ディレグラ配合錠(一般名:フェキソフェナジン塩酸塩・塩酸プソイドエフェドリン)は2013年から発売されているお薬で、アレルギー性鼻炎(花粉症)の治療薬になります。
「配合錠」という名称からも分かる通り、ディレグラは複数の成分が配合された合剤になります。具体的には抗ヒスタミン薬であるアレグラ(一般名:フェキソフェナジン塩酸塩)とα交感神経刺激薬である「塩酸プソイドエフェドリン」2つを1錠にしたお薬です。
アレルギー性鼻炎の治療薬は「抗ヒスタミン薬」が主流ですが、抗ヒスタミン薬にも弱点はあります。ディレグラはα交感神経刺激薬を配合する事でこの弱点を補っており、花粉症症状をしっかりと抑えてくれます。
抗アレルギー薬の中でディレグラはどのような特徴のあるお薬で、どんな作用を持っているお薬なのでしょうか。
ディレグラの特徴や効果・副作用についてみていきましょう。
目次
1.ディレグラの特徴
まずはディレグラの全体的な特徴についてみてみましょう。
ディレグラ配合錠は「アレグラ(フェキソフェナジン)」と「プソイドエフェドリン」の2つの成分が配合されているアレルギー疾患治療薬です。
アレグラはヒスタミンのはたらきをブロックすることでアレルギー症状を抑えます。効果は穏やかですが眠気などの副作用が極めて少なく、安全に使える抗ヒスタミン薬になります。
プソイドエフェドリンは血管を収縮させる事によって、主に鼻閉(鼻詰まり)症状に効果を発揮します。
ディレグラには異なる作用機序を持つ2つの成分が配合されており、しっかりとアレルギー症状を抑えてくれるお薬になります。
ヒスタミンはアレルギーを誘発する物質(ケミカルメディエーター)の1つです。そのため、ヒスタミンのはたらきをブロックできればアレルギー症状を改善させることができます。それを狙っているのが「抗ヒスタミン薬」になります。
抗ヒスタミン薬には古い第1世代抗ヒスタミン薬と、比較的新しい第2世代抗ヒスタミン薬があります。第1世代は効果は良いのですが眠気などの副作用が多く、第2世代は効果もしっかりしていて眠気などの副作用も少なくなっています。
この違いは第1世代は脂溶性(脂に溶ける性質)が高いため脳に移行しやすく、第2世代は脂溶性が低いため脳に移行しにくいためだと考えられています。また第2世代の方がヒスタミンにのみ集中的に作用するため、余計な部位への作用が少なく、これも副作用を低下させる理由となっています。
そのためアレルギー疾患の治療では、まず副作用が少ない第2世代から使用するのが一般的です。
ディレグラに含まれているアレグラ(フェキソフェナジン)は第2世代の抗ヒスタミン薬になります。第2世代の中では、効果は穏やかであるものの眠気などの副作用が少なく安全に使えるお薬として人気があります。
しかし実は抗ヒスタミン薬にも弱点があります。アレルギー性鼻炎(花粉症)に抗ヒスタミン薬を用いると、「鼻水」「くしゃみ」にはとても有効である一方で、「鼻閉(鼻詰まり)」にはあまり効かないのです。
その欠点を補うためにディレグラには「プソイドエフェドリン」というα交感神経刺激薬(アドレナリン製剤)を配合しています。プソイドエフェドリンは血管を収縮させるはたらきがあるため、鼻粘膜の血管を収縮させてアレルギー物質が血管から鼻に漏れないようにし、鼻閉症状を改善させてくれます。
ディレグラはアレルギー性鼻炎に対して鼻水、くしゃみを抑えてくれるのに加えて、従来の抗ヒスタミン薬の弱点であった「鼻閉」にも効果が期待できます。
副作用としては、ヒスタミンは覚醒に関わっている物質であるため、ヒスタミンをブロックすると眠くなってしまうことがあります。抗ヒスタミン薬はどれも眠気の副作用が生じるリスクがあるのです。
しかしディレグラに含まれるアレグラは抗ヒスタミン薬の中では眠気が極めて少ないお薬です。更にディレグラにはアドレナリン製剤が含まれているため、これによって脳はむしろ覚醒の方向に向かうため、眠気の副作用はほとんど生じません。
実際、抗ヒスタミン薬のほとんどは眠気の副作用のため、
眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
と書かれていますが、ディレグラにはこの記載がありません。
しかしアドレナリンを含むため、心臓が悪い方や緑内障の方、尿道が狭い方などは使ってはいけず、使用する際には注意が必要です。
以上から、ディレグラの特徴として次のようなことが挙げられます。
【ディレグラの特徴】
・花粉症のアレルギー症状を抑える
・ヒスタミンのはたらきを抑えて鼻水、くしゃみを抑える
・鼻粘膜の血管を収縮させて鼻閉を改善させる
