アスピリン(成分名:アセチルサリチル酸)は1897年から発売されているお薬で、「非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)」と「抗血小板剤」の2つの作用を持ちます。
アスピリンは世界初のNSAIDs(いわゆる「痛み止め」「熱さまし」)として1900年頃に発売され、米国を中心に鎮痛剤として爆発的に売れました。
その後、抗血小板剤(血液をサラサラにするお薬)としての作用もある事が発見され、現在では主にこの目的で投与されています。
アスピリンは抗血小板剤としてももっとも古いお薬になりますが、多くの実績やデータがあるお薬であるため、脳梗塞・心筋梗塞など血液を固まりにくくする必要がある患者さんに今でも多く用いられています。
抗血小板剤にはいくつかの種類があります。どれも「血液を固まりにくくさせる」という作用に違いはありませんが、細かい特徴や作用には違いがあり、医師は患者さんの状態に応じて、一番合う抗血小板剤を処方しています。
アスピリンはどのような特徴のあるお薬で、どのような患者さんに向いているお薬なのでしょうか。ここでは、アスピリンの効能や特徴、副作用などを紹介していきます。
1.アスピリンの特徴
まずはアスピリンの特徴を紹介します。
アスピリンは血小板のはたらきを抑えることで、血液を固まりにくくするはたらきがあります。
また消炎(炎症を抑える)・解熱(熱を冷ます)・鎮痛(痛みを抑える)作用があり、これは主に川崎病の炎症反応抑制に用いられています。
アスピリンは元々はNSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛剤)として開発されました。NSAIDsは炎症を抑えることにより解熱・鎮痛作用をもたらすお薬の事で、風邪の時の熱さましや、腰痛などにおける痛み止めとして広く用いられています。
NSAIDsとしての歴史は100年以上と非常に長く、アスピリンはもっとも古いNSAIDsになります。NSAIDsはたくさんの種類が発売されているため、古いアスピリンが用いられることは現在においては少なく、このためアスピリンはNSAIDsとしてはあまり用いられていません。
アスピリンのもう1つの作用は、「抗血小板作用」になります。これは血小板のはたらきを抑える作用の事で、血液を固まりにくくする作用になります。
血小板は血球の1つで血液を固まらせるはたらきがあります。怪我をして皮膚から出血してしまった時を思い出してください。しばらくすると出血は勝手に止まりますよね。これは血小板が活性化し傷口の血液を固まらせたからなのです。
このように血小板は必要な時に血液を固まらせるはたらきを持っています。しかし血管内で血小板が活性化してしまうと、血栓(血の塊)を作ってしまい、これは血管を詰まらせる原因になってしまいます。
例えば動脈硬化や血管内に脂肪が沈着しているような場合、血小板がその部位で活性化しやすく、血栓が作られやすい事が知られています。
血管内で血小板が活性化し血栓を作ってしまうと、血栓は血管を詰まらせますから、脳梗塞や心筋梗塞などが生じてしまいます。
抗血小板剤はこのような不要な血小板の活性化を抑えることで、動脈硬化を持つ方でも脳梗塞や心筋梗塞を起こしにくくしてくれるのです。
現在ではアスピリンはほとんどが抗血小板剤として利用されており、NSAIDsとして使われることはあまりありません。
しかし唯一の例外が「川崎病」への使用です。
川崎病は主に1歳未満の乳幼児に発症し、全身に血管炎が生じる疾患です。これにより熱が出たり全身に発疹が出たりします。
川崎病で最も注意すべきなのは冠動脈(心臓に栄養を送る動脈)に瘤(こぶ)が出来てしまう可能性がある事です。これによって血小板が活性化して血栓が作られてしまうと冠動脈が詰まってしまい心筋梗塞となり命に関わることがあります。
アスピリンは、
- 炎症を抑える
- 血液をサラサラにすることで冠動脈を詰まりにくくする
- 粉薬であり乳幼児でも飲みやすい
と言った作用があるため、川崎病の患者さんに非常に適しており、現在でも第一選択で使われています。
このようにアスピリンは、
