アムロジピン錠の効果と副作用

アムロジピン錠は2008年から発売されている降圧剤(血圧を下げるお薬)になります。アムロジピンはジェネリック医薬品であり、1993年に発売された「ノルバスク」「アムロジン」のジェネリック医薬品です。

古いお薬ですが、その確実な降圧力や1日を通してしっかりと効果が続く持続力から、現在でも広く使用されている降圧剤です。

アムロジピンはどのような特徴を持つお薬で、どのような方に向いているお薬なのでしょうか。ここではアムロジピンの効果や特徴についてみていきましょう。

 

1.アムロジピンの特徴

まずはアムロジピン錠の特徴について紹介します。

アムロジピンはカルシウム拮抗薬という種類の降圧剤になります。まずはカルシウム拮抗薬の主な特徴を紹介しましょう。

・血圧を下げる力(降圧力)が確実
・ダイレクトに血管を広げる作用であるため、その他の余計な作用が少ない
・安い

カルシウム拮抗薬の一番の特徴は、血圧を下げる力がしっかりとしている点です。単純に血圧を下げる力だけを見れば、降圧剤の中で一番でしょう。カルシウム拮抗薬の他にも、ARB、ACE阻害剤、利尿剤など降圧剤はたくさんありますが、単純な降圧力だけでみれば、カルシウム拮抗薬にかなうお薬はありません。

また、詳しくは後述しますがカルシウム拮抗薬は血管に存在する筋肉を拡張させるはたらきを持ち、血管にダイレクトに作用して血圧を下げるお薬です。血管に直接作用するため、その他の余計なはたらきが少ないお薬なのです。

これは他の作用がないというデメリットでもあり、余計な作用がないというメリットでもあります。

カルシウム拮抗薬は、価格が安いものが多いのも大きな特徴です。これも詳しくは後述しますが、血圧を下げるコストパフォーマンスで言えば、かなり優れたお薬になります。アムロジピンはジェネリックであるため、薬価は更に安くなります。

では次にカルシウム拮抗薬の中でのアムロジピンの特徴を紹介します。

・カルシウム拮抗薬の中でも副作用が少ない
・持続力に優れ、1日1回服薬で充分
・ジェネリックである薬価が安い

アムロジピンはカルシウム拮抗薬の中でも「第3世代」と呼ばれる、一番新しい世代に属します。カルシウム拮抗薬は元々副作用が少ないお薬ですが、第3世代のカルシウム拮抗薬であるアムロジピンは第1世代と比べて改良を重ねられており、特に副作用も少なく安全性の高いお薬となっています。また、1日1回の服薬で1日中しっかりと効果が続くように作られている点もメリットです。

アムロジピンが現在でも広く処方されているのは、こういったところが医師に高く評価されているからでしょう。

アムロジピンの特徴を挙げると次のようになります。

【アムロジピン(アムロジピン)の特徴】

・強力な降圧作用
・カルシウム拮抗薬の中でも副作用が少ない
・持続力に優れ、1日1回服薬で充分
・ジェネリックであり値段が特に安い

 

2.アムロジピンはどんな疾患に用いるのか

アムロジピンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

高血圧症、狭心症

実際の臨床では、圧倒的に高血圧症の治療に対して用いられています。

アムロジピンはカルシウム拮抗薬に属します。カルシウム拮抗薬は、血管を拡張させることで血圧を下げるため、 血圧を下げたい高血圧症の方にとっては非常に役立ちます。

狭心症というのは、心臓の周りの血管(冠動脈)が狭くなったり、痙攣してしまったりすることで、心臓に血液が届かなくなって胸痛などが生じる疾患のことです。

アムロジピンは血管を拡張させるため、冠動脈も拡張させるはたらきがあり、狭心症にも効果は望めます。しかしアムロジピンはゆっくりと長く効くお薬であるため、狭心症発作などの急性期の治療薬としては効果は望めません。

狭心症を予防する、という目的では使用されることはあります。しかし、現在では狭心症に対して有効なお薬も多数あるため、アムロジピン以外のお薬が選択されることもあります。

 

3.アムロジピンはどのような作用があるのか

血圧を下げるはたらきを持つアムロジピン錠ですが、どのような機序で血圧を下げているのでしょうか。

血圧を下げるお薬にはいくつかの種類がありますが、そのうちアムロジピン錠は「カルシウム拮抗薬」というお薬に分類されます。カルシウム拮抗薬は、血管の平滑筋という筋肉に存在しているカルシウムチャネルのはたらきをブロックするというのが主なはたらきです。

