アイミクス配合錠の効果と副作用【降圧剤】

アイミクス配合錠(一般名:イルベサルタン・アムロジピンベシル酸塩)は2012年から発売されている降圧剤(血圧を下げるお薬)になります。

アイミクスは「配合錠」という名前からも分かるように、2つの成分が配合された降圧剤です。

具体的にはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(AngiotensinⅡ Receptor Blocker:ARB)である「アバプロ・イルベタン(一般名:イルベサルタン)」とカルシウム拮抗薬である「ノルバスク・アムロジン(一般名:アムロジピンベシル酸塩)」が配合されています。

2種類の成分を1剤にまとめているためお薬の管理も楽になりますし、服薬する錠数も減らせます。高血圧の方は複数の降圧剤を飲まれている方もいらっしゃいますから、このような配合剤は服用の手間を軽減させてくれます。

近年ではこのような配合剤は多く発売されています。その中でアイミクスはどのような特徴の持っていて、どのような患者さんに向いている降圧配合剤なのでしょうか。

ここではアイミクス配合錠の特徴や効果・副作用についてみていきます。

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1.アイミクス配合錠の特徴

まずは、アイミクス配合錠の全体的な特徴について紹介します。

アイミクス配合錠は、

といった2種類の降圧剤(血圧を下げるお薬)が含まれた合剤になります。

要するにアイミクスを服用する事は、イルベサルタンとアムロジピンの2剤を服用しているのと同じです。なんで合剤にしてまとめたのかと言うと、服用の手間が軽減するためです。また薬価(お薬の値段)も安くなるというメリットもあります。

アイミクスに含まれるイルベサルタンはARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)という種類の降圧剤になります。

ARBはアンジオテンシンⅡという物質のはたらきをブロックすることで、血圧を下げるお薬になります。アンジオテンシンⅡは血圧を上げる作用が強い物質なので、これをブロックすると血圧が下がるのです。

またARBは血圧を下げるだけでなく臓器保護作用があり、心臓や腎臓を保護してくれます。そのため、心不全や腎不全の方にも向いているお薬になります。

更にイルベサルタンはARBの中でも「様々な効果を持つ」という特徴があります。

具体的には、

  • インバートアゴニスト作用(降圧力が強くなる)
  • 糖尿病改善作用(血糖値を下げる)
  • 尿酸値低下作用(尿酸値を下げる)

などの付加的な効果が期待できます。これら付加的な作用のそれぞれは強くはないものの、糖尿病や高尿酸血症などを合併している方には1剤で複数の治療効果が得られるという事になります。

アイミクスに含まれるアムロジピンはカルシウム拮抗薬という種類の降圧剤になります。カルシウム拮抗薬は血管の平滑筋に存在するカルシウムチャネルというカルシウムが通る穴をふさぐ作用があります。

カルシウムチャネルをカルシウムが通ると平滑筋が収縮します。動脈の周りを覆っている平滑筋が収縮すれば血圧は上がります。カルシウム拮抗薬はこれをブロックするため、血圧を下げることになります。

アムロジピンはカルシウム拮抗薬の中でも強い降圧力を持ちます。また作用時間が長いため、1日を通してしっかりと血圧を下げ続けてくれます。

アイミクスはこの「イルベサルタン」と「アムロジピン」の両方が入っているわけですので、上記の特徴を合わせた降圧剤になります。ちなみに「アムロジピン」+「イルベサルタン」を「混ぜる(ミックス)」で「アイミクス」という名称になっています。

以上からアイミクス配合錠には、次のような特徴が挙げられます。

【アイミクスの特徴】

・2つの降圧剤が含まれており、血圧を下げる力がしっかりしている
・1日1回の服用で1日を通して効果が持続する
・心臓・腎臓などの臓器保護作用がある
・糖尿病を改善させる効果がある
・尿酸値を下げる作用がある

