ブロムヘキシンの効果・効能と副作用【去痰剤】

ブロムヘキシン塩酸塩は1966年から発売されている「ビソルボン」というお薬のジェネリック医薬品です。

いわゆる「痰切り」で、専門的には「去痰剤(きょたんざい)」と呼ばれます。

ブロムヘキシンは、主に風邪や気管支炎などで痰がからんでしまうような時に、痰を溶かし、サラサラにする事で出しやすくする作用があります。

痰は多くの疾患で認められる症状ですので、ブロムヘキシンは古いお薬でありながら現在でも広く用いられているお薬の1つになります。

去痰剤の中でブロムヘキシンはどのような特徴のあるお薬で、どのような患者さんに向いているお薬なのでしょうか。ここではブロムヘキシンの特徴や効果・副作用についてお話させて頂きます。

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1.ブロムヘキシンの特徴

まずはブロムヘキシンの特徴を紹介します。

ブロムヘキシンは気道の痰の粘度を下げ、痰を溶かす事で痰を排出させやすくするお薬です。

ブロムヘキシンはインドに生息する「アダトダ・ウァシカ」という植物に含まれる成分が元になっています。アダトダ・ウァシカは古来からインドで喘息や風邪の治療薬として使われていた生薬です。

ブロムヘキシンの主な作用は粘液性(ネバネバ)の痰に水分を含ませる事で漿液性(サラサラ)にする事、そして痰の粘度に関係している酸性糖タンパクを溶かす事で痰をサラサラにする事です。

痰切りのお薬にもいくつかの種類があります。その作用を大きく分けると、

・痰を出しやすくするお薬
・痰を溶かすお薬

があります。

このうち、ブロムヘキシンは後者になります。

ちなみに前者に該当する去痰剤には「ムコダイン(一般名:カルボシステイン)」、「ムコソルバン(一般名:アンブロキソール)」などがあります。

ブロムヘキシンは重篤な副作用はほとんど生じないため、安全に使用できるお薬です。たまに胃不快感などの胃腸系の症状が出ますが、出たとしても軽度であり、安全性はとても高いお薬になります。

またジェネリック医薬品であり、薬価が多少安くなっているのもブロムヘキシンのメリットです。ただし先発品のビソルボンも古いお薬であり薬価は安いため、そこまで金銭的に変わるわけではありません。

以上からブロムヘキシンの特徴として次のような点が挙げられます。

【ブロムヘキシンの特徴】

・痰に水分を含ませ、溶かす事で排出しやすくするはたらきを持つ
・副作用が少なく安全性が高い
・ジェネリック医薬品である

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2.ブロムヘキシンはどのような疾患に用いるのか

ブロムヘキシンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

下記疾患の去痰

急性気管支炎、慢性気管支炎、肺結核、塵肺症、手術後

難しく書かれていますが、基本的には痰が出るような呼吸器疾患に対して、「痰切り」の目的で投与されるという認識で良いでしょう。

ブロムヘキシンはこれらの疾患に対してどのくらいの効果があるのでしょうか。

ブロムヘキシンはジェネリック医薬品であるため、有効性に対する詳しい調査は行われていません。しかし先発品の「ビソルボン」の有効率をみた調査では、去痰効果の有効率は69.5%と報告されています。

ブロムヘキシンもこれと同程度の有効率があると考えられます。

3.ブロムヘキシンにはどのような作用があるのか

主に痰切り(去痰剤)として用いられるブロムヘキシンですが、どのような機序で痰を出しやすくしているのでしょうか。またその他の作用はどのように生じているのでしょうか。

ブロムヘキシンには次のような作用があります。

Ⅰ.漿液性分泌の増加

ブロムヘキシンは気道にたまっているネバネバな痰をサラサラにするはたらきがあります。

サラサラになれば痰は気道にこびりつきにくくなるため、咳で体外に排出しやすくなります。

ではどのような機序によってネバネバな痰をサラサラにするのでしょうか。

ブロムヘキシンは、漿液性(サラサラ)の分泌物を気道から分泌させるのを促進させる作用があります。漿液性の分泌物がたくさん分泌されると、痰に漿液性成分が混ざるため、粘度が低下してサラサラになり、痰が排出されやすくなるのです。

Ⅱ.酸性糖タンパクの溶解・低分子化

切れない痰というのは粘液性(ネバネバ)である事が多いのですが、これは痰に含まれる酸性糖タンパクが一因となっています。

ブロムヘキシンは痰のネバネバの原因である酸性糖タンパクを溶解し、低分子化するはたらきがあります。

これはブロムヘキシンが気管分泌細胞内でリゾゾームという細胞小器官に含まれる酵素の分泌を促進させるためだと考えられています。

これにより痰を出しやすくしてくれます。

Ⅲ.気管支の線毛の動きを良くする

気管支の壁には線毛(繊毛)と呼ばれる毛のようなものが付いています。

この毛は、異物が気管に入ると動きが活性化し、体外に異物を運ぶはたらきがあります。

ブロムヘキシンは気管壁に存在する線毛の動きを活性化させる事で、痰を体外に排出しやすくする作用もある事が確認されています。

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4.ブロムヘキシンの副作用

ブロムヘキシンにはどんな副作用があるのでしょうか。またその頻度はどのくらいなのでしょうか。

ブロムヘキシンはジェネリック医薬品であるため、副作用発生率の詳しい調査は行われていません。しかし先発品の「ビソルボン」の副作用発生率は2.19%と報告されており、ブロムヘキシンもこれと同程度だと考えられます。

