ベトノバールG軟膏の効果と副作用【外用ステロイド・抗菌薬】

ベトノバールG軟膏・ベトノバールGクリーム(一般名:ベタメタゾン吉草酸エステル・ゲンタマイシン硫酸塩)は、1970年から発売されている「リンデロンVG」というお薬のジェネリック医薬品になります。

ベトノバールGには「外用ステロイド剤」と「外用抗菌薬」の2つの成分が含まれています。

外用ステロイド剤には皮膚の炎症を抑えるはたらきがあり、外用抗菌薬には細菌をやっつける作用があります。この両方の作用が必要と判断される時、ベトノバールGが用いられます。

塗り薬は飲み薬のようにお薬の成分が全身に回らないため、効かせたい部位にのみしっかりと効き、それ以外の部位にほとんど作用しないため安全性に優れます。

ベトノバールGはどんな特徴のあるお薬で、どんな患者さんに向いているお薬なのでしょうか。ここではベトノバールGの特徴や効果・効能、副作用についてみてみましょう。

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1.ベトノバールGの特徴

まずはベトノバールGの特徴を紹介します。

ベトノバールGは皮膚に塗るステロイド外用薬と外用抗菌薬の2つの成分を配合したお薬です。ステロイドは皮膚の炎症を抑えてくれ、抗菌薬は細菌をやっつけてくれます。

皮膚の細菌感染を予防・改善させつつ、炎症も抑えたいという時に用いられる外用剤になります。

ベトノバールGは「ベタメタゾン吉草酸エステル」というステロイド外用剤と、「ゲンタマイシン硫酸塩」という外用抗菌薬を配合した外用剤(塗り薬)になります。

ステロイドと抗菌薬がそれぞれ皮膚でどのようなはたらきをするのかを簡単に説明します。

まずステロイド外用剤の主なはたらきとしては、次の3つが挙げられます。

  • 免疫反応を抑える
  • 炎症反応を抑える
  • 皮膚細胞の増殖を抑える

ステロイドは免疫反応(身体がばい菌などの異物と闘う反応)を抑える事で、塗った部位の炎症反応を抑える作用があります。これにより湿疹や皮膚炎を改善させたり、アレルギー症状を和らげたりします。

また皮膚細胞の増殖を抑えるはたらきがあり、これによって過度に厚くなった皮膚を薄くする作用も期待できます。

ちなみに外用ステロイド剤は強さによって5段階に分かれています。

【分類】 【強さ】 【商品名】
Ⅰ群 最も強力(Strongest) デルモベート、ダイアコートなど
Ⅱ群 非常に強力(Very Strong) アンテベート、ネリゾナ、マイザーなど
Ⅲ群 強力(Strong) ボアラ、リンデロンV、リドメックスなど
Ⅳ群 中等度(Medium) アルメタ、ロコイド、キンダベートなど
Ⅴ群 弱い(Weak) コートリル、プレドニンなど

ベトノバールGに含まれるステロイドは「Ⅲ群」に属する「リンデロンV」と同じ成分(ベタメタゾン吉草酸エステル)であり、強さは「強い」になります。表示上は「強い」ですが、ステロイド外用剤の中では中くらいの強さという位置づけです。

ステロイドはしっかりとした抗炎症作用(炎症を抑える作用)が得られる一方で、長期使用による副作用の問題などもあるため、皮膚症状に応じて適切な強さのものを使い分ける事が大切です。

強いステロイドは強力な抗炎症作用がありますが、一方で副作用も生じやすいというリスクもあります。反対に弱いステロイドは抗炎症作用は穏やかですが、副作用も生じにくいのがメリットです。

また抗菌薬としては「ゲンタマイシン硫酸塩」を含んでおり、これは「アミノグリコシド系」という種類の抗菌薬になります。

アミノグリコシド系抗菌薬は、細菌の細胞内にあるリボソームという細胞内小器官に結合し、リボソームが正常にはたらけないようにします。リボソームはDNA情報を元に種々のタンパク質を合成するはたらきを持つため、リボソームがはたらけなくなると細菌は必要なタンパク質を合成できなくなってしまいます。

すると細菌が生きるために必要なタンパク質の合成も行えなくなってしまうため、細菌は死んでしまうのです。

アミノグリコシド系は主にグラム陰性桿菌に対して強い抗菌力を持ち、またグラム陽性球菌に対してもある程度の抗菌力を持っています。日常的な感染症の原因となる菌の多くはグラム陽性球菌とグラム陰性桿菌ですので、ゲンタマイシンは幅広く効く頼れるお薬になります。