チャネルという用語が出てきましたが、これはかんたんに言うと、様々なイオンが通る穴だと思ってください。つまりカルシウムチャネルは、カルシウムが通ることが出来る穴です。

カルシウムチャネルは、カルシウムイオンを通すことにより、筋肉を収縮させるはたらきがあります。これをブロックするのがアムロジピンです。アムロジピンの作用で、カルシウムイオンが流入できなくなると、筋肉が収縮できなくなるため拡張します。そして血管が拡張する(広がる)と、血圧が下がります。

ちなみにカルシウムチャネルにはL型、T型、N型の3種類があることが報告されています。このうち、平滑筋に存在しているカルシウムチャネルはほとんどがL型です。

L型カルシウムチャネル:主に血管平滑筋・心筋に存在し、カルシウムが流入すると筋肉を収縮させる。ブロックすると血管が拡張し、血圧が下がる

T型カルシウムチャネル:主に心臓の洞結節に存在し、規則正しい心拍を作る。また脳神経にも存在し神経細胞の発火に関係している

N型カルシウムチャネル:主にノルアドレナリンなど興奮性の神経伝達物質を放出する。

アムロジピンはL型カルシウムチャネルに選択性が高いため、しっかりと血圧を下げてくれ、またT型やN型にあまり作用しないため、その他の余計な作用が出にくいのも良い点です。

 

4.アムロジピンの副作用

アムロジピンはジェネリックであるため、副作用発生率の詳しい調査は行われていません。先発品のノルバスク・アムロジンにおいては副作用の調査が行われており、副作用発生率は3.9~9.93%程度と報告されています。アムロジピンの副作用もこれと同程度だと考えられます。

 

生じうる副作用としては、

  • ほてり(熱感、顔面潮紅等)
  • 眩暈・ふらつき
  • 頭痛・頭重
  • 動悸
  • 浮腫

などが報告されています。これらは血圧が下がりすぎたり、血管が拡張することで生じる副作用だと考えられます。またこれらの副作用はアムロジピンの服薬量が多いほど高くなる傾向にあります。

稀ですが重篤な副作用の報告もあり、

  • 肝機能障害、黄疸
  • 血小板減少、白血球減少
  • 房室ブロック

などがあります。そのため長期服薬している方は定期的に血液検査・心電図検査などを行うことが望ましいでしょう。

 

5.アムロジピンの用法・用量と剤形

アムロジピンは、

アムロジピン錠 2.5mg
アムロジピン錠 5mg
アムロジピン錠 10mg

アムロジピンOD錠 2.5mg
アムロジピンOD錠 5mg
アムロジピンOD錠 10mg

の6剤形があります。

OD錠(口腔内崩壊錠)は口の中にお薬を入れると唾液で溶けるため、水なしでも飲める剤形です。水なしで飲みたい方や、飲み込む力が弱い高齢者の方などに重宝します。

アムロジピンの使い方は、

<高血圧症>
通常、成人には2.5~5mgを1日1回経口投与する。なお、症状に応じ適宜増減するが、効果不十分な場合には1日1回10mgまで増量することができる。

<狭心症>
通常、成人には5mgを1日1回経口投与する。なお、症状に応じ適宜増減する。

となっています。

 

6.アムロジピン錠の作用時間

アムロジピン錠の良い特徴として、作用時間が長いことが挙げられます。そのため1日1回の服薬で良く、1回服薬すれば1日効果が持続します。

では具体的にアムロジピンの作用時間はどのくらいなのでしょうか。

お薬の作用時間は、服薬する人の代謝能力などによって異なるため、絶対的な値を出すことは難しいのですが、1つの目安として「半減期」というものがあります。

半減期というのは、お薬を服薬して血中濃度が最大になってから、その血中濃度が半分に落ちるまでにかかる時間のことです。血中濃度が半分まで落ちると、薬効もだいぶ消失してくることが予測されるため、半減期はお薬の作用時間のひとつの目安になります。

アムロジピンの半減期は35.1時間と報告されています(OD錠も同様に35.1時間)。これはカルシウム拮抗薬の中でも最長であり、カルシウム拮抗薬の中でも一番長く作用するお薬だと考えられます。

 

7.アムロジピン錠が向いている人は?