生じる副作用の程度も軽いものがほとんどで重篤な副作用はほぼ起こらないといってもよいお薬です。

生じうる副作用としては、

  • 食欲不振
  • 悪心
  • 腹痛
  • 頭痛

などが報告されています。多くは胃腸系の副作用になります。

副作用があまりに強い場合はブロムヘキシンを中止する必要がありますが、ほとんどは軽度にとどまり、様子観察で自然と改善していく事も少なくありません。

非常に稀ではありますが重篤な副作用として、

  • ショック、アナフィラキシー様症状

が報告されています。

また動物実験において、ブロムヘキシンの大量投与を長期間にわたって続けていた際に肝機能を表す指標となるAST、ALTが上昇する事が報告されています。ここから、長期間の投与が続いている場合は一応、定期的に血液検査で肝機能を見ておいた方が良いでしょう。

副作用ではないのですが、ブロムヘキシンを服用するとネバネバの痰が水分を含んで柔らかくなって喀出されやすくなるため、一時的に痰の量が増える事があります。

これにびっくりする方もいますが、これは気道にたまっていた痰がお薬の作用で出てきただけですので、心配はいりません。

5.ブロムヘキシンの用法・用量と剤形

ブロムヘキシンには、

ブロムヘキシン錠 4mg
ブロムヘキシンシロップ 0.08%
ブロムヘキシンシロップ 0.2%

といった剤型があります。

またこれ以外にも、先発品の「ビソルボン」には

  • ビソルボン注 4mg

という注射製剤もあります。

風邪や気管支炎・肺炎などは子どもからお年寄りまで幅広い年代の方がかかる疾患ですので、ブロムヘキシンもそれに合わせてたくさんの剤型が用意されているのです。

ブロムヘキシンの使い方は、

通常成人には1回4mgを1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

と書かれています。

6.ブロムヘキシンが向いている人は?

以上から考えて、ブロムヘキシンが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ブロムヘキシンの特徴をおさらいすると、

・痰に水分を含ませ、溶かす事で排出しやすくするはたらきを持つ
・副作用が少なく安全性が高い
・ジェネリック医薬品である

などがありました。

ブロムヘキシンは痰を出しやすくしてくれるお薬で、安全性も高いというメリットがあります。また剤型がたくさんあり、使い勝手も良いというメリットも挙げられます。

臨床現場では、去痰剤を処方する際には、

・ムコダイン(一般名:カルボシステイン)
・ムコソルバン(一般名:アンブロキソール)

といった痰を出しやすくするお薬がまず用いられる事が多いのですが、ブロムヘキシンはこれらの去痰剤とは異なる作用機序で痰を改善させてくれるため、これらのお薬の効果が不十分な時にも試してみる価値のあるお薬になります。

7.先発品と後発品は本当に効果は同じなのか?

ブロムヘキシンは「ビソルボン」というお薬のジェネリック医薬品になります。

ジェネリックは薬価も安く、患者さんにとってメリットが多いように見えます。

しかし「安いという事は品質に問題があるのではないか」「やはり正規品の方が安心なのではないか」とジェネリックへの切り替えを心配される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

同じ商品で価格が高いものと安いものがあると、つい私たちは「安い方には何か問題があるのではないか」と考えてしまうものです。

ジェネリックは、先発品と比べて本当に遜色はないのでしょうか。

結論から言ってしまうと、先発品とジェネリックはほぼ同じ効果・効能だと考えて問題ありません。

ジェネリックを発売するに当たっては「これは先発品と同じような効果があるお薬です」という根拠を証明した試験を行わないといけません(生物学的同等性試験)。

発売したいジェネリック医薬品の詳細説明や試験結果を厚生労働省に提出し、許可をもらわないと発売はできないのです、

ここから考えると、先発品とジェネリックはおおよそ同じような作用を持つと考えられます。明らかに効果に差があれば、厚生労働省が許可を出すはずがないからです。

しかし先発品とジェネリックは多少の違いもあります。ジェネリックを販売する製薬会社は、先発品にはないメリットを付加して患者さんに自分の会社の薬を選んでもらえるように工夫をしています。例えば飲み心地を工夫して添加物を先発品と変えることもあります。

これによって患者さんによっては多少の効果の違いを感じてしまうことはあります。この多少の違いが人によっては大きく感じられることもあるため、ジェネリックに変えてから調子が悪いという方は先発品に戻すのも1つの方法になります。

では先発品とジェネリックは同じ効果・効能なのに、なぜジェネリックの方が安くなるのでしょうか。これを「先発品より品質が悪いから」と誤解している方がいますが、これは誤りです。

先発品は、そのお薬を始めて発売するわけですから実は発売までに莫大な費用が掛かっています。有効成分を探す開発費用、そしてそこから動物実験やヒトにおける臨床試験などで効果を確認するための研究費用など、お薬を1つ作るのには実は莫大な費用がかかるのです(製薬会社さんに聞いたところ、数百億という規模のお金がかかるそうです)。

しかしジェネリックは、発売に当たって先ほども説明した「生物学的同等性試験」はしますが、有効成分を改めて探す必要もありませんし、先発品がすでにしている研究においては重複して何度も同じ試験をやる必要はありません。

先発品と後発品は研究・開発費に雲泥の差があるのです。そしてそれが薬価の差になっているのです。

つまりジェネリック医薬品の薬価は莫大な研究開発費がかかっていない分が差し引かれており先発品よりも安くなっているということで、決して品質の差が薬価の差になっているわけではありません。

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