しかし皮膚の感染症の8割ほどはグラム陽性球菌であるため、グラム陽性球菌に対してそこまで強い抗菌力を持たないゲンタマイシンは、重症の皮膚感染症には力不足な面もあります。

「Ⅲ群の強さを持つステロイド」と「グラム陰性桿菌を中心にグラム陽性球菌にも効果のある抗菌薬」の2つの成分を含むベトノバールGは、

「ステロイド治療が必要な皮膚疾患に、細菌感染が生じてしまった時」
「ステロイド治療が必要な皮膚疾患で、細菌感染リスクが高いと考えられる時」

などといったケースに検討されるお薬です。

炎症や表皮の過剰な増殖を抑えるような治療が望まれる皮膚疾患において、細菌感染が生じている(あるいは生じる可能性が高い時)に効果を発揮します

炎症を抑えつつ、細菌感染も改善させてくれるという一見優れたお薬ですが、免疫力(ばい菌に対する抵抗力)を弱めるステロイドと、ばい菌をやっつける抗菌薬を配合しており、ばい菌をやっつけたいのか繁殖させたいのか分からない作用機序となっている面もあります。

内科では安易に処方される傾向もありますが、専門の皮膚科医はこのような相反する作用を持つベトノバールGの処方をあまり好まない先生も少なくありません。

そのため、その適応は慎重に判断すべきであり、安易に処方するお薬ではありません。

またジェネリック医薬品であるベトノバールGは、先発品の「リンデロンVG」と比べて薬価が安いのもメリットの1つです。

以上からベトノバールGの特徴として次のような事が挙げられます。

【ベトノバールGの特徴】

・Ⅲ群(強い)に属する外用ステロイド剤を含む
・炎症を抑える作用、免疫反応を抑える作用、皮膚細胞の増殖を抑える作用がある
・アミノグリコシド系に属する抗菌薬(細菌をやっつけるお薬)を含む
・グラム陰性桿菌に強い抗菌力を持ち、グラム陽性球菌にもある程度効く
・炎症を抑えつつ、細菌感染も予防・治療したい際に用いられる
・相反する作用を持つ面があり、適応は慎重に判断する必要がある
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

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2.ベトノバールGはどんな疾患に用いるのか

ベトノバールGはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

<適応菌種>
ゲンタマイシン感性菌

<適応症>
○ 湿潤、びらん、結痂を伴うか、又は二次感染を併発している次の疾患

湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、脂漏性皮膚炎を含む)、乾癬、掌蹠膿疱症

○ 外傷・熱傷及び手術創等の二次感染

まずゲンタマイシンという抗菌薬を含むベトノバールGは、その適応として「ゲンタマイシン感性菌(ゲンタマイシンが効く細菌)」に対して使用する必要があります。

では皮膚に感染している菌がゲンタマイシン感性菌かどうかはどのようにして判定するのでしょうか。

これは症状や感染部位から医師が経験的に判断する他、より正確に判定するのであれば感染部の菌を培養して、ゲンタマイシンがその菌に効果があるのかを検査で見る方法もあります(細菌薬剤感受性検査)。

また、ステロイド外用剤は免疫(身体がばい菌と闘うシステム)を抑える事で炎症を抑えるはたらきがあります。また表皮の増殖を抑えて薄くする作用があります。

そのため免疫が誤作動してしまっている状態や、炎症が生じてしまっている状態、皮膚が過剰に厚くなってしまっている状態などに用いられます。

ステロイドと抗菌薬を含むベトノバールGが適応を持つ疾患について紹介します。

進行性指掌角皮症とはいわゆる「手荒れ」の事で、水仕事などで手を酷使する事により手の皮膚が傷付いてしまい、炎症を起こしてしまう状態です。

脂漏性皮膚炎は、皮脂を栄養とするマラセチア(真菌の一種)がは皮脂の多い部位で増殖してしまい皮膚炎を引き起こす疾患です。マラセチアは皮脂を刺激性のある遊離脂肪酸を分解する作用があり、この遊離脂肪酸が皮膚に炎症を引き起こすため、脂漏性皮膚炎が発症してしまいます。

これらの疾患にはステロイドの炎症を抑える作用が効果を発揮します。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は自己免疫疾患です。自己免疫疾患は免疫(ばい菌と闘う力)が何らかの原因によって暴走してしまい、自分自身を攻撃してしまう病気です。掌蹠膿疱症では、免疫の異常によって手足に膿胞(膿が溜まった皮疹)が出来てしまいます。

