アプレースの効果と副作用【胃薬】

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アプレース(一般名:トロキシピド)は、1986年から発売されている胃炎・胃潰瘍治療薬(いわゆる胃薬)です。

主に胃を保護する物質(防御因子)を増やす事によって胃炎や胃潰瘍を改善させます。

効果は穏やかですが安全性に優れ、副作用が非常に少ないという特徴があります。

胃薬にはたくさんの種類のお薬があります。これらの中でアプレースはどのような位置付けのお薬になるのでしょうか。

ここではアプレースの特徴や効果・副作用をはじめ、どのような作用機序を持つお薬でどのような方に向いているお薬なのかについて説明していきます。

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1.アプレースの特徴

まずはアプレースの特徴について、かんたんに紹介します。

アプレースは胃を保護する物質(胃防御因子)を増やす胃薬になります。効果は穏やかですが副作用が少なく、安全性に優れます。

アプレースは主に胃炎や胃潰瘍に適応を持つ「胃薬」になります。

その作用は穏やかで、劇的に胃腸症状(胃痛や嘔吐、胃部不快感など)を治してくれるというものではありません。そのため重度の胃炎や胃潰瘍に対しては力不足である事も多く、主に軽症例に用いられる胃薬になります。

アプレースにはいくつかの作用がありますが、その多くが「胃を防御する機能を高める作用」になります。

胃薬の作用機序は大きく分けて、

  • 胃を攻撃する因子(胃酸など)を減らす
  • 胃を防御する因子(胃粘液など)を増やす

の2種類があります。

前者にはH2ブロッカー(ガスターなど)やPPI(タケプロンなど)があり、高い胃潰瘍・胃炎改善作用が得られるため、近年の胃疾患治療薬の主役になっています。

アプレースは後者に属するお薬です。効果は穏やかですが、安全性にも優れるため、主に軽症例の胃疾患に用いるのに適しています。

胃を防御する具体的な作用はいくつかありますが、主なものはプロスタグランジン(PG)という物質を増やす事です。プロスタグランジンは胃の粘液を増やす作用があるため、プロスタグランジンが増えると胃が保護されやすくなります。

またそれ以外にも胃への血流を増やす作用や胃粘膜の酸素消費量を増やす事でエネルギー合成を促進する作用も報告されており、これも胃の保護に役立っていると考えられます。

アプレースは副作用が少ないお薬になります。臨床の感覚としては「副作用はほぼ生じない」と考えても良いお薬で、安全性に優れます。

「効果は穏やかだけど、安全なお薬」というのが、ざっくりとですがアプレースの位置づけとなります。

以上からアプレースの特徴として次のようなことが挙げられます。

【アプレースの特徴】

・主に軽症例に用いられる胃薬である
・効果は穏やかだが副作用も少ない
・胃の防御因子(胃粘液や胃の血流など)を増やす作用がある

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2.アプレースはどのような疾患に用いるのか

アプレースはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

〇 胃潰瘍

〇 下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善

急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期

アプレースは胃を保護する作用を持つため、主に胃炎や胃潰瘍の治療に用いられます。

その作用機序はいくつかありますが、主たる作用は胃のプロスタグランジンを増やすことで胃粘液を増やす作用になります。

そのため「NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛剤)」の「副作用止め」として使われる事もあります。NSAIDsとはいわゆる「痛み止め」「熱さまし」のお薬の事で、風邪で熱が出た時や、腰痛などがある時によく処方されるお薬です。

「ロキソニン」や「ボルタレン」「イブプロフェン」などが有名ですね。

NSAIDsはプロスタグランジンのはたらきをブロックする作用があるため、長期間使用すると副作用として胃炎や胃潰瘍が生じる事があります。この場合、NSAIDsにプロスタグランジンを増やすアプレースを併用すれば、NSAIDsによる胃炎や胃潰瘍の発症を起こしにくくすることが出来ます。

では、アプレースはこれらの疾患に対してどのくらいの効果があるのでしょうか。

アプレースを上記疾患に投与した調査で、「改善」以上と判定された率は、

  • 胃潰瘍の改善率は79.4%(4~12週間の投与)
  • 胃炎の改善率は82.9%(3日~4週間の投与)