- 消炎鎮痛作用(NSAIDsとしての作用)
- 血小板凝集抑制作用(抗血小板剤としての作用)
の2つがありますが、面白い事にそれぞれの作用を得るための用量は異なります。
具体的には、低用量(成人で1日100mg前後)だと抗血小板作用が得られます。高用量(成人で1回0.5g以上)だと消炎鎮痛作用が得られます。
逆に言えば低用量で使っても消炎鎮痛効果は得られず、高用量で使えば抗血小板作用は得られないという事でもあります。
注意点としては、特に高用量で使う場合は胃腸系の副作用に注意する必要があります。アスピリンをはじめとしたNSAIDsは作用機序的にどうしても胃腸を荒らしてしまうリスクがあるのです。
またNSAIDsは喘息を誘発しやすくすることが知られており、喘息の方にはできるだけ服用しない方が良いでしょう。
以上からアスピリンの特徴として次のような点が挙げられます。
【アスピリンの特徴】
・高用量で消炎鎮痛作用がある
・低用量で抗血小板作用(血液を固まりにくくする作用)がある
・現在では抗血小板剤として使われることが多い
・川崎病に対しては消炎鎮痛作用も期待して投与される
・副作用の胃腸障害に注意
・喘息の方は使用に注意(他のNSAIDsと同様)
2.アスピリンはどのような疾患に用いるのか
アスピリンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。
【効能又は効果】
〇関節リウマチ、リウマチ熱、変形性関節症、強直性脊椎炎、関節周囲炎、結合織炎、術後疼痛、歯痛、症候性神経痛、関節痛、腰痛症、筋肉痛、捻挫痛、打撲痛、痛風による痛み、頭痛、月経痛
〇下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)〇川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)
アスピリンは当初NSAIDsとして発売されたため、保険適応上は消炎鎮痛剤としての適応になっています。
しかし現在の実臨床ではアスピリンを消炎鎮痛目的で使用することはほとんどありません。
その理由はアスピリンは100年以上前に開発されたNSAIDsであり、現在は他の優れたNSAIDsが多く発売されているからです。
現在のアスピリンは「抗血小板剤」としての利用がほとんどです。抗血小板剤というのは、血液を凝固(固まらせる)作用を持つ血小板という血球のはたらきを抑えることです。
血小板は、傷ができて出血してしまった時などに活性化することで、傷口の血を固まらせて出血を抑える作用があります。一方で血管内部で活性化してしまうと、脳梗塞や心筋梗塞といった血管が詰まる疾患の原因にもなってしまいます。
これを抑えるために用いるという事です。抗血小板剤としてのアスピリンは上記適応疾患からも分かるように保険適応にはなっていないのですが、実際は使われています。
とは言え保険適応がないため、実臨床でアスピリンを使うのは、次のようなケースに限られます。
- バイアスピリン錠が飲めない方の代替薬として
- 川崎病の消炎鎮痛に対して
抗血小板剤として保険適応があるアスピリンには「バイアスピリン」があります。これは中身はアスピリンと同じお薬です。そのため、抗血小板剤としてアスピリンを使いたい場合は原則バイアスピリンを使います。
しかしバイアスピリンは錠剤しかないという難点があります。脳梗塞後などで錠剤をなかなか飲めない方ではバイアスピリン錠を無理矢理飲ませてしまうと誤嚥(薬が気管に入ってしまう事)をしてしまうリスクになります。
このような場合は粉薬であるアスピリンを使う事があります。
また川崎病というのは、主に1歳未満の乳幼児に発症する疾患で、全身に血管炎が生じます。これにより熱が出たり全身に発疹が出たりします。
最も注意すべきなのは冠動脈(心臓に栄養を送る動脈)に瘤(こぶ)を作ってしまう事があることです。これによって冠動脈が詰まってしまうと心筋梗塞となり命に関わることがあります。
アスピリンは、
- 炎症を抑える
- 血液をサラサラにすることで冠動脈を詰まりにくくする
- 粉薬であり乳幼児でも飲みやすい