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2.アイミクス配合錠はどのような疾患に用いるのか

アイミクスはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

高血圧症

アイミクスは降圧剤ですので、「高血圧症」の患者さんに用います。

注意点としてアイミクスは2つの降圧剤が配合されているお薬であるため、治療において一番最初から使う事は出来ません。

アイミクスを最初から投与するという事は、降圧薬を一気に2つ始めてしまうのと同じことだからです。まずは1剤から始め、それでも効果が不十分な時に初めて2剤目は検討されるべきです。

アイミクスは2つの降圧剤が含まれているため、1つの降圧剤で効果が不十分であったときに検討されるお薬になります。

ではアイミクスは高血圧に対してどれくらいの効果が期待できるのでしょうか。

アイミクスは2つの降圧剤を配合しているため、一般的な降圧剤よりは降圧効果は高くなります。

調査によると、アイミクスの服用を52週間(約1年)続けると平均で、

  • アイミクスLDの投与で収縮期血圧が20.66mmHg、拡張期血圧が14.40mmHgほど下がる
  • アイミクスHDの投与で収縮期血圧が26.28mmHg、拡張期血圧が17.53mmHgほど下がる

と報告されています。

ちなみにアイミクスを服薬してからどれくらいで効果を判定すれば良いのでしょうか。

これは明確に決まっているわけではありませんが、通常2週間程度で効果は現れはじめます。しっかりとした効果を判定するには「約1カ月」程度を考えます。

3.アイミクス配合錠にはどのような作用があるのか

アイミクスは具体的にどのような作用機序によって血圧を下げてくれるのでしょうか。

アイミクスの作用機序について紹介します。

Ⅰ.降圧作用(アンジオテンシンⅡのブロック)

アイミクスにはアバプロ・イルベタン(一般名:イルベサルタン)というARBと同じ成分が含まれており、これに血圧を下げる作用があります。

ではイルベサルタンはどのように血圧を下げるのでしょうか。

私たちの身体の中には、血圧を上げる仕組みがいくつかあります。その1つに「RAA系」と呼ばれる体内システムがあります(RAA系とは「レニン-アンジオテンシン-アルドステロン」の略です)。

RAA系は本来、血圧が低くなりすぎてしまった時に血圧を上げるシステムです。

腎臓は血液から老廃物を取り出して尿を作る臓器ですが、ここに「傍糸球体装置」というものがあります。傍糸球体装置は腎臓に流れてくる血液が少なくなると「レニン」という物質を放出します。

レニンはアンジオテンシノーゲンをアンジオテンシンⅠという物質に変えるはたらきがあります。

更にアンジオテンシンⅠはACEという酵素によってアンジオテンシンⅡになります(ちなみにこれをブロックするのがACE阻害薬という降圧剤です)。

アンジオテンシンⅡは副腎という臓器に作用して、アルドステロンというホルモンを分泌させます。

アルドステロンは血液中にナトリウムを増やします(詳しく言うと、尿として捨てる予定だったナトリウムを体内に再吸収します)。血液中のナトリウムが増えると血液の浸透圧が上がるため、ナトリウムにつられて水分も血液中に引き込まれていきます。これにより血液量が増えて血圧も上がるという仕組みです。

通常であればこのRAA系は、血圧が低くなった時だけ作動する仕組みです。しかし血圧が高い状態が持続している方は、このRAA系のスイッチが不良になってしまい、普段からRAA系システムが作動してしまっていることがあります。

イルベサルタンをはじめとしたARBは、アンジオテンシンⅡのはたらきをブロックすることで、RAA系が作動しないようにします。すると血圧を上げる物質が少なくなるため、血圧が下がるというわけです。

更にイルベサルタンは「インバースアゴニスト作用」という作用を持ちます。

ARBはアンジオテンシンⅡ受容体という部位をブロックするのですが、実はアンジオテンシンⅡ受容体は何も結合していない状態でもある程度勝手に活性化してRAA系を作動させています。

この受容体自身が持つ活性をも抑制する作用がインバースアゴニスト作用です。

イルベサルタンはアンジオテンシンⅡ受容体をブロックしてアンジオテンシンⅡが結合した時の活性が生じないようにするほか、アンジオテンシンⅡ受容体自身が持っている活性をもブロックする事でより高い降圧力を発揮してくれるのです。