と報告されています。

ただしアプレースは効果が穏やかなお薬ですので、効果が期待できるのはあくまでも軽症例であり、重度の胃潰瘍に単剤で用いられる事はありません。

3.アプレースにはどのような作用があるのか

アプレースは胃炎や胃潰瘍といった胃疾患に対して効果を発揮するお薬ですが、具体的にはどのような作用機序を持っているのでしょうか。

アプレースの主な作用について詳しく紹介します。

Ⅰ.胃粘膜を保護する因子を増やす

アプレースの作用は、胃粘膜を保護する因子(防御因子)を増やすことです。

具体的には、

  • プロスタグランジンを増やす
  • 胃の血流を増やす
  • 胃粘膜のエネルギー合成を高め、代謝を改善させる

などが報告されています。

アプレースは胃に対するいくつかの作用が報告されていますが、その1つに「プロスタグランジン(PG)を増やす事」が挙げられます。

プロスタグランジンは胃を保護するはたらきを持つ胃粘液を増やす作用があるため、プロスタグランジンの量が増えると胃炎や胃潰瘍が生じにくくなります。

またアプレースは胃への血流を増やす作用も報告されています。血流が増えればそこに栄養分が届きやすくなるため、粘液を作りやすくなったり細胞の合成・修復もしやすくなります。

胃粘液というのは胃の表面を覆ってくれる粘液で、ヘキソサミンやムチンというたんぱく質などが成分となっています。ヘキソサミンはアルカリ性の物質であり胃酸を中和してくれるため、胃酸から胃壁を守るはたらきがあります。ムチンは粘性のある糖タンパクで、その粘性によって胃壁を保護してくれます。

アプレースはこのような胃粘液の分泌を増やし、この胃粘液が胃壁をコーティングしてくれると、胃の防御力が高まります。

またアプレースは胃粘膜の酸素消費量を増大させる事が報告されています。酸素がたくさん消費されるようになるという事は、その部位でたくさんエネルギー(ATP)が作られている事を意味しています。

エネルギーがたくさん作られれば、それだけ傷の治りも促進されるため、これも胃炎・胃潰瘍改善作用に役立っていると考えられます。

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4.アプレースの副作用

アプレースにはどのような副作用があるのでしょうか。また副作用の頻度はどのくらいなのでしょうか。

アプレースの副作用発生率は0.75%と報告されています。臨床の実感としては、副作用は「ほぼ生じない」と言っても良いお薬です。

生じうる副作用としては、

  • 便秘
  • 肝機能障害(AST、ALTなどの上昇)

などが報告されています。

これらの副作用は軽い事が多く、様子を見ていれば自然と消失していくものも少なくありません。そのため、これらの副作用が生じても、症状がひどくなければしばらく様子をみてみても良いでしょう。

ただし、万が一症状が強い場合や、ある程度様子を見ても改善が得られない場合はお薬を減量したり中止したりする必要があります。

頻度は非常に稀ですが、重篤な副作用として、

  • ショック・アナフィラキシー様症状
  • 肝機能障害・黄疸

が報告されています。

ショックやアナフィラキシー様症状はアレルギー反応の1つで、アプレースに限らずあらゆるお薬で生じる可能性があります。

具体的な症状としては、蕁麻疹や呼吸困難、血圧低下などが認められる事があります。

また同様に頻度は稀ですが肝機能が悪化する事による黄疸が出現する可能性もあります。

アプレースの服用が長期に渡っている方は、念のため定期的に血液検査で肝機能をチェックしておく事が望ましいでしょう。

5.アプレースの用法・用量と剤形

アプレースには、

アプレース錠 100mg
アプレース細粒 20%

の2剤型があります。

アプレースの使い方は、

通常、成人には1回100mgを1日3回食後に経口投与する。

なお、年齢、症状により適宜増減する。

となっています。

6.アプレースが向いている人は?

最後にアプレースが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

アプレースの特徴をおさらいすると、

【アプレースの特徴】

・主に軽症例に用いられる胃薬である
・効果は穏やかだが副作用も少ない
・胃の防御因子(胃粘液や胃の血流など)を増やす作用がある

というものでした。

ここから、

  • 軽症の胃炎や胃潰瘍の方
  • NSAIDsを長期服用している方

で安全性を重視して治療したい方に向いているお薬と言えます。

安全なお薬であるため患者さんが胃薬を希望された時に処方しやすいのですが、一方で重度の胃炎・胃潰瘍には力不足である感は否めませんので、このような場合はより強い胃薬でしっかりと治療を行う必要があります。

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