と言った作用があるため、川崎病の患者さんに非常に適しており、現在でも第一選択で使われています。
アスピリンの有効率に対する詳しい調査は少ないのですが、川崎病に対して冠動脈疾患の発症を有意に抑えたことが報告されています。
またアスピリンと同成分を含むバイアスピリンにおいては、心血管イベント(新たな心筋梗塞や脳梗塞の発症)を有意に抑えたと報告されており、そのリスク減少率は、
- 心筋梗塞の既往がある方:25%
- 急性心筋梗塞の方:30%
- 脳梗塞・一過性脳虚血発作(TIA)の方:22%
- 脳梗塞発作の方:11%
- その他の高リスク患者に該当する方:26%
となっています。アスピリンもバイアスピリンと同成分を含みますので同程度のリスク抑制が期待できるでしょう。
3.アスピリンにはどのような作用があるのか
アスピリンにはどのような作用があるのでしょうか。
アスピリンは、
- 消炎鎮痛作用
- 抗血小板作用
の2つの作用があります。
それぞれについて詳しく紹介します。
Ⅰ.血小板凝集抑制効果
難しく書きましたが、要するに血小板のはたらきを抑える事によって血液を固まりにくくさせる作用の事です。
これは低用量のアスピリンを服用した際に得られる作用になります。
アスピリンはCOX-1(シクロオキシゲナーゼ)という酵素を変性させ、はたらけなくする作用があります。
COX-1は、トロンボキサンA2(TXA2)が作られる時に必要な物質であるため、COXがはたらけなくなるとトロンボキサンA2が作られにくくなります。
トロンボキサンは血小板を活性化させるのに必要な物質です。
つまりアスピリンによってCOX-1が変性すると、血小板が活性化しにくくなる(固まりにくくなる)という事です。
Ⅱ.消炎鎮痛効果
アスピリンは「非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)」という種類に属しますが、NSAIDsの作用はその名のとおり消炎(炎症を抑える)ことで鎮痛する(痛みを抑える)事になります。
炎症とは、
- 発赤 (赤くなる)
- 熱感 (熱くなる)
- 腫脹(腫れる)
- 疼痛(痛みを感じる)
の4つの徴候を生じる状態のことで、感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーで生じることもあります。
みなさんも身体をぶつけたり、ばい菌に感染したりして、身体がこのような状態になったことがあると思います。これが炎症です。
アスピリンは炎症の原因が何であれ、炎症そのものを抑える作用を持ちます。つまり、発赤・熱感・腫脹・疼痛を和らげてくれるという事です。
具体的にどのように作用するのかというと、アスピリンなどのNSAIDsは先ほども紹介したようにシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素を変性させてはたらけなくする作用があります。
COXは、プロスタグランジン(PG)という物質を合成する際にも必要な物質です。そのため、COXがはたらけなくなるとプロスタグランジンが作られにくくなります。
プロスタグランジンは炎症や痛み、発熱を誘発する物質です。そのため、アスピリンがCOXを変性させると炎症や痛み、発熱が生じにくくなるのです。
アスピリンはCOXを変性させる事で炎症を抑え、これにより
- 熱を下げる
- 痛みを抑える
といった効果が期待できます。
ちなみに一般的なNSAIDsはCOXのはたらきをお薬が効いている間だけ一時的に阻害する(ブロックする)だけなのに対して、アスピリンはCOXを変性させてしまう事で不可逆的にCOXのはたらきを抑えるという違いがあります。
4.アスピリンの副作用
アスピリンの副作用にはどのようなものがあるのでしょうか。また副作用はどのくらい多いのでしょうか。
アスピリンの副作用発生率の詳しい調査は行われていません。しかし同成分を含む「バイアスピリン」においては、副作用発生率は2.67%と報告されています。
バイアスピリンは副作用を軽減させた腸溶剤であるため、アスピリンの副作用はこれよりもやや多くなることが予測されますが、生じうる副作用としては同じようなものが出現すると考えられます。
