ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏の効果と副作用【外用ステロイド薬】

ベタメタゾン吉草酸エステルは、1965年から発売されている「リンデロンV」「ベトネベート」というお薬のジェネリック医薬品であり、外用ステロイド剤になります。

「ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏」「ベタメタゾン吉草酸エステルクリーム」「ベタメタゾン吉草酸エステルローション」の3つの剤型があります。

外用ステロイド剤とは、皮膚に塗るタイプ(塗り薬)のステロイド剤の事で、皮膚の炎症を抑えたり、厚くなった皮膚を薄くする作用などを持ちます。

塗り薬は飲み薬のようにお薬の成分が全身に回らないため、効かせたい部位にのみしっかりと効き、それ以外の部位にほとんど作用しないため安全性に優れます。

塗り薬はたくさんの種類があるため、それぞれがどのような特徴を持つのか一般の方にとっては分かりにくいものです。

ベタメタゾン吉草酸エステルはどんな特徴のあるお薬で、どんな患者さんに向いているお薬なのでしょうか。ここではベタメタゾン吉草酸エステルの特徴や効果・効能、副作用についてみてみましょう。

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1.ベタメタゾン吉草酸エステルの特徴

まずはベタメタゾン吉草酸エステルの特徴をざっくりと紹介します。

ベタメタゾン吉草酸エステルは皮膚に塗る外用ステロイド薬であり、皮膚の炎症を抑えてくれます。外用ステロイド薬の中での強さは「強い」(5段階中3番目)になります。

ステロイド外用剤(塗り薬)の主なはたらきとしては次の3つが挙げられます。

  • 免疫反応を抑える
  • 炎症反応を抑える
  • 皮膚細胞の増殖を抑える

ステロイドは免疫反応(身体がばい菌などの異物と闘う反応)を抑える事で、塗った部位の炎症反応を抑える作用があります。これにより湿疹や皮膚炎を改善させたり、アレルギー症状を和らげたりします。

また皮膚細胞の増殖を抑えるはたらきがあり、これによって厚くなった皮膚を薄くする作用も期待できます。

ベタメタゾン吉草酸エステルもステロイド外用剤の1つですが、外用ステロイド剤は強さによって5段階に分かれています。

【分類】 【強さ】 【商品名】
Ⅰ群 最も強力(Strongest) デルモベート、ダイアコートなど
Ⅱ群 非常に強力(Very Strong) アンテベート、ネリゾナ、マイザーなど
Ⅲ群 強力(Strong) ボアラ、リンデロンV、リドメックスなど
Ⅳ群 中等度(Medium) アルメタ、ロコイド、キンダベートなど
Ⅴ群 弱い(Weak) コートリル、プレドニンなど

この中でベタメタゾン吉草酸エステルは「Ⅲ群」に属します。ベタメタゾン吉草酸エステルは「リンデロンV」のジェネリック医薬品ですので強さもリンデロンVと同等になります。

表示上は「強い」となっていますが、外用ステロイドの中では中くらいの強さという位置づけです。

ステロイドはしっかりとした抗炎症作用(炎症を抑える作用)が得られる一方で、長期使用による副作用の問題などもあるため、皮膚症状に応じて適切な強さのものを使い分ける事が大切です。

強いステロイドは強力な抗炎症作用がありますが、一方で副作用も生じやすいというリスクもあります。反対に弱いステロイドは抗炎症作用は穏やかですが、副作用も生じにくいのがメリットです。

ベタメタゾン吉草酸エステルは外用ステロイド剤の中での強さは中くらいであるため、成人であれば四肢・体幹などといった通常の厚さの皮膚に塗るのに適しています。

顔や陰部など皮膚が薄い部位は弱いステロイドを使わないと副作用が出やすいため、ベタメタゾン吉草酸エステルを使用する際は注意が必要です。また頭部や足の裏など皮膚が厚い部位だとベタメタゾン吉草酸エステルでは力不足となってしまう可能性もあります(もちろん症状や程度によっては使う事もあります)。

ステロイドはどれも長期使用すると、皮膚の細胞増殖を抑制したり、免疫力を低下させたりしてしまいます。これによって皮膚が薄くなってしまったり感染しやすくなってしまったりといった副作用が生じる可能性があります。