・第2世代抗ヒスタミン薬であり、第1世代よりは副作用が少ない
・心臓が悪い方、緑内障の方、尿道が狭い方などは使えない
2.ディレグラはどのような疾患に用いるのか
ディレグラはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。
【効能又は効果】
アレルギー性鼻炎
(鼻閉症状が中等症以上の場合に本剤の使用を検討すること)
ディレグラはアレルギー疾患の中でも「アレルギー性鼻炎(花粉症)」に特化したお薬になります。
その理由として、鼻閉症状を改善させるプソイドエフェドリンが含まれているからです。
またアレルギー性鼻炎の中でもくしゃみや鼻水が主体である方には適応になりません。このような方にはプソイドエフェドリンの鼻閉を改善させる作用はほとんど意味がなく、抗日墨単薬のみの投与でよいからです。
ディレグラはアレルギー性鼻炎の中でも鼻閉症状が強い方に用いられるお薬になります
3.ディレグラにはどのような作用があるのか
ディレグラはどのような作用機序によって、アレルギー症状を抑えてくれるのでしょうか。
ディレグラの作用について詳しく紹介させて頂きます。
Ⅰ.抗ヒスタミン作用
ディレグラに含まれるアレグラ(フェキソフェナジン)は抗ヒスタミン薬というお薬に属し、その主な作用はヒスタミンのはたらきをブロックする事になります。これを「抗ヒスタミン作用」と呼びます。。
アレルギー症状を引き起こす物質の1つに「ヒスタミン」があります。
アレルゲン(アレルギーを起こすような物質)に暴露されると、アレルギー反応性細胞(肥満細胞など)からアレルギー誘発物質(ヒスタミンなど)が分泌されます。これが受容体などに結合することで様々なアレルギー症状が発症します。
ちなみにアレルギー反応性細胞からはヒスタミン以外にもアレルギー誘発物質が分泌されますが、これらはまとめてケミカルメディエータ―と呼ばれています。
ディレグラに含まれるアレグラは、アレルギー反応性細胞からヒスタミンが分泌されるのを抑える作用があります。またヒスタミンが結合するヒスタミン受容体をブロックすることでアレルギー症状の出現を抑える作用もあります。
これらの作用によりアレルギー症状を和らげてくれるのです。
Ⅱ.抗ロイコトリエン作用・抗ECP作用
ヒスタミン以外のケミカルメディエーターとして、ロイコトリエン(LT)や好酸球陽イオン蛋白(ECP)などがあります。
ロイコトリエンやECPも肥満細胞・好酸球といったアレルギー反応性細胞から分泌され、身体にアレルギー反応を起こすケミカルメディエーターの一種になります。
ECPは炎症を引き起こして組織を傷付けてしまう作用があり、特にアレルギー疾患の1つである気管支喘息で上昇しやすい物質です。
ディレグラに含まれるアレグラは、このロイコトリエンやECPの分泌を抑えるはたらきがあり、これによってアレルギー症状を緩和させてくれます。
Ⅲ.抗好酸球作用
アレルギー反応の1つに、アレルゲン(アレルギーの原因になる物質)によって好酸球の脱顆粒(好酸球が顆粒を分泌する)という現象があります。
好酸球から分泌される顆粒には様々な成分が含まれています。中にはヒスタミンやロイコトリエンなどのアレルギーの原因となる物質のはたらきを中和する作用もあります。
しかし一方で炎症の原因となる物質も放出してしまい、これによってアレルギー反応がより悪化してしまう事もあります。
アレルギーのある方は、アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因となる物質)の刺激によって好酸球がその部位に浸潤し、アレルギー反応を引き起こしてしまうことがあります。
ディレグラに含まれるアレグラは、アレルゲンの刺激によって好酸球が浸潤してくるのを防ぐはたらきがあります。
またアレグラは、GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)という好酸球を産生する物質のはたらきを抑える作用も報告されています。これによって好酸球が作られにくくなるとアレルギー反応も生じにくくなります。
Ⅳ.抗炎症作用
アレルギーが起きると、その部位に炎症が生じてしまいます。
炎症は、
- 発赤(赤くなる)
- 腫脹(腫れる)
- 熱感(熱くなる)
- 疼痛(痛くなる)
の4つの徴候を起こす反応のことで、例えば身体をぶつけて傷が出来るとこのような炎症が皮膚に生じたりします。
アレルギーでもケミカルメディエーターによってアレルギー反応が誘発されると炎症が生じます。
