フスタゾールの効果と副作用【咳止め】

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フスタゾール糖衣錠・フスタゾール散(一般名:クロペラスチン塩酸塩)は、1966年から発売されているお薬です。

いわゆる「咳止め」になり、専門的には「鎮咳薬(ちんがいやく)」と呼ばれます。

鎮咳薬には作用も強いけど副作用も強い「麻薬性」と、作用は穏やかだけど副作用も少ない「非麻薬性」があります。一般的にはまずは非麻薬性から用い、それでは効果不十分な例に限り麻薬性が検討されます。

フスタゾールはというと非麻薬性の鎮咳薬に属し、安全性に優れる咳止めになります。

古いお薬ですが、咳は風邪や気管支炎をはじめ多くの疾患で認められる症状であるため、現在でも一般内科を中心に広く処方されているお薬です。

鎮咳薬の中でフスタゾールはどのような特徴のあるお薬で、どのような患者さんに向いているお薬なのでしょうか。

ここではフスタゾールの特徴や効果・副作用を説明させていただきます。

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1.フスタゾールの特徴

まずはフスタゾールの全体的な特徴を紹介します。

フスタゾールは効果も穏やかで副作用も少ない「非麻薬性」の咳止めになります。しかし非麻薬性の中ではしっかりとした作用を持っています。また鼻水や鼻づまりを和らげる作用も多少有しており、1剤で複数の作用が期待できます。

咳止め(鎮咳薬)には、

  • 麻薬性鎮咳薬
  • 非麻薬性鎮咳薬

の2つの種類があります。

両者の違いをかんたんに言うと、

  • 麻薬性は咳を抑える効果は強いが、耐性や依存性があり、便秘などの副作用も起こりやすい
  • 非麻薬性は咳を抑える効果は麻薬性には劣るが耐性や依存性はなく、副作用も少ない

という特徴があります。

耐性というのは、お薬を連用していると身体がお薬に慣れてしまって徐々に効きが悪くなってくる現象です。また依存性というのは、そのお薬に依存してしまう事でお薬を止められなくなってしまう現象の事を言います。

いずれも麻薬性の鎮咳薬で認められます。例えば、代表的な麻薬性鎮咳薬に「コデイン」がありますが、「コデイン中毒」という疾患もあり、麻薬性鎮咳薬の依存性は時に問題となる事があります。

一方で非麻薬性の鎮咳薬には、耐性や依存性はありません。

このうち、フスタゾールは非麻薬性に属します。非麻薬性ですので、咳を抑える作用は穏やかであるものの、副作用も少なく、また体制や依存性なども生じません。

フスタゾールの特徴として、非麻薬性の中では咳を抑える作用は強いという点が挙げられます。その強さは麻薬性鎮咳薬のリン酸コデインと同等だという報告もあり、しっかりと咳を抑えてくれます。

またフスタゾールのもう1つの特徴として、

  • 抗コリン作用
  • 抗ヒスタミン作用

を多少有している点も挙げられます。

抗コリン作用というのはアセチルコリンという物質をブロックする作用の事で、気道を広げて咳を起こしにくくする作用をもたらします。

また抗ヒスタミン作用というのはヒスタミンという物質をブロックする作用の事で、鼻水やくしゃみなどを抑える作用をもたらします。一方でヒスタミンは脳の覚醒にも関わっているため、これがブロックされると眠気が生じる事もあります。

いずれも感冒症状の改善に役立ってくれるため、咳のみならず鼻水・くしゃみも有している場合、フスタゾールは1剤で複数の効果が期待できるという利点があります。

以上からフスタゾールの特徴として次のような点が挙げられます。

【フスタゾールの特徴】
・非麻薬性の鎮咳薬である
・非麻薬性の中では咳を抑える効果は強い
・非麻薬性であり、耐性や依存性はなく、副作用も少なめ
・鼻水やくしゃみを抑える作用も多少ある
・他の非麻薬性鎮咳薬と比べ、眠気はやや多め

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2.フスタゾールの適応疾患の有効性

フスタゾールはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

(糖衣錠、散、錠小児用)

下記疾患に伴う咳嗽
感冒、急性気管支炎、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核、肺癌

(シロップ)

