クロベタゾン酪酸エステルの強さと特徴【医師執筆】

クロベタゾン酪酸エステルは1984年から発売されているステロイド外用剤で、「キンダベート」というお薬のジェネリック医薬品になります。

外用剤とはいわゆる「塗り薬」の事です。ステロイド外用剤は主に皮膚の炎症を抑える目的で使われます。飲み薬のように全身に作用するわけではなく、塗った部位にのみ作用するため、効かせたい部位にしっかりと効かせ、余計な部位に作用しないというメリットがあります。

ステロイド外用剤にも多くの種類がありますが、その中でクロベタゾン酪酸エステルはどのような特徴のあるお薬で、ステロイドの中でどのくらいの強さのお薬になるのでしょうか。

ここではクロベタゾン酪酸エステルの特徴や強さについてみていきます。

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1.クロベタゾン酪酸エステルの特徴と強さ

まずはクロベタゾン酪酸エステルの全体的な特徴を紹介します。

クロベタゾン酪酸エステルは皮膚に塗るステロイド外用剤であり、皮膚の炎症を抑える作用があります。ステロイド外用剤の中での強さは弱めであり、皮膚の薄い部位や赤ちゃんの皮膚にも使いやすいお薬です。

ステロイド外用剤の主なはたらきとしては次の3つが挙げられます。

  • 免疫反応を抑える
  • 炎症反応を抑える
  • 皮膚細胞の増殖を抑える

ステロイドは免疫反応(身体がばい菌などの異物と闘う反応)を抑える事で、塗った部位の炎症反応を抑える作用があります。これにより湿疹や皮膚炎を改善させたり、アレルギー症状を和らげたりします。

また皮膚細胞の増殖を抑えるはたらきがあり、これによって皮膚を薄くする作用も期待できます。

ステロイド外用剤は強さによって5段階に分かれています。

【分類】 【強さ】 【商品名】
Ⅰ群 最も強力(Strongest) デルモベート、ジフラールなど
Ⅱ群 非常に強力(Very Strong) アンテベート、ネリゾナ、マイザーなど
Ⅲ群 強力(Strong) ボアラ、リンデロンV、リドメックスなど
Ⅳ群 中等度(Medium) アルメタ、ロコイド、キンダベートなど
Ⅴ群 弱い(Weak) コートリル、プレドニンなど

この中でクロベタゾン酪酸エステルは「Ⅳ群(中等度)」に属します(キンダベートのジェネリック医薬品ですので、キンダベートと同じ強さです)。

ステロイドはしっかりとした作用を有する一方で、長期使用による副作用のリスクもあるため、皮膚状態に応じて適切に使い分ける事が大切です。

クロベタゾン酪酸エステルは外用ステロイド剤の中では効きは穏やかであるため、顔や陰部など皮膚が薄い部位にも使いやすいステロイドになります。また乳幼児など皮膚が敏感な方にも比較的安全に使えます。

しかしステロイドはどれも長期使用すると、皮膚が薄くなってしまったり感染しやすくなってしまったりといった副作用が生じる可能性があります。クロベタゾン酪酸エステルもそういった副作用が生じる可能性はあるため、必要な期間のみ使用し、漫然と塗り続けないことが大切です。

またクロベタゾン酪酸エステルはジェネリック医薬品ですので、先発品と比べて薬価が安いという利点もあります。

以上からクロベタゾン酪酸エステルの特徴として次のような事が挙げられます。

【クロベタゾン酪酸エステルの特徴】

・Ⅳ群に属するステロイド外用剤である
・ステロイドの中で強さは弱めで穏やかな作用を有する
・顔や陰部などの皮膚が薄い部位・乳幼児の皮膚にも使いやすい
・ステロイドであるため、長期使用による副作用に注意
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

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2.クロベタゾン酪酸エステルはどのような疾患に用いるのか

クロベタゾン酪酸エステルはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

アトピー性皮膚炎(乳幼児湿疹を含む)
顔面、頚部、腋窩、陰部における湿疹・皮膚炎

大分ざっくりとした書き方ですが、クロベタゾン酪酸エステルのようなステロイド外用剤を用いるのは

  • 炎症を抑えたい
  • 免疫を抑えたい
  • 皮膚の増殖を抑えたい

という場合であり、これらを穏やかに改善させたい場合に用いられる塗り薬になります。

アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患の一種で、皮膚にアレルギー反応が生じてしまう疾患です。

私たちの体は「免疫」というシステムが備わっています。免疫はばい菌などの異物が侵入して悪さをしないように体を守るシステムの事です。もし体の中に異物が侵入すると、免疫がそれを素早く感知し、異物を攻撃・排除します。