掌蹠膿疱症にはステロイドの免疫を抑える作用が効果を発揮します。

乾癬(かんせん)とは皮膚の一部の細胞増殖が亢進していしまい、赤く盛り上がってしまう疾患です。

乾癬にはステロイドの皮膚の増殖を抑える作用が効果を発揮します。

更にベトノバールGには抗菌薬が含まれているため、これらのステロイドで治療すべき疾患がありつつ、「細菌感染するリスクが高い状態」「細菌に感染している状態」である場合に使用が検討されます。

皮膚に湿潤、びらん、結痂(けっか:かさぶた)が生じている場合、皮膚が障害を受けているため、細菌が皮膚内に侵入して感染するリスクが高くなります。また外傷・熱傷、手術創も皮膚が障害を受けているため、細菌感染のリスクが高い状態です。

このように「ステロイドが必要な皮膚疾患」が「細菌感染している(あるいはそのリスクが高い)」時に用いられます。

では、これらの疾患に対してベトノバールGはどのくらいの効果があるのでしょうか。

ベトノバールGはジェネリック医薬品であるため、有効性に対する詳しい調査は行われていません。しかし先発品の「リンデロンVG」では行われており、上記疾患に対する総合的な有効率は、

  • リンデロンVG軟膏で86.9%
  • リンデロンVGクリームで69.8%

と報告されています。同じ主成分からなるベトノバールGの有効率も同程度だと考えられます。

3.ベトノバールGにはどのような作用があるのか

ステロイドと抗菌薬を含むベトノバールGですが、具体的にはどのような作用があるのでしょうか。

ベトノバールGの各作用について詳しく紹介します。

Ⅰ.免疫抑制作用

ベトノバールGに含まれる「ベタメタゾン吉草酸エステル」はステロイド剤です。

ステロイドには様々な作用がありますが、主な作用として免疫抑制作用があります。

免疫というのは身体の中に異物が侵入してきた時に、それを排除する生体システムの事です。皮膚からばい菌が侵入してきた時には、ばい菌をやっつける細胞を向かわせることでばい菌の侵入や増殖を阻止します。

免疫は身体にとって非常に重要なシステムですが、時にこの免疫反応が過剰となってしまい身体を傷付けてしまうことがあります。

代表的なものがアレルギー反応です。アレルギー反応というのは、本来であれば無害の物質を免疫が「敵だ!」と誤認識してしまい、攻撃してしまう現象です。

アレルギー反応をきたす疾患の1つに「花粉症(アレルギー性鼻炎)」がありますが、これも「花粉」という身体にとって無害な物質を免疫が「敵だ!」と認識して攻撃を開始してしまう疾患です。その結果、鼻水・鼻づまり・発熱・くしゃみなどの不快な症状が生じてしまいます。

また掌蹠膿疱症のような自己免疫疾患も同じく免疫が何らかの原因によって暴走してしまい、自分自身の皮膚を攻撃してしまいます。その結果、手足に膿胞(膿が溜まった皮疹)が出来てしまいます。

このような状態では、過剰な免疫を抑えてあげると良いことが分かります。

ステロイドは免疫を抑えるはたらきがあり、これによって過剰な免疫が生じている状態を和らげる作用が期待できます。

一方で免疫を抑えてしまう事で、ばい菌に感染しやすい状態を作ってしまうというデメリットもあります。

Ⅱ.抗炎症作用

上記のようにステロイドには免疫を低下させる作用があります。免疫がターゲットを攻撃しなくなると炎症が引き起こされなくなるため、これによって炎症を抑える作用(抗炎症作用)が得られます。

炎症とは、

  • 発赤 (赤くなる)
  • 熱感 (熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛みを感じる)

の4つの徴候を生じる状態のことです。炎症は何らかの原因で身体がダメージを受けた時に生じる現象で、例えば感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーでも生じます。

みなさんも身体をぶつけたり、ばい菌に感染したりして、身体がこのような状態になったことがあると思います。これが炎症です。皮膚に炎症が起こることを皮膚炎と呼びます。皮膚炎も外傷でも生じるし、ばい菌に感染することでも生じるし、アレルギーでも生じます。