Ⅱ.降圧作用(カルシウムチャネルのブロック)

アイミクスにはノルバスク・アムロジン(一般名:アムロジピン)というカルシウム拮抗薬と同じ成分が含まれており、これも血圧を下げる作用があります。

ではアムロジピンはどのように血圧を下げるのでしょうか。

カルシウム拮抗薬は、血管の平滑筋という筋肉に存在しているカルシウムチャネルのはたらきをブロックするというのが主なはたらきです。

チャネルという用語が出てきましたが、これはかんたんに言うと、様々なイオンが通る穴だと思ってください。つまりカルシウムチャネルは、カルシウムが通ることが出来る穴です。

カルシウムチャネルは、カルシウムイオンを通すことにより、筋肉を収縮させるはたらきがあります。これをブロックするのがカルシウム拮抗薬です。

この作用でカルシウムイオンが流入できなくなると、筋肉が収縮できなくなるため拡張します。そして血管を覆っている平滑筋が拡張する(広がる)と、血圧は下がります。

ちなみにカルシウムチャネルにはL型、T型、N型の3種類があることが報告されています。このうち、平滑筋に存在しているカルシウムチャネルはほとんどがL型です。

【L型カルシウムチャネル】
主に血管平滑筋・心筋に存在し、カルシウムが流入すると筋肉を収縮させる。ブロックすると血管が拡張し、血圧が下がる

【T型カルシウムチャネル】
主に心臓の洞結節に存在し、規則正しい心拍を作る。また脳神経にも存在し神経細胞の発火に関係している

【N型カルシウムチャネル】
主にノルアドレナリンなど興奮性の神経伝達物質を放出する。

カルブロックはL型カルシウムチャネルに選択性が高いため、しっかりと血圧を下げてくれ、またT型やN型にあまり作用しないため、その他の余計な作用が出にくいという特徴があります。

Ⅲ.臓器保護作用

ARBであるイルベサルタンには臓器保護作用があります。

具体的には心臓・腎臓や脳に対して、これらの臓器が傷付くのを防いでくれるのです。

心臓が傷んでしまい、十分に機能できなくなる状態を「心不全」と呼びます。高血圧は心不全のリスクになるため、イルベサルタンの降圧作用はそれ自体が心保護作用になります。

またそれ以外にも先ほど説明したRAA系の「アンジオテンシンⅡ」は心臓の筋肉(心筋)の線維化を促進し、これも心臓の力を弱める原因となります。

イルベサルタンはアンジオテンシンⅡのはたらきをブロックしてくれるため、これも心保護作用になります。

実際、イルベサルタンのようなARBは心不全に対しての第一選択薬となっています。

また腎臓に対しても同様です。

腎臓が傷んでしまい、十分に機能できなくなる状態は「腎不全」と呼ばれ、これも高血圧が発症リスクになるため、イルベサルタンの降圧作用はそれ自体が腎保護作用になります。

アンジオテンシンは腎臓の線維化も促進し、これも腎不全の原因になるのですが、イルベサルタンは同様の機序で腎臓の線維化を抑え、腎保護作用を発揮します。

Ⅳ.血糖改善作用

アイミクスに含まれるイルベサルタンには血糖値を改善させる作用があります。

その作用は強くはないため単独で糖尿病の治療に用いられる事はありませんが、高血圧に糖尿病を合併しているような場合では1剤で複数の作用を期待できます。

血糖を改善させる作用はイルベサルタンの持つPPARγ(ピーパーガンマ)作用によるものだと考えられています。PPARγとは脂肪細胞に存在する物質で、この物質はアディポネクチンという物質を増やす作用があります。

アディポネクチンには、

  • 血液中の血糖を筋肉などの臓器・組織に取り込む
  • インスリン(血糖を下げるホルモン)の感受性を上げる
  • 炎症を抑える
  • 様々な臓器を保護する

といった様々な作用があります。

血液中の血糖を臓器や組織に取り込むと、血液中の糖分が少なくなるため血糖が下がります。またインスリンは血糖を下げるホルモンですので、その効きを高めれば血糖も下がりやすくなります。