ベタメタゾン吉草酸エステルもそういった副作用が生じる可能性はあるため、必要な期間のみ使用し、漫然と塗り続けないことが大切です。

またベタメタゾン吉草酸エステルはジェネリック医薬品ですので、先発品と比べて薬価が安いという利点もあります。

以上からベタメタゾン吉草酸エステルの特徴として次のような事が挙げられます。

【ベタメタゾン吉草酸エステルの特徴】

・Ⅲ群(強い)に属する外用ステロイド剤である
・炎症を抑える作用、免疫反応を抑える作用、皮膚細胞の増殖を抑える作用がある
・成人の四肢・体幹などへの使用に適している
・ステロイドであるため、長期使用による副作用に注意
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

2.ベタメタゾン吉草酸エステルはどんな疾患に用いるのか

ベタメタゾン吉草酸エステルはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

<軟膏・クリーム>
湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、女子顔面黒皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、皮膚そう痒症、痒疹群(蕁麻疹様苔癬、ストロフルス、固定蕁麻疹を含む)、虫さされ、乾癬、掌蹠膿疱症、扁平苔癬、光沢苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、ジベルバラ色粃糠疹、紅斑症(多形滲出性紅斑、結節性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑)、紅皮症(悪性リンパ腫による紅皮症を含む)、慢性円板状エリテマトーデス、薬疹・中毒疹、円形脱毛症(悪性を含む)、熱傷(瘢痕、ケロイドを含む)、凍瘡、天疱瘡群、ジューリング疱疹状皮膚炎(類天疱瘡を含む)、痔核、鼓室形成手術・内耳開窓術・中耳根治手術の術創

<ローション>
湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、女子顔面黒皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、乾癬、皮膚そう痒症、鼓室形成手術・内耳開窓術・中耳根治手術の術創、進行性壊疽性鼻炎

難しい専門用語がたくさん並んでいますね。これを見ただけではどのような疾患に使えばいいのかイメージが沸かないかと思います。

ステロイド外用剤を用いるのは、

  • 炎症を抑えたい
  • 免疫を抑えたい
  • 皮膚の増殖を抑えたい

の3つの状況であり、これを期待したい時に用いられます。

進行性指掌角皮症とはいわゆる「手荒れ」の事で、水仕事などで手を酷使する事により手の皮膚が傷付いてしまい、炎症を起こしてしまう状態です。

ビダール苔癬とはストレスなどが原因となり皮膚の一部に痒みや苔癬が生じる疾患です。主に首の後ろや大腿部などに生じやすいと言われています。

扁平紅色苔癬はかゆみを伴うたくさんの丘疹(小さな発疹)が融合し、盛り上がってうろこ状になる皮膚疾患です。

紅皮症は様々な原因によって皮膚に炎症が生じ、皮膚が赤くなり、落屑(皮膚が剥がれ落ちる事)などが生じる状態です。

熱傷は熱湯など高温刺激によって皮膚が炎症を起こす状態、凍瘡は寒冷刺激によって皮膚が炎症を起こす状態です。

これらの疾患はベタメタゾン吉草酸エステルの炎症を抑えるはたらきが効果を発揮します。ただし熱傷・凍瘡は急性期には皮膚が損傷する事でばい菌に感染するリスクも高いため適切な時期に使用する必要があります(ステロイドは免疫力を抑えて感染させやすくしてしまう側面があります)。

ストロフルスはアレルギー反応の1つで、主に虫に刺された後に生じる皮膚の腫れです。じんま疹もアレルギーの一種です。薬疹もお薬が原因で生じるアレルギー反応です。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は自己免疫疾患です。自己免疫疾患は免疫(ばい菌と闘う力)が何らかの原因によって暴走してしまい、自分自身を攻撃してしまう病気です。掌蹠膿疱症では、免疫の異常によって手足に膿胞(膿が溜まった皮疹)が出来てしまいます。

