ワルファリンカリウムの効果と副作用【抗凝固薬】

ワルファリンカリウムは1962年から発売されている「ワーファリン」というお薬のジェネリック医薬品で、抗凝固薬という種類に属します。

抗凝固薬は凝固(血液が固まる事)を抑えるお薬です。血栓(血の塊)が血管内に出来て血管が詰まってしまう事を血栓症と呼びますが、抗凝固薬は血の塊を出来にくくする事で血栓症を予防するお薬になります。

長い間、飲み薬の抗凝固薬にはこの「ワーファリン(一般名:ワルファリンカリウム)」しかなく、ワルファリンカリウムは多くの方を血栓症から救ってきました。最近ではようやく「新規経口抗凝固薬(NovelOralAntiCoagulants:NOAC)」と呼ばれる新しい抗凝固薬が発売され、ワルファリンカリウム以外の選択肢が徐々に広まっています。

これに伴いワルファリンカリウムが処方される機会も減ってはいますが、ワルファリンカリウムとNOACはそれぞれメリット・デメリットがありますので、両者の特性を理解して使い分ける事が大切です。

血液を固まりにくくするお薬には抗凝固薬以外にも「抗血小板薬」などもあります。また抗凝固薬にも何種類かのお薬があります。

これらの中でワルファリンカリウムはどんな特徴のあるお薬で、どんな患者さんに向いているのでしょうか。ワルファリンカリウムの効果・特徴や副作用についてみていきましょう。

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1.ワルファリンカリウムの特徴

まずはワルファリンカリウムというお薬の特徴についてみてみましょう。

ワルファリンカリウムは「抗凝固薬」という種類のお薬で、血液を固まりにくくする作用があります。そのため血栓症(血の固まりが出来て、血管を詰まらせてしまう疾患)の予防に用いられます。

ワルファリンカリウムは血栓が出来やすい人に用いられるお薬です。

血栓が出来やすい疾患として特に、

  • 心房細動(不整脈の一種)
  • 心筋梗塞後

といった疾患があげられます。これらの疾患の方は、心臓が不規則に収縮することで心臓内に乱流が生じて血栓が出来やすい傾向にあります。

また、それ以外にも

  • 寝たきりの高齢者

などでも血栓が出来てしまう事があります。

心臓は全身に血液を送る臓器ですから、心臓内に血栓が出来てしまうとその血栓は全身に飛んでいく可能性があります。飛んだ血栓がどこかの血管を詰まらせてしまうと様々な疾患が生じます。

脳の血管に飛んで、脳の血管を詰まらせてしまうと脳塞栓症が発症します。肺動脈に飛んで肺動脈を詰まらせてしまうと肺塞栓が生じます。下肢の静脈に飛んでそこを詰まらせてしまうと下肢静脈血栓症が生じます。そして心臓を栄養する冠動脈に飛んでそこを詰まらせてしまうと心筋梗塞が生じます。

このように心臓内に血栓が出来てしまうと、全身のいたるところに飛んでしまい、様々な部位での血栓症を引き起こすリスクがあるのです。そして血栓症はどれも重篤な状態を引き起こし、最悪の場合命を落とすことすらあります。

これを予防するのがワルファリンカリウムです。

ワルファリンカリウムは血液を固まりにくくさせるはたらきがあります。血液が固まりにくくなれば血栓は出来にくくなるため、血栓症が生じにくくなるのです。

血栓症は時に命に関わる疾患を引き起こします。脳塞栓や心筋梗塞、肺塞栓などは命を落とす事もある病気であり、それを予防するワルファリンカリウムは非常に重要な役割を持つお薬になります。

このように血液を固まりにくくする事で、血栓症から身体を守ってくれるワルファリンカリウムですがデメリットもあります。それは血液を固まりにくくしすぎてしまう事により、出血を助長するリスクがあることです。

血栓が出来るのは困りますが、でも反対に血液がいつまでも固まらないというのも困ります。血液が固まらないと、皮膚に傷が生じて出血した時、延々と血液が流れ続ける事になってしまい、これはこれで出血多量で重篤な状態になってしまいます。