ディレグラに含まれるアレグラはアレルギー反応を抑えるだけでなく、このような炎症反応を緩和するはたらきもあります。
具体的には炎症性サイトカイン(炎症を引き起こす物質)であるインターロイキン8(IL-8)の産生・分泌を抑えるはたらきが確認されています。
これもアレルギー症状の緩和に役立ってくれます。
Ⅴ.血管収縮作用
ディレグラに含まれるプソイドエフェドリンは「α交感神経刺激薬」と呼ばれ、身体を興奮させる神経である交感神経を刺激します。
交感神経が刺激されると、
- 血圧を上げるために血管を収縮させる
- 末梢の筋肉に血流が十分届くように、心拍数を上げる
- 瞳孔を開く
などといった身体の変化が生じます。
花粉症で鼻閉(鼻詰まり)が生じるのは、鼻の粘膜でアレルギー反応が生じてしまい、炎症が生じているからです。炎症が生じるとその部位には腫脹(腫れ)が生じます。また、免疫システムが花粉を攻撃するため、血管の透過性が亢進し、その刺激によって様々な分泌物が血液から漏れ出てきます。これが鼻閉の原因です。
プソイドエフェドリンは上記の作用により、鼻粘膜の血管を収縮させます。すると鼻粘膜への血流が減少しますので、腫脹が軽減します。また血流が少なくなれば血管から漏れ出てくる分泌物も少なくなります。
これにより鼻閉症状を改善させてくれるのです。
4.ディレグラの副作用
ディレグラにはどのような副作用があるのでしょうか。
ディレグラの副作用発生率は1.4%と報告されています。他の抗ヒスタミン薬と比べるとディレグラは副作用が少なく、服薬しやすいお薬となっています。
生じうる副作用としては、
- 頭痛
- 発疹
- 疲労
- 口渇
などが報告されています。
頭痛はディレグラに含まれるプソイドエフェドリンが脳の血管を収縮させるために生じると考えられています。
また口喝はアレグラ(抗ヒスタミン薬)がわずかに持つ抗コリン作用というアセチルコリンのはたらきを抑えてしまう作用が関係しています。ヒスタミンの受容体とアセチルコリンの受容体は構造が類似しているため、抗ヒスタミン薬は時にアセチルコリン受容体にも作用してしまうのです。
抗コリン作用は唾液の分泌を減少させたり、胃腸の動きを低下させてしまいます。ディレグラのような第2世代は第1世代と比べると抗コリン作用は少なくはなっているのですがゼロではないため、時にこのような副作用が生じることがあります。
一般的な抗ヒスタミン薬には「眠気」が多い副作用として挙げられます。もちろんディレグラでも眠気が生じる可能性はありますが、ディレグラに含まれるアレグラは眠気が非常に少ない抗ヒスタミン薬です。それに加えてアドレナリン製剤であるプソイドエフェドリンはむしろ脳を覚醒させる方向にはたらくため、ディレグラの眠気の副作用は多くはありません。
頻度は稀ですが、重大な副作用として、
- ショック、アナフィラキシー
- 痙攣
- 肝機能障害、黄疸
- 無顆粒球症、白血球減少、好中球減少
- 急性汎発性発疹性膿疱症
が報告されています。
また次に該当する方はディレグラを使用する事は出来ませんので、該当していないか確認するようにしましょう。
- ディレグラの成分及び塩酸プソイドエフェドリンと化学構造が類似する化合物(エフェドリン塩酸塩又はメチルエフェドリン塩酸塩を含有する製剤)に対し過敏症の既往歴のある方
- 重症の高血圧の方
- 重症の冠動脈疾患の方
- 狭隅角緑内障の方
- 尿閉のある方
- 交感神経刺激薬による不眠、めまい、脱力、振戦、不整脈等の既往歴のある方
これらは主にディレグラに含まれるプソイドエフェドリンにおける禁忌になります。
プソイドエフェドリンはアドレナリン製剤であり、交感神経を興奮状態にし、血圧を上げたり、眼圧を上げたり、尿道を絞めたりするはたらきがあります。
そのため、このような症状により持病が悪化しやすい状態にある方は使用する事は出来ません。
5.ディレグラの用法・用量と剤形
ディレグラは、
ディレグラ配合錠
の1剤形のみがあります。
ディレグラ配合錠1錠中には、
・アレグラ(フェキソフェナジン):30mg
・プソイドエフェドリン:60mg
が配合されています。
ディレグラの使い方としては、
通常、成人及び12歳以上の小児には1回2錠を1日2回、朝及び夕の空腹時に経口投与する。
となっています。
抗アレルギー薬は食後に服用するものが多いのですが、ディレグラは「空腹時」に服用する点に注意が必要です。
また、ディレグラ中に含まれるプソイドエフェドリン中は主に腎臓から排泄されるため、腎機能が悪い方では主治医の指示に従って、適宜服薬量を減量する必要があります。
6.ディレグラが向いている人は?