感冒、流行性感冒、気管支炎、気管支拡張症にともなう咳嗽

難しい病名がたくさん並んでいますが、「咳が生じる疾患」の咳止めに用いる、という認識で良いと思います。

臨床でよく用いられるのは、風邪(急性上気道炎、感冒)や気管支炎、肺炎などに伴う咳です。

ただし咳止めを服用する方には知っておいて頂きたいのですが、「咳」という症状は必ず抑えなくてはいけないものではありません。基本的に咳というのは「痰を除去する」「ばい菌を体外に追い出す」ために必要な生理反応であり、本来は止めない方がいいものなのです。

気管で細菌やウイルスが繁殖していて、それを追い出すために身体が咳反応をあえて起こしているのに、それをお薬で無理矢理止めてしまったらどうなるでしょうか。

細菌やウイルスが体外になかなか排出されないため、病気の治りも悪くなってしまいますよね。このような場合は咳を安易に止めるべきではないのです。

咳を止める必要があるのは、

  • 咳があまりにひどくて、かえって気管を傷付けてしまっている場合
  • 咳があまりにひどくて、体力を消耗したり睡眠が障害されている場合

など、咳によって細菌やウイルスを排出するメリットよりも、上記のデメリットが上回っている場合に限られます。

ではフスタゾールはこれらの疾患に対して、このくらいの有効性があるのでしょうか。

フスタゾールの咳を改善させる有効率をみた調査では、

  • 感冒に対する有効率は85.4%
  • 急性気管支炎に対する有効率は77.8%
  • 慢性気管支炎に対する有効率は66.7%
  • 気管支拡張症に対する有効率は66.7%
  • 肺結核に対する有効率は66.7%
  • 肺癌に対する有効率は72.7%

と報告されています。

3.フスタゾールの作用

咳止め(鎮咳薬)として用いられるフスタゾールですが、どのような機序で咳を抑えるのでしょうか。

私たちが咳をするのは、脳の「延髄」と呼ばれる部位にある咳中枢が深く関わっています。

咽頭や気管に異物が入りこむと、その信号は咳中枢に送られます。そして信号がある閾値以上に達すると、咳中枢は「咳をして異物を排出する必要がある」と判断し、呼吸筋や横隔膜などに信号を送り、「咳」をするように指示するのです。

私たちの身体はこのような咳中枢のはたらきによって、異物が体内に侵入しないようにしているのです。

フスタゾールは延髄の咳中枢に直接作用することで、「咳をしなさい」という信号を起こしにくくさせ、咳を発生しにくくさせます。

更にフスタゾールには「抗コリン作用」が多少あり、これも咳を抑える作用をもたらします。

抗コリン作用というのは「アセチルコリン」のはたらきをブロックする作用です。アセチルコリンは体内で様々なはたらきをしている物質であるため、これをブロックする事で生じる変化は様々あるのですが、呼吸器系に関して言うと、気道の平滑筋を緩める事で気道を広げるはたらきがあります。

気道が広がると気道が刺激されにくくなるため、咳が生じにくくなります。

実際、抗コリン薬というアセチルコリンをブロックするお薬は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療薬としても使われており、ここからも気道に良い作用をもたらす事が分かります。

またフスタゾールには「抗ヒスタミン作用」も多少あり、これは鼻水やくしゃみなどを抑える作用をもたらします。

抗ヒスタミン作用というのは、ヒスタミンのはたらきをブロックする作用です。ヒスタミンは鼻水やくしゃみといった症状を引き起こす物質であるため、これらの症状の緩和が期待できます。

抗ヒスタミン薬として有名なお薬に花粉症のお薬がありますが、これらは鼻汁・くしゃみを抑えるお薬として用いられています。フスタゾールも抗ヒスタミン薬と同様、抗ヒスタミン作用を有する事によって、鼻水・くしゃみを緩和してくれるのです。

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4.フスタゾールの副作用

フスタゾールにはどのような副作用があるのでしょうか。また副作用の頻度はどのくらいなのでしょうか。

フスタゾールは非麻薬性の鎮咳薬に属するため、その副作用は少なく安全性に優れています。副作用発生率をみた詳しい調査は行われていませんが、他の非麻薬性鎮咳薬と異なり「抗コリン作用」「抗ヒスタミン作用」があるため、その分若干副作用は生じやすくなります。

生じうる副作用としては、

  • 食欲不振
  • 眠気
  • めまい
  • 悪心
  • 口渇(口が渇く)