また全身の諸臓器が何らかのダメージを受けて出血してしまった時も、その出血が止まらないため、重篤な状態になってしまう可能性があります。

そのためワルファリンカリウムを使う際は「血液を適度に固まりにくくさせること」が大切です。「血液が固まって血栓が出来てしまう状態」と「血液が固まらなくて出血が止まらない状態」のちょうど中間の、「血栓は出来にくいけど、重篤な出血も生じにくい」という効き具合を目指します。

ワルファリンカリウムは使用量が多いほど血液を固まりにくくさせますから、適切な量を用いる必要があります。残念ながら、どのくらいの量でどのくらい血液が固まりにくくなるかは個人差も大きいため、個々人でワルファリンカリウムを使いながら血液検査でワルファリンカリウムの効き具合を見て、適正になるよう調節する必要があります。

ワルファリンカリウムの効き具合は体質によって変わるほか、食事内容や身体の脱水状態の程度、併用しているお薬によって大きく変わります。そのため、水分が徐々に取れなくなってきたり、新たなワルファリンカリウムと相互作用するお薬の服用を始めた場合などでは必ず再評価する必要があります。

また適正量が決まった後も、定期的にワルファリンカリウムの効き具合を評価しなければいけません。

ワルファリンカリウムの効きは血液検査の「PT(プロトロンビン時間)」という項目で確認する事ができます。PTのうち、PT-INRという項目が臨床上は良く用いられていますが、この項目を定期的に確認し、適正値に収まっているのかを確認しなければいけません。

またワルファリンカリウムは、ビタミンKのはたらきをブロックする事で血液を固まりにくくするという作用機序になります(この作用機序についてはあとで詳しく説明します)。そのためビタミンKを豊富に含む食事をとってしまうとワルファリンカリウムの効きが弱まってしまいます。

ワルファリンカリウムを服用中の方はビタミンKを豊富に含む食べ物(納豆・青汁やクロレラなど)は服用してはいけず、これもワルファリンカリウムのデメリットになります

最近ではワルファリンカリウムに代わるお薬としてNOACと呼ばれる抗凝固薬も発売されています。NOACはワルファリンカリウムと異なり、定期的にお薬の効きを評価しなくても良かったり、納豆やクロレラを食べても大丈夫だというメリットがありますが、ワルファリンカリウムと比べると薬価が高かったりとデメリットもあります。

またワルファリンカリウムはジェネリック医薬品になります。ジェネリック医薬品は薬価が安いのがメリットですが、先発品のワーファリン自体が古いお薬で薬価が安いため、薬価はそこまで変わりません。

しかしワルファリンカリウムは先発品よりも剤型が豊富にあるというメリットがあります。

以上からワルファリンカリウムの特徴として次のような事が挙げられます。

【ワルファリンカリウムの特徴】

・血液を固まりにくくする事で、血栓症を予防してくれるお薬
・ビタミンKのはたらきをブロックする事で血液を固まりにくくする
・ビタミンKを豊富に含む食べ物(納豆、青汁、クロレラなど)を取るとワルファリンカリウムは効きが弱まってしまう
・定期的に血液検査でPT値を評価する必要がある
・薬価が安い
・先発品よりも剤型が豊富

2.ワルファリンカリウムはどのような疾患に用いるのか

ワルファリンカリウムはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療及び予防

とても難しい用語が並んでいますが、基本的には「血栓症(血の塊が血管内で詰まってしまう状態)」を引き起こす疾患に用いられます。

血栓症を引き起こす代表的な原因として、

  • 心房細動
  • 心筋梗塞後

心房細動という疾患は、心臓にある部屋の1つである「心房」が不規則に収縮してしまう疾患です。心臓は本来、洞結節という部位から信号が発信され、規則的に収縮するのですが、心房細動では心房が勝手に収縮してしまうため、規則的な収縮が行われません。

不規則に収縮するため心臓の中で乱流が生まれてしまい、乱流によって血栓(血の塊)が作られやすくなります。これが心臓から全身に飛んでしまうと大きな問題を起こします。

また心筋梗塞後では心臓の筋肉の一部が壊死してしまう(死んでしまう)ため、心臓全体が均一に収縮できなくなるため、これも心臓内で乱流が生じて血栓が生じやすくなってしまいます。