以上から考えて、ディレグラが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。
ディレグラの特徴をおさらいすると、
・花粉症のアレルギー症状を抑える
・ヒスタミンのはたらきを抑えて鼻水、くしゃみを抑える
・鼻粘膜の血管を収縮させて鼻閉を改善させる
・第2世代抗ヒスタミン薬であり、第1世代よりは副作用が少ない
・心臓が悪い方、緑内障の方、尿道が狭い方などは使えない
といったものがありました。
ディレグラは、第2世代抗ヒスタミン薬にアドレナリン製剤を加えたお薬になり、鼻水、くしゃみのみならず鼻閉(鼻詰まり)症状が強いアレルギー性鼻炎の方に向いているお薬になります。
ただし、心臓に負担をかけたり眼圧を上げるはたらきを持つアドレナリンを含んでいるため、
- 血圧が高い方
- 心臓が悪い方
- 緑内障の方
- 尿閉の方
などには使えない事には注意が必要です。
7.お薬以外の花粉症の治療法
花粉症をはじめとしたアレルギー疾患は、お薬で症状を抑える事が出来ます。
しかしお薬だけが有効な治療法はではありません。日常の生活習慣の工夫で症状を和らげる事も可能ですし、食べ物に含まれる成分にもアレルギーを抑える効果が報告されているものもあります。
最後にお薬以外で花粉症を抑える、有効な予防法について紹介します。
Ⅰ.花粉を目・鼻に入れない
やはり一番大切なのは、毎日の生活の中での工夫です。
花粉症の症状は、花粉が目や鼻の中に入る事で生じます。という事は花粉がこれらの部位に接触しなければ症状は生じないわけです。
当たり前の事ですが、これは非常に重要な事です。
花粉が飛散する時期になったら、外出時はメガネやマスクなどを装着するようにしましょう。これだけでも症状は大分軽減します。なるべく皮膚と密着するようなメガネ・マスクが良いでしょう。
また服装も重要です。花粉がくっつきやすい服を着ていれば、外出時に服にたくさん花粉がついてしまい、それが家の中で舞ってしまいます。
具体的には、ウールなどのモコモコした生地の服は花粉が付きやすく、ポリエステルなどのツルツルした服は花粉が付きにくいと言われています。花粉が飛散する時期は、このように服装にも気を付けるようにしてみましょう。
Ⅱ.乳酸菌
乳酸菌はヨーグルトなどに含まれている細菌で、いわゆる「善玉菌」として知られています。
腸内細菌のバランスを適正に整える事で、便秘や下痢、腹部膨満といった胃腸症状を改善させる作用があり、整腸剤の成分としても用いられています。
近年、乳酸菌はただ腸内細菌のバランスを整えるだけではなく、腸内細菌のバランスを整える事によって免疫力も整えてくれる事が分かってきました(免疫力:身体に有害な異物が入ってきた時に、異物を排除するシステム)。
アレルギー疾患は免疫反応の誤作動によって生じています。具体的には花粉症であれば、「花粉」という本来であれば身体に害のない物質に対して、「敵だ!排除しなければ」と免疫が誤作動してしまう事で鼻水・目のかゆみなどが生じるのです。
つまり免疫力を整えてくれる乳酸菌は、花粉症の改善にも効果が期待できるという事です。
また乳酸菌の中でも特にアレルギー反応を抑える事が確認されている菌としては、
- L-92乳酸菌
- フェリカス菌
などがあります。最近ではこのような抗アレルギー作用のある乳酸菌を含む乳製品(ヨーグルトやチーズなど)も発売されるようになってきましたので、花粉症の時期にはこれらを積極的に摂取するようにしましょう。
また、乳酸菌の栄養となる「オリゴ糖」の摂取も有効です。オリゴ糖が十分に腸内に届けば、それだけ乳酸菌が増殖しやすくなるためです。
▽ 4種類の生菌で腸内バランスを整える医薬品【ファスコン整腸錠プラス】
京都薬品より発売されている乳酸菌錠剤です。抗アレルギー作用のあるフェリカス菌をはじめ、多くの乳酸菌が含まれています。
