亜鉛華単軟膏の効果・効能と副作用【皮膚疾患治療薬】

亜鉛華単軟膏は1985年から発売されている塗り薬で、主に軽症の皮膚トラブルを中心に用いられており、その安全性の高さから赤ちゃんからお年寄りまで幅広く使われています。

皮膚に使うお薬にはたくさんの種類があるため、それぞれがどのような特徴を持つのか分かりにくいものです。ここでは亜鉛華単軟膏がどんな特徴のあるお薬で、どんな患者さんに向いているお薬なのか、その効果・効能や特徴、副作用についてみていきましょう。

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1.亜鉛華単軟膏の特徴

まずは亜鉛華単軟膏の特徴をざっくりと紹介します。

亜鉛華単軟膏は有効成分である酸化亜鉛が、組織や血管を収縮させるはたらきがあります。これによって傷口を小さくしたり、乾燥させたり、傷を保護するといった効果が得られます。

亜鉛華単軟膏は創部を乾燥させるはたらきがありますが、これはメリットでもありデメリットでもあります。

例えば汗によるムレなどで皮膚トラブルが生じる場合は、この乾燥させる作用によって良い効果が期待できます。

しかし傷口に対しての使用は注意が必要です。昔は「傷口は乾燥させる方が良い」と考えられていましたが、近年では「湿潤療法(Moist Wound Healing)」という創部治療が推奨されており、傷口は乾燥させずに湿潤環境(潤った環境)で治した方が、早く・きれいに・痛み少なく治ることが分かってきたのです。

傷口を乾燥させるというのは、分泌物が多くて管理が大変な傷口には良いかもしれませんが、そうでない場合はかえって治療を遅くしてしまうリスクもあるため、その適応は慎重に判断しなくてはいけません。

例えば、

・重度のアトピーで浸出液が多量に出ている
・汗をかきやすい部位のあせも、かぶれを予防したい

という時に亜鉛華単軟膏を使うというのは効果が期待できるでしょう。しかし湿潤療法で治した方が良さそうな傷に対して亜鉛華単軟膏を貼るのはあまり良くありません。

ちなみに重症の熱傷においては傷口を乾燥させてしまう亜鉛華単軟膏は「禁忌(絶対に使ってはいけない)」となっています。熱傷部の乾燥を助長して、傷の治りを遅くしてしまう可能性があるからです。

以上から、亜鉛華単軟膏の特徴としては次のようなことが挙げられます。

【亜鉛華単軟膏の特徴】
・創部を収縮させることで、傷口を小さくする
・創部の血管を収縮させることで分泌物を減らし、創部を乾燥させる
・創部の炎症を和らげる
・創部を密閉保護し、傷の治りを早める
・創部を乾燥させすぎると傷の治りを遅めてしまうため注意
・重症の熱傷には使ってはいけない

2.亜鉛華単軟膏はどんな疾患に用いるのか

亜鉛華単軟膏はどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】
〇下記疾患の収れん・消炎・保護・緩和な防腐
外傷、熱傷、凍傷、湿疹・皮膚炎等、肛門そう痒症、白癬、面皰、癰(せつ)、よう

〇その他の皮膚疾患のびらん・潰瘍・湿潤面

様々な皮膚トラブルに対して用いる事が可能ですが、主に軽症例に用いられることが多いです。

また皮膚トラブルの中で、

・乾燥させた方が良い皮膚(浸出液があまりに多量であったり、汗が皮膚トラブルの原因になっている場合など)

に用いられます。

傷は基本的には乾燥させずに湿潤させて治すことが勧められていますので、亜鉛華単軟膏を使うべき皮膚トラブルは限定されます。その傷を本当に亜鉛華単軟膏で治して良いのかは主治医にしっかりと判断してもらいましょう。

亜鉛華単軟膏は、

・収斂作用(傷の組織を収縮させる)
・消炎作用(炎症を和らげる)
・保護作用(傷を保護する)
・穏やかな防腐作用(傷が腐敗するのを防ぐ)

の4つの作用を有しています。これら4つの作用について詳しくは後述します。

副作用もほとんどなく安全性が高いため、赤ちゃんからお年寄りまで幅広く用いられており全身に用いることができます(眼は除く)。

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3.亜鉛華単軟膏にはどのような作用があるのか

亜鉛華単軟膏には具体的にはどのような作用があるのでしょうか。

亜鉛華単軟膏には大きく分けると次の3つの作用があります。

Ⅰ.収斂作用

「収斂作用」という用語は聞き慣れないかもしれません。これは「組織を収縮させる作用」です。

組織を収縮させることによってどのような効果が得られるかというと、

  • 傷口が小さくなる(創部を保護する)
  • 分泌物が減少し、創部が乾燥しやすくなる
  • ばい菌が入り込みにくくなる

といった効果が期待できます。

亜鉛華単軟膏の主成分である酸化亜鉛は、組織を収縮させるだけでなく毛細血管を収縮させることで血管の透過性を低下させ、血管から組織に出てくる分泌物を減少させます。これにより創部を乾燥させます。

また血液中の白血球が組織中に出てきにくくなるため、これが後述する消炎作用をもたらします。

Ⅱ.消炎作用

亜鉛華単軟膏には、穏やかに炎症を抑える作用があります。

炎症とは、

  • 発赤 (赤くなる)
  • 熱感 (熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛みを感じる)

の4つの徴候が生じる状態のことで、感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーで生じることもあります。