血栓が脳に飛んでしまうと脳塞栓が起こりますし、心臓を栄養する冠動脈に飛べば心筋梗塞を起こします。心房細動の方が脳塞栓を起こす頻度は、心房細動のない方の約5倍とも言われています。

ワルファリンカリウムは血液を固まりにくくすることで、心房内に乱流が起こっていても血栓が出来ないようにします。すると、脳塞栓などを起こしにくくなるというわけです。

ワルファリンカリウムはこのように「血栓」が出来てしまうのを防ぐ目的で投与されます。ではワルファリンカリウムの血栓を抑える有効性はどのくらいなのでしょうか。

ワルファリンカリウムはジェネリック医薬品ですので、有効性の評価はあまり詳しく行われていませんが、先発品のワーファリンでは行われており、その結果が参考になります。

網膜静脈血栓症(目の網膜静脈が血栓で詰まってしまい、視力が低下する疾患)にワーファリンを投与したところ、50%の症例で視力の改善に有効であった事が報告されています。

また心筋梗塞後の患者さんに何も抗凝固薬を投与しなかった場合、22%の患者さんの腓静脈(足の静脈)に血栓が認められたのに対して、ワーファリンを投与していた場合、血栓の発症率は6.5%まで低下したと報告されています。

心筋梗塞の再発や死亡率も低下させる事が報告されており、心筋梗塞後の方にワーファリンを投与した場合とプラセボ(何の成分も入っていない偽薬)を投与した場合では、前者の方が心筋梗塞再発を34%低下、死亡率を24%低下させた事が報告されています。

心房細動(非弁膜症性)の患者さんは年間に3.0~7.4%が血栓症を発症すると報告されていますが、ワーファリンを投与したところこれが0.4~2.5%まで低下することも報告されています。先ほども説明したようにワーファリンを投与する事で血栓症を約1/5程度に低下させる事が出来る事が分かります。

このようにワーファリンは血栓症の予防にしっかりとした効果を示すお薬であり、ジェネリック医薬品のワルファリンカリウムも同程度の有効性があると考えられます。

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3.ワルファリンカリウムの作用機序

ワルファリンカリウムはどのような機序で血液を固まりにくくしているのでしょうか。

ワルファリンカリウムはビタミンKのはたらきをブロックする作用があり、これが抗凝固作用に関係します。

血液が固まるためには「血液凝固因子」という物質が関わっており、これらが複雑に作用して血液の凝固が生じます(これを凝固カスケードと呼びます)。

凝固カスケードの詳細な機序はここでは省略しますが、凝固因子の中で、

  • 第Ⅱ因子(プロトロンビン)
  • 第Ⅶ因子
  • 第Ⅸ因子
  • 第Ⅹ因子

の4つはビタミンKの助けを借りて合成される事が知られています。

余談ですが、このようなビタミンKに依存する凝固因子を「ビタミンK依存性凝固因子」と呼びます。ビタミンK依存性凝固因子の覚え方は「肉、納豆(Ⅱ・Ⅸ、Ⅶ・Ⅹ)」で、医学生や看護学生はこのようなごろ合わせで覚えます。

ワルファリンカリウムはビタミンKのはたらきをブロックする事で、これらのビタミンK依存性凝固因子の合成を抑制します。これらの凝固因子が合成されないと、血液が凝固できなくなるわけですから、血栓の形成が抑制されるというわけです。

ちなみにワルファリンカリウム服用中の方は、

  • 納豆
  • 青汁
  • クロレラ

などといったものを摂取できない事は有名ですが、これはなぜでしょうか。

その理由はこれらの食べ物はいずれもビタミンKを豊富に含むからです。ビタミンKを食事から大量に摂取してしまうと、ワルファリンカリウムがせっかくビタミンKのはたらきをブロックしようとしても追いつかなくなってしまいます。