Ⅱ.ポリフェノール
「ポリフェノール」は、抗酸化作用が注目される事が多く、「アンチエイジング効果がある物質」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
確かにポリフェノールには抗酸化作用がありますが、それ以外にも抗アレルギー作用もあります。
ポリフェノールはアレルギーを誘発する物質であるヒスタミンの放出を抑える作用が報告されており、抗ヒスタミン薬と似た機序でアレルギー症状を改善させてくれます。
ポリフェノールを多く含む食品としては、
- 野菜
- 果物
- ワイン
- お茶
などがあります。
ちなみにお茶には「カテキン」が含まれていますが、このカテキンもポリフェノールの1種です。
日常で野菜をあまり取れない方は、サプリメントも有効です。ただし一部のサプリメントや野菜ジュースなどにはポリフェノールがほとんど除去されてしまっているものもあるため、注意しましょう。
▽ じゃばらジュース
抗アレルギー作用が確認されているポリフェノールの1種である「ナリルチン」を豊富に含むお茶です。
▽ 白井田七。茶
カテキンを豊富に含むお茶です。日本茶ですので、毎日の生活の中で無理なく摂取する事ができます。
Ⅳ.ω脂肪酸(EPA・DHA)
EPAやDHA「ω3脂肪酸」と呼ばれ、魚に多く含まれる物質で「血液をサラサラにする」という効果がよく知られています。
以前は「食べると頭が良くなる」と言われた事もありましたが、直接頭を良くする作用があるわけではありません。血液をサラサラにする事で脳の血流を増やす作用があるため、このように言われるようになりました。
その他にもコレステロールを低下させたり、精神状態を安定させる作用(抗うつ作用)なども報告されています。
近年では、アレルギーを抑える作用もある事が報告されるようになりました。アレルギーを引き起こす物質にはヒスタミン以外にも、ロイコトリエンやプロスタグランジンなどがあります。
DHAやEPAはロイコトリエンやプロスタグランジンのはたらきを抑える作用が報告されています。DHA、EPAは青魚に多く含まれていますので、花粉症の時期には積極的に摂取するようにしても良いでしょう。
またDHA・EPAはサプリメントとしても各製薬会社から発売されていますので、このようなものを利用するのも方法の1つです。
DHA・EPAを高用量配合しているサプリメントです。
Ⅴ.アロマエッセンス
アロマ(精油)は日本ではまだあまり普及していませんが、海外では医薬品として病院から処方されるような国もあり、その効果は侮れません。
アロマオイルの中にはアレルギー症状に効果があるものもあります。例えばユーカリやティーツリーといったアロマオイルは免疫の調子を整え、鼻粘膜の炎症を和らげてくれる作用があると言われています。
またペパーミントは鼻腔の通りを改善させる作用があると言われています。
このような成分を配合したアロマオイルを使ってみるのも方法の1つです。
ユーカリ、ティーツリー、ペパーミントやカユプテ、ラベンダーを配合したアロマスプレーで花粉症への効果が期待できます。
Ⅵ.甜茶の効果は不確か?
「花粉症に効くお茶」として有名な甜茶(てんちゃ)ですが、本当に花粉症に効果があるのでしょうか。
甜茶は元々は「甘いお茶」の総称で、一口に甜茶といっても含まれる成分はお茶によって異なります。
甜茶に含まれるバラ科キイチゴ属の植物の葉に抗アレルギー効果があるという報告から、一時期甜茶が花粉症の時期に流行りましたが、明確な効果はないとする報告も多く、その抗アレルギー作用は不確かなところがあります。
厚生労働省や独立行政法人国立健康・栄養研究所などの公的機関も、甜茶の効果に対しては否定的であり、甜茶ブームも長くは続いていない事から、少なくともしっかりとした効果はないと考えられます。