以上から考えて、アムロジピンが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

アムロジピンの特徴をおさらいすると、

・強力な降圧力
・カルシウム拮抗薬の中でも副作用が少ない
・1日1回の服薬でよい持続力
・ジェネリックであり値段が特に安い

というものでした。

カルシウム拮抗薬全体にいえることですが、血管の平滑筋にダイレクトに作用するカルシウム拮抗薬は、単純に血圧を下げたい時に有用です。

他の代表的な降圧剤として、ACE阻害剤やARBなどがあります。これらももちろん優れたお薬で、腎臓を保護したり、血糖にも影響したりと様々な付加効果があります。これらはうまく利用すれば、1剤で様々な効果が得られる利点になりますが、「単純に血圧だけを下げたい」という場合には、カルシウム拮抗薬の方が適しています。

また、アムロジピンはカルシウム拮抗薬の中でも改良された第3世代であり副作用が少ない点も利点です。

半減期もカルシウム拮抗薬の中で最長であるアムロジピンは、ゆっくり長く効くため反動が生じることが少なく、特に副作用は生じにくいと言えるでしょう。

そのため、

・まずは血圧のみをしっかりと下げたい方
・副作用を少なく治療したい方
・服薬回数が少ない方が良い方
・経済的になるべく安価に済ませたい方

などにはアムロジピンはお勧めしやすい降圧剤になります。

アムロジピンは日本はもちろん、世界的にも広く使われているお薬であり、そのため研究結果やデータも豊富にあります。そのような意味でも、使い勝手の良い降圧剤だということが出来ます。

 

8.先発品と後発品は本当に効果は同じなのか?

アムロジピンは「ノルバスク」「アムロジン」という降圧剤のジェネリック医薬品になります。

ジェネリックは薬価も安く、剤型も工夫されているものが多く患者さんにとってメリットが多いように見えます。

しかし「安いという事は品質に問題があるのではないか」「やはり正規品の方が安心なのではないか」とジェネリックへの切り替えを心配される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

同じ商品で価格が高いものと安いものがあると、つい私たちは「安い方には何か問題があるのではないか」と考えてしまうものです。

アムロジピンというジェネリックは、ノルバスク・アムロジンと比べて本当に遜色はないのでしょうか。

結論から言ってしまうと、先発品(ノルバスク・アムロジン)とジェネリック(アムロジピン)は同じ効果・効能だと考えて問題ありません。

ジェネリックを発売するに当たっては「これは先発品と同じような効果があるお薬です」という根拠を証明した試験を行わないといけません(生物学的同等性試験)。

発売したいジェネリック医薬品の詳細説明や試験結果を厚生労働省に提出し、許可をもらわないと発売はできないのです、

ここから考えると、先発品とジェネリックはおおよそ同じような作用を持つと考えられます。明らかに効果に差があれば、厚生労働省が許可を出すはずがないからです。

しかし先発品とジェネリックは多少の違いもあります。ジェネリックを販売する製薬会社は、先発品にはないメリットを付加して患者さんに自分の会社の薬を選んでもらえるように工夫をしています。例えば飲み心地を工夫して添加物を先発品と変えることもあります。

これによって患者さんによっては多少の効果の違いを感じてしまうことはあります。この多少の違いが人によっては大きく感じられることもあるため、ジェネリックに変えてから調子が悪いという方は先発品に戻すのも1つの方法になります。

では先発品とジェネリックは同じ効果・効能なのに、なぜジェネリックの方が安くなるのでしょうか。これを「先発品より品質が悪いから」と誤解している方がいますが、これは誤りです。

先発品は、そのお薬を始めて発売するわけですから、実は発売までに莫大な費用が掛かっています。有効成分を探す開発費用、そしてそこから動物実験やヒトにおける臨床試験などで効果を確認するための研究費用など、お薬を1つ作るのには実は莫大な費用がかかるのです(製薬会社さんに聞いたところ、数百億という規模のお金がかかるそうです)。

しかしジェネリックは、発売に当たって先ほども説明した「生物学的同等性試験」はしますが、有効成分を改めて探す必要もありませんし、先発品がすでにしている研究においては重複して何度も同じ試験をやる必要はありません。

先発品と後発品は研究・開発費に雲泥の差があるのです。そしてそれが薬価の差になっているのです。

つまりジェネリック医薬品は莫大な研究開発費がかかっていないため、その分が差し引かれており、先発品よりも安くなっているということで、決して品質の差が薬価の差になっているわけではありません。