などがあります。

食欲不振や悪心といった消化器系の副作用は、フスタゾール以外でも鎮咳薬の多くで生じうる副作用です。

加えてフスタゾールは抗コリン作用や抗ヒスタミン作用を持つため、これに関係した副作用が生じる事があります。

抗コリン作用は、アセチルコリンのはたらきを抑える事で口喝(口の渇き)、便秘や胃部不快感、排尿困難などが生じる事があります。また集中力低下や眠気などが生じる事もあります。

抗ヒスタミン作用は、ヒスタミンという覚醒に関係する物質のはたらきを抑える事で眠気やめまいが生じる事があります。

しかしいずれも重篤となる事は稀で、程度は軽度である事がほとんどです。

また麻薬性の鎮咳薬などでは、

  • 耐性
  • 依存性

などの副作用が生じますが、フスタゾールは非麻薬性ですのでこれらの副作用は認められません。

5.フスタゾールの用法・用量と剤形

フスタゾールは次の剤型が発売されています。

フスタゾール糖衣錠 10mg
フスタゾール散 10%
フスタゾール錠小児用 2.5mg
フスタゾールシロップ 0.2%

錠剤と散剤(粉薬)の他、子供でも服用しやすいようにシロップ剤なども発売されています。

風邪や気管支炎・肺炎などは子どもからお年寄りまで幅広い年代の方がかかる疾患ですので、フスタゾールもそれに合わせて錠剤だけではなく、小児やお年寄りでも飲みやすい剤型も用意されているのです。

ちなみに糖衣錠というのは、糖で外側がコーティングされているお薬のことです。基本的に錠剤と同じだと思って頂いて問題ありません。

なぜ糖で外側をコーティングするかというと、糖の甘さによってお薬のまずさや苦さをマスクして飲みやすくするためです。

フスタゾールの使い方は、

【糖衣錠、散】
通常成人には1日30~60mgを3回に分割経口投与する。小児には1日2歳未満7.5mg、2歳以上4歳未満7.5~15mg、4歳以上7歳未満15~30mgを3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

【錠小児用】
1日2歳未満7.5mg、2歳以上4歳未満7.5mg~15mg、4歳以上7歳未満15~30mgを3回に分割経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。

【シロップ】
通常、次の1回量を1日3回投与する、なお、症状に応じて適宜増減する。

2歳未満 1ml(クロペラスチンとして2mg)
2歳以上4歳未満 2ml(クロペラスチンとして4mg)
4歳以上7歳未満 3~5ml(クロペラスチンとして6~10mg)
7歳以上15歳未満 5~10ml(クロペラスチンとして10~20mg)

となっています。

基本的な使い方としては、1日を通して咳を抑えることを目的とするため、1日3回に分けて毎食後に服用します。

しかし特定の時間だけの咳を抑えたいのであれば、主治医と相談の上でであれば1日1回投与なども可能です。「夜寝る時だけ咳を抑えたい」という事であれば、1日1回の就寝前投与とする事もあります。

ちなみにフスタゾールは服薬後20~30分ほどで効果は現れ、その効果は3~4時間ほど持続すると報告されています。

6.フスタゾールが向いている人は?

以上からフスタゾールが向いているのはどのような方なのかを考えてみましょう。

フスタゾールの特徴をおさらいすると、

【フスタゾールの特徴】
・非麻薬性の鎮咳薬である
・非麻薬性の中では咳を抑える効果は強い
・非麻薬性であり、耐性や依存性はなく、副作用も少なめ
・鼻水やくしゃみを抑える作用も多少ある
・他の非麻薬性鎮咳薬と比べ、眠気はやや多め

などがありました。

しっかりした効果と、安全性も高いことから、咳を止めたい時に最初に用いられることも多いお薬です。また鼻水・くしゃみ・鼻づまりといった症状もある方には一石二鳥の効果が期待できます。

ここから、

  • 麻薬性を使うほどではないが、咳がそれなりに強い方
  • 咳のみならず鼻水も抑えたい方

に適した咳止めだと考えられます。

咳をお薬を抑える場合、まずはフスタゾールなどの非麻薬性の鎮咳薬から開始する事が一般的です。非麻薬性の鎮咳薬ではどうしてても咳が抑えられない時に限って、麻薬性鎮咳薬を検討するようにしましょう。