このように私たちの体を守ってくれる免疫ですが、時にこの免疫が誤作動してしまう事があります。具体的にいうと、本来であれば体にとって特に有害でない物質に対して免疫が「これは敵だ!攻撃して排除する」と感知してしまい、攻撃をはじめてしまうのです。

アトピーの場合、皮膚のたんぱく質に対して免疫が「これは敵だ!」と誤認識して攻撃を始めてしまいます。これによって皮膚が荒れてしまうのです。

このようなアレルギー疾患に有効なのがステロイドです。ステロイドは免疫のはたらきを抑えてくれるため、皮膚に塗れば誤作動している皮膚の免疫の活動を鎮める事ができます。

クロベタゾン酪酸エステルは免疫を抑える事で炎症を抑えるはたらきがあるため、皮膚の炎症が過剰になってしまってる状態にも適しています。

注意点としてステロイドは免疫を抑制するため、ばい菌の感染に弱くなってしまいます。そのため、細菌やウイルスが皮膚に感染しているようなケースでは、そこにステロイドを塗る事は推奨されていません。

クロベタゾン酪酸エステルは穏やかな効きのステロイドであるため、皮膚が敏感なお子様(乳幼児)に用いられたり、顔・首・わきの下・陰部といった皮膚が薄い部位に用いるのに適したステロイドになります。

3.クロベタゾン酪酸エステルにはどのような作用があるのか

皮膚の炎症を抑えてくれるクロベタゾン酪酸エステルですが、具体的にはどのような作用があるのでしょうか。

クロベタゾン酪酸エステルの作用について詳しく紹介します。

Ⅰ.免疫抑制作用

クロベタゾン酪酸エステルはステロイド剤です。

ステロイドには様々な作用がありますが、その1つに免疫を抑制する作用があります。

免疫というのは異物が侵入してきた時に、それを攻撃する生体システムの事です。皮膚からばい菌が侵入してきた時には、ばい菌をやっつける細胞を向かわせることでばい菌の侵入を阻止します。

免疫は身体にとって非常に重要なシステムですが、時にこの免疫反応が過剰となってしまい身体を傷付けることがあります。

代表的なものがアレルギー反応です。アレルギー反応というのは、本来であれば無害の物質を免疫が「敵だ!」と誤認識してしまい、攻撃してしまう事です。

代表的なアレルギー反応として花粉症(アレルギー性鼻炎)がありますが、これは「花粉」という身体にとって無害な物質を免疫が「敵だ!」と認識して攻撃を開始してしまう疾患です。その結果、鼻水・鼻づまり・発熱・くしゃみなどの不快な症状が生じてしまいます。

同じく皮膚にアレルギー反応が生じる疾患にアトピー性皮膚炎がありますが、これも皮膚の免疫が誤作動してしまい、本来であれば攻撃する必要のない物質を攻撃してしまい、その結果皮膚が焼け野原のように荒れてしまうのです。

このような状態では、過剰な免疫を抑えてあげると良いことが分かります。

ステロイドは免疫を抑えるはたらきがあります。クロベタゾン酪酸エステルは塗り薬であるため、塗った部位の皮膚の免疫力が低下します。

Ⅱ.抗炎症作用

上記のようにクロベタゾン酪酸エステルをはじめとしたステロイドは免疫力を低下させる作用があります。

これによって炎症が抑えられます。

炎症とは、

  • 発赤 (赤くなる)
  • 熱感 (熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛みを感じる)

の4つの徴候を生じる状態のことです。今説明したように感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーで生じることもあります。

みなさんも身体をぶつけたり、ばい菌に感染したりして、身体がこのような状態になったことがあると思います。これが炎症です。皮膚に炎症が起こることを皮膚炎と呼びます。皮膚炎も外傷でも生じるし、ばい菌に感染することでも生じるし、アレルギーでも生じます。

ステロイドは免疫を抑制することで、炎症反応を生じにくくさせてくれるのです。

Ⅲ.皮膚細胞の増殖抑制作用

クロベタゾン酪酸エステルをはじめとしたステロイド外用剤は、塗った部位の皮膚細胞の増殖を抑えるはたらきがあります。

これも主に副作用となる事が多く、強いステロイドを長期間塗り続けていると皮膚が薄くなっていき毛細血管が目立って赤みのある皮膚になってしまう事があります。

しかし反対に皮膚が肥厚してしまうような疾患(乾癬や角化症など)においては、ステロイドを使う事で皮膚細胞の増殖を抑え、皮膚の肥厚を改善させることも出来ます。

ただしクロベタゾン酪酸エステルは全体的に作用が穏やかであるため、皮膚を薄くする作用も弱く、あまりこの目的で処方される事はありません。

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