するとワルファリンカリウムの効きが悪くなってしまい、血栓症が生じやすくなってしまうのです。

4.ワルファリンカリウムの副作用

ワルファリンカリウムにはどのような副作用があるのでしょうか。

ワルファリンカリウムは血液を固まりにくくすることで血栓を防ぐ作用を持っていますが、これが時に副作用としてはたらいてしまいます。

具体的には「出血」が主な副作用になります。血液が固まりにくくなれば血栓は出来なくなりますが、出血はしやすくなります。

そのため、元々問題となるような出血傾向のある方や、出血リスクの高い方はワルファリンカリウムの使用は推奨されないこともあります。

具体的な出血の副作用としては、

  • 鼻出血
  • 血尿
  • 血腫
  • 貧血
  • 皮下出血
  • 結膜出血

などが報告されています。これらの副作用が生じる場合は、ワルファリンカリウムが効きすぎている可能性もありますので、主治医に速やかに報告する必要があります。

また頻度は少ないですが重篤な副作用として

  • 脳出血等の臓器内出血
  • 皮膚壊死
  • 肝機能障害・黄疸

が報告されています。

ワルファリンカリウムが効きすぎて、皮下に少し出血するくらいであれば大事にはなりませんが、臓器の中で出血してしまうと大変危険になることがあります。そのような事を起こさないため、ワルファリンカリウム服用中は定期的に血液検査で評価する必要があります。

皮膚壊死というのは、ワルファリンカリウムの投与開始初期(多くは数日以内)に稀に生じる副作用です。ワルファリンカリウムの飲み始めの際、プロテインCという物質の活性が急激に低下し、凝固能が一時的に不安定になってしまう事があります。その結果、微小な血栓が生じてその血管が血流を届けている部位の皮膚が死んでしまう(壊死)のが、皮膚壊死です。

皮膚壊死の副作用を防ぐためには、ワルファリンカリウム投与を始める前に血液検査でプロテインCの活性を確認しておく事が推奨されます。

ワルファリンカリウムを使ってはいけない状態(禁忌)として、

  • 出血している方
  • 出血する可能性のある方
  • 重篤な肝障害・腎障害のある方
  • 中枢神経系の手術又は外傷後日の浅い方
  • ワルファリンカリウムの成分に対し過敏症の既往歴のある方
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
  • 骨粗鬆症治療用ビタミンK2 (メナテトレノン)製剤を投与中の方
  • イグラチモドを投与中の方
  • ミコナゾール(ゲル剤・注射剤)を投与中の方

が挙げられています。

ワルファリンカリウムは血液を固まりにくくするため、出血のリスクを高めるお薬です。そのため、すでに出血している方や出血する可能性の高い方に使用するのは危険になります。

またビタミンK依存性血液凝固因子は肝臓で作られますので、肝機能が極めて悪い場合、これらの凝固因子がそもそも少なくなっている事が考えられます。このような状態で更にワルファリンカリウムで凝固因子の産生を抑制してしまうと、出血リスクが極めて高くなってしまいます。これは危険ですので重篤な肝機能障害のある方にはワルファリンカリウムは使えません。

ワルファリンカリウムは効果の持続時間が長い(約3日ほど効果が続くと言われています)のですが、腎機能が悪いとお薬が体外に排泄されるのが更に遅くなってしまい、更に長期間過剰に効き続けてしまうリスクがあります。これも出血の危険を高めてしまうため、腎機能が極めて悪い方にもワルファリンカリウムは使えません。

中枢神経系の手術後の方や外傷後日の浅い方は、まだ創部から出血しやすい状態です。このような状態の方へワルファリンカリウムを投与してしまうと、創部から出血するリスクが高くなり危険ですので、このような方々もワルファリンカリウムは服用できません。

妊婦さんがワルファリンカリウムを服用してしまうと、ワルファリンカリウムは胎盤を通過し、おなかの中の赤ちゃんに届いてしまいます。赤ちゃんの体内にワルファリンカリウムが入ると奇形(点状軟骨異栄養症等の軟骨形成不全、神経系の異常)や、赤ちゃんが出血してしまい死亡してしまう事があるという報告があります。また分娩時に母体側にも異常出血があらわれるという報告もありますので、妊婦さんもワルファリンカリウムは服用できません。

