アズノールST錠口腔用の効果と副作用【口内炎治療薬】

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アズノールST錠口腔用(一般名:アズレンスルホン酸ナトリウム)は、1986年から発売されている口内炎治療薬です。

植物由来の成分から作られたアズノールは、強力な効果はないものの安全性に非常に優れるという利点があります。そのため、主に軽症例を中心に現在でも広く用いられています。

口内炎の治療薬というとステロイドが用いられる事も多いですが、アズノールはステロイドなどの口内炎治療薬と比べてどのような違いがあるのでしょうか。

アズノールST錠口腔用はどのような特徴を持つお薬で、どのような患者さんに向いているお薬なのでしょうか。

ここではアズノールST錠口腔用の特徴や効果・副作用について説明させていただきます。

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1.アズノールST錠口腔用の特徴

まずはアズノールST錠口腔用の特徴をざっくりと紹介します。

アズノールST錠口腔用は、炎症を穏やかに抑える「グアイアズレン」という物質によって穏やかに口腔内の炎症を抑えます。また植物由来の成分であるため安全性にも非常に優れます。

口内炎に用いるお薬としては「ステロイド」が代表的です。ステロイドは炎症を抑える作用に優れるため、口の中に塗れば口腔内に生じている炎症をしっかりと抑えてくれます。

もちろんステロイドは悪い薬ではありませんし、症状によっては患者さんの役に立つお薬です。しかし効果がしっかりとある反面、副作用にも注意が必要なお薬になります。

それに対してアズノールは、効果は穏やかだけども副作用も非常に少ないという特徴があります。

アズノールはその原料が植物由来の物質になります。具体的には「カミツレ(カモミール)」というヨーロッパ原産のキク科の植物に含まれるアズレンを元に開発されたお薬になります。

アズレンに優れた抗炎症作用(炎症を抑える作用)がある事が発見され、それ以降「治療薬として使えないか」と、アズレンと同じような構造を持つ成分のうち抗炎症作用に優れた成分について研究が進められてきました。

その結果、アズノールST錠口腔用の主成分である「アズレンスルホン酸ナトリウム」が発見され、治療薬として用いられるようになったのです。

アズレンスルホン酸ナトリウムは、アズレンのように炎症を穏やかに抑える作用があり、また副作用もほとんどない安全性に優れる成分になります。

アズノールは、炎症を引き起こす原因になる白血球が、創部(口内炎などが出来ている部位)に過度に遊走してくるのを抑えるはたらきがあります。また炎症を引き起こすアレルギー性細胞のはたらきも抑える作用を持ち、これらの作用によって穏やかに炎症を抑えてくれます。

アズノールST錠口腔用は錠剤ではありますが、普通の錠剤のように飲み込んではいけません。口腔内の炎症に効かせたいため、錠剤を口腔内にとどめておかないといけずそのため、唇と歯茎の間に挟んでおく、という使い方をします。

このように口腔内に置いておくことで、錠剤が徐々に溶けていき、口腔内の炎症を抑えてくれるのです。

効果は穏やかであるため、程度の重い口腔内の炎症に対しては力不足の事もあり、そのような場合はステロイドの方が適している事もあります。

効果も穏やか、でも副作用も非常に少ない。アズノールST錠口腔用は端的に言えばこのような特徴を持った軟膏なのです。

以上からアズノールST錠口腔用の特徴として、次のような事が挙げられます。

【アズノールST錠口腔の特徴】

・植物由来の成分からなる、炎症を抑える作用を持つ錠剤である
・主に口腔内の炎症を抑えるのに用いられる
・主に抗炎症作用を持つが、その効果はステロイドなどと比べると弱め
・その分副作用も非常に少ない
・唇と歯茎の間に錠剤を挟んで置いておく、という使い方をする

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2.アズノールST錠口腔用の適応疾患と有効率

アズノールST錠口腔用はどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

咽頭炎、扁桃炎、口内炎、急性歯肉炎、舌炎、口腔創傷

アズノールST錠口腔用は、主に口腔内、そして上気道の炎症に対して用いられます。

穏やかで安全性が高い点がアズノールの利点ですから、臨床的には「軽症」の口腔内・上気道の炎症に用いられます。

反対にある程度強い炎症が生じている時は、ステロイド剤などの方が適している事もあります。ただしステロイドは炎症は抑えますが、細菌やウイルスを繁殖しやすくさせてしまうため、感染が原因で生じている炎症には用いないよう注意が必要です。

重症度の判断は皮膚科医などの専門家が行うべきですので、医師の診察をしっかりと受け、最適な治療を行う事が大切です。

ではアズノールST錠口腔用は、これらの疾患に対してどのくらいの効果があるのでしょうか。

アズノールST錠口腔用の有効性をみた調査では、上記疾患に対する総合的な有効率は66.9%であったと報告されています。

内訳としては、

  • 咽頭炎に対する有効率は59.6%
  • 扁桃炎に対する有効率は71.7%
  • 口内炎に対する有効率は74.2%
  • 急性歯肉炎に対する有効率は66.1%
  • 舌炎に対する有効率は65.9%
  • 口腔創傷に対する有効率は75.7%

と報告されています。

3.アズノールST錠口腔用の作用

主に軽症の口腔内・上気道の炎症に用いられるアズノールST錠口腔用ですが、具体的にはどのような作用を持っているのでしょうか。

報告されているアズノールの作用について紹介します。

Ⅰ.抗炎症作用

アズノールには穏やかな抗炎症作用があります。抗炎症作用とは、炎症を抑えてくれるはたらきのことです。

炎症とは細胞がダメージを受ける事で生じる反応です。

細胞がダメージを受けると、その部位は、

  • 発赤 (赤くなる)
  • 熱感 (熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛みを感じる)

