チスタニンの効果・効能と副作用【去痰剤】

チスタニン糖衣錠(一般名:L-エチルシステイン塩酸塩)は1969年から発売されているお薬です。いわゆる「痰切り」で、専門的には「去痰剤(きょたんざい)」と呼ばれます。

チスタニンは、主に風邪や気管支炎などで痰がからんでしまうような時に用いられます。ネバネバの痰を溶かし、サラサラにする事で喀出させやすくする作用があります。

去痰剤の中でチスタニンはどのような特徴のあるお薬で、どのような患者さんに向いているお薬なのでしょうか。ここではチスタニンの特徴や効果・副作用についてお話させて頂きます。

スポンサーリンク

1.チスタニンの特徴

まずはチスタニンの特徴を紹介します。

チスタニンは痰のネバネバした成分を溶かす事で粘度を下げ、痰を排出させやすくするお薬です。

チスタニンは、痰のネバネバの原因である「ムコ蛋白」を分解する事で、痰の粘度を下げるお薬になります。粘性(ネバネバ度)を下げるため痰を「溶かす」ようなイメージで、これにより痰が喀出されやすくなります。

また気管の表面にある繊毛(せんもう)の動きを活性化させる作用もあり、この作用も痰の喀出を助けてくれます。

痰切りにもいくつかの種類がありますが、その作用を大きく分けると、

・痰を出しやすくするお薬
・痰を溶かすお薬

の2つに分けられます。

チスタニンはこの両者の作用を持ちますが、主となる作用で考えると後者の「痰を溶かすお薬」に分類されます。

ちなみに前者に該当する去痰剤には「ムコダイン(一般名:カルボシステイン)」、「ムコソルバン(一般名:アンブロキソール)」などがあり、後者に該当する他の去痰剤には「ビソルボン(一般名:ブロムヘキシン)」などがあります。

チスタニンは安全性も高く、重篤な副作用が生じる事は極めて稀です。

以上からチスタニンの特徴として次のような点が挙げられます。

【チスタニンの特徴】

・ムコ多糖を分解する事で痰の粘度を下げる
・気管表面にある繊毛の動きを活性化させる
・副作用が少なく、安全性は高い

スポンサーリンク

2.チスタニンはどのような疾患に用いるのか

チスタニンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

〇次の各種疾患の去痰

急・慢性気管支炎、肺結核、手術後の喀痰喀出困難

〇慢性副鼻腔炎の排膿

難しい病名が書かれていますが、基本的には痰が出るような呼吸器疾患に対して「痰切り」の目的で投与されるという認識で良いでしょう。

加えてチスタニンは副鼻腔炎にも適応があります。これはチスタニンは痰を溶かすだけでなく、繊毛の動きを亢進させる作用もあるためです。

繊毛は気管のみならず副鼻腔にも存在しており、チスタニンは副鼻腔の繊毛の動きも亢進させてくれます。副鼻腔炎で副鼻腔に膿が溜まっている場合、チスタニンの繊毛運動亢進作用によって排膿が期待できます。

チスタニンはこれらの疾患の対してどのくらいの効果があるのでしょうか。

チスタニンの有効率は、

  • 急・慢性気管支炎、肺結核、手術後の喀痰喀出困難への有効率(去痰)は90.0%
  • 慢性副鼻腔炎への有効率(排膿)は59.4%

と報告されています。

3.チスタニンにはどのような作用があるのか

主に痰切り(去痰剤)として用いられるチスタニンですが、どのような機序で痰を出しやすくしているのでしょうか。

チスタニンには次のような作用がある事が知られています。

Ⅰ.ムコ蛋白を分解する

チスタニンは、痰の構成成分であるムコ蛋白を分解するはたらきがあります。

ムコ蛋白は糖蛋白の一種で、糖分を多く含む事で粘度(ネバネバ度)を持ちます。痰にムコ蛋白が多量に含まれていると、粘度が高くなって気管にこびりついてしまうため、咳をしても喀出されにくくなります。

チスタニンは痰に含まれるムコ蛋白のS-S結合を切り離す作用をもちます。これはチスタニンが持つ活性SH基のはたらきによります。これによりムコ蛋白を分解し、痰の粘度を下げてくれます。

痰の粘度が下がり、ネバネバの痰がサラサラになれば痰は気道にこびりつきにくくなります。これにより、痰が咳で体外に排出されやすくなるというわけです。

Ⅱ.気管支の線毛の動きを改善する

気管支の壁には線毛(繊毛)と呼ばれる毛のようなものが付いています。

この毛は、異物が気管に入ると動きが活性化し、体外に異物を運ぶはたらきがあります。

チスタニンは、繊毛運動を亢進させる作用があり、この作用によっても痰を出しやすくする効果が期待できます。

ただしこの作用は穏やかであり、強く効果が期待できるものではありません。

また副鼻腔も気管と同じような繊毛を持つため、チスタニンは副鼻腔の繊毛運動をも亢進させてくれる作用が期待できます。そのため、副鼻腔炎で排膿するために使用される事があります。

4.チスタニンの副作用

チスタニンにはどんな副作用があるのでしょうか。またその頻度はどのくらいなのでしょうか。

チスタニンの副作用発生率は1.99%と報告されています。副作用は少なく安全性は高いお薬です。

生じうる副作用としては、

  • 悪心・嘔吐
  • 食欲不振

といった消化器系の副作用が主です。

また副作用ではないのですが、チスタニンを投与するとネバネバの痰がサラサラになって喀出されやすくなるため、一時的に痰の量が増える事があります。

痰が増えてしまうためびっくりする方もいますが、これは気道にたまっていた痰がお薬の作用で出てきただけですので、心配はいりません。

5.チスタニンの用法・用量と剤形

チスタニンには、

チスタニン糖衣錠 100mg

の1剤型のみがあります。

糖衣錠とはその名の通り、お薬の成分の周囲を糖でコーティングしたお薬になります。糖でコーティングする理由は、お薬の持つ不快な味やにおいを緩和させるためです。

チスタニンの使い方は、

通常、1回1錠を1日3回経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。

と書かれています。

チスタニン糖衣錠は、腸で溶けるように特殊なコーティングがされています。このように胃で溶けずに腸で溶けるように設計されている剤型を専門的には「腸溶錠」と呼びます。

チスタニンは腸で溶ける事で作用がしっかりと発揮されるお薬ですので、服用時に噛んではいけません。噛んでしまうとコーティングが剥がれてしまい、腸ではなく胃で溶けてしまい、しっかりとした効果が得られなくなってしまいます。

6.チスタニンが向いている人は?

以上から考えて、チスタニンが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

チスタニンの特徴をおさらいすると、

・ムコ多糖を分解する事で痰の粘度を下げる
・気管表面にある繊毛の動きを活性化させる
・副作用が少なく、安全性は高い

などがありました。

チスタニンは痰を溶かす事で喀出しやすくするお薬で、安全性も高いというメリットがあります。

臨床現場では、去痰剤を処方する際には、

・ムコダイン(一般名:カルボシステイン)
・ムコソルバン(一般名:アンブロキソール)

といった痰を出しやすくするお薬がまず用いられる事が多いのですが、チスタニンはこれらの去痰剤とは異なる作用機序で痰を改善させてくれるため、これらのお薬の効果が不十分な時にも試してみる価値のあるお薬になります。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
こちらの記事も是非ご覧下さい