グラケー(一般名:メナテトレノン)はビタミンK製剤になります。前述のようにビタミンKはワルファリンカリウムの作用を弱めてしまうため、基本的にワルファリンカリウムと併用する事はできません。

ただしビタミンK製剤は、ワルファリンカリウムの効きをあえて弱めたい時(例えばワルファリンカリウムが効きすぎて出血が止まらない状態になってしまっている時など)にはワルファリンカリウムの効きを打ち消して出血を止める目的で投与される事があります。

ケアラム・コルベット(一般名:イグラチモド)はリウマチの治療薬になります。このお薬とワルファリンカリウムを併用すると、ワルファリンカリウムの効きを強め過ぎてしまう事があります(詳細な機序は不明です)。そのため両者を併用する事は出来ません。

フロリード(一般名:ミコナゾール)は抗真菌薬になります。このお薬もワルファリンカリウムと併用すると、ワルファリンカリウムの効きを強め過ぎてしまう事があります。そのため両者を併用する事は出来ません。

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5.ワルファリンカリウムの用法・用量と剤形

ワルファリンカリウムは、

ワルファリンカリウム錠 0.5mg
ワルファリンカリウム錠 1mg
ワルファリンカリウム錠 2mg
ワルファリンカリウム錠 5mg

ワルファリンカリウム顆粒 0.2%

といった剤形があります。

またワルファリンカリウムの用法・用量は次のようになります。

成人における初回投与量は、通常1~5mgを1日1回である。

小児における維持投与量(mg/kg/日)の目安を以下に示す。
・12ヵ月未満:0.16mg/kg/日
・1歳以上15歳未満:0.04~0.10mg/kg/日

ワルファリンカリウムは効きの個人差が大きいのですが、だいたい1~5mg/日で適正内になる事がほとんどです。そのため、まずはこの量の範囲内での調整を目指します。

またワルファリンカリウムは定期的に効果が適切であるかを血液検査で確認する必要があります。そのためワルファリンカリウムの用法及び用量には次のような注意が書かれています。

ワルファリンカリウムは、血液凝固能検査(プロトロンビン時間及びトロンボテスト)の検査値に基づいて、本剤の投与量を決定し、血液凝固能管理を十分に行いつつ使用する薬剤である。

初回投与量を1日1回経口投与した後、数日間かけて血液凝固能検査で目標治療域に入るように用量調節し、維持投与量を決定する。

ワルファリンカリウムに対する感受性には個体差が大きく、同一個人でも変化することがあるため、定期的に血液凝固能検査を行い、維持投与量を必要に応じて調節すること。

抗凝固効果の発現を急ぐ場合には、初回投与時ヘパリン等の併用を考慮する。

難しく書かれているため、簡単に説明します。

ワルファリンカリウムは血液を固まりにくくするお薬ですが、投与量が増えれば増えるほど血液が固まりにくくなります。一般的には1日1mg~5mgがほとんどの方の適正量になりますが、特に投与の初期は、自分にとって適正なワルファリンカリウム量はどのくらいなのか、少しずつワルファリンカリウムを増やしながら血液検査でワルファリンカリウムの効きを定期的に確認する必要があります。

血液検査ではPT-INRという検査値が用いられますが、おおむね1.6~2.6の間に収まるようにコントロールされます(高齢者の適正値はもう少し狭くなります)。

ちなみにワルファリンカリウムは服用したらどのくらいで効果は発現し、どのくらいまで効果が続くものなのでしょうか。

ワルファリンカリウムは服用後、

  • 12~24時間で効果が発現しはじめ、
  • 36~48時間で効果が最大となり、
  • 48~72時間で効果が消失する

と考えられています。

もし手術などでワルファリンカリウムを中止する必要がある時は、最低でも3日前には中止しないといけないという事です(出来れば4~5日前には中止しておく事が望まれます)。