7.お薬以外で咳を改善させる方法

咳が出過ぎている場合、咳止めのお薬を服用するのは有効な方法の1つです。

しかし咳を軽減させる方法はお薬以外にもあります。生活の中で工夫をする事でも咳を抑えるは出来るのです。

安易にお薬だけで咳を抑えようとするのではなく、合わせて生活習慣の工夫でも改善をはかっていきましょう。

では咳を軽減させるような生活習慣にはどのようなものがあるのでしょうか。

最後に咳を軽減させるために有効な生活の工夫を紹介します。

Ⅰ.適度な咳であればそのまま様子を見る

記事中にも書きましたが、「咳」というのは本来身体にとって有用な生理反応の1つです。

咳のはたらきは、「気管に侵入してきた異物を排出する事」です。異物(細菌、ウイルスなどの病原体など)が口から気管に入り、そのまま肺や全身に侵入してしまうと大変ですので、そうならないように私たちの身体は咳をする事で異物を追い出そうとしているのです。

この生体の防御反応を止めてしまうという事は、異物を体内に侵入させやすくしてしまうという事です。これはあまり良い事ではありませんよね。

適度な咳というのは、このように身体にとって必要な反応であるという事を理解しましょう。多少の咳くらいであれば、それは抑える必要はなく、むしろ抑えない方がスムーズに異物が体外に排出され、疾患も早く治る事が期待できます。

咳を抑える必要があるのは、咳によって身体に害が生じてしまっている時のみです。

例えば、

  • 咳がひどすぎて喉が痛い、頭が痛いなど
  • 咳がひどすぎて夜に眠れないなど

といった場合ですね。

このような場合のみ、咳を抑える工夫を考えるようにしましょう。

Ⅱ.水分をしっかり取ろう

咳が出ている時というのは上気道炎(風邪)や気管支炎、肺炎など、呼吸器系に炎症が生じている事が多いものです。このような状態の時、身体は発熱している事が多く、発熱によって水分が失われやすい傾向にあります。

身体が脱水状態になると、気管内にも十分な分泌液が分泌されなくなります。すると乾燥した気管は刺激を感じやすくなってしまうため、咳が生じやすくなってしまうのです。

熱がある時は、特にしっかりと水分を取るようにしましょう。水分を十分に摂取する事で気管が適度に潤ってくれれば、咳中枢が過敏に反応しにくくなり、咳も生じにくくなります。

Ⅲ.口腔内を保湿しよう

前述の通り、気管が乾燥してしまうと気管は刺激に敏感になるため咳が生じやすくなります。

そうならないように水分をしっかりと取る事が重要だとお話しましたが、同じように口腔内を潤わせてあげるような工夫も有用です。

口腔内が潤えば、その先にある気管も潤うからです。

具体的には、

  • 加湿器などで部屋の湿度を保つ
  • マスクをする事で口腔内を加湿する

などの方法が有効です。

実はマスクというのは、病原体が口に侵入しないように防ぐ役割がある他、息の通り道を穏やかにふさぐことで口腔内を加湿するという役割もあるのです。

Ⅳ.室温を一定にする

気管は、気温の変化に弱いという性質があります。

例えば気管支喘息は気管支がアレルギーによって収縮してしまい、呼吸苦や咳・喘鳴が生じる疾患ですが、喘息は明け方の寒い時や、急に気温が上下するような季節の変わり目に生じやすい事が知られています。

ここからも気管が気温の変化に弱いという事が分かりますね。

通常の方の気管も同じような傾向はありも急に温かい場所・寒い場所に移ると気管が刺激されて咳が生じやすくなります。例えば夜に布団に入ると咳がひどくなるというのは、横になったからという理由もありますが、布団に入る事で急に温度が上がった事も一因です。

咳をなるべく起こさないためには、なるべく自分の生活環境の室温を一定にしておくことです。

ちなみに、水分を摂取する事の大切さを前項で説明しましたが、キンキンに冷えた水は飲まない方がいいという事が分かります。冷たすぎる水は気管を刺激して咳の原因になります。少しぬるめくらいの水の方が気管を刺激せずに済みます。

Ⅴ.タバコは控えましょう

言うまでもない事ですが、咳がひどい間はタバコは控えましょう。

「咳がひどいんです・・・」と病院に来た方の話を聞くと、咳が辛いのにタバコは普通に吸い続けているという方も少なくありません。

急にやめるというのも大変だと思いますが、タバコを控えた方が咳が早く治るのもまた事実です。

タバコは気管を刺激し、咳を悪化させてしまいますので、少なくとも咳が落ち着くまでは控えるのが良いでしょう。

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