みなさんも身体をぶつけたり、ばい菌に感染したりして、身体がこのような状態になったことがあると思います。これが炎症です。皮膚に炎症が起こることを皮膚炎と呼びます。皮膚炎も外傷でも生じるし、ばい菌に感染することでも生じるし、アレルギーでも生じます。

どのような原因であれ、炎症を抑えてくれるのが消炎作用です。亜鉛華単軟膏は穏やかな消炎作用を持ち、発赤・熱感・腫脹・疼痛を和らげてくれます。

この消炎作用は、亜鉛華単軟膏が組織を収縮させることによって、白血球などのばい菌と闘う細胞が創部に出てきにくくなるために生じると考えられています。

Ⅲ.創部保護作用

亜鉛華単軟膏は、塗る事によって創部を保護するバリアになります。

傷口を軟膏が覆うことで、外部からばい菌が侵入してくるのを防げます。また傷口を密封することで肉芽形成を促し、傷の治りを促進します。

亜鉛華単軟膏の主成分である酸化亜鉛は、皮膚のたんぱく質に結合することで膜を形成します。これが、

・保護作用
・防腐作用

を発揮すると考えられています。

4.亜鉛華単軟膏の副作用

亜鉛華単軟膏には副作用はほとんどありません。

稀ですがお薬が合わずに皮膚がかぶれたり刺激性を感じる方がいますが、多くは使用を中止すれば速やかに改善します。

ただし亜鉛華単軟膏は重度又は広範囲の熱傷には「禁忌(絶対に用いてはならない)」となっています。

重症熱傷は皮膚の乾燥が症状の1つです。亜鉛華単軟膏も皮膚を乾燥させる作用があるため、熱傷に使ってしまうと、更に熱傷の症状を悪化させてしまう可能性があるからです。

亜鉛華単軟膏は、組織や血管を収斂させ、分泌物を減少させる作用があります。小さな病変であれば、この作用によって創部管理がしやすくなるというメリットもあるのですが、実は分泌物には傷を治す成分も含まれています。

そのため、広範囲にわたる傷に亜鉛華単軟膏を使ってしまうと、分泌物を減少させ、組織修復を遅らせてしまう可能性があるのです。

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5.亜鉛華単軟膏の用法・用量と剤型

亜鉛華単軟膏には、

亜鉛華単軟膏10%  500g

といった剤型があります。

500gというとかなりの量になってしまいますが、実際は薬局で医師から指示された必要量をプラスチック容器に入れて渡してもらえます。

亜鉛華単軟膏の使い方は、

通常、症状に応じて1日1~数回、患部に塗擦又は貼布する。

と書かれています。

患部に直接塗布すると創部を乾燥させてしまうため、「重層療法」といって創部には湿潤させるような軟膏を塗り、その上に亜鉛華単軟膏を塗るという方法もあります。この方法だと、傷口を直接乾燥させることなく、しかし余分な浸出液は亜鉛華単軟膏が吸い取ってくれます。

ただし常に重層療法が良いというわけではありません。用法は処方された医師の指示に従うようにしましょう。

6.亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏の違い

亜鉛華単軟膏と似たお薬に「亜鉛華軟膏」があります。この2つはどちらも酸化亜鉛を主成分としていますが、両者の違いはあるのでしょうか。

ざっくりと言えば両者は「ほぼ」同じと考えて問題ありません。

両者の違いを強いていうと基剤(主成分である酸化亜鉛を溶かしているお薬)が異なります。

亜鉛華軟膏は白色ワセリンを基剤に用いています。べたつきが強い基剤にですがその分皮膚にしっかりとお薬が密着します。ソルビタン、セキスオレイン酸といった水分を吸う作用を持つ物質を配合しているため浸出液を吸収する力にも優れます。

亜鉛華単軟膏は単軟膏を基剤に用いています。べたつきは弱いですがその分密着力も劣ります。軟膏の伸びは適度で、浸出液を吸収する力も適度です。

両者の使い分けを強いて言えば、浸出液が多くて軟膏をしっかりと密着させたい急性期は亜鉛華軟膏を用いて、浸出液が少なくなってきたら創部を過剰に乾燥させないため亜鉛華単軟膏に切り替えるという方法が良いでしょう。

ただ、実際はここまで厳密に両者を使い分けることはあまりありません。

7.亜鉛華単軟膏が向いている人は?

以上から考えて、亜鉛華単軟膏が向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

亜鉛華単軟膏の特徴をおさらいすると、

・創部を収縮させることで、傷口を小さくする
・創部の血管を収縮させることで分泌物を減らし、創部を乾燥させる
・創部の炎症を和らげる
・創部を密閉保護し、傷の治りを早める
・創部を乾燥させすぎると傷の治りを遅めてしまうため注意
・重症の熱傷には使ってはいけない

というものでした。

ここから、「軽症の皮膚疾患」であり、乾燥をさせることで創部の改善や予防になる場合には向いているお薬だと言えます。

臨床の経験としては、

・あせもやおむつかぶれの予防(汗が原因となるため、亜鉛華単軟膏の吸湿作用を利用する)
・浸出液が多量で管理困難な創部(亜鉛華単軟膏が余分な浸出液を吸ってくれる)

に利用することが多いと感じます。

しかし傷口は基本的に乾燥させて治すものではないと現在では考えられていますので、亜鉛華単軟膏を使用すべき皮膚状態なのかどうかというのは、主治医とよく相談して判断してください。

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