ステロイドは免疫を抑制することで、炎症反応を生じにくくさせてくれる作用があります。

そのため外用ステロイド剤(ステロイドの塗り薬)を含むお薬は皮膚炎を改善させる作用が期待できます。

Ⅲ.皮膚細胞の増殖抑制作用

ベトノバールGに含まれるステロイド、「ベタメタゾン吉草酸エステル」には塗った部位の皮膚細胞の増殖を抑えるはたらきがあります。

これは主に副作用となる事が多く、強いステロイドを長期間塗り続けていると皮膚が薄くなっていき毛細血管が目立って赤みのある皮膚になってしまう事があります。

しかし反対に皮膚が肥厚してしまうような疾患(乾癬や角化症など)においては、ステロイドを使う事で皮膚細胞の増殖を抑え、皮膚の肥厚を改善させることも出来ます。

Ⅳ.抗菌作用

ベトノバールGに含まれる「ゲンタマイシン硫酸塩」はアミノグリコシド系に属する抗菌薬です。抗菌薬というのは「細菌」をやっつける作用を持つお薬の事です。

ではこの抗菌薬はどのような作用機序によって細菌をやっつけるのでしょうか。

まず抗菌薬は「静菌作用」を持つものと「殺菌作用」を持つものに分けられます。

静菌作用というのは「細菌の増殖を抑える作用」です。細菌を殺すわけではなく、それ以上増殖させないようにすることで、穏やかな抗菌作用だと言えます。

対して殺菌作用というのは「細菌を殺す作用」です。直接細菌にダメージを与えることで、強力な抗菌作用を示します。

どちらも抗菌作用ですが、殺菌作用の方がより強い効果である事が分かります。

ゲンタマイシンはと言うと「殺菌作用」を持つお薬になり、強力に菌をやっつけてくれる作用を持ちます。

ではゲンタマイシンはどのようにして細菌を殺すのでしょうか。

ゲンタマイシンをはじめとしたアミノグリコシド系抗菌薬は、細菌の細胞内にあるリボソームという細胞内小器官に結合し、リボソームのはたらきを邪魔する事でその作用を発揮します。

リボソームというのは、DNA情報を元に種々のタンパク質を合成するはたらきを持ちます。

ゲンタマイシンがリボソームのはたらきをブロックすると、細菌は必要なタンパク質を合成できなくなってしまいます。すると細菌が生きるために必要なタンパク質の合成も行えなくなってしまうため、細菌は死んでしまうのです。

例えば細菌の細胞の壁の原料もタンパク質ですから、リボソームのはたらきが邪魔されると、細菌は自分の細胞の形状を保てなくなります。

このような作用によってゲンタマイシンは主に、グラム陰性桿菌(大腸菌、クレブシエラ、エンテロバクター、緑膿菌など)に強い抗菌作用を発揮し、またグラム陽性球菌(ブドウ球菌など)にもある程度の効果を有しています。

4.ベトノバールGの副作用

ベトノバールGの副作用にはどのようなものがあるのでしょうか。また副作用の頻度はどのくらいなのでしょうか。

ベトノバールGはジェネリック医薬品ですので、副作用発生率に対する詳しい調査は行われていません。しかし先発品の「リンデロンVG」では行われており、副作用発生率は4.0%と報告されています。

同じ主成分からなるベトノバールGもこれと同程度の副作用発生率だと考えられます。

ベトノバールGは塗り薬で全身に投与するものではないため、副作用が多いお薬ではありません。ステロイド剤を含みますので漫然と塗り続けないように注意は必要ですが、正しく用いれば安全に使う事は十分に可能です。

生じる副作用としては

  • 皮膚刺激感・潮紅
  • 皮膚炎

などが報告されています。

ベトノバールGに含まれるステロイド(ベタメタゾン吉草酸エステル)は免疫を低下させてしまうため、ばい菌に感染しやすくなって皮膚炎を悪化させる事があります。またベトノバールGに含まれる抗菌薬(ゲンタマイシン)に対する接触性皮膚炎を起こして皮膚が荒れる事もあります。

またステロイドの長期塗布は皮膚を薄くしてしまうため、それによって刺激感が認められたり皮膚が薄くなって顔面潮紅が認められる事があります。

頻度は多くはありませんが、重篤な副作用として、

  • 緑内障(眼圧亢進)
  • 白内障

などの可能性が報告されています。

ベトノバールGは次のような状態では禁忌(絶対に使ってはダメ)となっています。

【禁忌】

1.ゲンタマイシン耐性菌又は非感性菌による皮膚感染のある場合
2.真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症、及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)
3.本剤に対して過敏症の既往歴のある方
4.鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎
5.潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷
6.ストレプトマイシン、カナマインシン、ゲンタマイシン、フラジオマイシン等のアミノグリコシド系抗生物質又はバシトラシンに対し過敏症の既往歴のある方

