サーカネッテン錠は「痔疾患治療薬」という種類のお薬で、1965年から発売されています。主に痔の諸症状の改善に用いられます。
サーカネッテンはいくつかの成分を含んでいる「配合錠」になります。そのため1剤で様々な効果が期待できます。
サーカネッテン錠はどのような作用を持っていて、どのような効果が期待できるお薬なのでしょうか。
サーカネッテン錠の効果・効能や特徴、副作用についてみてみましょう。
目次
1.サーカネッテン錠の特徴
まずはサーカネッテン錠の特徴をざっくりと紹介します。
サーカネッテン錠にはいくつかの成分が含まれていますが主な作用は2つになります。
- 痔が出来てしまった部位の炎症を抑え、
- 便通を良くすることで痔の悪化を防ぎます。
サーカネッテン錠には、
パラフレボン 200mg
センナ末 15mg
イオウ 15g
酒石酸水素カリウム 15mg
が含まれています。
それぞれの作用はというと、パラフレボンは痔が生じた部位の炎症を抑えるはたらきがあります。また痔が出来てしまった部位の静脈瘤に選択的に作用し、その部位に血栓を作るはたらきがあるとも報告されています。
静脈瘤に血栓ができれば、その部位の血流が抑えられるため腫れが引き、炎症も改善するという事です。
またセンナ末、イオウ、酒石酸水素カリウムは下剤としてはたらき、便通を改善させます。便秘であったり便が硬かったりすると痔は悪化しますので、下剤は痔の改善を助けてくれるのです。
痔の治療薬はステロイドを含むものも多いのですが、サーカネッテン錠はステロイドを含まないため、長期間使用しても比較的安全なお薬になります。
ただし下剤であるセンナ末には耐性(お薬に身体が徐々に慣れてしまう)がありますので、不必要に長期間使用することはあまり好ましくはありません。
以上からサーカネッテン錠の特徴を挙げると、次のようなことが挙げられます。
【サーカネッテン錠の特徴】
・痔を改善させる治療薬
・炎症を抑えることで痔症状を改善させる
・便通を改善することで、痔の悪化を防ぐ
・ステロイドを含まないため長期使いやすい
2.サーカネッテン錠はどのような疾患に用いるのか
サーカネッテン錠はどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。
【効能又は効果】
・痔核の症状(出血、疼痛、腫脹、痒感)の寛解
サーカネッテン錠は、痔に対して処方されるお薬になります。
痔の治療薬は軟膏・坐薬か飲み薬の2種類に分けられますが、サーカネッテン錠は飲み薬になります。
3.サーカネッテン錠にはどのような作用があるのか
サーカネッテン錠は痔を治すために使われますが、どのような作用を持っているのでしょうか。
サーカネッテン錠はいくつかの成分を含んだ配合錠であるため、いくつかの作用を持っています。その作用は穏やかで決して強くはありませんが、次のような効果が認められます。
具体的なサーカネッテン錠の作用について紹介します。
Ⅰ.抗炎症作用
サーカネッテン錠の主な作用は、含有成分であるパラフレボンが持つ「抗炎症作用」になります。
炎症とは、
- 発赤(赤くなる)
- 熱感(熱くなる)
- 腫脹(腫れる)
- 疼痛(痛くなる)
といった症状を認める状態です。
痔は肛門付近の炎症が生じている状態です。そのためお尻に痛みや熱感を感じたり、腫れがひどくなったりするといった症状を認めるのです。
サーカネッテン錠はこれらの炎症症状を軽減してくれるはたらきを持ちます。
具体的には痔が生じた部位の血管の透過性を抑制するはたらきがある事が確認されています。血管の透過性が低下すれば、血管の内の様々な物質が血管の外へ移動しにくくなるため、その部位の腫れを抑えることが出来ます。
Ⅱ.静脈瘤に血栓を形成する
痔が出来てしまった部位は、血管が腫れてしまい静脈瘤が出来てしまう事があります。
サーカネッテンは、この静脈瘤に選択的に作用し、この部位に血栓を形成するはたらきがあることが報告されています。
痔の部位の静脈瘤に血栓ができれば、その部位が血流が低下するため、過剰な腫れを防ぐことが出来ます。
Ⅲ.便を柔らかくする
サーカネッテン錠に含まれる「センナ末」「イオウ」「酒石酸水素カリウム」は下剤としての作用があります。