生じうる副作用としては、
- 消化管障害(胃炎、消化管出血、潰瘍等)
- 血小板・出血凝血障害(血腫、網膜出血等)
- 皮膚・皮膚付属器障害(発疹)
- 中枢・末梢神経系障害(めまい)
- 赤血球障害(貧血)
などが報告されています。
アスピリンをはじめとしたNSAIDsには共通する副作用があります。
もっとも注意すべきなのが「胃腸系の障害」です。これはNSAIDsがプロスタグランジンの生成を抑制するために生じます。
プロスタグランジンは胃粘膜を保護するはたらきを持っており、実際にプロスタグランジンを誘導するようなお薬は胃薬として用いられています。そのため、NSAIDsによってこれが抑制されると胃腸が荒れやすくなってしまうのです。
胃痛や悪心などをはじめとして、胃炎や胃潰瘍などになってしまうこともあります。このため、NSAIDsは漫然と長期間使用し続けないことが推奨されており、やむを得ず長期間副作用する際は、胃薬などを併用することが推奨されています。
またアスピリンは血液を固まりにくくする作用があります。これは血栓を出来にくくするという良い作用が期待できる一方で、小さな傷でも出血しやすくなってしまったり、出血した際に止まりにくくなってしまうという副作用の原因にもなります。
また、頻度は稀ですが重篤な副作用としては、
- ショック、アナフィラキシー
- 出血
- 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群
- 剝脱性皮膚炎
- 再生不良性貧血、血小板減少、白血球減少
- 喘息発作の誘発
- 肝機能障害、黄疸
- 消化性潰瘍、小腸・大腸潰瘍
が報告されています。
重篤な副作用は稀ではあるものの絶対に生じないわけではありません。アスピリンの服薬がやむを得ず長期にわたっている方は定期的に血液検査にて肝機能・腎機能などのチェックを行う必要があります。
また、アスピリンは次のような方には禁忌(絶対に使ってはダメ)となっていますので注意しましょう。
【川崎病を除く効能又は効果に使用する場合】
- アスピリン又はサリチル酸系製剤に対し過敏症の既往歴のある方
- 消化性潰瘍のある方
- 重篤な血液の異常のある方
- 重篤な肝障害のある方
- 重篤な腎障害のある方
- 重篤な心機能不全のある方
- アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある方
- 出産予定日12週以内の妊婦の方
【川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)に使用する場合】
- アスピリン又はサリチル酸系製剤に対し過敏症の既往歴のある方
- 消化性潰瘍のある方
- 出血傾向のある方
- アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある方
- 出産予定日12週以内の妊婦の方
胃を荒らす可能性のあるお薬ですので、胃腸に潰瘍がある方はそれを更に増悪させる可能性があり用いてはいけません。
また心臓、肝臓、腎臓といった臓器にダメージを与える可能性がありますので、これらの臓器に重篤な機能不全がある場合もアスピリンは用いてはいけません。
アスピリンは妊娠中の使用で、妊娠期間の延長、動脈管の早期閉鎖、子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加につながるおそれがある事が報告されており、この理由から出産前の方に用いることは出来ませんん。
5.アスピリンの用法・用量と剤形
アスピリンは、
アスピリン
の1剤形のみがあり、これは「粉末製剤(いわゆる粉薬)」になります。
アスピリンの使い方は適応疾患により異なります。
〇関節リウマチ、リウマチ熱、変形性関節症、強直性脊椎炎、関節周囲炎、結合織炎、術後疼痛、歯痛、症候性神経痛、関節痛、腰痛症、筋肉痛、捻挫痛、打撲痛、痛風による痛み、頭痛、月経痛
通常、成人にはアスピリンとして1回0.5~1.5g、1日1.0~4.5gを経口投与する。なお、年齢、疾患、症状により適宜増減する。ただし、上記の最高量までとする.