天疱瘡・類天疱瘡も自己免疫疾患で、免疫が自分の皮膚を攻撃してしまう事で水泡が生じる疾患です。

アレルギー疾患や自己免疫疾患は、免疫が過剰にはたらいてしまっている結果生じているため、ベタメタゾン吉草酸エステルの免疫力を低下させる作用が効果を発揮します。

乾癬(かんせん)とは皮膚の一部の細胞増殖が亢進していしまい、赤く盛り上がってしまう疾患です。

毛孔性紅色粃糠疹も毛孔(毛穴)に一致して皮膚が赤く腫れ、徐々に皮膚全体が盛り上がってくる疾患です。

瘢痕・ケロイドは傷跡が盛り上がってしまう状態で、皮膚修復の過程で過剰に皮膚が増殖してしまう事が原因です。

これらの疾患にはベタメタゾン吉草酸エステルの皮膚細胞増殖を抑制するはたらきが効果を発揮します。

慢性円板状エリテマトーデスは原因は不明ですが、皮膚の露出部(日光が当たる部位)に円板状の紅斑が生じます。慢性円板状エリテマトーデスもステロイドにより症状の改善が得られます。

注意点としてステロイドは免疫(身体が異物と闘う力)を抑制するため、ばい菌の感染に弱くなってしまいます。そのため、細菌やウイルスが皮膚に感染しているようなケースでは、そこにステロイドを塗る事は推奨されていません。

これらの疾患に対してベタメタゾン吉草酸エステルはどのくらいの効果があるのでしょうか。

ベタメタゾン吉草酸エステルはジェネリック医薬品であるため、有効性に関する詳しい調査は行われていません。しかし先発品の「リンデロンV」では行われており、上記疾患に対する総合的な有効率は、

  • リンデロンV軟膏で85.5%
  • リンデロンVクリームで82.5%
  • リンデロンVローションで90.5%

と報告されています。

内訳としては、

  • 湿疹・皮膚炎群(湿潤型)に軟膏を用いた際の有効率は95.5%
  • 湿疹・皮膚炎群(苔癬化型)にクリームを用いた際の有効率は89.4%
  • 乾癬に軟膏を用いた際の有効率は65.1%
  • 乾癬にクリームを用いた際の有効率は63.6%
  • 乾癬に軟膏の密封法(ODT)を用いた際の有効率は95.5%
  • 乾癬にクリームの密封法(ODT)を用いた際の有効率は93.5%
  • 湿疹・皮膚炎群にローションを用いた際の有効率は90.5%

となっています。同じ主成分からなるベタメタゾン吉草酸エステルも同程度の有効性があると考えられます。

密封法(ODT)とは、ステロイド外用剤を塗った後、創部をラップなどで覆って密封する治療法です。これによりステロイドの効果を数倍に高める事が出来ます。ただし副作用(感染リスクや皮膚萎縮)も数倍の率で出現しやすくなり、適応は慎重に判断する必要があります。

強力な効果が得られるメリットがありますが、ある調査によると、ベタメタゾン吉草酸エステルが属するⅢ群のステロイド外用剤では、密封法で1日10g以上を使用した場合、3~4日で皮膚萎縮が出現すると報告されていますので、安易に行うべきではありません。

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3.ベタメタゾン吉草酸エステルにはどのような作用があるのか

皮膚の炎症を抑えてくれるベタメタゾン吉草酸エステルですが、具体的にはどのような作用があるのでしょうか。

ベタメタゾン吉草酸エステルの作用について詳しく紹介します。

Ⅰ.免疫抑制作用

ベタメタゾン吉草酸エステルは、ステロイド剤です。

ステロイドには様々な作用がありますが、主な作用として免疫抑制作用があります。

免疫というのは身体の中に異物が侵入してきた時に、それを排除する生体システムの事です。皮膚からばい菌が侵入してきた時には、ばい菌をやっつける細胞を向かわせることでばい菌の侵入や増殖を阻止します。

免疫は身体にとって非常に重要なシステムですが、時にこの免疫反応が過剰となってしまい身体を傷付けてしまうことがあります。

代表的なものがアレルギー反応です。アレルギー反応というのは、本来であれば無害の物質を免疫が「敵だ!」と誤認識してしまい、攻撃してしまう現象です。

アレルギー反応をきたす疾患の1つに「花粉症(アレルギー性鼻炎)」がありますが、これも「花粉」という身体にとって無害な物質を免疫が「敵だ!」と認識して攻撃を開始してしまう疾患です。その結果、鼻水・鼻づまり・発熱・くしゃみなどの不快な症状が生じてしまいます。

