF(血小板活性化因子)
  • プロスタグランジン

などがあります。抗アレルギー薬の中にはこれらのケミカルメディエーターに対してブロックする作用があるものもあります。例えば、抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬などがあります。

トラニラストは特定のケミカルメディエーターをブロックするわけではなく、アレルギー反応性細胞から、ケミカルメディエーターが分泌されるのを抑える作用があります。

これによって種々のケミカルメディエーターの分泌を抑え、アレルギー症状の発症を防ぐことが出来るのです。

Ⅱ.TGF- β1、活性酸素の抑制

トラニラストはケロイド・肥厚性瘢痕を改善させる効果があります。

これは、トラニラストがサイトカインの一種であるTGF- β1を抑制し、活性酸素の産生・遊離を抑制するはたらきを持っているためだと考えられています。

TGF- β1、活性酸素といった物質は、コラーゲンの合成を促す作用があります。傷跡ではこれらの物質が活性化している事によって、傷跡が太く・盛り上がってしまうのです。

トラニラストはTGF- β1、活性酸素のはたらきを抑えることによって、コラーゲンの合成を抑制します。すると傷跡でのコラーゲンの合成も弱まるため、傷跡が目立ちにくくなるのです。

具体的には、傷跡の

  • かゆみ、痛みといった自覚症状
  • 潮紅(赤くなっている)、硬結(硬くなっている)、増大(大きくなっていく)という症状

と改善させることが期待できます。

4.トラニラストの副作用

トラニラストにはどのような副作用があるのでしょうか。

トラニラストはジェネリック医薬品であるため副作用発生率の詳しい調査は行われていません。しかし先発品の「リザベン」においては副作用発生率は2.60%前後と報告されており、トラニラストも同程度だと思われます。

具体的な内容としては、

  • 消化管障害(吐き気、腹痛、胃部不快感、食欲不振、下痢など)
  • 皮膚障害(発疹など)
  • 泌尿器系障害(頻尿など)

などが報告されています。

また、

  • 肝機能障害(AST、ALT、ALP上昇)

といった検査の異常が生じることがあります。トラニラストを長期服薬・高用量服薬している場合などでは定期的に血液検査を行うことが望ましいでしょう。

頻度は稀ですが、重大な副作用として、

  • 膀胱炎様症状
  • 肝機能障害・黄疸
  • 腎機能障害
  • 白血球減少、血小板減少

などが報告されています。

またトラニラストは妊娠している方は服用する事ができません。特に妊娠の初期(3カ月以内)は服用してはいけません。

その理由として、トラニラストを妊娠マウスに大量投与した実験にいおいて、赤ちゃんに骨格異常などの奇形が増えたという報告があるからです。

人間においても同じような事が生じるのかは不明ですが、可能性はあるため妊娠中の方は禁忌(絶対に服用してはダメ)となっています。

スポンサーリンク

5.トラニラストの用法・用量と剤形

トラニラストは、

トラニラストカプセル 100mg
トラニラスト細粒 10%
トラニラストドライシロップ 5%

の3剤形があります。

トラニラストの使い方としては、

通常、成人には1回100mgを1日3回経口投与する。ただし、年齢、症状により適宜増減する。

となっています。

またドライシロップは主に子供が服用するためのもので、その使い方は、

通常、小児には1日量5mg/kgを3回に分け、用時懸濁して経口投与する。ただし、年齢、症状により適宜増減する。

となっています。

6.トラニラストが向いている人は?

以上から考えて、トラニラストが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

トラニラストの特徴をおさらいすると、

・ケミカルメディエーターのはたらきを抑え、アレルギー症状を抑える
・ケロイド・肥厚性瘢痕の傷跡を改善させる作用がある
・ジェネリック医薬品であり、薬価が安い

といったものがありました。

現在はトラニラストはアレルギー疾患に使われるというよりも、肥厚性瘢痕・ケロイドに使われる事が多くなっています。

その理由は、アレルギー疾患に対するお薬は数多くのお薬が発売されており、比較的古いお薬に属するトラニラストが使われる機会はそこまで多くはなくなっているためです。

しかし肥厚性瘢痕・ケロイドに対するお薬というのはトラニラスト以外ほとんどないため、これらの皮膚疾患に対しては今でもよく使われています。

7.先発品と後発品は本当に効果は同じなのか?

トラニラストは「リザベン」というお薬のジェネリック医薬品になります。

ジェネリックは薬価も安く、剤型も工夫されているものが多く患者さんにとってメリットが多いように見えます。

しかし「安いという事は品質に問題があるのではないか」「やはり正規品の方が安心なのではないか」とジェネリックへの切り替えを心配される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

同じ商品で価格が高いものと安いものがあると、つい私たちは「安い方には何か問題があるのではないか」と考えてしまうものです。

ジェネリックは、先発品と比べて本当に遜色はないのでしょうか。

結論から言ってしまうと、先発品とジェネリックはほぼ同じ効果・効能だと考えて問題ありません。

ジェネリックを発売するに当たっては「これは先発品と同じような効果があるお薬です」という根拠を証明した試験を行わないといけません(生物学的同等性試験)。

発売したいジェネリック医薬品の詳細説明や試験結果を厚生労働省に提出し、許可をもらわないと発売はできないのです、

ここから考えると、先発品とジェネリックはおおよそ同じような作用を持つと考えられます。明らかに効果に差があれば、厚生労働省が許可を出すはずがないからです。

しかし先発品とジェネリックは多少の違いもあります。ジェネリックを販売する製薬会社は、先発品にはないメリットを付加して患者さんに自分の会社の薬を選んでもらえるように工夫をしています。例えば飲み心地を工夫して添加物を先発品と変えることもあります。

これによって患者さんによっては多少の効果の違いを感じてしまうことはあります。この多少の違いが人によっては大きく感じられることもあるため、ジェネリックに変えてから調子が悪いという方は先発品に戻すのも1つの方法になります。

では先発品とジェネリックは同じ効果・効能なのに、なぜジェネリックの方が安くなるのでしょうか。これを「先発品より品質が悪いから」と誤解している方がいますが、これは誤りです。

先発品は、そのお薬を始めて発売するわけですから実は発売までに莫大な費用が掛かっています。有効成分を探す開発費用、そしてそこから動物実験やヒトにおける臨床試験などで効果を確認するための研究費用など、お薬を1つ作るのには実は莫大な費用がかかるのです(製薬会社さんに聞いたところ、数百億という規模のお金がかかるそうです)。

しかしジェネリックは、発売に当たって先ほども説明した「生物学的同等性試験」はしますが、有効成分を改めて探す必要もありませんし、先発品がすでにしている研究においては重複して何度も同じ試験をやる必要はありません。

先発品と後発品は研究・開発費に雲泥の差があるのです。そしてそれが薬価の差になっているのです。

つまりジェネリック医薬品の薬価は莫大な研究開発費がかかっていない分が差し引かれており先発品よりも安くなっているということで、決して品質の差が薬価の差になっているわけではありません。

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
こちらの記事も是非ご覧下さい