ベトノバールGは「ゲンタマイシン」という抗菌薬を含んでいますので、ゲンタマイシン耐性菌・非感性菌(ゲンタマイシンが効かない菌)に対して使用してはいけません。

またベトノバールGに含まれるステロイドは、免疫(ばい菌などの異物と闘う反応)を弱めてしまいます。細菌感染に対しては抗菌薬を配合しているためある程度はブロックできますが、真菌やウイルスに対しては感染リスクを高めてしまうため、これらの感染が疑われる部位には塗布してはいけません。

湿疹性外耳道炎、潰瘍、第2度深在性以上の熱傷・凍傷はステロイドを塗る事で感染リスクが高まるため、ベトノバールGは塗布してはいけません。

またステロイドやゲンタマイシンが属するアミノグリコシド系抗菌薬に過敏症の既往がある方は、ベトノバールGを使用すると過敏症状が出現する可能性が高いため、同様に使用してはいけません。

5.ベトノバールGの用法・用量と剤形

ベトノバールGには、

ベトノバールG軟膏0.12% 5g (チューブ)
ベトノバールG軟膏0.12% 10g (チューブ)

ベトノバールGクリーム0.12% 5g (チューブ)
ベトノバールGクリーム0.12% 10g (チューブ)

といった剤型があります。

ちなみにベトノバールG1g中には、

  • ベタメタゾン吉草酸エステル 1.2mg(0.12%)
  • ゲンタマイシン硫酸塩 1mg(0.1%)

が含まれています。

またベトノバールGの「G」は「Gentamicin」の事で、これはベトノバールGに含まれる抗菌薬である「ゲンタマイシン」を表しています。

外用剤には「軟膏」「クリーム」「ローション(外用液)」などいくつかの種類がありますが、これらはどのように違うのでしょうか。

軟膏は、ワセリンなどの油が基材となっています。長時間の保湿性に優れ、刺激性が少ないことが特徴ですが、べたつきは強く、これが気になる方もいらっしゃいます。また皮膚への浸透力も強くはありません。

クリームは、水と油を界面活性剤で混ぜたものです。軟膏よりも水分が入っている分だけ伸びがよく、べたつきも少なくなっていますが、その分刺激性はやや強くなっています。

ローションは水を中心にアルコールなどを入れることもある剤型です。べたつきはほとんどなく、遣い心地は良いのですが、保湿効果は長続きしません。しかし皮膚への浸透力は強く、皮膚が厚い部位などに使われます。

ベトノバールGの使い方は、

通常、1日1~数回、適量を塗布する。なお、症状により適宜増減する。

と書かれています。実際は皮膚の状態や場所によって回数や量は異なるため、主治医の指示に従いましょう。

6.ベトノバールGの使用期限はどれくらい?

ベトノバールGの使用期限って、どのくらいの長さなのでしょうか。

「家に数年前に処方してもらった塗り薬があるんだけど、これってまだ使えますか?」

このような質問は患者さんから時々頂きます。

これは保存状態によっても異なってきますので、一概に答えることはできませんが、適正な条件(遮光・気密容器・室温保存)で保存されていたという前提だと「3年」が使用期限となります。

7.ベトノバールGが向いている人は?

以上から考えて、ベトノバールGが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ベトノバールGの特徴をおさらいすると、

【ベトノバールGの特徴】

・Ⅲ群(強い)に属する外用ステロイド剤を含む
・炎症を抑える作用、免疫反応を抑える作用、皮膚細胞の増殖を抑える作用がある
・アミノグリコシド系に属する抗菌薬(細菌をやっつけるお薬)を含む
・グラム陰性桿菌に強い抗菌力を持ち、グラム陽性球菌にもある程度効く
・炎症を抑えつつ、細菌感染も予防・治療したい際に用いられる
・相反する作用を持つ面があり、適応は慎重に判断する必要がある
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

というものでした。

ここからステロイドで治療すべき皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、乾癬、掌蹠膿疱症など)において、細菌感染が生じてしまっている時(あるいはそのリスクが高い時)に検討されるお薬となります。

細菌が感染している部位に細菌をやっつける抗菌薬を塗るものの、細菌を攻撃する免疫系を抑えるステロイドも配合してしまっているため、作用が相反する面もあり、その適応は慎重に判断すべきになります。

ステロイドと抗菌薬という2つの成分が配合されているため、安易に様々な皮膚疾患に使われがちな面もありますが、安易な使用はゲンタマイシンの耐性菌を増やしてしまったり、ステロイドの作用によってかえって感染を悪化させてしまったりする事もあります。

実際、皮膚の細菌感染症の多くはゲンタマイシン耐性菌になっていると言われています。

ベトノバールGのようなお薬は、ステロイドと抗菌薬の2つが必要だと判断されるケースに限って用いられる外用剤になり、その適応は慎重に判断する必要があります。

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