中でもセンナ末が下剤として主にはたらきます。
痔を改善させるためには、便通を良好にすることは非常に大切です。便秘で腸の内圧が高くなってしまったり、硬便によって痔が刺激されてしまえば、痔はより悪化してしまうことになるからです。
4.サーカネッテン錠の副作用
サーカネッテン錠は穏やかに効くお薬であり、副作用は多くはありません。
見た目は真っ黒な錠剤ですので、「何だか怖そう」というイメージが持たれやすいですが安全性は高く、副作用発生率は2.5%前後と報告されています。
サーカネッテン錠は下剤を含むため、報告されている副作用としても、
- 下痢
- 胃部不快感
- 食欲不振
- 悪心
など胃腸系の副作用が多くなります。
いずれも重篤となることは少なく、多くは様子を見たりサーカネッテン錠の服用を中止すれば自然と改善していきます。
サーカネッテンは「センナ」という大腸を刺激して排便を促す成分が含まれています。センナはプルゼニド(一般名:センノシド)やアローゼン(一般名:センナ・センナ実)といった代表的な下剤にも用いられている成分です。
便を出す作用は強く頼れるお薬なのですが、センナは副作用として「耐性」があります。耐性とは、徐々に身体がお薬の刺激に慣れてきてしまい、効きが悪くなってくることです。耐性が生じると必要なお薬の量がどんどん増えてしまいます。
サーカネッテン錠はステロイドを含まないため、そういう意味では長期使用しやすい痔の治療薬にはなりますが、長期使用は耐性が生じるリスクがあることは覚えておかないといけません。
また、サーカネッテン錠に含まれるパラフレボンは静脈瘤に血栓を形成する作用があるため、「正常な血液中にも血栓が出来てしまうのではないか」と心配される方もいらっしゃると思いますが、サーカネッテン錠は正常血液には影響しないとされており、血栓症の副作用の報告はありません。
サーカネッテンを大量投与した動物実験においても血液所見には異常を認めなかったことが確認されています。
5.サーカネッテン錠の用量・用法と剤型
サーカネッテン錠は、
サーカネッテン錠
の1剤型のみがあります。
サーカネッテン錠には1錠中に
パラフレボン 200mg
センナ末 15mg
イオウ 15g
酒石酸水素カリウム 15mg
が含まれています。
パラフレボンが主に炎症を抑えるためにはたらき、センナ末が主に下剤としてはたらきます。
サーカネッテン錠の使い方は、
通常1回2錠を1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する
と書かれています。
6.サーカネッテン錠が向いている人は?
以上から考えて、サーカネッテン錠が向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。
サーカネッテン錠の特徴をおさらいすると、
・痔を改善させる治療薬
・炎症を抑えることで痔症状を改善させる
・便通を改善することで、痔の悪化を防ぐ
・ステロイドを含まないため長期使いやすい
というものでした。
現在は痔疾患の治療薬もたくさん出てきており、古いお薬になるサーカネッテン錠は使用される頻度は少なくなっています。
効果は穏やかであるため、主に軽症例に対して用いられます。また下剤を含むため便秘がちでそれが痔に悪影響を及ぼしているような患者さんに向いています。
パラフレボンという、他の痔の治療薬と異なる成分を持つサーカネッテンは他のお薬では効きが悪い時にも検討できるお薬になります。
しかし痔に対するお薬というのは、あくまでも軽症例に限った治療法になります。軽度のものであればお薬で治すことで改善しますが、ある程度進行しているものだと手術などを検討する必要もあります。
成分の1つであるセンナは、長期間漫然と使用を続けるとは耐性が生じて効きが悪くなってきます。そのため一定期間サーカネッテン錠を服薬しても改善がない場合は、医師の指示をあおぎ、手術なども検討する必要があります。
また痔の治療はお薬だけでなく生活習慣の改善が一番大切です。
- 座る時間を減らす
- 食事を規則正しく、バランス良く
- 飲酒やタバコを控える
- しっかりと睡眠を取る
- 刺激物(からいものなど)の摂取を控える
など、生活習慣の改善も忘れないようにしましょう。