このような機序にてイルベサルタンは血糖値を下げ、糖尿病を多少ですが改善させてくれます。

Ⅴ.尿酸値を下げる作用

アイミクスに含まれるイルベサルタンの特徴の1つとして、尿酸値を下げる作用がある事が挙げられます。これはARBの中でも数種類でしか報告されていない作用です。

イルベサルタンは腎臓にあるURAT1という輸送体をブロックするはたらきがあります。URAT1は尿にある尿酸を体内に再吸収する役割があります。

URAT1がブロックされると、尿酸が再吸収されずにそのまま尿と一緒に排泄される事になり、これによって尿酸値が下がると考えられています。

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4.アイミクス配合錠の副作用

アイミクスの副作用はどのようなものがあるのでしょうか。またアイミクスは安全はお薬なのでしょうか、それとも副作用が多いお薬なのでしょうか。

アイミクスの副作用発生率は11.8%と報告されています。数値だけ見ると副作用が多いようにも感じられますが、実際に使用している印象としては他の降圧配合剤と大きな差はありません。

生じうる副作用としては、

  • めまい・ふらつき
  • 浮腫
  • 肝機能障害(AST、ALT上昇)
  • CK(CPK)上昇

などが報告されています。

頻度は稀ですが重篤な副作用としては、

  • 血管浮腫
  • 高カリウム血症
  • ショック
  • 失神、意識消失
  • 腎不全
  • 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸
  • 低血糖
  • 横紋筋融解症
  • 無顆粒球症、白血球減少、血小板減少
  • 房室ブロック

などが報告されています。

またアイミクスは

  • アイミクスの成分に対して過敏症の既往歴のある方
  • ジヒドロピリジン系化合物に対し過敏症の既往歴のある方
  • 妊婦
  • ラジレスを投与中の糖尿病患者様

は原則服薬することが出来ません。

アイミクスに含まれる「アムロジピン」はジヒドロピリジン系化合物になります。そのためこの化合物に過敏症がある方は服用できません。

アイミクスに含まれる「イルベサルタン」は、妊婦さんに投与する事で児の奇形の発生率が高まるという報告があり、このような理由から妊婦さんへの投与は禁忌となっています。

最後の項目に関しては、どうしても他の降圧剤で治療できない高血圧症の方に限り、慎重に用いることは認められていますが、両者の併用が禁忌となっているのはラジレスとイルベサルタン(ARB)の併用で非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されているためです。

5.アイミクスの用法・用量と剤形

アイミクスは、

アイミクス配合錠LD (イルベサルタン100mg/アムロジピン5mg)
アイミクス配合錠HD (イルベサルタン100mg/アムロジピン10mg)

の2剤形があります。

アイミクスの使い方は、

通常、成人には1日1回1錠を経口投与する。本剤は高血圧治療の第一選択薬として用いない。

となっています。

2つの成分を含むアイミクスは高血圧治療を行う時に最初に用いてはいけません。まずはイルベサルタンやアムロジピンといった単剤で治療をはじめ、それでも効果不十分な時にのみ、アイミクスのような合剤が検討されます。

6.アイミクス配合錠が向いている人は

以上から考えて、アイミクスが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

アイミクスの特徴をおさらいすると、

【アイミクスの特徴】

・2つの降圧剤が含まれており、血圧を下げる力がしっかりしている
・1日1回の服用で1日を通して効果が持続する
・心臓・腎臓などの臓器保護作用がある
・糖尿病を改善させる効果がある
・尿酸値を下げる作用がある

というものがありました。

アイミクスはARBの中でも様々な作用を持つ「イルベサルタン」と、カルシウム拮抗薬の中でも強力な降圧力を持つ「アムロジピン」を合体させたお薬です。

そのため、

・しっかりと血圧を下げたい方
・心臓・腎臓などの臓器をしっかりと保護したい方
・糖尿病や高尿酸血症などを合併している方

に向いているお薬となります。

またアイミクスは2剤を配合することにより1剤ずつで処方してもらうよりも薬価が安くなっています。薬価をなるべく抑えたい方にとっても良い選択肢になります。

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