という4つの徴候が生じます。これが炎症です。

炎症は細胞がダメージを受ければ生じますが、その原因は様々です。ウイルスや細菌に感染しても生じますし、ぶつけたりといった物理的ダメージでも生じます。アレルギー反応によって細胞がダメージを受けても生じます。

みなさんも身体をぶつけたり、ばい菌に感染したりして、身体がこのような状態になったことがあると思います。これが炎症です。

どのような原因であれ、炎症そのものを抑えてくれるのが抗炎症作用です。アズノールは抗炎症作用により、発赤・熱感・腫脹・疼痛を和らげてくれます。

アズノールが炎症を抑える機序は、

  • 白血球遊走阻止作用
  • 肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用

によるものと考えられています。

白血球というのは免疫細胞と呼ばれる細胞の1つです。

免疫というのは私たちの身体に異物が侵入してきたときにその異物を攻撃・排除するシステムの事で、私たちの身体にとっての「警備員」のようなものです。

細菌・ウイルスなどの異物が体内に侵入してくると白血球のような免疫細胞がそれを感知し、侵入部位に向かいます。これを「遊走」と呼びます。

そして侵入部位で異物を発見すると攻撃し、異物を排除します。ちなみにこの攻撃時に周囲の細胞もある程度巻き込んでしまうため炎症が引き起こされます。

白血球が適度に遊走してくれれば、多少の炎症は生じても異物が除去されるため問題ないのですが、過度に遊走してきてしまうと異物を除去するために過度の攻撃になり、攻撃部位が炎症で焼け野原のようになってしまう事もあります。

このような時は白血球の遊走を穏やかに抑えてあげれば抑えれば、必要な攻撃は行いつつ、不要に炎症を生じさせない事ができます。これを狙ったのがアズノールです。

またアズノールには「ヒスタミン」というアレルギーを引き起こす物質の遊離を抑制する作用がある事も報告されています。

アレルギー反応も免疫細胞によって炎症が引き起こされますので、アレルギー反応を抑えるはたらきは、炎症を抑えるはたらきにつながります。

この2つの機序によってアズノールは穏やかに炎症を抑えます。

ただし基本的には前者の作用が主で、後者の作用はかなり弱く、あくまでも補助的な作用にとどまります。

ちなみに抗炎症作用を持つお薬というとステロイドが代表的です。

ステロイドは確実な抗炎症作用を持ち、しっかりとした効果が期待できるため医療現場でもよく用いられていますが、反面で長期使用による副作用も決して軽視はできません。

ステロイド軟膏と比べるとアズノールの抗炎症作用は非力だと言わざるをえません。しかしアズノールは、その分安全性に優れています。長期使用をしても安全でありステロイドのような副作用が出ることはありません。

そのため炎症の程度が軽度であり、安全性を重視して治療したいという場合には、アズノールが用いられやすい傾向にあります。

ちなみに余談ですが、患者さんの中にはステロイドを過剰に怖がってしまう方がいますが、ステロイドは知識のしっかりある医師の元で正しく使用すれば、決して怖いものではありません。むしろ病気を早く治してくれる頼もしい薬です。

状態に応じてアズノールを使ったりステロイドを使ったり、上手に使い分けることで早く確実に治す事が出来ます。イメージだけで「ステロイドはイヤだ」と毛嫌いするのではなく、正しい知識を持って必要な時にはしっかりと使って頂きたいと思っております。

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4.アズノールST錠口腔用の副作用

アズノールST錠口腔用にはどのような副作用があるのでしょうか。またその頻度はどのくらいなのでしょうか。

アズノールST錠口腔用の副作用発生率は1.2%と報告されています。元々、植物由来の成分から開発されていますので安全性に優れ、副作用はほとんど生じません。

生じる副作用としては、

  • 悪心
  • 胃部不快感

などが報告されています。

いずれも軽度の胃腸症状に留まる事が多く、服薬を中断しないといけないほど重度となる事は稀です。

5.アズノールSTの用法・用量と剤形

アズノールSTは、

アズノールST錠口腔用 5mg

の1剤型のみがあります。

ちなみに「アズノールST錠口腔用」の「ST」は、「Sustained Tablet(保持錠)」の略になります。

これは口の中に置いておくことで、「少しずつ溶けだしていき、少しずつ効いていく」という意味になります。

アズノールST錠口腔用の使い方は、

通常1回1錠を1日4回左右いずれかの上顎の歯肉口唇移行部に挿入する。

なお、症状により適宜増減する。

となっています。

6.アズノールST錠口腔用が向いている人は?

以上から考えて、アズノールST錠口腔用が向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

アズノールST錠口腔用の特徴をおさらいすると、

【アズノールST錠口腔の特徴】

・植物由来の成分からなる、炎症を抑える作用を持つ錠剤である
・主に口腔内の炎症を抑えるのに用いられる
・主に抗炎症作用を持つが、その効果はステロイドなどと比べると弱め
・その分副作用も非常に少ない
・唇と歯茎の間に錠剤を挟んで置いておく、という使い方をする

というものでした。

ここから、「軽症の口腔内・上気道の炎症」が生じており、更に「安全性を優先して治療したい場合」には向いているお薬であると言えそうです。

一方である程度強い炎症が生じており、かつ感染性の炎症ではないような場合はステロイドの方が適している事もあります。

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