同じく皮膚にアレルギー反応が生じる疾患にアトピー性皮膚炎がありますが、これも皮膚の免疫が誤作動してしまい、本来であれば攻撃する必要のない物質を攻撃してしまい、その結果皮膚が焼け野原のように荒れてしまうのです。

このような状態では、過剰な免疫を抑えてあげると良いことが分かります。

ステロイドは免疫を抑えるはたらきがあり、これによって過剰な免疫が生じている状態を和らげる作用が期待できます。

一方で免疫を抑えてしまう事で、ばい菌に感染しやすい状態を作ってしまうというデメリットもあります。

Ⅱ.抗炎症作用

上記のようにステロイドには免疫を低下させる作用があります。免疫がターゲットを攻撃しなくなると炎症が引き起こされなくなるため、これによって炎症を抑える作用(抗炎症作用)が得られます。

炎症とは、

  • 発赤 (赤くなる)
  • 熱感 (熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛みを感じる)

の4つの徴候を生じる状態のことです。炎症は何らかの原因で身体がダメージを受けた時に生じる現象で、例えば感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーでも生じます。

みなさんも身体をぶつけたり、ばい菌に感染したりして、身体がこのような状態になったことがあると思います。これが炎症です。皮膚に炎症が起こることを皮膚炎と呼びます。皮膚炎も外傷でも生じるし、ばい菌に感染することでも生じるし、アレルギーでも生じます。

ステロイドは免疫を抑制することで、炎症反応を生じにくくさせてくれる作用があります。

そのため外用ステロイド剤(ステロイドの塗り薬)は皮膚炎を改善させる作用が期待できます。

Ⅲ.皮膚細胞の増殖抑制作用

ベタメタゾン吉草酸エステルをはじめとしたステロイド外用剤は、塗った部位の皮膚細胞の増殖を抑えるはたらきがあります。

これは主に副作用となる事が多く、強いステロイドを長期間塗り続けていると皮膚が薄くなっていき毛細血管が目立って赤みのある皮膚になってしまう事があります。

しかし反対に皮膚が肥厚してしまうような疾患(乾癬や角化症など)においては、ステロイドを使う事で皮膚細胞の増殖を抑え、皮膚の肥厚を改善させることも出来ます。

4.ベタメタゾン吉草酸エステルの副作用

ベタメタゾン吉草酸エステルの副作用にはどのようなものがあるのでしょうか。また副作用の頻度はどのくらいなのでしょうか。

ベタメタゾン吉草酸エステルはジェネリック医薬品であるため、副作用発生率の詳しい調査は行われていません。しかし先発品の「リンデロンV」では行われており、副作用発生率は3.41%と報告されています。同じ主成分からなるベタメタゾン吉草酸エステルも同程度の副作用発生率だと考えられます。

ベタメタゾン吉草酸エステルは塗り薬で全身に投与するものではないため、副作用が多いお薬ではありません。ステロイド剤ですので、漫然と塗り続けないように注意は必要ですが、正しく用いれば安全に使う事は十分に可能です。

生じる副作用としては

  • 毛嚢炎・癤(せつ)
  • 皮膚刺激感

などになります。

ステロイドは免疫を低下させてしまうため、ばい菌に感染しやすくなって毛嚢炎やせつ(いわゆる「おでき」)、真菌感染を起こしてしまうリスクがあります。

またステロイドの長期塗布は皮膚を薄くしてしまうため、それによって刺激感が認められた理皮膚萎縮などが生じる事があります。

いずれも長期間使えば使うほど発生する可能性が高くなるため、ステロイドは漫然と使用する事は避け、必要な期間のみしっかりと使う事が大切です。

また滅多にありませんが、重篤な副作用として、

  • 緑内障(眼圧亢進)
  • 白内障

などの可能性が報告されています。

また、ステロイドは免疫力を低下させるため、免疫力が活性化していないとまずい状態での塗布はしてはいけません。具体的にはばい菌感染が生じていて、免疫がばい菌と闘わなくてはいけないときなどが該当します。