〇下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)通常、成人にはアスピリンとして1回0.5~1.5gを頓用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、原則として1日2回までとし、1日最大4.5gを限度とする。また空腹時の投与は避けさせることが望ましい。
〇川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)
急性期有熱期間は、アスピリンとして1日体重1kgあたり30~50mgを3回に分けて経口投与する。解熱後の回復期から慢性期は。アスピリンとして1日体重1kgあたり3~5mgを1回経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減する。
と書かれています。
また保険適応外ですが、実際には使われている「脳梗塞・心筋梗塞の予防」としての投与は、
通常、成人にはアスピリンとして100mgを1日1回経口投与する。なお、症状により1回300mgまで増量できる。
というバイアスピリンの用法を参考に同様に使用されます。
アスピリンには粉薬しかありませんが、錠剤タイプのアスピリンには「バイアスピリン」というお薬があります。これは中身はアスピリンと全く同じで、ただ剤型と名前が異なるだけです。
ただしバイアスピリンは「腸溶剤」となっており、腸で溶けて始めて効果を発揮する剤型となっています。この理由はアスピリンをはじめとするNSAIDsは胃で効果を発揮してしまうと、胃を荒らして胃炎や胃潰瘍を起こしてしまう事があるからです(これをNSAIDs潰瘍と呼びます)。
つまり成分そのものは同じですが、アスピリンよりもバイアスピリンの方が胃腸障害などの副作用が少ないと言えます。
錠剤の方が何かと使い勝手が良いため、現在ではバイアスピリンが用いられることが多くなっていますが、
- 錠剤をうまく飲めない高齢者の脳梗塞・心筋梗塞の方
- 錠剤をうまく飲めない乳幼児の川崎病の方
に対して粉末製剤であるアスピリンは重宝します。
特に高齢者で脳梗塞の既往がある方は、後遺症で嚥下障害(飲み込む力が落ちてしまう事)が生じていることもあり、この場合錠剤だと上手く飲み込めません。
粉薬だと、水分に溶かしてトロミ剤を使って飲ませるなどといった工夫が可能になりますので、粉末製剤であるアスピリンが使われることは臨床上では多くあります。
6.アスピリンが向いている人は?
アスピリンはどのような方に向いているお薬なのでしょうか。
アスピリンの特徴をおさらいすると、
・高用量で消炎鎮痛作用がある
・低用量で抗血小板作用(血液を固まりにくくする作用)がある
・現在では抗血小板剤として使われることが多い
・川崎病に対しては消炎鎮痛作用も期待して投与される
・副作用の胃腸障害に注意
・喘息の方は使用に注意(他のNSAIDsと同様)
といった特徴がありました。
アスピリンにはNSAIDsとしての作用と抗血小板剤としての作用があります。
このうち、NSAIDsとしての作用はあまり用いられることはありません。その理由はNSAIDsはたくさんの種類があるため、わざわざ100年以上前に発売されたアスピリンを用いる理由が少ないからです。
現在よく用いられているNSAIDsとしては、
- ボルタレン
- ロキソニン
- セレコックス
- ポンタール
などがありますが、NSAIDsとしてのアスピリンはこれらの新しいNSAIDsが使えない何らかの事情がある時に検討されるお薬という位置づけです。
抗血小板剤としてはしばしば用いられます。しかし抗血小板剤として保険適応がないため、原則はアスピリンの腸溶剤である「バイアスピリン」が第一選択となります。
アスピリンが用いられるのは、何らかの理由によってバイアスピリンが用いられない場合(多くは錠剤ではなく粉薬が好ましい場合)に限られます。
川崎病に関してはアスピリンは適したお薬であるため、現在でも第一選択として用いられています。