6.ワルファリンカリウムとNOACの比較

ワルファリンカリウムは1962年に発売された抗凝固薬です。

対してNOACは2011年から発売されるようになった比較的新しい抗凝固薬です。

実は2011年に初のNOACであるプラザキサ(一般名:ダビガトラン)が発売されるまで約50年間、飲み薬の抗凝固薬にはワルファリンカリウムしかありませんでした。

ちなみにNOACには、

  • プラザキサ(一般名:タビガトラン)
  • エリキュース(一般名:アピキサバン)
  • イグザレルト(一般名:リバーロキサバン)
  • リクシアナ(一般名:エドキサバン)

などがあります。

ではワルファリンカリウムとNOACはそれぞれどのような特徴があるのでしょうか。

それぞれの特徴を紹介します。

【ワルファリンカリウム】
・50年以上の歴史があるお薬
・血液検査で定期的にPTを測定しないといけない
・納豆・青汁・クロレラなどビタミンKを多く含む食べ物は食べてはいけない
・薬価が安い

【NOAC】
・お薬としての歴史はまだ浅い
・血液検査で効きを測定する必要がない
・ビタミンKを含む食べ物を食べてもいい
・ワルファリンカリウムよりも出血リスクは全体的に低い
・薬価は高い

簡単に言えば、手間はかかし制約も多いけどお薬代が安いのがワルファリンカリウムです。反対に血液検査などの手間がかからず、食べ物の制約などもないけどお薬代が高いのがNOACです。

7.ワルファリンカリウムが向いている人は?

以上から考えて、ワルファリンカリウムが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ワルファリンカリウムの特徴をおさらいすると、

・血液を固まりにくくする事で、血栓症を予防してくれるお薬
・ビタミンKのはたらきをブロックする事で血液を固まりにくくする
・ビタミンKを豊富に含む食べ物(納豆、青汁、クロレラなど)を取るとワルファリンカリウムは効きが弱まってしまう
・定期的に血液検査でPTを評価する必要がある
・薬価が安い
・先発品よりも剤型が豊富

というものでした。

ワルファリンカリウムは心房細動・心筋梗塞後の患者さんの血栓が出来るのを防ぐお薬になるため、基本的には心房細動や心筋梗塞後の患者さんに使われるお薬になります。

NOACに比べたワルファリンカリウムのメリットは何よりも「薬価が安い事」です。参考までにワルファリンカリウムの一般的な1日量である2mgは約10円ほどですが、エリキュース(NOACの1つ)の1日量である10mgは約540円ほどです。かなりの差があるのが分かると思います。

またNOACは2011年から使われだしたためまだ歴史が浅いですが、ワルファリンカリウムは50年以上の歴史と実績がありますのでデータも豊富で安心して使う事が出来ます。

しかしワルファリンカリウムは、

・納豆・青汁・クロレラなどビタミンKを豊富に含む食べ物を摂取できない
・頻回(数か月に1回程度)は採血でPT値を評価する必要がある

という手間があります。

全体的にみてNOACが徐々に主流となってきてはいますが、実績が豊富なお薬を使いたいという事であれば、ワルファリンカリウムを選択するのも方法の1つです。

ちなみに血液を固まりにくくするお薬には、「抗凝固薬」と「抗血小板薬」がありますが、これらはどのように異なるのでしょうか。

血液が固まる仕組みには大きく分けて、「一次止血」と「二次止血」があります。一次止血は、血管の傷ついた部位に血小板が集まり、凝集することで行われる止血です。二次止血とは、一次止血が行われた後、よりしっかりと止血するためにフィブリンという物質を作りそれが血餅を作ることで行われる止血です。

ざっくり言えば、一次止血を起こしにくくするのが抗血小板剤で、二次止血を起こしにくくするのが抗凝固剤になります。

原則としては、抗凝固薬は静脈や肺動脈の血栓に用います。抗血小板薬は動脈の血栓に用います。

動脈などの血流が速い部位で生じる血栓というのは血小板が活性化してできることが多いため、抗血小板薬を用いた方が効果が高く、静脈などの血流が遅い部位で生じる血栓はフィブリンによって形成されることが多いため、抗凝固薬を用いた方が効果が高いからです。

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