このような状態の皮膚にベタメタゾン吉草酸エステルを塗る事は禁忌(絶対にダメ)となっています。

ちなみに添付文書には次のように記載されています。

【禁忌】

(1)細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症、及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)
(2)本剤に対して過敏症の既往歴のある患者
(3)鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎
(4)潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷

これらの状態でベタメタゾン吉草酸エステルが禁忌となっているのは、皮膚の再生を遅らせたり、感染しやすい状態を作る事によって重篤な状態になってしまう恐れがあるためです。

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5.ベタメタゾン吉草酸エステルの用法・用量と剤形

ベタメタゾン吉草酸エステルには、

ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12% 5g (チューブ)
ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12% 10g (チューブ)
ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12% 500g (ポリエチレン容器)

ベタメタゾン吉草酸エステルクリーム0.12% 5g (チューブ)
ベタメタゾン吉草酸エステルクリーム0.12% 10g (チューブ)
ベタメタゾン吉草酸エステルクリーム0.12% 30g (チューブ)

ベタメタゾン吉草酸エステルローション0.12% 10mL (ポリエチレン容器)

といった剤型があります。

ちなみに塗り薬には「軟膏」「クリーム」「ローション(外用液)」などいくつかの種類がありますが、これらはどのように違うのでしょうか。

軟膏は、ワセリンなどの油が基材となっています。長時間の保湿性に優れ、刺激性が少ないことが特徴ですが、べたつきは強く、これが気になる方もいらっしゃいます。また皮膚への浸透力も強くはありません。

クリームは、水と油を界面活性剤で混ぜたものです。軟膏よりも水分が入っている分だけ伸びがよく、べたつきも少なくなっていますが、その分刺激性はやや強くなっています。

ローションは水を中心にアルコールなどを入れることもある剤型です。べたつきはほとんどなく、遣い心地は良いのですが、保湿効果は長続きしません。しかし皮膚への浸透力は強く、皮膚が厚い部位などに使われます。

ベタメタゾン吉草酸エステルの使い方は、

通常、1日1~数回、適量を患部に塗布する。なお、症状により適宜増減する。

と書かれています。実際は皮膚の状態や場所によって回数や量は異なるため、主治医の指示に従いましょう。

6.ベタメタゾン吉草酸エステルの使用期限はどれくらい?

ベタメタゾン吉草酸エステルの使用期限って、どのくらいの長さなのでしょうか。

「家に数年前に処方してもらった塗り薬があるんだけど、これってまだ使えますか?」

このような質問は患者さんから時々頂きます。

これは保存状態によっても異なってきますので、一概に答えることはできませんが、適正な条件(室温保存)で保存されていたという前提だと、「3年」が使用期限となります。

7.ベタメタゾン吉草酸エステルが向いている人は?

以上から考えて、ベタメタゾン吉草酸エステルが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ベタメタゾン吉草酸エステルの特徴をおさらいすると、

【ベタメタゾン吉草酸エステルの特徴】

・Ⅲ群(強い)に属する外用ステロイド剤である
・炎症を抑える作用、免疫反応を抑える作用、皮膚細胞の増殖を抑える作用がある
・成人の四肢・体幹などへの使用に適している
・ステロイドであるため、長期使用による副作用に注意
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

というものでした。

ここから、皮膚の免疫反応が過剰となって炎症が生じている時、皮膚が異常に厚くなってしまっている時に使用する塗り薬だと考えられます。

ステロイドの中での効果は中くらいであり、主に成人の四肢・体幹に生じた皮膚疾患に対して用いられます。

子供の皮膚や成人の顔・陰部などは皮膚が薄く敏感であるため、ベタメタゾン吉草酸エステルを用いる際は注意が必要で、一般的にはより弱い外用ステロイドから始めます。

また頭部が足の裏などの皮膚が厚い部位は、ベタメタゾン吉草酸エステルだと力不足となってしまう事もあり、場合によってはより強い外用ステロイドを用いる事もあります。

また、これはステロイド全てに言えることですが、ステロイドは漫然と使い続けることは良くありません。副作用をなるべく起こさないためには、必要な時期のみしっかりと使い、必要がなくなったら使うのを止めるという、メリハリを持った使い方が非常に大切です。

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